家に帰ってすぐにこれからに向けての作戦会議が始まった。
俺の考えている目標の為に俺の情報は必要不可欠なので、俺が思い出した情報と出自を洗いざらい話した。
「…一度この宇宙は滅んでる…?宇宙が復元された…?セプター…?」
あまりの情報量に彩葉がフリーズしている。とても信じがたい話をしているから、無理もないだろう。
「かぐやそれ全然知らないんだけど!月よりずっと激ヤバな話してない!?」
かぐやが花火大会で見せた大人びた様子は既にない。この様子からして月側ももっと遠くの宇宙のことは知らないようだ。
「…突飛な事を言っている自覚はある。だがこれは遠い宇宙で実際にあったことだ。俺が存在することがその証明になる」
「いや、楓を疑ってるわけじゃなくて…」
「そういうものだと理解してくれればいい。後の目標のために知っておいてほしいだけだからな」
そして俺は最終的な目標を話す。
「月人と交渉してかぐやを一時的に月へ帰す。そして仕事を処理した後、引き継ぎを行い退職と地球行きを確約させる」
「…本当にできるの?
彩葉の疑問は当然のものだ。だが月人の記憶を持つ俺は確信を持って交渉に乗ると断言できる。
「
「あ…」
「そして機能停止した俺を隔離する時も、ただ宇宙に放り出せばよかったものをわざわざ船に載せて飛ばしている。同族への仲間意識はあるんだろう」
「それにこちら側から価値のある物を出せる。さっき話したセプターのデータなんて物は求めない理由はない」
月の技術を大きく上回るデータだ。俺が機能停止した時は触れるのも危険なため隔離したが、安全に扱えるのなら月側も欲するだろう。
「更に実力行使で追い返すと月側との本格的な争いになる可能性がある。そうなると地球を巻き込むことになるから、それは避けたい。これは月側も同じ事を思っているはずだ。」
コラボライブの時の対応からして。
「だが交渉の席に立つためにはかぐやに手出し出来なくする必要がある。そのために…」
セプターの演算能力で
「俺に残ったデータと地球にあるセプターのデータを統合して演算能力を上げる。そして月側がツクヨミに干渉する余地を断つ。そうすれば交渉の場に立たざるを得ないだろう」
地球にあるセプターのデータを完全に統合すれば干渉を防げるはずだ。いとも簡単に月人だった俺を乗っ取っているのだから。
俺がそう言うと彩葉は不安そうに俺に質問する。
「…楓が生まれた時みたいに、統合したら楓が乗っ取られたりしない…?」
「そこについては問題ない。…実は初めてツクヨミに入った時にセプターと接触している。その時には何もなかったから大丈夫だ」
乗っ取る時にリソースとしていた虚数エネルギーは今は俺が持っているため、主導権はこちらが握ることになるだろう。
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月の侵攻を防ぐためにかぐやにお願いしておきたいことがある。
「かぐや、頼みがある」
「なーに?」
「月の迎えが来る日、ライブをやりたいと言っていたな」
「うん…やめた方がいい?」
「いや、むしろ逆だ。盛大にやってくれ。かぐやが目立てばそこに月人が集中するから、対処がしやすくなる」
成功のために少しでも確率を上げたいので、かぐやを利用しているようでかぐやとそのファンには申し訳ないがこんな事をお願いした。
「そういうことなら、かぐやに任しとき!全力でライブ盛り上げちゃう!」
「…すまない、お前を利用するようなことをして」
「いーって!かぐやの為っしょ?そんならイヤな理由ないって、ライブも大好きだし!」
「…ありがとう、かぐや」
「どーいたしまして!」
かぐやに慰められていると、彩葉がかぐやに新しい提案をした。
「それなら…かぐや。新しい曲、作る?」
「…まじ?ひゃほ〜〜っ!」
「…喜びすぎ、うまくできるかわかんないけど、どんなのがいい?」
「あれ!途中で終わってた曲!」
「え?」
かぐやのリクエストに彩葉が固まってしまった。二人だけが知っている物だろうか。彩葉は少し悩んでこう返した。
「…いいよ、かぐやなら。だけど、この曲はお父さんと作った曲だから…最高のライブにして。…かぐやならできるでしょ?」
父と作ったその曲には特別な想いがあるらしい。彩葉には珍しい、強気のリクエストをかぐやに送っていた。
「彩葉の新しい曲があるならかぐや、最強!ライブも最高に盛り上がること間違いなし!」
「ああ、最高のライブにしてくれ」
楽しみにしている。あとは…
「月の干渉を断つためには彼らがツクヨミに来る必要がある。そして来てから個別に対応する必要があって、その為の時間が必要になる。その間だけは月人たちに対処しなければならないが、俺と彩葉だけでは対処しきれないから、ある程度戦える人を集めたい」
「黒鬼とか呼んでみる?あと芦花と真実も」
「ああ、頼む。俺にそう言った繋がりはないからな」
情けないことだが。
こうして作戦会議は続いていった。
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「…とりあえずこんな所か」
「今話せるのはこんなとこかな。ここからはお兄ちゃん達や芦花と真実を交えて話してかないと」
「そんなら一旦終わりってことで!」
かぐやの締めで今回の会議は終わった。
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その後。
「楓〜、お迎えが来るまで一緒に寝て…?」
かぐやにおねだりされていた。
「…流石に駄目だ」
「ダメ…?」
「…駄目だ」
「…何してんの」
かぐやと応酬していると彩葉が来た。
「彩葉!楓と一緒に寝て!」
「かぐや、言い方を考えてくれ」
助かった。彩葉なら断ってくれる。それなら二対一で押し切れる。その時の俺はそんな考えをしていた。
「……」
彩葉は押し黙って俺の方へ寄ってきて
「…一緒に寝たら、あかん…?」
彩葉は少し潤んだ瞳でお願いしてきた。
そっち側だったか…
結局俺は二人に押し負け、三人で川の字で寝ることになった。俺の心配とは裏腹に、三人とも熟睡だった。
楓…月側の事を知っているため、全てを叶える案を取った。自身の出自は都合の良い力として、二人を支えるために使っていく。かぐやからのおねだりは断れるが、彩葉からのおねだりが断れない。三人で寝た時は俯瞰して左側。
彩葉…お父さんとの合作を完成させる事を決意した。大切な物なので、かぐやに強気のリクエストをした。かぐやに便乗しておねだりした。三人で寝た時は俯瞰して右側。
かぐや…ハッピーエンドに向けてやる気満々。生来の行動力で突き進んでいく。三人で寝た時は彩葉と楓の真ん中に収まっている。