大地よ、輝く夜に黎明を齎せ   作:M4kura

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キリがいいため初騰荒です。


月を撃つが如き

 

「かあ〜〜っ、かぐやちゃんが本当に月のプリンセスとは……わかるっ!」

 

分かるのか…そんな事を思いながらここに来てくれた面子をみる。

 

芦花、真実、帝とブラックオニキスのチームメイトの雷と乃依。さらにヤチヨまでもがツクヨミのミーティングルームに集まっている。

 

事情は既に全て話した。かぐやが月から来た宇宙人であること、次の満月に迎えが来て月へ帰ること、そして俺の事も話した。全てを話すと複雑になるため、必要な点だけだが。

 

口に出して話してみれば全て胡散臭い話でしかない。だが皆各々に腑に落ちるところがあるのか、信じてくれるようだ。

 

芦花からは

「楓くん、何もしてないのに肌綺麗でうらやましーって思ってたんだけどそういうことだったんだね」

と言われてしまった。美容系インフルエンサーだけあって、人のことをよく見ている。

 

だが、俺のことに関して皆から一つだけ質問があった。

 

俺は月からの迎えは来ないのか、と。

 

「俺は月において死んだ、という扱いだ。仕事を置いてきたかぐやと違って連れ戻す理由もない」

 

実際俺は認知していなかったのだろう。でなければライブの時にあの態度は取らないだろう。

 

─────────────

 

信じてくれたのなら、あとは作戦だ。以前考えた作戦を話すと帝が

「現実で手出しできないなら、ツクヨミで追い払うのは駄目なのか?」

と聞いてきた。

 

以前話した通り、無理やり追い払えば本格的に侵攻してくる懸念もあり、なるべく穏便に済ませたい旨を伝えると納得してくれた。

 

彩葉が月人に関してヤチヨに聞いていたが、どこからアクセスしてるかもわからない、とのこと。

 

やはり月人たちが来てから対処していくしかないか…

 

俺は改めてここにいる皆に頼み込む。

 

「かぐやのために力を貸してほしい…頼む」

 

「私からも…お願いします」

 

 

「…いいぜ、可愛い可愛い妹からのお願いだ。宇宙人だろうがなんだろうが、ツクヨミなら好都合だ。足止めと言わずブッ飛ばしてやる」

 

帝はこの作戦に参加してくれるようだ。ツクヨミで最上位のプレイヤーの参戦は、正直安堵した。

 

「よし!じゃあ準備だな、乃依」

 

「えー、あれー?めんど〜」

 

「リーダーは絶対」

 

…ん?今少し気になる言葉があった。

 

「…何の準備だ?」

 

「また今度教えてやる」

 

そう言ってブラックオニキスの三人はログアウトしていってしまった。

 

そのあと芦花と真実も参戦を決めたようだ。

 

「来年もみんなで海行こうね」

と芦花が、

「温泉も行こー!」

と真実が微笑んだ。

 

「……ありがと」

と返す彩葉をヤチヨは…愛憐というべきなのだろうか。複雑な感情を持った笑みで見ていた。

 

 

 

 

 

 

先程のヤチヨの月人に関して何も分からなかったと言う発言──

 

 

 

──あれはおそらく、欺瞞だと考えている。

 

以前かぐやが仮想の世界は月ととても近いと言っていた。侵入ルートの検証も兼ねてツクヨミを調べていたのだが、調べていて分かったことがある。

 

ツクヨミは月の技術を基に作られている。月に近いというのも当然だろう。

 

一つ目の理由としてツクヨミは他のVRと比べて技術が突出しすぎている。サーバー、情報処理、自由度などの全てにおいてだ。ツクヨミはサービス開始から10年経っているにも関わらずVRで不動のトップを譲らない。

 

二つ目の理由……以前俺たちで開発したキメラのことだ。あれだけ流行ったにも関わらず企業などの後追いがいない。月人の俺とかぐやの共作であるキメラとかぐやの犬DOGE、そしてヤチヨのFUSHIしかツクヨミ内でペットと言えるものは今存在していない。

 

つまり、今の地球の技術ではツクヨミでペットを作ることができないということだ。

 

そして最後…三つ目の理由はセプターとの繋がりだ。セプター側から他の通信に一方的に繋げられるようだが、他の通信からセプターに繋ぐことは出来なかった。ツクヨミを除いて。

 

俺のアバターはセプターのデータを流用している。セプターに繋がらなければ不可能だ。

 

これはツクヨミがセプターの一部の情報量に耐えうるということを意味し、現在の地球上には存在しないはずの物だ。

 

以上の事からツクヨミは月の技術を何かしら取り込んで作られている。そしてそのツクヨミの管理者であるヤチヨ…。

 

ヤチヨは確実に俺達に隠していることがある。

 

そして彩葉への呼び方や表情、明らかにヤチヨは彩葉を特別扱いしている。

 

月と関わりがあって彩葉を特別な感情を持つ者。俺の知る限り、そんな人物がもう一人いる。

 

夢の中の経験がこの推論へと辿り着かせてくれた。実際、この広い宇宙の中ではあり得ないことではないだろう。

だが俺の憶測に過ぎないから確証はないし、今それを確認している場合ではない。

彩葉にライブのプロデュースを頼まれるヤチヨの様子を俺は少し離れた所から見る。

 

 

 

白い髪と青い瞳、そして彼女の微笑みに俺の「記憶」の中の誰かが重なった気がした。

 

 

 

 




楓…ヤチヨとツクヨミの不審な点からある事実に辿り着こうとしている。ヤチヨの白い髪と青い瞳、そして笑顔に誰かを重ねている。

帝…可愛い妹と義弟候補の頼みなのでやる気満々。雷、乃依とある準備をする。

ヤチヨ…人前ではいつも笑っている。それがヤチヨだからだ。

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