大地よ、輝く夜に黎明を齎せ   作:M4kura

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彼を見る者は誰なのか、初騰荒です。


其よ、火負いが齎す払暁を見よ

 

眼前に広がる星海を彷徨う中、遥か遠くから視線を感じた。

 

視線を感じた方向へ目を向けるが、そこには何もいない。だがこの身体が、脳が、直感が。その方向から何かが見ていると警鐘を鳴らし続けている。

 

──瞬間、頭に情報を叩き込まれる。それは俺を認識す()る者の姿─────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

星一つを掌に収めんばかりの岩石の巨体、その手に握っているのは万物を脅威より「存護」する神鎚───

 

 

 

 

───「存護」の星神(アイオーン)、クリフォトが俺を認識し()ていた。

 

 

 

 

───────────────

 

 

 

 

意識が現実に戻る。周りを見たところ状況は変わらない。

今の琥珀の王(クリフォト)の一瞥は一瞬にも満たない出来事だったのだろう。だが、実際に起こった事だと身体から溢れる力が証明している。

 

 

瑞獣型の武器へ振りかぶった撃雲を叩きつけて柄を折り、すぐさま安全圏に後退する。

 

 

自身の手に火種を出現させる。セプターとの融合、そして琥珀の王(クリフォト)に一瞥された影響か琥珀のような金色へと変色、さらに「大地」の紋章ではなく、無限大を縦にしたような紋章が刻まれている。

 

 

 

擬態によって生まれたただの飾り。そうであった筈の物が「本物」となった。火種から放たれる光、そして火種を中心として渦巻くエネルギーがそれを証明している。

 

 

 

火種、一瞥、黄金の血。そして少しの光があれば、この永き夜を打ち払える。

 

最後に必要な光は、二人(彩葉とかぐや)のステージによって灯された。ならば後は俺が黎明を灯すだけ。

 

 

 

 

 

見るがいい、琥珀の王。壊滅が生んだ種が齎す払暁を。

 

 

火種を掲げ、渦巻く力を解放する。そして世界へ────

 

 

 

 

 

「火種よ、この輝く夜に───」

 

 

 

 

告げる。

 

 

 

 

「───黎明を齎せ!」

 

 

 

 

 

火種から極光が放たれ、永夜を塗り替えていく。

夜に浮かび上がっていた月は陽光によって隠され、烈日が大地を照らす。

 

 

烈日が齎す光を受けた月人ミニオンはその光に耐えられず、一体残らず消滅。残ったのは月人プレイヤーのみ。

 

 

俺たちの戦いの行く末を見守るのは永夜の宵闇と満月ではなく、黎明の蒼き空、そして燦然と輝く烈日だ。

 

 

陽光が照らす中、瑞獣型へ向かって駆ける。あちらも迎え打つため武器を振るうが、撃雲を振るい弾き飛ばす。防戦一方だった時の出鱈目な膂力は影も形もない。

 

 

俺の灯した黎明によって満月は烈日により隠され、月人側の最上限まで引き上げられていたステータスは通常の物へ戻った。それでもなお最上位のステータスを保っているが、以前とは比べるまでもない。

 

 

「火負いの槍よ───」

 

 

撃雲の槍先に火を灯し、瑞獣型へ向ける。周囲が燃え盛り、奴の逃げ場を奪う。

 

 

「───断ち切れ!」

 

 

一閃、そして爆発。一直線で瑞獣型の胴を貫き、瑞獣型、脱落。

 

 

瑞獣型を撃破し、試合状況を見るとシンバル持ちと雷が脱落している。雷を囮に乃依が落としてくれたようだ。残るは大将の菩薩型のみ。

 

 

「楓!」

 

 

リスポーンした帝も虎バイクで追いついてきた。敵陣地の最奥に座する大将、菩薩型を討つために一直線に進軍する。

 

「────!」

 

光弾の雨は激しくなり、さらに胸元に光弾と同質の光が集まっていく。あの光が放たれれば俺たちは耐えられない。

 

「帝、使え!」

 

「サンキュー!」

 

龍霊を二体召喚し、俺と帝を乗せて飛翔する。立体的な軌道を描きながら光弾を避け、打ち砕き、時にはシールドで受けながら菩薩型の元へ向かう。

 

 

光弾の豪雨に対処しながら進んでいき、菩薩型まで後一歩。

 

「───────!」

 

菩薩型の胸元の光がさらに輝いた。間に合わなかった…!

 

奴がその極光を解放する瞬間───

 

 

「乃依っ!」

 

「…はいはい、分かってる」

 

 

極光に氷の大輪が咲き、大爆発が起きる。乃依の必殺技、そして超長距離の狙撃が引き起こしたものだ。

 

 

自身の極光の暴発を受けた菩薩型はよろめき、光弾の雨も維持できず止んでいる。

 

 

乃依の作った隙によって最大のチャンスが出来た。これを逃せば次はもうない。

 

 

「帝ッ!」

「分かってる!絶対に、奴を落とす!」

 

 

俺と帝が乗った龍霊が両サイドから最高速度で突撃。そしてその勢いのまま菩薩型へ飛び出し────

 

 

 

「うおおぉぉ─────ッ!」

「はああぁぁ─────ッ!」

 

 

 

────十字に切り裂いた。

 

 

菩薩型の巨体がポリゴンとなって崩れていく。HPが尽き、消滅しているのだ。

 

構成していた巨体が完全に消えた。

 

 

 

大将の脱落を確認。勝者───

 

 

 

───楓チーム。

 

 

 

俺たちの、勝ちだ。

 

かぐやと彩葉のライブの終わりとともに、俺たちの運命を分つ戦いの終止符が打たれた。

 

 

 

 

 

──────────────────

 

 

 

勝利の美酒に酔いしれる間もなく、菩薩型のいた方向へ目を向ける。

 

 

そこには人間より少し大きい程度に小さくなった菩薩型の姿があった。俺が見ているのに気づいたのか、こちらに近寄ってくる。

 

 

これから月人と交渉しなければならないのでちょうどいい。こちらに歩んでくる月人に向かってこちらも歩いていく。

 

 

月人とのかぐやを巡る交渉が、今始まる。

 

 




楓…クリフォトの一瞥を受け、強化。セプターの存護の因子に影響され、その方向に強化された。

帝…楓と共にラストアタック。乃依を信じ、大将へ向かっていった。

乃依…ラストアタックをアシスト。援護がなければゲロビを撃たれて負けていた。

クリフォト…強い存護の意志を感じて見てみればそこには壊滅の種が存護の芽を付けていた。ナイス存護。

火種…セプターとの融合、一瞥によりまた別の本物となった。性質としては石心の基石に近い。紋章はデミウルゴス・マトリクスの壁面に最初に刻まれていた物。
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