大地よ、輝く夜に黎明を齎せ   作:M4kura

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唐突に発表されたため、今書いてるのを一旦切り上げ初騰荒です。
遅れてしまった上に突貫で書いたため、あまり話を練れてないです。申し訳ない…。
超かぐや姫!の中で私が最も好きな子なんですね、彩葉は。この世に生み出してくれて本当に感謝。


あなたのためにある(酒寄彩葉誕生日記念)

 

「彩葉、今から出かけないか?」

 

 

 高校三年、ゴールデンウィークが明けて少し経った休日の昼下がり。昼食を終えてソファに寝そべり、占領する彩葉にそう声をかけた。

 

 

「いいけど…かぐやも一緒?」

 

「いや、俺と彩葉の二人だけだ。かぐやは配信があるそうだ」

 

「…配信あったっけ?まあいっか…」

 

 

 思考を放り投げ、彩葉は着替えるために私室へ歩いていった。最近、彩葉は先ほどのような少しだらしない姿を俺に見せるようになってきた。あれが素の姿なのかもしれない。

 

 

────────────────

 

 

 一足先に準備を終え彩葉を待っていると、厨房からリクエストが届いた。

 

 

「楓!六時くらいに帰ってきてね!」

 

 

 厨房で仕込みをしながらそうお願いしたのはかぐや。今回のお出かけは、今日彩葉に家を空けさせるため俺とかぐや、そして協力者と共に考えたものだ。

 

 

「わかった」

 

 

 そう返すと上の階から降りてくる音。彩葉の方も準備が終わったらしい。

 

 

「ごめん、待たせちゃった」

 

「かまわない。急に言い出したからな」

 

 

 降りてきた彩葉は白と薄いブラウンのワンピースを着ていた。その服はたしか…

 

 

「…以前かぐやが着ていたな。懐かしい」

 

「元々私のですから。それで、どう…?」

 

「…似合っている。以前かぐやが言ったように、何を着ていても綺麗だ」

 

「…ふふ、ありがと!」

 

 

 彩葉は少し頬を赤らめ、はにかんだ。

 

 

 

「行ってきます、かぐや」

「行ってくる」

 

「いってらー」

 

 きぃ、と戸が閉まる音がした。

 

「…よっし、はじめっかー」

 

 二人が家を出たのを確認したかぐやはスマホを取り出し、あるグループにメッセージを送った。

 

 

─────────────────

 

 

 

「そういえば久しぶりかも、楓と二人で出かけるの」

 

「そうだな。…かぐやが来てからいつも三人だったからな」

 

 

 がたんごとんとレールの継ぎ目を踏む音をBGMに彩葉と話す。今は電車に乗り、目的地を目指している最中だ。

 

 

「それでどこ向かってるの、これ?」

 

「行けば分かる」

 

 

しばらくすると、目的の駅に着くアナウンスが聞こえた。

 

 電車から降り、駅を出る。目的地は駅の近くにあるので、歩いていく。

 

 

「動物園…」

 

「受験の関係で最近あまり外に出ていなかったからな。気分転換と日光を浴びるなら丁度いいと思ったんだ」

 

「たしかに最近学校とバイト以外、外出てないかも」

 

 チケットを購入し、入園する。パンフレットを二人で見ながら、回る順を決めた。

 

 

「実を言うと、動物園にくるのはかなり久しぶりだ」

 

「どうして?動物とか好きな方じゃなかった?」

 

 

 そう、動物は嫌いではない。むしろ好きな方だ。動物園に行かなかった理由は別にある。それは……

 

 鳥類の展示の前を通ったその瞬間────

 

『楓様〜』

『楓さまだ』

『楓様───ッ!』

『お会いできて光栄です!』

『ホ、ホアーーーッ!カエデサマ!』

 

「うわっ!な、何!?」

 

 一直線にこちらに向かってきた鳥たちに彩葉が飛び上がった。そう、これなのだ。

 

 

「…『大地』の半神の影響で小さい頃から動物に慕われやすかったんだ。今は問題ない」

 

『俺のことは気にしないでくれ、自由にしてくれていい』

 

『『『はーい』』』

 

「今なら生き物たちと会話も出来る」

 

「…ディ◯ニープリンセスだ…」

 

 ……彩葉の呟いた言葉に、俺は反論できなかった。

 

───────────────

 

モルモットとのふれあいイベント。

 

「「「プイプイプイプイプイプイプイ」」」

「楓ーっ!?」

 

モルモットに群がられ、身動きが取れなくなった。

 

───────────────

 

トラの展示。

 

「トラが平伏してる…」

 

「自由にしててくれ…」

 

───────────────

 

「大きい鳥…」

 

「ハシビロコウだな」

 

 こちらを見つけた途端、その体格に相応しい大きな翼を広げてこちらに飛んできた。

 

「うわっ飛んできた!」

 

「あまり動く動物ではないんだが…」

 

 飛んできたハシビロコウは大きな嘴を叩き、こちらに音を鳴らしていた。

 

「…何してるの?」

 

「…クラッタリングと言って、親愛の挨拶だそうだ。お辞儀をしてみるといい」

 

 彩葉と一緒にお辞儀をすると、それに合わせてハシビロコウも頭を下げた。

 

「おー…」

 

 お辞儀を返す様子に彩葉は感嘆していた。

 

──────────────

 

 

 彩葉と一緒に回っているとあっという間に帰る時間になっていた。帰りの電車の中、次の約束を交わしていた。

 

 

「次はかぐやも一緒に行こ。かぐや大好きでしょ、ああいうの」

 

「そうだな、次は三人一緒で行こう」

 

 

 マンションに着き、彩葉がドアを開ける。その瞬間────

 

ぱぁん!

 

「「「彩葉、誕生日おめでと〜〜!!」」」

 

 クラッカーの破裂音と紙吹雪が彩葉を迎える。そのクラッカーの主は、かぐや、芦花、真実の三人だ。バースデーソングを歌いながら彩葉は三人にリビングへ連行されていく。大画面のテレビには笑顔のヤチヨが映されており、テーブルの上にはかぐや特製の豪華な料理とケーキが乗っていた。

 

 

「「「「Happy birthday to you〜♪」」」」

 

 

 ケーキの上には火の点いたロウソクが十八本。三人はケーキを彩葉の目の前に持ってきて、吹き消すように無言で催促する。

 

 当の彩葉は何かを思い出したように物思いに耽っていたが、すぐ我に帰りロウソクを吹き消した。

 

「彩葉。18歳の誕生日、おめでとう!」

 

 リビングに響く拍手と共に、彩葉の誕生日パーティーが始まった。

 

 

─────────────────

 

 

「いつの間にこんな準備を…」

 

「彩葉が行ってる間にね」

 

「そしてぇ、誕生日という事で〜」

 

「「こちら、ご査収くださ〜い」」

 

 

 誕生日のプレゼントとして芦花からは化粧品、真実からはチケットを渡されていた。真実は彩葉に耳打ちしていたので、それが何かは彩葉のみぞ知る。

 

 

「…ありがとう、二人とも」

 

「前までは重く受け止めそうだったから控えめにしてたんだけど、ちゃんとしたの渡せてよかった」

 

「ほんとにねー」

 

「あはは…お気遣いさせて申し訳ありません…」

 

 

 以前はあまり気負わせたり、負担をかけさせまいと二人はアプローチを控えめにしていたが、その必要もなくなり今回はちゃんとした物を贈った。

 

「誕生日のお返し、期待しといて」

 

 彩葉の切った啖呵に、二人は笑って答えた。その様子を見た彩葉は

 

 

「…楽しいなぁ…」

 

 

 笑みを浮かべながらパーティーが始まる直前と同じように、どこか遠くを見ているようだった。だが、その思考を遮る声が彩葉の耳にとどく。

 

 

「彩葉っ♪」

 

「!ヤチヨ、どうしたの?」

 

「彩葉のために〜♪かぐやと一緒にスペシャルソング、ご用意しましてよ〜?」

 

「これがかぐやたちのプレゼント!絶対!聞き逃さないでね!」

 

「…もちろん。私がかぐやとヤチヨの歌聞き逃すわけないでしょ」

 

「嬉しいこと言ってくれるなぁもう!それじゃ、いくよ〜〜〜っ!」

 

 

 かぐやとヤチヨのスペシャルミニライブが始まって、夜はどんどん更けていった。

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 夜も更けた頃。芦花と真実は既に帰り、かぐやも遊び疲れて彩葉の布団で寝ている。ヤチヨも今居らず、本日の主役だった彩葉は、バルコニーで黄昏ていた。

 

 一人で黄昏ている中、俺もバルコニーへ立ち入り隣に並ぶ。

 

 

「彩葉」

 

「…楓」

 

「今日は…どうだったろうか。楽しかったか?」

 

「そうだね…。うん、久々に楽しい誕生日だったな…」

 

 

 そう口にする彩葉の瞳には、深い郷愁が宿っていた。

 

 

「…楓にだけ、話していい?家族皆、一緒にいた時のこと」

 

「…聞かせてくれるなら、勿論」

 

 

 彩葉はぽつぽつと、彼女自身の大切な思い出を話し始めた。その大切な思い出を知るのは、彩葉と俺の二人だけだ。

 

 

────────────────────

 

 

「そういえば、俺からのプレゼントを渡していなかったな」

 

 

 彩葉の思い出を聴き終えた頃、俺は彩葉にプレゼントを渡す。その中身は…

 

 

「……簪?」

 

「いつも髪を結っているから、似合いそうだと思ってな」

 

 

 彩葉な贈ったのはシンプルな鼈甲(べっこう)の簪。かなり値は張ったが、彩葉への贈り物なので妥協はしたくなかった。

 

 

「………」

 

「楓。この簪、付けてもらっていい?」

 

「…今か?」

 

「うん、…お願い」

 

 

 彩葉のお願い通り俺が髪を結い、簪を差す。女性の髪にちゃんと触れるのは初めてだが、綺麗に結えたと思う。

 

「…どうだ?」

 

「…ふふ、いいじゃん」

 

 

 鏡で結えた姿を見たわがままなお姫様(彩葉様)は、ご満悦そうに微笑んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




楓…動物にモテる。簪を贈る意味は知っている。

彩葉…一年で大切にする日が増えた。簪を付ける時は毎回楓に付けてもらっている。世界で一番楓のお姫様。

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