大地よ、輝く夜に黎明を齎せ   作:M4kura

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一月近くも開けてゴメンネ。本編終えて燃え尽きてしまっていました。今回はリクエストからアイデアを頂いて書かせてもらいました。もし彼が他の運命を歩んだらってことで、どうぞ。


IF:運命よ、我が名に跪き「壊滅」せよ

 

 かぐやの運命を決めるKASSEN、その中で姿を変えた瑞獣型の一振りを全霊で食い止める俺の心の内には、沸々と沸き上がるものがあった。

 

 彩葉の父の死。そこから始まった歪みは彩葉を蝕み、心を擦り減らしていった。かぐやが来たことによって少しずつ癒されていた心が、運命によってまた壊されようとしている。

 

 かぐやもまた、運命によって愛する者との道を引き裂かれようとしている。まだやりたい事だって、やり残した事だって沢山あるはずだ。だがかぐやは運命を受け入れようとしていた。大切なものを守るために。

 

 

 ……そうだ。俺は憤怒している。彩葉を、そしてかぐやを引き裂かんとする運命に。俺の大切な人、そして帰るべき場所を壊すのが「運命」だというのなら────

 

 

 

 ───俺の手で討ち滅ぼし、捻じ曲げよう。

 

 

 二人の歌が聞こえる中、瑞獣型の武器を弾き、跳躍。憤怒に身を任せ、世界に告げる────

 

 

 

 

「世界を縛り、人を苦しめる運命の枷を───「壊滅」する」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 瞬間、空は硝子の如く割れていき、世界は白と黒に染まる。ただ一つ、割れた空から覗く視線だけが黄金を宿していた。

 

 空より注がれる視線、その主の腕と胴は繋がっておらず、白い髪を持ち、そして胸の傷から黄金の血を滴らせる。其の名は────

 

 

 

 ──ナヌーク。「壊滅」の星神(アイオーン)。負創神たる其は俺に「壊滅」を見出し、その視線を向けた。それに釘付けになっていた意識が、後ろから聞こえてきた声によって遮られた。

 

 

「其は見初めたのでしょう。貴方の怒りを」

 

 

 声のした方へ振り向くとそこには機械人(オムニック)が居た。頭に生えた一対の角と隠された目元、胸には胴を抱く金の腕の意匠があり、その中心は真円の虚空が広がっている。

 

 彼はオンパロスの全てを見て来た者であり、第一の天才から分たれた者。そしてセプターδme-13、その生みの親である彼の名は…

 

 

「……ライコス」

 

 

 死した天才が目の前に立っていた。俺の警戒を察してかライコスは再び言葉を紡ぐ。

 

 

「ご安心ください。今の私は貴方の深層意識から再現された影…本体は既に存在しません」

 

「…なぜ俺の前に現れた」

 

「貴方に教えるためです。其に一瞥された今、貴方ができる事を」

 

 

 その言葉を皮切りに一瞥された俺に与えられた力、そしてそれが出来る事について教えられた。テクノロジーを侵食するウイルス、電子媒体を介した顕現、そして現実に干渉する電子ウイルス…

 

 ライコスの説明が正しければ今の俺は廉価版の鉄墓と言えるだろう。望むならば全てを汚染し、人類を滅ぼす事も容易極まりない。それを自覚すると、その力への恐怖で身が軽く震えた。

 

 

「…他に俺に伝えることは?」

 

「ありません。教える必要があったのは先程のもので全てと言えるでしょう」

 

「…そうか、…感謝する。俺は……もう行く」

 

「ええ。これ以上私から伝えることはありません。どうぞご自由に」

 

 

 覚悟を決めて、俺は進む。かぐや達が歌う戦場へ、壊滅の力と共に。

 

 意思が固まると共に地平線の彼方に赤と黒の十字の光が立ち昇る。そしてその光から世界に轟く鼓動が鳴り響いている。それは銀河の滅亡、その前奏曲であった以前とは違う。この鼓動は──────

 

 

 

 

 

───この夜に黎明を齎す、希望の胎動だ。

 

 

────────────────────

 

 楓が行き、一人となったライコス。彼は一人呟く。

 

「…丹羽 楓、貴方の進む探求に幸運があらんことを祈っています」

 

「かつて私も望んだ、運命を「壊滅」せんとする貴方への祈りと祝福として、敢えてこの言葉を送りましょう」

 

 

 

「…神礼の観衆として、私は見ました」

 

 

 

 

 

 

 

「壊滅、これにて完成!」

 

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 意識が現実に戻り、止まっていた時間が動き出す。自身に目を向けると、姿が大きく変化していることに気づいた。

 

 衣服と呼べるものは無くなり、金と紫黒の鉱石質が身を包む。撃雲は姿を変え、螺旋を描く真紅の槍となった。背には左右非対称の歪な金と紫黒の翼が生え、頭上には無限大を模した天環(ヘイロー)が浮かぶ。一言で表すなら火種を解放したカスライナ、それに酷似した姿をしていた。

 

 確認している間に立て直した瑞獣型は再び俺に剣を振り下ろす。だがその一振りは突如現れた金と銀、二つの浮遊物によって容易に防がれた。

 

「───ッ!?」

 

 その浮遊物の名は金をミソス、銀をロゴスと呼ぶ。それぞれ弾いた瑞獣型の両手の武器にレーザーを照射。武器は灼き切れ、ただの鉄塊となった。

 

 

「行け」

 

 

 動揺する瑞獣型。それに槍の穂先を向ければ槍が奴の周囲に数十現れ、四方八方から襲いかかる。限界まで引き上げられた瑞獣型の防御を薄紙を破るかの如く突き刺さり、抵抗する間もなく消滅した。瑞獣型、脱落。

 

 

「ずいぶんイメチェンしたな、楓」

 

 リスポーンした帝が戻ってきた。戻ってきて早々悪いが…

 

「帝、来てもらって悪いが乃依を連れて下がってくれ」

 

「なっ…」

 

「…間違いなく味方を巻き込む。後方でサポートを頼む」

 

「…りょーかい」

 

 不服そうに頷いた帝は乃依のいる方へ向かう、その直前。

 

 

「楓!」

 

「…?」

 

「勝てよ」

 

「…当然」

 

 

────────────────────

 

 

 菩薩型を見据える。俺の変化に気付き、奴が放つ光弾の嵐と大勢の月人ミニオンがこちらに向けて放たれていた。だが、今の自分の前では有象無象の塵芥に過ぎない。

 

 

「邪魔だ」

 

 

 ミソス()ロゴス()が向かってくる敵の方へ飛ぶ。ミソス()は菩薩型の放つ光弾をミニオンの方へ捻じ曲げ、曲げた先のミニオンを貫く。ロゴス()は巨大な掌を模したエネルギー体を纏い、ミニオン達を叩き潰していく。

 

 

「──、───!」

 

 

 それから逃れるため、月人ミニオン達は逃げ惑う。だが銀河を堕とす怪物の眷属は無常にも光弾で風穴を開け、掌で押し潰していった。

 

 

 

 

 

 ミニオンを粗方殲滅し、残すは敵陣最奥に立つ菩薩型のみ。決着を着けるべく奴の方へ進み出すと、光弾の雨が更に激しくなっていく。だが、ごく一部とはいえ万機の王を宿し、目覚めた俺をデータ上で止められる者は、少なくともこの太陽系にはいない。向かってくる光弾が当たる寸前、演算により分解され、ピクセルとなって霧散していった。

 

 

 

 悠々と歩いて行き、菩薩型の正面に立つ。奴の立つ大地はすでに侵食され、逃げることもできない。

 

 

「……終わりだ」

 

 

 ミソス()ロゴス()から莫大なエネルギーが立ち昇り、螺旋を描く。やがてそれは菩薩型が持っても手に余るほど巨大な真紅の槍となり奴の頭上へ顕現した。そして───

 

 

「この一振りで……世界に、烈日を齎そうッ!」

 

 

 槍は菩薩型を貫き大地へ突き刺さる。そして敵陣地を全て侵食し、爆発。KASSENフィールドの半分は完全に崩壊した。

 

 

 

 大将の脱落を確認。勝者、楓チーム。

 

 

 

 

 

 崩壊したフィールド。大地は燃え盛り、植物は消え去り、大地は枯れ果てた。そんな中で楓は空中で独り佇む。その瞳は負創神(ナヌーク)と同じく、黄金に輝いていた。

 

 




楓…理不尽な運命を「壊滅」する者。開拓もまた「壊滅」の側面があるように、運命を切り開くこともまた「壊滅」の一つである。
 ナヌークに一瞥され、廉価版鉄墓としてツクヨミに顕現する。一瞥する星神が違えば、結果もまた変わる。人との繋がりが大切な今作において圧倒的な強さで独りになってしまうため、本編では不採用。

ライコス…セプターの記録から作り出された記憶の残滓。本人(?)はただの記憶の再現と言っているが…実際どうなのかは彼のみぞ知る。かつて自身の思い描いた「運命」そのものを壊滅せんとする様を見てあの場に現れた。

独自解釈てよければスタレ側の専門用語集、必要?必要だったら好みのタイトルをお願いします

  • 愚鈍でもわかる
  • バナーネモンキーでもわかる
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