大地よ、輝く夜に黎明を齎せ   作:M4kura

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書けたので初騰荒です。高評価をもらって嬉しい気持ちと拙い文を見せてしまって恥ずかしい気持ちが二つある〜。


大地よ、永夜へと足を踏み入れん

帰宅後、郵便物を受け取っていると彩葉から夕飯に誘われた。かぐやが買った物には食材もあったらしい。

2人で食べればいい、と断ろうとしたところ

 

「3人分用意しちゃってるし今まで散々世話になってるんだからお礼ぐらいさせて!もったいないのもあるけど…」

 

…そう言われてしまうと俺も断るに断れない。

 

彩葉の部屋にお邪魔すると、テーブルの上にはハンバーグ、サラダ、コーンポタージュなどの料理が並んでいた。とても初めて作ったとは思えない。

かぐやにコーンポタージュを突っ込まれた彩葉は久しぶりの俺以外の料理に

 

「お金ないのよ…貧乏なのよ…こちとら必死に学費稼いでんのよ…」

 

とぶつぶつ言いながらスープを口にし、最終的にかぐやを悪魔認定してしまった。かぐやは「悪魔じゃないよ、かぐやだよ!」と答えていた。

 

俺も食べるとしよう。

 

かぐやの初めての料理は俺の作ったものよりずっと美味しかった。

 

─────

 

調理器具の片付け方をかぐやに教えながら片付けた後、彩葉のぼやきを無視しながら、かぐやはノートPCを弄っていた。画面を見るにとてつもない速度でプログラミングをしている。

 

「出来たあ!」

 

「何が出来たんだ?」

 

「携帯ゲーム見つけたから弄ってみた!」

 

「あ、それ…」

 

彩葉には思い当たる節があるようだ。

 

たまご型のゲーム機、小さい頃に流行っていた物だ。

 

「これ『犬DOGE』!」

 

犬童子…?ゲーム画面には柴犬のようなキャラクターが尻尾を振っていた。オリジナルで作ったのか…

 

犬DOGEをかぐやはとてもご機嫌だった。

 

その後、彩葉はかぐやに家にいてもいい条件として四つ提示した。

 

一、目立たない。

 

二、許可なく外出ない。

 

三、彩葉の邪魔をしない。

 

四、食事は定額制。

 

この条件にかぐやは嫌がっていたが、彩葉の性格を見て鑑みれば妥当だと思う。彩葉は甘いからな…。

 

かぐやを嗜めていると、彩葉のスマホからアラームが鳴った。月見ヤチヨのライブがツクヨミであるそうだ。かぐやもスマコンがあるから一緒に行くらしい。

 

「俺もさっきスマコンが届いたんだ。一緒に行っても問題ないだろうか」

 

「いいよ。ヤチヨのライブ、絶対生で見ないと後悔するから」

 

「ありがとう、助かる」

 

自分の部屋に戻り、スマコンを装着する。目を閉じると始められるらしい。

 

俺は少し緊張しながら、目を閉じる。

 

その瞬間、俺の意識はピンク色の光と共に溶けていった。

 

────────

 

目を開けると、そこには黄金の麦畑が広がっていた。風が植物の匂いを運んでくる。辺りを見回すと湖と桟橋、素朴な家屋があった。ここは…

 

「エリュシオン…」

 

自身の手元を見てみると自身の姿が変わっている。

 

オンパロスの時の彼、「丹恒・騰荒」の姿だ。

 

明らかにチュートリアルではない。何かメニューでも開けないかと指を動かしていると…

 

「…あら、お客さんかしら?」

 

後ろから声が聞こえ、振り返ってみると、そこにはピンク髪の少女が立っていた。

 

「キュレネ…」

 

間違いなくキュレネだ。なんだ?俺は間違ってセプターの中にでも迷い込んだのか…?

 

「あたしの名前を知ってるのね、あなたは丹恒…じゃあないわね」

 

「ああ、俺の名は楓…ここがどこか知っているか?」

 

そう聞くと彼女はこう答えた。

 

「ここはデータの一部よ。銀河中に散逸したセプターの…ね?あなたなら分かるでしょう?」

 

銀河中に散逸したセプターのデータ。それはつまりこの広い宇宙のどこかには鉄墓が存在しており、散逸したということは既に鉄墓は堕ちているということ。

 

…俺が見た夢は、実際に宇宙のどこかで起きた出来事ということだ。

 

そう思案していると、キュレネが問いかけてきた。

 

「あなたはこれからどうするの?」

 

「ああ…戻る、というか行かなければ」

 

「どこに?」

 

「ツクヨミ、という所だ。どこからここを出られるか分かるか?」

 

そう聞くと、桟橋から出られると教えてくれた。

 

エリュシオンを出る準備をしているとキュレネに呼び止められる。

 

「これを持っていくといいわ」

 

と渡されたのは、『紡がれた物語』だった。

 

「…良いのか?この世界にとって大切な物だろう、これは」

 

「いいの。黎明を迎えた今、この世界(データの中)ではもうただの本よ。今はあなたが持つ方が良いと思ったの」

 

「そういうことなら、ありがたく受け取る」

 

準備を終え、出発する。

 

「世話になった、もう俺は行く」

 

「ふふっ、どういたしまして♪」

 

桟橋に足を踏み入れる。振り返って俺はキュレネにこう言った。

 

「キュレネ、また明日」

 

「…!ええ!また明日!」

 

そうして俺は桟橋を歩いていった。意識が薄れていく中、キュレネの声が聞こえた気がした。

 

──記憶の景色がぼやけたら…その手で触れてみて。それをまた心の力にするの。

 

そして俺の意識は、永夜の暗闇の中に溶けていった。

 

───────────

 

自身を叩きつける風を感じて目を覚ましてみると、俺は空に放り出されていた。

 

夜、和風の街、そして空に浮かぶ巨大な魚のホログラム。

 

ツクヨミに着いた。

 

「大地」の火種を持った俺は、(丹恒・騰荒)と同じことができる。龍霊を召喚して乗り、初ログイン時の出現地点である鳥居へと向かい降りていく。

 

うさ耳の朱色と若草色の服の犬を連れた少女と、青い着物にパーカー、ベルト、ブーツを付けた狐耳と尻尾の少女がいた。かぐやと彩葉だろう。

 

龍霊から降り、声をかける。

 

「かぐやと彩葉か」

 

「あ、もしかしてかえで!」

 

「…なんで空から降りてきたの?初めてだから鳥居から出てくるハズなんだけど…」

 

…エリュシオンの事は黙っておいた方がいいだろうか。

 

「チュートリアルもなしに空に放り出されたんだ。あの龍は念じたらなぜか出てきた」

 

そう誤魔化しておいた。

 

とりあえずカフェに行くらしい。二人は光の差す方へ歩いていた。俺もそれに着いていきながら、メニューを開く。アイテムボックスを確認すると『紡がれた物語』が入っている。

 

そしてプロフィールをタップし、自身のユーザーネームを確かめてみると、

 

そこに『丹恒』と記されていた。

 

 

 




楓…チュートリアルもなしに空からツクヨミへと放り込まれてしまう。キュレネから『紡がれた物語』を受け取った。

散逸したセプターのデータ…鉄墓の殞落した時、宇宙に散らばったデータの内の一つがこの地球に流れ着いた。この物語における最重要ファクター。他のセプター(鉄墓)のデータはほとんどが「天才クラブ」#83 ヘルタが回収している。

高評価をいただけるととても嬉しいです。
また書け次第騰荒します。
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