快楽主義者、現代ダンジョンをダイスロールで無双する 作:華厳秋@英国紳士
今後もこれぐらいになるかも。
化け物の三つの目が細く歪んだ。
瞬間、化け物の腕力が増大する。
腕が身体ごと後ろへ飛ばされそうになるのを、全身に魔力を廻すことで何とかこらえるも、純粋な腕力では分が悪く徐々に後ろへ押し返される。
力勝負じゃ勝ちようがねぇな。
全力で強化してようやく
大方、化け物の腕力を図り終えたところで、刃の角度をずらし純粋な暴力を後ろへ受け流す。
ほぼ全体重を前方に掛けていた化け物は、慣性に従い前のめりに姿勢を崩す。
すると、あら不思議。
首が俺の腕の真上にやってくるではないですか。
流れのまま、沈んでいた剣を跳ね起こし首筋を切りつける。だが、このままでは数秒前と同じく体毛に阻まれて、傷一つ付けられない。
刀ならばあるいは……と考えてみるが、無い物ねだりなどしても意味がない。
では、どうするのか。
一瞬の思考の末、俺が導き出した答えは――こうだ。
「――
外から壊せないなら、内から壊せばいい。
剣と同時に首へと叩きつけられた魔力の波が、首に通る頸動脈や頸椎とかの重要な器官を蹂躙する。
いくら三つ目の化け物でも、首を内部から破壊されれば瀕死になるらしく、しばらくふらつき横倒しに倒れる巨体。
無防備になった腹部分に向かって適当に“透破斬”をいくつか叩き込む。
すると、二発目が心臓部にでも直撃したのか、断末魔を上げながら口から血を垂れ流して死んだ。
頭部を確認すると、三つの目からは黄色い光が消えて淀んだ黒色へと変色していた。
「……にしても、意外と弱いな」
77階層なんていうもんだから、ひりついた文字通りの『死合い』を覚悟していたんだが。
マァ、とはいっても数だけは揃ってるみたいだからなァ。
周囲を見渡せば、いつの間にか増えたのか優に十を超える化け物共が、そのキュートな三つ目で俺を見つめていた。
こっちみんな、気持ち悪い。全員そろいもそろってキタねぇ
「はぁ、こっちは朝一で準備体操もまだなんですよォ?」
なので。
「――ここは一つ、朝一番での
◇◇◇
延べ三十回目の断末魔を持って、凡そ十五分にわたる
一度攻略法がわかってしまえばそれを繰り返すだけの単純作業に成り下がるので、特に苦戦することもなくだった。
そのせいなのか、この戦闘では一度もあの謎の声とスキルの介入してこなかった。
「能力値が変化しねぇ、ってのは事実っぽいな」
数年前に海外で潜ってた時は、弱かったとはいえこの量のモンスターを殺せば何かしらの変化を感じられたんだが。
能力値的に強くなれないってのはキツ……いや、別にキツくは無いか。何なら、縛りプレイみたいで楽しそう。てか楽しい。
ダンジョンでの快楽なんて数年前に尽きたと思ってたが、やっぱ人生って何が起こるか分からんな。
不確実にあふれた人生こそ至高!
ってことで、突然ですがダイスロォールタァイムッ!
なんか、戦闘が思ったよりも準備運動過ぎたから、急いでスパイスを盛ってバランスを取らなきゃ。バランス、バランス!
スキルが自動的に発動しなかったなら、こちらから発動させればいいじゃないかってことで、さっそく発動させていこう。
「
発動方法なんて知るわけがないので、適当にスキル名を唱えたら例のUIが手元に現れた。
どうやら発動対象をこのタイミングで決めることが出来るらしく、特にいいアイディアなどなかったので適当に『能力値』と念じたら、世界が減速していき色彩が消える。
はい。やってきました、三十分ぶりのモノクロ世界。
相変わらず動くどころか、呼吸もできないとか不思議空間が極まってる。下手したら心臓も止まってんじゃねぇのか?
そんなことを考えていると、再びUIが現れ使用ダイスを聞いてくるので唯一のダイスであるd6を選択。
すると、固定された視線の先に小さめの黒い受け皿が現れた。
前回のヤツに比べるとちょっとしょぼい。
遅れて顔を覗かせたダイスの色は白色で大きさも半分ほどになっており、音楽の演出も特にないせいで余計にしょぼさが目立つ。
緊張感のある演出なんかも特になく、ひたすら受け皿の中を
十秒ほど経ち、ダイスは《4》を示して止まった。
『パチパチ』
フリーの効果音のような安っぽい拍手音が控えめに流れ、世界が加速していき色彩が戻る。
軽く見渡せば、三十ほどの化け物の死体と白骨の山。
その中央には、少量の返り血を浴びて突っ立ている俺。
「あれ? これ、俺が完全にヤバい奴みたいになるくね?」
動くようになった口で軽口を叩きながら、未だに視界の中央に浮いているUIを眺める。
――――――結果:成功――――――
おめでとうございます!
あなたは、ダイスロールに成功しました!
【報酬】
・全ステータス値に+10の補正(4時間)
・効果終了後、運の値に-20の
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