バスで寝過ごしたら遊園地に着いた。 作:癒トリ素引き侍
「残念、またもフラれてしまったか。……突然提案した身でこう言うのも不躾とは思うが、一応断る理由だけでも聞かせて貰えないかな?」
「いや、理由とかそんな大層な物じゃないんですけど……そもそもそのデラックスって言うのがなんなのかすらよく知らなくて」
「……なるほどね。じゃあ、この場にいる全員にも改めて説明させて貰おうかな」
俺のいい加減な返答にも、ジンキさんその穏やかな笑みを絶やさない。それどころか俺の疑問にも答えてくれるらしい。
あとフラれたって言うのやめて。イケメンにそんな事言われるのダメージ凄い。
「デラックス……それは最強のヴァンガードファイターを決める大会。公式戦で覇を競い合うフロントファイター。表舞台には出て来ない無名の豪傑、カウンターファイター。それらの中から選りすぐりの強豪ファイター16名を集め、真の最強を決めるお祭りさ」
なるほど、フロントファイターは所謂競技勢のことを指す呼び方か。カウンターファイターは……メグミ達、ブラックアウトみたいな奴らの事、か。
ヴァンガードのプロ選手がいる世界だからか、そういう人達の棲み分けもあるらしい。
「戦う舞台の異なる表と裏のファイター達……だが! 真に最強を求めると言うのなら、フロントもカウンターも関係ない! 俺達観客が望むのは、それらの隔たりすら無くした本物の輝き! その最強を決める最高の舞台こそが、デラックスだ!」
まるで劇場で謳うかのように高らかに、しかしその目に宿る純粋そうな輝きったら。子供の様な純粋さと、求める物に貪欲に突き進もうとする執念、似ていながらも相反する2つを織り交ぜた様な、言いようのない感覚。
なんだろう、この人生エンジョイ勢の最終形態みたいなテンションは。
「……俺はそんな大会の総合プロデューサーをしている者でね。こうして全国各地を回り、予め選出していた名のあるファイターやその原石達に招待状を配り歩いている、というわけさ」
「はぇ〜すっごい、お疲れ様です。なんて言うか、プロデューサー自らプレイヤーを見つけて参加の打診まで直接出向いてって、大変そうですね」
「ふふっ、ありがとう。でも心配はいらない、俺には頼れる仲間達と、支えてくれる最高の相棒がいるからね」
「はぁ……?」
なんとも気持ちのいい笑顔である。黒幕風とか思っちゃってごめんなさい。
ともあれ、これである程度理解できた。
デラックスとは、このジンキさんが見つけた凄腕達を集めて開かれる招待制のヴァンガード大会。
カードゲームを競技とした表の舞台で活躍する人達だけでなく、大会等には顔を出さない物の、各地に存在する名も無き裏の強豪プレイヤー達も入り乱れるトンデモ大会、と言う事か。
「……とは言った物の、色々と事情があるファイターもいるからね。こうして参加者を満足に集める事も出来ていないのが現状さ」
「す、すみません。なんか、そんな凄い大会に誘っていただいたのにいい加減な理由で断ってしまって」
「気にしないでくれ、無理を言っている自覚はあるからね。……こうなってしまったら仕方ない、一度本部に戻ってまたファイター達の選出を……」
そう言って少し考え込む様な素振りをみせるジンキさん。
しかし、最強を決める大会か。
大変ロマンのある試みだが、なんというか……『最強』の2文字を決めるにしては参加条件がやや限られ過ぎている気がしないでもない。
「おっとすまない、長居してしまったね。それじゃあ俺はこの辺で失礼させてもらおう」
「あら、もうお帰り?」
「要件を済ませて、君達の顔も見られた。それにさっきも言ったけど、嬉しい事に俺は中々忙しい身でね。この後もまだまだやる事が山積みさ」
思い出したかのようにそう呟くジンキさん。総合プロデューサーなんて言うくらいだから、下準備から何やらも含めてスケジュールもぎっちりなのだろう、上に立つ人って大変ね。
「では諸君、第2回デラックスにて再会を待つ! ……出場者である君達の活躍、期待しているよ」
そして、来た時と同じように。
ジンキさんは実に優雅に去っていった。
「……君とも、また縁があるかもね?」
「はい?」
最後、俺の隣を通る時にそう呟いて。
「……いや、無いでしょ」
イケメンプロデューサーの背中が見えなくなった所で、断った時と同じ言葉が口から溢れる。
顔がいい人達との縁が増えるの、幸運なのか不幸なのか分からなくなってきた。多分感覚が麻痺してきている。
……さて、せっかくワンダヒルに来た訳だが、どうやらタイミングが悪かったか?
デラックスとやらの大会に選ばれた三人をはじめ、チーム全体のテンションがそれはもうみるからにブチ上がっている。
落ち着いてるのは未だに手に持った招待状を見つめているメグミだけ、ぶっちゃけ1人取り残されてる気がしないでも無いので寂しさを感じる。
でも、まぁ。
こうして楽しそうな人たちを見るのは、やっぱり悪い気はしない。
ー
ーー
ーーー
「……何が『また縁があるかもね?』、だ」
翌日。目が覚めて朝の日課を終えてから手に取ったスマートフォンの画面に写るメッセージを見ながら、そう呟いた。
『見月 凪斗 様
突然のご連絡失礼致します。
ユニフォーマーズ代表 向江 ジンキと申します。
突然のご連絡で恐縮ではございますが、先日お会いした時に紹介させていただいた第二回デラックスについて……』
教えた筈のない連絡先にぶち込まれたメッセージの内容を確認して無意識に頭を抱える。行動力やばすぎるだろあのプロデューサー。
「あの黒幕風イケメンめ」
…………あれ、俺ってあの人に名前教えたっけ?
映画先行上映始まりましたね、いつ見れるかわかんないのがあれですが。
10月15日締め
主人公、原作合流タイミング
-
Divinez2期(かなり無理矢理)
-
Divinez3期