バスで寝過ごしたら遊園地に着いた。   作:癒トリ素引き侍

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夢の広場

『勝者ぁ、大倉メグミぃー!!』

 

 

実況の女性が声を上げると同時に、周囲の人間が歓声を上げる。

 

 

「流石リーダー、頼もしいね」

 

「リーダーって……あの子が?」

 

 

メリーゴーランドで悔しがる人とは別に、周囲の声に答えるように手を掲げる人。勝者と敗者は明確であり、男の言葉から察するに勝者として立つ人間がリーダーのようだ。

 

 

『新たにチームを任せられた若きリーダー、怒涛の連戦連勝だぁー! おめぇら全員、止める気あんのかぁ!?』

 

「(俺とそんな歳が変わらないような子が、ここにいるリーダー……? まじで?)」

 

 

服装は男性のそれだけど、顔やその体の細さから見ておそらく女性。そんな女の子がここにいる人達を纏める存在とは、正直驚いている。

 

 

「やぁ、トマリ。今日も情熱的な実況だったね」

 

「あらザクサ、ありがとう♡ ……そっちは新しい子かしら?」

 

「どちらかと言うと、迷い子かな」

 

「そうなの? 学生さん?」

 

「ど、どうも」

 

 

謎の男……ザクサと呼ばれた人はさっきまで実況でシャウトしていた女の人……トマリと言われる人に声をかける。

 

と言うかこの人、なんつう服装してんだ……? そのスタイルでヘソだしノースリーブ、おまけに足もそんなに出してって、正直言って目のやり場にめちゃくちゃ困る。

 

 

「私は瀬戸トマリ。気軽にトマリお姉さんって呼んでね?」

 

「石亀ザクサ。そう言えばまだ名乗ってなかったね」

 

「み、見月 凪斗です。あの、ここって……」

 

 

 

自己紹介もそこそこに、肝心の話に入る。

 

ここはどこで、なぜカードゲームなんか真夜中にやっているのか。兎にも角にも確認する事が多すぎる。

 

 

「ここは夢の広場、ワンダヒル。そして私達はここに夜な夜な集まってはカードファイトをやってるチーム……まぁ、難しい事を抜きに話すと、溜まり場に集まるやんちゃな子達ってところかしら?」

 

「チーム……?」

 

「チームブラック・アウト。この場所に集まる人の旗印であり、誇りでもある」

 

 

ザクサさんか指を刺したメリーゴーランドのすぐ下、目立つところに掲げられたチームのロゴのような物が書かれた旗が。

 

なんというか、カードゲームにチームがあるのも中々に新鮮だし、専用の旗まで用意するとは随分気合の入った集団だな。行動力どうなってんだ。

 

 

「えーっと、整理すると……みなさんはカードゲームをする為に集まってる人達で、ここはその拠点として使われているって事ですか?」

 

「その通り。勿論、許可は取ってるわよ♡」

 

「電気代もこっちが負担してるしね」

 

「……マジか」

 

 

やんちゃな子達なんて言いながら、随分と顔がきくらしい。廃園、それに電気代も支払っているとは言え、これだけの土地を自由に使っているなんて大した信頼だ。この中に土地の関係者でもいるのか?

 

 

「よーし勝った勝った! 調子出てきたなぁ!」

 

「お疲れメグちゃん。いいファイトだったわよ」

 

「今日も絶好調だね、リーダー」

 

「ありがと、トマリ、ザクサ。……あれ、そっちの人は?」

 

 

そんな会話をしていると、肩をぐるぐると回しながら随分とスッキリした顔で柵の上に上がってきたリーダーと呼ばれていた女の子が上がってきた。

 

服装はやっぱり男っぽい感じがするが、よく見るとめちゃくちゃ美人だ。なんだってここの周り美男美女しかいねぇんだよ。

 

 

「こっちは見月ナギト君。色々あって迷い込んじゃったんだって」

 

「っ見月 凪斗です。すみません、勝手に入ってしまって……」

 

「いいのいいの、気にしないで。ブラックアウトは来るもの拒まず。ここにくるのが迷子だろうと、挑戦者だろうと構わないんだから」

 

「は、はぁ……」

 

 

あらやだイケメン。っていうか挑戦者て。思ったよりこのリーダー決起盛んなのね。

 

 

「わたしは大倉メグミ、ここのブラックアウトのリーダーやらせてもらってるんだ。よろしくね」

 

「よろしく、お願いします」

 

 

そう言ってはにかむリーダーさん。いかん、美人がやると絵になりすぎる。助けて好きになりそう。

 

 

「んー、見たところ同じくらいじゃない? 年いくつ?」

 

「っ18です」

 

「やっぱり同じだ。なら敬語も固っ苦しいし、無しにしよう?」

 

「あ、あぁ……えっと、わかった。大倉」

 

「固い固い、メグミでいいから」

 

 

なんだその距離の詰め方。あと下の名前はハードルが高すぎるんだが。ここのみんな全員こんな感じ? このチームどんだけアットホームな所なの?

 

いやでも、まぁ。そう言ってくれるなら、うん。

 

 

「……わ、わかった。よろしく、メグミ」

 

「うん、よろしく!」

 

 

満足したのか、より笑顔になってこちらに手を伸ばしてくる。……握手、なのだろうか。

 

おっかなびっくり手を差し伸ばした所、待ってましたと言わんばかりに勢いよく掴まれる。強制握手とかなんだその強引さ。

 

あ、やばいってかめっちゃ手ぇ柔らかい。ほんとマジでやばいこれなんなの夢なの一周回って罰ゲームなの?

 

 

「あらーん? ナギトくん、もしかして照れてるぅ?」

 

「結構わかりやすいんだね、君」

 

「っ2人とも、ほんと茶化さないで下さい」

 

「?」

 

 

なんというか、いたたまれない……。あとメグミさん早く手を離してマジでやばばばばばば。




トマリさん、便利すぎん?
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