バスで寝過ごしたら遊園地に着いた。   作:癒トリ素引き侍

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頑張れ、便利屋見習いさん
頑張れ、便利屋見習いさん。


 

 

 

 

 

運命を纏い、世界は廻る。

 

 

 

 

 

星を、時空を、輪廻さえ超えて。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……さて。そんじゃまぁ、お力お借りしますかね」

 

 

 

 

 

 

 

 

あるべき物、あるはずの無い物。あるべきでは無い物さえ包み込み、寛容と覚悟を始めとした意思に受け入れられながら、世界を廻す。

 

 

 

 

 

 

生まれ落ちた世界より弾き出された生命は、招かれた世界で未来を歩む。

 

 

 

「(俺が堂々と使っていいモンなのかはわからねぇけど、な……)」

 

 

 

不透明な夜のような未来を、僅かな……しかし、確かなる光に導かれながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……立ち上がれ、勇気という名の光の剣! ライドッ! ーーーー」

 

 

 

 

 

 

 

借り受けたであろう力を、その者は迷いながらも振るうだろう。

 

本来手にする者達には遠く及ばないながらも、可能性を宿すその力を。

 

 

 

 

 

願うなら、困難を歩む者達に祝福を。たとえそれが望む、望まぬに関わらずとも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちかれたぁ……」

 

 

まじキッツイ。たすけて今はいないご両親。

 

 

「明日は……あれだ。着ぐるみで踊んなきゃだっけ」

 

 

……この世界に来て数週間。

 

 

『便利屋 ダンジ』。メグミの紹介によって彼女の兄から任せられた、所謂何でも屋をしながら俺はギリギリの所で踏ん張って生きている。ダンジさんの紹介もありながら、それはもう何でも屋らしくありとあらゆる事にチャレンジ中です。

 

 

 

 

『おっ……もぉ……!』

 

『おう、頑張れ坊主! ついでにダンジならそれ6つは行けたぞ!』

 

『バケモンかなんかですかあの人!?』

 

『ははっ、そうだな! 絶対真似すんなよ!』

 

 

工事現場では物一つ持つのに苦労したし。

 

 

『ちょ、まっ……さ、三人は、三人は待って……』

 

『えー、前のお兄ちゃんならもっとできたよー』

 

『っうん、ごめんね。多分、前のお兄ちゃん人間として規格外だったのよ』

 

『きかくがいってなにー?』

 

 

幼稚園では文字通り子ども達に振り回され。

 

 

『汝、病める時も健やかなる時も彼を愛し、敬い助け合う事を誓いますか?』

 

 

代理として神父になって結婚式に立ち会ったり、あげればキリがない程の仕事をたくさん体験させてもらった。というかなんで一番上手く行った仕事がこれやねん。

 

 

そして、体験すればするほどにメグミの兄であるダンジさんがいかに超人であったかを理解するわけで。

 

どうなってんだ、マジで人間じゃねぇぞ。俺が半日かけてどうにかこうにかやる仕事を1日何度も、それも完璧にこなしてみせるとか、同じ生物なのかって言う疑問しか湧いてこない。

 

おまけにダンジさんはメグミ達のチーム、ブラックアウトの元リーダーだった事もあるらしく、カードゲームまで強いわ、チームを纏める器もあるわで、ワンダヒルの人達や仕事で会う人全てから凄い男だと教えられている。頼むから少し分けてくれその才能。

 

 

「ワンダヒル……そういえば、ようやく明日の夜、だな」

 

 

そんな事を考えていたから、スマホに日々書き加え続けられる予定帳に記された文字を見て、ようやく果たせる事になった約束を思い出す。

 

 

「あの後、トマリやザクサ達とも約束したっけ」

 

 

メグミ達……ブラックアウトの人達とも、あの後改めて連絡を取った。そしてどこから聞いたのやら、メグミとヤマザキとした約束の事を聞いて、いろんな人とも同じ様なやり取りをしてたりする。多重契約も良いところである。

 

そんなこんなでようやく自由に使えるお金も少し増えてきたので、明日の夜、前と同じくバスに乗ってあの遊園地に顔を出そうと言う訳だ。

 

……バスに乗ったからってもう一回別世界にワープなんてのは勘弁してほしい。次はもう立ち直れんぞ。

 

 

 

「(……このスマホにも、人の名前が増えたもんだ)」

 

 

俺のスマホにはこの世界の人達の連絡先も、随分と増えた。ブラックアウトのメンバーに、仕事で知り合った人達の物。警察でお世話になった明導さんのとか、それはもう結構色々だ。

 

 

 

そして、俺がいた世界の人達の連絡先も、まだこのスマホには入っている。

 

 

……前の世界の家族や友人の連絡先は、やっぱり残しておく事にした。もう届かない、繋がりもしない一方的な物であり、もう一度連絡がつく可能性なんかもほぼ0に近いだろう連絡先を。

 

それでも、消す事は出来なかった。俺が生きてきた十数年を表す数少ない物の内の一つとして、これまで生きてきた人生が幻では無いと言う自分勝手な証明のために。

 

俺からこの番号達に連絡する事は恐らくもう無い。……それでも、なんだかんだと理由をつけてでもやっぱり捨てきれないんだろうな。ほんと未練がましくってやんなっちゃう。

 

 

「……よし、頑張るか!」

 

 

クヨクヨしててもどうしようも無い。俺が出来る事といえば、明日も明後日もいつも通りに任された仕事にぶち当たっていく事だけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ッやばい、やばいマジでヤバいっ。み、水っ……これ水飲まないと、多分死ぬ……っ!」

 

 

 

追記、着ぐるみ仕事舐めてました。




前回までがプロローグとの事で、今回から第一章になります。

なんか前半作風違うなとか思ったでしょうけど、気にしないでください。入れたいワード散りばめた後は8割は勢いで書いてますので。
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