殺傷力高すぎて何も救えない癇癪死神
VS
救われたくないし死にたくもないターゲット

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魂の粉砕

 

「あ、あの……し、死んでくれませんか……?」

 

 朝の通学路。いつものようにぶっちぎりな遅刻で悠々自適に歩いていると、真っ黒な服に身を包んだ華奢な女性が立っていた。寝癖まみれの紫色の前髪の隙間から眠たげな彼女の目が不機嫌そうになってるのを俺は捉える。

 

 物騒な要求とは裏腹に態度はオドオドとキョドり、目が合うと視線を泳がせて泣きそうな顔をしだした。

 

「まずはありがとう、お名前は?」

 

 唐突な通り魔、いやこの場合は殺害予告魔に優しく歩み寄る。

 

「え? あ、ひゃい……パルカです……し、死神をやってます……やってるなんて言うのも恐れ多いんですけど……」

 

 俺の言葉を聞くと一瞬固まり、その後ビクッと肩を跳ねた彼女はおずおずと目を前髪に隠して自己紹介をしてくれた。

 

「なるほど、君はこの世界が憎くて壊したいから手始めに俺を殺すわけか。将来的には俺が世界を滅亡させるのを過去に戻り俺を殺すことで未来を守る使者、そして最初は嫌で仕方なかった世界を守るという自己矛盾を抱えながらも日々(やいば)を振り下ろす、そんなジレンマにはもう耐えられないから助けてくれと?」

 

「な、なにもかも違います……別に世界も貴方も憎くなんてありません……仕事なだけで……」

 

 パルカは慌てふためき首をぶんぶんと振り回し否定をする。

 

「趣味は?」

 

 引き続き和やかな笑顔で俺は歩み寄る。

 

「さ、さっきから話を逸らそうとしてますか……? 私を舐めてます……? 貴方も本当は私を見下してるんでしょう……? いつもいつもいつも……」

 

 手に持ってる鎌の持ち方が変わり、明らかに戦闘態勢になっているパルカはともかく、俺は爽やかな希望に満ち溢れた顔で予定を語る。

 

「俺はガーデニングなんだ、毎日花に話しかけるのを生きがいにする予定の一日目さ。オススメはオクラ」

 

「わ、私はアニメが好きですけど……モフィ……」

 

 自分の好きなものを思い出したのか少し目つきが柔らかくなるパルカ。モフィは知らないので身近な存在に置き換えてみる。

 

「お前もオクラか、俺達気が合うな」

 

「耳から切り落としてやりたい……ど、どうせ使ってませんよね……?」

 

 また鎌の距離が近くなった。

 

「オクラは嫌いか?」

 

「あ、貴方が嫌いです……ものすごく……」

 

 冷たい目つきと純粋な嫌悪が俺を射抜く、だが質問にはまだ答えてないので食い下がる。

 

「オクラは?」

 

「好きとか嫌いで考えたことは……」

 

「そっか、じゃあな」

 

ま、待ってゃくださいっ!

 

 軽く片手を上げて彼女の横を素通りして学校に向かおうとすると、ハッと我に返りパルカは噛み噛みで手を伸ばしてくる。

 

「なんだよ?」

 

「あ、貴方の話を聞いたんですよ? 私の話もき、聞いてください……」

 

 鎌に抱きついて顔を隠しながら切羽詰まったような声で訴えてきた。

 

「おお」

 

「お、おおじゃないです……私はアニメ『堕天猫といっしょ』が大好きで……私なんかが好きと言っていいのか分かりませんが、でもモフィ……あっ主人公の堕天猫の『モフィ』なんですけどね、翼がちょこんと生えてていつも強がってるんだけど本当は猫背なのに背筋を伸ばして歩いてて……友達と喧嘩しても直ぐに謝れなくて散歩して逃げてしまうあたりなんて私そっくりで……私に友達は居ませんけど……いつもどこか頑張ってるんです、私もモフィみたいに頑張りたい……分かってくれますよね……?」

 

「これはおおだろ」

 

 彼女は捲し立てるようにアニメトークを繰り広げ潤んだ瞳で強く同意を求めてきたが、知らない猫の話をされても反応に困る。

 

「私、一度も魂採れたこと無いんです……! だ、だからぶっ殺しますね……! 私にぶっ殺させてください! お願いします!

 

 彼女は感動ムードで殺人の同意を求めてきたのでさっきより困る、猫の話に戻してくれないか。

 

──なんて思っていた直後

 

 彼女が大きく振り被って投げた鎌は回転して後ろの自販機や電柱どころか一軒家ごと真っ二つにした。

 

(なんで鎌だけ世界観がソウルイ〇ター基準なんだよ)

 

 遅れるようにズレて崩壊していく背後の家だったものを振り向いて見届けると、ホントしゃがんで良かったと俺は冷や汗が垂れる。

 

「そりゃこの即死攻撃じゃ魂も残んねえよ、採るんだろ? 飛ぶぞ」

 

「よ、避けないでください……み、峰打ちなので心配しなくていいですから……い、痛くないと思いますよ……?」

 

 凄まじい風切り音と共に鎌がパルカの手元へ引き寄せられて戻る。

 避けたこっちが悪いみたいな責めるような顔で言われているが、

 

「よく見ろ、その鎌に峰なんてない。あと経験がないお前に何が分かる」

 

「う、うるさいですね……」

 

 拗ねて頬を膨らませている彼女は『人を殺してはいけない』という常識を知っているのだろうか。

 

「なんでそのメンタルで陰キャなんだよ。馴染めないんじゃなくて社会から炙り出されたのかテメェ」

 




【パルカ】
泣き虫。
吃音。
死神。
泣き方が「ぴゃぁ〜」みたいなコミカル。
泣き方のせいで学生時代は「ピャルカ」と馬鹿にされてきた。
「ピャルカ」と言われると学生時代の日々を思い出す。
コミュ障なので自己主張できない。
今まで魂を狩れた回数はゼロの底辺死神。
主人公の魂をもらいに来た。
力は死神随一に強く何でも切り裂ける。
実力はあるが交渉が下手。
親が偉い人なのでクビにはならない。
死神の鎌は三メートルあり、重さは五トン、鎌は余裕で持てる。
ずっと殺さないといけない人を殺せなくて困ってる。
上がり症。
美容院にも行けなくて目が隠れるほどの前髪。
紫の色の髪色。
一人で居るのが好き。
堕天猫のマグカップがお気に入り。
堕天猫は翼の生えた黒い猫。
敬語。
死神学校時代に成績はトップだったが、友達は居なかった。
朝はとにかく弱く目蓋が眠くて開けられず睨むような目つきになってしまう。
子供向けのアニメ「堕天猫といっしょ」が大好き、内容はただの猫の日常だが癒しアニメとして一般的にも人気、堕天猫の主人公の名前は「モフィ」、健気で頑張り屋、パルカは自分と重ね合わせてモフィを見てる、毎回「わ、私も頑張ろう」と意気込む。
服装は基本真っ黒、服なんて着られればいいと思ってる。
死生観が死神基準なので相手の魂取ることには躊躇いは無い、ただ話すのが苦手なだけ。
絶対に敬語は取れない、コミュ障なので敬語でしか喋れない、他人との距離が分からない。
鎌を投げるとコンクリートだろうと地面だろうと真っ二つに出来る。
投げた鎌は引き寄せて手元に戻せる。
とにかく戦闘力は高い。
親が偉いので絶対にクビにはならないが普段は、そのせいで同僚とは居づらそうにしている。調子に乗ると親の権力を盾に偉そうなことを言って威張り散らす、あとで自己嫌悪。
父は閻魔。
母は悪神。
アニメが放送しているのが死神の世界なので現世では見れなくてイライラしている。
休日は死神世界に戻り録画したアニメを一気見する。
かなりの甘党なのでご飯はほぼお菓子。
コーヒーが嫌い。
割とワガママ。
朝は弱いので寝癖まみれ。
寿命が無いので死神は無敵。
猫背。
オドオドしてる。
ブチギレると躊躇いなく殺す。
片目が完全に前髪で隠れてる。
黒タイツを履いてる。

【主人公】
ガーデニング1日目

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