零と蛍が路地から脱出した瞬間、零の体は何者かによって前に引っ張られた。
「お前誰?蛍に何したの?」
「返答によっては、少し痛い目見ることになるけど?」
蛍の所属するバンド、millsageのメンバー、
「っ...!」
「何?抵抗する気?」
自身の手が振り払われたことに驚愕、のち怒りを表したなつめはさらに零に詰め寄る。
「ダメですなつめさん!この人は私を助けてくれたんです!」
蛍の声が響いた瞬間、零の襟元を掴んでいたなつめの力が緩んだ。
「それに、零さんは声が聞こえないそうなので、皆さんがどうして怒っているかわからないと思います」
「...あーほんとだ。聞こえてないね。その補聴器も飾りだ。で...」
蛍の弁明を聞いて、
「片方ないね。びっくりだ。よくそれで生活できてるね」
「え、どういうこと?」
「あれは義眼。確かはめ込んでるだけで見えないんじゃなかったかな?」
もっとも、ここまで出てきた人物について、零は蛍以外知らないのだが。
零は蛍を軽く突いて、『お知合いですか?』と聞いたスマホを見せる。
蛍は苦笑いをしてから、『そうなんです。いい人たちなんですよ、本当は』と返した。
「うーん、どうやら勘違いだったみたいだね。ごめんなさい。ほらなつめも」
「...ごめんなさい」
さっきまで掴みかかってきた凪となつめに頭を下げられて、ようやく誤解が解けたことを理解した零は、『蛍さんが襲われかけてたところを自分が割り込みました。犯人はそこで伸びてます。警察には一応通報済みです』という文章を見せながら、路地の向こうを指さした。
「うわお、そこまで?ごめんねほんとに...って、聞こえないんだっけ」
朋花は手早く言った内容を打ち込んで見せると、零は頭を下げつつ両手をぶんぶんと振った。
『お気になさらず、できることをしただけなので』
「これは世にいうイケメンってやつなのでは...?蛍ちゃんよく捕まえたね?」
「ち、違います!そういう関係では...零さんにご迷惑が」
「迷惑じゃなきゃいいんだ~?」
「そういうわけじゃなくて...」
顔を赤くして頭を緩く横へ振る蛍を横目に、なつめが零を見つめる。
「...蛍に彼氏は早い」
「な、なつめさん!だから彼氏じゃないんですってば...!」
蛍の声のみ聞こえる零は、自身が蛍の彼氏と誤解されていることにようやく気づいたが、耳が聞こえない体のため、割り込むのは不自然であり、頭を悩ませていると、後方に強く引っ張られた。
「零さんは....そう、お兄ちゃんみたいな感じです!」
「お兄ちゃん...ね」
凪がそう呟いた瞬間、蛍以外の4人が一瞬だけ顔をしかめたが、それに気づく人間はいなかった。
「...とりあえず、一旦帰ろうか。零も、帰れる?」
朋花のスマホ画面を見て、零は首肯する。
蛍以外の4人が路地から出ていくと、蛍は少し背伸びをして、零の耳元で囁いた。
『次は、ライブで待ってますね』
...最も、蛍はこれを聞こえてないと思っているから出来ていて、零はしっかりと聞いてしまったために、しばらくその場から動けなくなったという。
雑メンバー出し。
こうでもしないとエミュできんしずっとエミュできん