無価値な世界でも、君がいる   作:ユイトアクエリア

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3人称練習も兼ねて


0-4.なんか女の子に囲まれてるんだが

零と蛍が路地から脱出した瞬間、零の体は何者かによって前に引っ張られた。

 

「お前誰?蛍に何したの?」

「返答によっては、少し痛い目見ることになるけど?」

 

蛍の所属するバンド、millsageのメンバー、琴平凪(ことひらなぎ)伊沢(いざわ)なつめが零に詰め寄る。――最も、今の零がそれを知っているわけもなく。

 

「っ...!」

「何?抵抗する気?」

 

自身の手が振り払われたことに驚愕、のち怒りを表したなつめはさらに零に詰め寄る。

 

「ダメですなつめさん!この人は私を助けてくれたんです!」

 

蛍の声が響いた瞬間、零の襟元を掴んでいたなつめの力が緩んだ。

 

「それに、零さんは声が聞こえないそうなので、皆さんがどうして怒っているかわからないと思います」

「...あーほんとだ。聞こえてないね。その補聴器も飾りだ。で...」

 

蛍の弁明を聞いて、和泉朋花(いずみともか)が零を観察し、右目の義眼を指した。

 

「片方ないね。びっくりだ。よくそれで生活できてるね」

「え、どういうこと?」

「あれは義眼。確かはめ込んでるだけで見えないんじゃなかったかな?」

 

浜崎(はまさき)まほろの問いに対して答える朋花。

もっとも、ここまで出てきた人物について、零は蛍以外知らないのだが。

零は蛍を軽く突いて、『お知合いですか?』と聞いたスマホを見せる。

蛍は苦笑いをしてから、『そうなんです。いい人たちなんですよ、本当は』と返した。

 

「うーん、どうやら勘違いだったみたいだね。ごめんなさい。ほらなつめも」

「...ごめんなさい」

 

さっきまで掴みかかってきた凪となつめに頭を下げられて、ようやく誤解が解けたことを理解した零は、『蛍さんが襲われかけてたところを自分が割り込みました。犯人はそこで伸びてます。警察には一応通報済みです』という文章を見せながら、路地の向こうを指さした。

 

「うわお、そこまで?ごめんねほんとに...って、聞こえないんだっけ」

 

朋花は手早く言った内容を打ち込んで見せると、零は頭を下げつつ両手をぶんぶんと振った。

 

『お気になさらず、できることをしただけなので』

「これは世にいうイケメンってやつなのでは...?蛍ちゃんよく捕まえたね?」

「ち、違います!そういう関係では...零さんにご迷惑が」

「迷惑じゃなきゃいいんだ~?」

「そういうわけじゃなくて...」

 

顔を赤くして頭を緩く横へ振る蛍を横目に、なつめが零を見つめる。

 

「...蛍に彼氏は早い」

「な、なつめさん!だから彼氏じゃないんですってば...!」

 

蛍の声のみ聞こえる零は、自身が蛍の彼氏と誤解されていることにようやく気づいたが、耳が聞こえない体のため、割り込むのは不自然であり、頭を悩ませていると、後方に強く引っ張られた。

 

「零さんは....そう、お兄ちゃんみたいな感じです!」

「お兄ちゃん...ね」

 

凪がそう呟いた瞬間、蛍以外の4人が一瞬だけ顔をしかめたが、それに気づく人間はいなかった。

 

「...とりあえず、一旦帰ろうか。零も、帰れる?」

 

朋花のスマホ画面を見て、零は首肯する。

蛍以外の4人が路地から出ていくと、蛍は少し背伸びをして、零の耳元で囁いた。

 

『次は、ライブで待ってますね』

 

...最も、蛍はこれを聞こえてないと思っているから出来ていて、零はしっかりと聞いてしまったために、しばらくその場から動けなくなったという。

 

 

 




雑メンバー出し。
こうでもしないとエミュできんしずっとエミュできん
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