無価値な世界でも、君がいる   作:ユイトアクエリア

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0-5:既視感、違和感

路地裏事件(仮称)があってから、よく汐見とはばったり会った。

ある時は学校の帰り道、ある時はスーパー、はたまたある時は夜の散歩。

そんなだからお互いに、「よく会いますね」と苦笑したほどだ。

今日もまた、近所のコンビニで会った。

せっかくだからと、その近くにある公園で駄弁ろうなんて、そう思った。

汐見は意外にもその提案に乗ってくれた。

これなら、話してもいいのかもしれない。

 

『汐見さん、少しいいですか?』

『はい、なんでしょう?』

 

交換した連絡先でメッセージを送る。

 

『少し、気持ち悪いことを言うかもしれませんが』

『大丈夫です。雪代さんの話ですから』

『ありがとうございます』

 

大丈夫。ただ、聞こえるってだけだから。

そうやって、言うだけ。

 

『あなたの声だけ、ずっと聞こえてました。汐見さん』

 

そう送ると、既読だけがついた。

 

スマホから目線を外すと、唖然とした顔の汐見がこちらを見ていた。

そして、ゆっくり口が開く。

 

「...全部、聞こえていたんですか?」

『すみません、ちゃんと喋れる自信がないので。そうです』

「そう、ですか。じゃあ、私の歌は、届いてたんですね」

『はい。素敵な歌声でした』

 

そう言うと、汐見は泣き出した。

こうなるとスマホの画面は見れないだろう、そう思って、軽く抱き寄せた。

 

「え、あの、雪代さん...?」

 

ヤンキーには言えた、きっと言える。

 

「...すてきな、うた、ですよ」

「...あ、りがとう、ございます...」

 

汐見の背中をさすりながら、きっとうまく言えただろうと感じる。

 

しばらくして、汐見が落ち着きましたとゆっくり離れる。

 

「すみません、慰めてもらってしまって」

『いいえ、私が泣かせてしまったようなものですから』

「そんなことないです。伝わったと聞いて、うれしかったので」

 

そう言って、ふわっと笑う汐見の顔を見て、既視感を覚える。

路地裏のとき?ライブのとき?いや、それ以前...?

 

「...零、さん?」

「どう、しまし、た?」

「...私たち、前にも会ってますか?」

「...え?」

 

今、考えていたことと全く同じことを声に出され、困惑した。

俺だけならまだわかる。気のせいだろうと。

しかし、今目の前の彼女も全く同じことを思った?

 

『どうして、そう思ったんですか?』

『その、抱きしめられたときの温かさが、誰かに似ていて...』

『...では、本当にどこかで会っているのかもしれませんね』

『そういうの、運命って言うんでしょうか』

 

そうかもしれないですね、そう打とうとして。

突然、ひどい頭痛に襲われた。

 

「っ...」

「雪代さん!?大丈夫ですか!?」

 

まずい、意識が...。

 


 

目が覚めた。

知らない天井...ではない。そもそも、天井がない。

室内でないことはまず驚くべきだろう。

汐見が外へほっぽりだすタイプだとは思わないし、そもそも放置されてたなら場所は変わっているはずがない。

 

「ここ、どこ?」

 

 

 

 




millsageストーリーティザー出たので
段々ストーリー路線にしていこうかな
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