TS魔法少女だけど転生先が鬱エンドだらけなエロゲ世界で安心できない   作:ラーメンの渦巻

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第3話

 契約妖精と契約して魔法少女になると身体能力が飛躍的に上昇し、特殊な能力を得、そして一つだけ武器を得る事が出来る。

【グリム・スノー】、つまり私が契約する事で得られた能力は【能力を得る】能力。

 それは『10秒だけ好きな能力を得る事が出来る』能力である。

 一見強力な能力に見えるが、一度使うと3分の決して短くないインターバルが発生するため多用は出来ないし、何なら10秒の制約があるので使いどころを間違う事が出来ない。

 これがもし一分だったら今よりずっと使い心地が良かったのになと思いつつ、武器であるアーミーナイフを弄びながら地面を蹴って移動する。

 私の体はそれなりに小柄なので、アーミーナイフとなると『ナイフ』でありながら相対的に大きく見えてしまう。

 身体能力があるので筋肉でぶんぶん振り回せるのが救いか。

 なんにしても、ドリースペアの導きにより現場に向かうとそこには案の定魔物が複数いて街を破壊していた。

 数は、見える範囲だと10体くらいだろうか?

 多くもなく少なくもなく。

 巨大なオークのような外見をしている事からも負けたらどうなってしまうのかが容易に想像できてしまう。

 うーん、そうなったら違う意味で猟奇的なエンドを迎えそうですね……

 

「さて、始めよっか」

 

 私はナイフの柄をきゅっと握りしめ、【能力を得る】能力を発動する。

 

「【弱体化】」

 

 私を中心にして能力の影響が伝播していく。

 獲物を発見して舌なめずりをしていたオーク達は突然その身を襲った異変を感じたのだろう、びくりと体を硬直させ周囲を見渡したり自分の体をぺたぺた触ったりしている。

【弱体化】。

 文字通り、敵の能力を弱体化する事が出来る。

 ()()()()()()()()()()()()使()()

 

「【過剰化】」

 

 ……この【能力を得る能力】。

 10秒という範囲であれば最大で5つの能力を得る事が出来る。

 ただそれを得るためには口にするか脳裏に思い浮かべないといけないし、そしてそれをしたらそこから行動して敵を倒さなくてはならないので、ぶっちゃけ今のところは二つくらいを上限にして三つ以上を狙ったりはしないようにしている。

 そして、【過剰化】。

 これは効果範囲内のものが持つ性能を大幅に強化してくれる。

 魔法少女ならば、魔法少女として強化されている身体能力を、更に強化してもらえる。

 ちなみに【能力を得る】能力を強化して時間を延ばしたりは出来なかった。

 そこらへんは融通が利かないらしい。

 

 とにかく。

 私は強化された肉体のまま鋭い動きで敵に肉薄していく。

 弱体化されたオーク達の動きは鈍く、そしてその防御力もまた弱められている。

 だから、ナイフの一撃で簡単に両断出来る。

 一体、また一体と切り伏せていった。

 

 斬、斬、と。

 

 倒され、塵となっていく味方を見ても何も出来ないでいるオーク達。

 その数はあっという間になくなっていき、そして気づけばその場にはオークの姿が一体もなくなっていた。

 我ながら鮮やかな手腕だったが、とはいえ油断は出来ない。

 そもそも10秒の制約がある私は、10秒経った今からは魔法少女としての平均的な身体能力で戦わなくてはならない。

 あるいは逃げ回るか。

 果たして、周囲の気配を探るが追加でオークが現れたりはしないようだ。

 私はほっと息を吐き、とはいえ油断はせず完全に変身を解くために安全な場所へと移動を開始した。

 街の方はぼろぼろになっているが、そこからは私の仕事ではない。

 それこそ魔法少女の中には【リカバリー】……つまり物体を元の状態に戻す能力を持つ者もいるらしいのだから、専門家に任せてしまうのが一番手っ取り早い。

 ていうか私は例によってもう能力を使えないわけだし、いても邪魔になるだけだ。

 

「さて」

 

 とりあえず完全に安全な場所である、家の近くの公園までたどり着いた私はそこでようやっと一息吐いて、それから変身を解除する。

 長かった髪は短めに、服も地味なものになる。

 ……魔法少女としては私の服装は地味目ではあるが、それはさておき。

 

「ん、んー」

 

 とりあえず適当なところの自販機でジュースでも買って一息入れよう。

 そう思いながら公園を出ようとすると、そこで想定外の人物と顔を合わせる事となった。

 

「あれ。雪ちゃん?」

 

 ていうか平井瑠璃だった。

 いや、なんでここにおんねん。

 

「こんな公園で何してたの? 遊んでたり?」

「そんな子供じゃあるまいしー。そういう瑠璃ちゃんこそお遊びするにはちょっと遅い時間じゃない?」

「う、うん。私はちょっとお母さんに買い物を頼まれてて」

「ふーん」

 

 時間を確認する。

 ……微妙か?

 いや、割とセーフゾーンだとは思うけど、とはいえ相手はエロゲヒロインだしなぁ……

 

「ねえ、付いてって良い? 荷物持ちくらいするけど」

「え? そんな、ただ明日の食パンがないからそれだけ買いに行くだけだよ?」

「んー、じゃあ適当にお話に付き合ってよ。クラスメイトのよしみでさ」

「良いけど、何だか雪ちゃんらしくなくて怪しい……」

「怪しく振舞うのは私の仕事みたいなものだからねぇ」

「自分で言うのはどうなの」

 

 とはいえ、別に無理に断るつもりはないらしい。

 苦笑を浮かべつつ、付いていく事を許してくれる。

 彼女の隣で歩きながら、ふと前世の事を思う。

 具体的に言うと、彼女のえっちなシーンについて思った。

 ……一応彼女ってまだ高校生なんだよな。

 原作ではそこらへんぼかされてたけど、現実になった今、ちゃんと学生として彼女は生きている。

 

「ううむ」

「な、なに? そんなに見つめられると恥ずかしいんだけど」

「いや、可愛い顔をしているなって」

「んなっ」

「その可愛い顔が歪む様を見るのはいただけないなって」

「な、何を怖い事を想像しているのかな?」

「元気に明日も生きるんだよ、瑠璃ちゃんっ」

「何を応援されているの、怖いよ……」

 

 めっちゃ怯えられた。

 なんでやろうな。

 

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