もし二人であの頃に戻れたなら(完?)   作:冬乃菊

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滝隠れの里のフウ

 ヤマト率いるナルト、サスケ、サイたちは、任務で滝隠れの里へと向かっている。その任務内容は、機密文書を届けるという内容だった。

「中忍になって初めての任務がただの文書運びかああ……」

 ヤマトが任務の説明をしてからというもの、里を出てからもナルトはしきりに同じことを言ってため息をついていた。

 ナルトとサスケのいる班にその任を言い渡す程の重要な巻物なのだろう。その巻物を渡す相手は、滝隠れの里の里長だ。

「今は戦時中でもないし危険な任務はそうそうないさ。こういう文書を届けるのも立派な任務だ」

 ヤマトが言ってる事は正論だ。もちろん火影だったナルトも分かっていることだ。下忍の頃の任務にはもう飽々していたが、これも任務だと選り好みはできないと言い聞かせて頑張ってきた。そしてつい先日、めでたく中忍になった。それも根の暗部所属に。ならば護衛だとか隠密任務だとか、いかにも忍らしい任務に就けるのではないかと淡い期待を抱いていた。この機密文書の運搬も隠密のような任務だろうが、かつて任務を振り分けていた立場であったナルトは、これは中忍と上忍で構成される班に振る内容の任務ではなかろうと、そういう不満もある。

 滝隠れの里は砂隠れの里よりもやや遠く、四日かけて移動しようやく辿り着いた。滝隠れの里ならば、ナルトもサスケも前の人生で下忍の頃に訪れたことがある。

 

 滝隠れの里は小国の忍里なだけに、建物一つにつけても木ノ葉隠れの里よりも古風で簡素なものが多い。そして里自体の規模も小さい。先日の中忍選抜試験に出たのは一組のチームのみで、その規模の小ささがうかがえる。だが、そのチームのうち一人は最終選抜まで残り、めでたく中忍へ昇格している。規模は小さくとも、忍一人一人の質は落とさぬような教育体制がとられているのだろう。

「すっげー見られてるってばよ……」

「うちの里でも他里の忍が来れば同じようなものだろう」

「そうだけどよ」

 中には都会の忍が来たぞーといった反応も混ざっている。ナルトは先程から自分の中の尾獣たちが騒いでいるのを感じていた。

「なあサスケ、ここにもアレがいるってばよ」

「……そうか」

「お前ら、あれそれで通じるのか……」

「長年連れ添った夫婦のつもりですか」

「あっ、そう見えるのか?オレたち」

「ウスラトンカチが」

 そう言うサスケも満更ではなさそうだ。

 こんな奴らと一年近くも一緒に任務をしてきたカカシを、ヤマトは改めて尊敬するに値する人物だと思った。そしてサイは、この二人を根にスカウトした張本人のダンゾウの感覚を疑った。何より忍べてない。目立っている。突如、ナルトに何かが激突し、視界からナルトの姿が消えた。

 

 地面に倒れたナルトの上に何者かが馬乗りになっている。褐色の肌、薄黄緑色の髪、橙色の瞳、そして限りなくローライズなスカートが特徴的な少女だ。

「あっしと同じくらい忍べてない忍、初めて見たっす!!お友達になりたいっすー!!」

「とりあえずさっさとナルトの上から退け。女」

 サスケの右目が赤く光り、体からは紫色のチャクラが滲み出ている。

「?」

 相当図太い精神の持ち主なのか、少女はポカンとサスケを見上げるだけで動こうとしない。

「やややヤバいってばよ!!はいっ退いた退いた!」

 ナルトはその尋常でないサスケの様子にハッとして、少女を上から退かして慌てて立ち上がる。すると、背後から大きな声が聞こえてきた。

「こらーっ!!フウ!!」

 ナルトはなんとなく、イタズラをした後のイルカ先生を思い出した。だが彼はイルカよりも若く、容姿もそれほど似ていない。この状況がそう思わせるのだろう。

「げっ!里長!」

 彼に気づくと、フウはすっくと立ち上がって宙を舞った。その背には透明な羽が見える。何かの術にしては印を結ぶ様子はなかった。そもそも術の性質もわからない。フウと呼ばれたその少女の姿はすぐに見えなくなった。

「……申し訳ありません。うちの忍が大変な無礼を」

「別に良いってばよ」

 ナルトはそう言うが、その後ろに立つサスケの表情が無表情すぎて怖い。右目はまだ赤いままだ。

「俺がこの班の隊長、ヤマトです」

「里長のシブキといいます。遠路遙々ようこそ。用件はむこうの邸で伺いましょう」

 シブキは山の裾にある滝隠れの里の中で一際大きな邸を指さす。

 

 その邸まで移動する道中、滝隠れの忍らしい男がシブキに耳打ちした。するとシブキはナルトとサスケの顔を見て、再びその男の話に耳を傾けた。その様子から、何かしら自分達に関する話がされているのだろう。邸の広間に通されると、ヤマトは懐から自来也から直接預かった機密文書を里長たるシブキへと手渡した。シブキはすぐにその信書に目を通すと、押し黙って静かにその信書を机の上に置きヤマトたちの方へと押しやった。

「文末に、あなた方にもこの書を見せるようにとあります」

 その内容は、同盟里として足並みを揃えて暁という集団に対処しようという協力の要請だった。その協力の一つとして人柱力の存在を明かすことが挙げられている。この小さな隠れ里にとって、人柱力の存在は大きい。大国に要請されたからと、簡単に明かして良いものではない。

「……暁、という集団については、私共も聞き及んでいます。その集団の目的が尾獣……?にわかに信じ難い。先の中忍選抜試験では確かに、木ノ葉隠れの里と砂隠れの里の人柱力の存在が明らかになりましたが、だからといい、我が里までもが人柱力の存在を明らかにするのは……」

「んなこと言ってる場合じゃねえんだってばよ!暁はS級犯罪者の集団で、その力は未知数だ。人柱力はな、尾獣抜き取られちまったら死んじまうんだぞ」

「先程、部下から聞いた話では、あなたが九尾の人柱力だとか。……それは、脅しのつもりですか」

 先程の飛沫とその部下のやり取りはこのことを話してのことだったのかと合点がいく。中忍試験でのナルトとサスケとの試合も観たのかもしれない。

「それを知ってんなら話は早いってばよ。砂隠れの我愛羅とは友だちだ。だからオレはアイツがあぶねえ時はすっ飛んでくし、協力は惜しまない。もちろんフウについても同じだ。同じ痛みを知る者として放っておけねぇってばよ」

「「「…………。」」」

 ナルトは至極真面目な表情で語ったが、目の前のシブキはポカンと口を半開きにして呆けている。

「……あっ、やべ」

 ナルトは慌てて口を覆ったがもう遅い。滝隠れの里の重要機密事項を知っていたとなると、なぜだと問い詰められるかもしれない。隠れ里同士の信用問題に関わる。

「いつ、知ったんですか?」

「会った時、だってばよ……」

 ナルトの隣に座っているヤマト隊長の視線が怖くてナルトの額に嫌な汗が伝う。

「あっしも感じてたっすよ!だから、友だちになりたいっす!」

 スパンと応接間の窓が開く。ちなみにここは三階だ。そこには羽を羽ばたかせているフウの姿があった。

「フウ!またお前か!」

「だって、気になったんっすー」

 シブキも苦労しているようだ。

 

 こうして、木ノ葉隠れの里と滝隠れの里の同盟関係はより強固なものとなった。




すみません
まとまってない!加筆修正する余地あり
サスケはヒナタ以外の女がナルトに近づくのがイヤなんです。
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