もし二人であの頃に戻れたなら(完?)   作:冬乃菊

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*原作ネタバレ注意*


六道仙人の悪戯

 五影会談にて決定した忍連合軍の結成について、五大名会議内でもすぐに承認され各里では戦にむけて忍のリストアップや食糧・医療物資などの備蓄が始まっていた。

 具体的な戦略について話し合うため、各里の影とその側近は雲隠れの里の雷影塔に集まっていた。木ノ葉隠れの里からは、六代目火影・カカシと参謀のシカクが出向いている。五代目火影・自来也は一命を取り留めたものの声を失うという致命的な後遺症を患っており、火影職を退き現在は里の守護を担っている。

 

 暁の手に落ちた尾獣は一尾から七尾の七体であり、残る八尾の人柱力キラー・ビーと九尾の人柱力うずまきナルトはまだ無事だ。九体の尾獣が集まると、敵の術が発動するというのはダンゾウや大蛇丸、そしてうちは一族からの情報により明らかとなっている。この時点では、その術の発動を止めることこそが第四次忍会大戦の勝利条件とされていた。

 

「よし、集まったな。これから会議を行う」

 雷影の一声を皮切りに、会議が始まる。カカシはうちは一族による諜報活動の中でわかった敵拠点の位置と、オビトと薬師カブトが手を結び過去の手練れの穢土転生を行う可能性を共有した。他に議題となったのは開戦時の情報共有方法、部隊の配置についてなど多岐にわたった。そして最後に、揉めることになる議題が残った。

「人柱力供を匿う場所はどうする」

 土影の発言を初めとし、話は人柱力を隠す方向へと進んでいく。カカシはナルトの力を近くで見てきた者として、共に戦場で闘うことでこの大戦を勝利に導くだろうと踏んでいた。だが、他の影は人柱力を戦線に出すことを良しとしていないことは明らかだった。

 突然、この場にいないはずの者の声がした。

「オレの事を勝手に決めてもらっちゃ困るってばよ。この前わざわざ五影会談に参加した意味ねーじゃん!オレを閉じ込めることに人員裂くくれーなら他に配置してくれってばよ」

「ナルト?!サスケまで……おまえらどうしてここに」

「サスケの輪廻眼で送ってもらった。それよかオレにイイ案があるんだってばよ」

「五影、とりあえずコイツに従え」

 サスケは万華鏡写輪眼と輪廻眼でガン飛ばしている。

「いやいやいや、サスケ。オレら一応割り込んでんだから穏便にな」

「五影がムダな話をしているからだ。オレはお前がどこに閉じ込められても助けに行けるが」

「そりゃそーだけどさ」

 雷影塔に突然現れた時点でナルトを閉じ込めて匿う案は白紙に戻すしかないだろう。

 ナルトはその場に集う者たちを一瞥した。その表情から読み取れるのは不信感と疑念。

 

「サスケ、ここが話し時か?」

「お前がそう思うのなら、そうかもな」

 これまで「過去」についてはイタチにしか話していない。それも詳しいものではなく抽象的な言葉で曖昧に伝えただけにすぎない。そしてこれからもけして誰にも話すことはないだろうと考えていたが、そういうわけにはいかないらしい。

「オレたちにとって、この戦争は二回目なんだってばよ」

「どういう意味だ、ナルト」

 カカシは火影の目でナルトを見ていた。それは場合によっては処罰を考えているのだろう。

「時を遡った。一言で言うならそういうことだ。原因はわからない」

「あ、今思いついたってばよ。六道の大じいちゃんなら何か知ってっかも」

「……できなくはない」

 盲点だった。今まで何故その手段を考えなかったのかが不思議な程だ。六道仙人は十尾のチャクラ、インドラとアシュラのチャクラが合わさることにより顕現する。

 サスケはナルトの腹から尾獣九体のチャクラとナルトのチャクラを少しずつ抜き取り、それに自身のチャクラを合わせた。サスケは涼しい顔をしているが、それはもはや人の成せる技ではない。

 やがてチャクラは人の姿へと変化する。両目と額には三つの輪廻眼。その異形の老人が忍宗の祖、六道仙人だと誰が説明せずともわかる。

「我は大筒木ハゴロモ、またの名を六道仙人…森羅万象を」

「六道の大じいちゃん、そこ割愛。あと話し方もーちょいフランクに」

「……今回の転生者は超仲いいな。二千年来の珍事でめっちゃびっくり」

 口調がフランクすぎるがナルトはスルーした。

「うんうん。オレとサスケは仲いいよな。二回目だから。で、オレたちなんで同じこと繰り返してんの?」

「うむ……原理はワシにもわからん」

「って、わからんのかい!全知全能じゃねーの?!」

「知らんもんは知らん」

「はー……つかえねぇってばよ」

「それは聞き捨てならんな。最終決戦が迫っているのだろう。そろそろ長きにわたる戦の世も終わる。二人とも、手を出せ」

 二人は言われるがまま片手を差し出すと、六道仙人の手が合わさる。

ーーポン

 目線が高くなり隣のサスケを見ると、珍しい表情をしている大人のサスケがいた。

「だぁあああああああ?!」

「やかましい」

「十五歳の身体では十分に力を発揮できんじゃろ。これで貫禄も出るし戦の指揮もとれよう。では、次は母の封印の時にな」

 六道仙人はスッと消えた。

 

「これ!解術できねぇってばよ!」

「お前が機嫌を損ねたんだろうが」

「どーすんだよこれ。年齢ほぼ二倍だってばよ。……偽名とか、いる?」

「大蛇丸の試薬を飲んだとでも言えばいい」

「あ、そっか。……でも後で変な要求されねーかな」

「ならもう深いワケがあってとか適当に誤魔化せ」

「……逆に、ガキん頃に変化するか?」

「何の遊びだ。戦に備えて今の身体に慣れる必要があるだろう」

「まあなぁ」

 六道仙人が現れたかと思えばナルトが馴れ馴れしく喋って、なぜか二人は成人男性になっているこの状況。カカシをはじめ木ノ葉隠れの里の面々は頭を抱えていた。状況証拠とでもいおうか、この状況からナルトの言い分が事実だと言っているようなものだ。

「もういいよ……。おまえらのことは火影として信頼する。ちなみに今までどれくらい力を抑えてきた?」

「うーん……?」

 ナルトは腕を組んで首を傾げたままウンウン唸っており、見兼ねたサスケが口を開く。

「少なくともナルトが全力なら地形が変わる」

 要するに影レベルだ。七代目火影だったのだから当然だろう。

「で、サスケ、おまえは?」

 サスケはそう尋ねられて言い淀むが、今度はナルトが代わりに応える。

「今ならマダラとタイマン張れるだろ」

 返事がないということは肯定ととれる。

「てことは、わざわざココに来なくてもよかったんじゃないの?簡単に抜け出して参戦できたはずだ。何か他に理由があるんだろ」

「ああ。オレはこの戦の殉職者を少しでも減らしたい。前は数万人が殉職した。これでもオレってば九年前から色々考えてやってきて、前回と比較すると戦況はかなりこっちが有利だ。まず、サスケが完全に協力してくれること。次にうちは一族と人柱力が全員生存していること。最後に、相手の大まかな計画が事前にわかっていることで戦況を有利にもっていける」

「え、なに?サスケは協力してなかったわけ?」

「こいつ、里抜けてて色々やっ散らかして指名手配されてる犯罪者ってヤツだったし、第三勢力ってやつで……。それもこれもあの黒ゼツってヤツのせいでサスケはあんなひどい目にあってヘンになってしまって……。マジでぶん殴りてー。あンの人の人生を弄ぶ下衆野郎」

 ナルトの何かのスイッチを押してしまったようで、ブツブツ言っている。自分のことではないにも関わらず、自分のことのように憤り、怒りを露わにするナルトを見てサスケはわずかに微笑む。

「オレがまだガキで未熟だっただけだ。学び得たものもある。……黒ゼツはうちはの闇。呪いそのものだ。永きにわたり、うちはの特性を利用してきた下衆野郎には違いない」

「……心の傷ってのは目に見える傷より厄介でさ、いくら上塗りしても、ふとした瞬間に思い出すだろ。そういうのを利用するヤツが一番気に食わねぇんだ」

 基本的に温厚で情に厚いナルトをここまで言わせる黒ゼツとは何者か。

「黒ゼツ……それも敵なのか」

「カカシ、黒ゼツは六道仙人と同じく大筒木カグヤの子で、千年単位でこの世に存在してきた。マダラを操る黒幕だ。そしてマダラは、黒ゼツとともにオビトを利用している。そしてオビトはマダラと名乗るようになり長門、弥彦、小南に介入し暁を結成するよう仕向けた。九尾を操り四代目火影を屠ったのも、オビトだ。マダラとオビトの目的は十尾……神樹を利用した無限月読。そして黒ゼツは無限月読後にマダラを大筒木カグヤの依代にする算段だ。マダラとオビトを利用してきたように、これまでも同じような手口で人が憎しみ争い合う世を維持していたんだろう。これまでの隠れ里同士のいざこざにも絡んでいた可能性がある」

「つまり……オレたちが見ていたのは氷山の一角でしかなかったってことか。オビトも、手駒に……」

 サスケの話を聞く限りでは、当初の勝利条件を検討し直す必要があるようだ。

「だが、大筒木カグヤについては問題ない。すでに対策済みだ。それに無限月読で人が死ぬことはない。つまり、その前の段階まで持ち堪えればいい」

 大筒木カグヤ戦は二度目となるためすでに対応策は考えている。ナルトは初耳であったが後で聞こうと聞き流す。

「大まかな流れはわかったけど、今まで黙っていた理由は?」

「話したところで信じてもらえないだろうし、黒ゼツとかオビトとかさ……六歳児の身体でマトモに戦えるわけねぇじゃん。それに、白ゼツはそこら中にいて盗聴されてると思っていいし、迂闊には話せなかった」

 白ゼツに諜報能力があるとは知られていなかった。戦において情報は重要なものであり、その戦況を左右するものとなるため有益な情報だった。シカクも何やらブツブツ言いながら筆を走らせている。

「それに、白ゼツは変化も得意とする。チャクラの質まで真似るため本物と見分けがつかない。これで戦場は混乱した。特に有能な忍が狙われ殉職したという」

「対応策はオレと写輪眼だってばよ」

「そういえばさっき、人柱力が全員無事とか言ってたよな。どういうこと?フウと風影についてはオレも知っているけど」

「他の人柱力は波の国にいる。戦には参加する気満々だってばよ。尾獣チャクラはほとんどなくても元からチャクラ量が多いしかなりの戦力になる。てかダンゾウのじーちゃんにはちゃんと報告してたんだけどな」

 にわかに信じがたい話だが、これもまた事実なのだろう。ダンゾウは知っていたのかと、シカクは頭を抱えていた。

「あとさ、カカシ先生、これから起こる事がオレたちの見てきたものとは違う可能性もある。現に、エロ仙人……五代目を助けるのも間に合わなかったし、この戦の開戦時期は二年も早まっている。前はオレが十七歳の時だった」

 

 奈良シカク。奈良一族は木ノ葉隠れの里随一の頭脳を持ち、今回の戦では六代目火影の相談役兼参謀となった。彼はナルトとサスケの同期のシカマルの父であり、アカデミー在籍中から彼らの話は事あるごとに息子の口から聞かされていた。

「おかしなヤツがいるんだ」

「具体的にはどうなんだ」

「なんつーか……とにかく強い。それにわざと子供のフリしてるっつーか……違和感がハンパねぇんだ。他のもんはそうは思ってなさそうだけど」

 具体的な内容がわからずあの時は聞き流していたが、今になって息子のいう違和感の正体がわかった。だが、動揺している場合ではない。

 

「六代目、ナルトの言い分をのむのなら、新たに配置や戦術を検討する必要があります」

 シカクの一声で大きく逸れていた話が戻る。

「オレはナルトを出して問題ないと考えます。万が一ナルトが危険にさらされてもサスケが守るでしょう。それに正直なところ、……コイツらを抑える方法がないというのが本音です」

 カカシの意見に他の影たちも頷いた。

 方針を確認し、シカクはナルトとサスケに視線を向ける。

「ナルト、サスケ、おまえたちの戦術を教えてくれ」

「まず情報伝達の負担を減らすために全員に少しずつ九尾チャクラを分けてリンクする。あとは多重影分身で散らばって、みんなの援護をするってばよ」

「基本的にはナルトを援護する」

 戦術にしてはあまりにざっくりとしているが、それでもシカクは参謀らしく何やら思案し口を開いた。

「多重影分身には精神疲労が蓄積されるリスクがある。そこはどうするか考えはあるのか?」

 ナルトは以前チャクラの性質変化を修得するために多重影分身を使って修行をしていた時の疲労感を思い出し、おもいっきり嫌な顔をしている。だが、サスケにはその対応策に心あたりがある。

「対処できるが、その際には影分身は全て消えるためタイミングを図る必要がある」

 寝耳に水と言わんばかりにナルトはサスケの話に食いついて、

「どうやんだってばがっ……」

 目が合う。その瞬間、ナルトがその場に倒れた。

「月読か!」

 カカシは思わず立ち上がる。

「そうだ。一瞬で七十二時間の睡眠を体感させる」

「あ……そう」

 なんだその優しい幻術は、とカカシをはじめ全員がそう思った。カカシはストンと席につく。

 倒れたナルトの身体を橙色のチャクラが包みこみ、そのチャクラは狐の顔となった。

「九尾か!」

 雷影の一声でサスケを除く皆が臨戦態勢をとる。人柱力のナルトが倒れているため、九尾のチャクラが暴走するのではないかと緊張が走った。

「そいつに用があって出てきただけだ」

 九喇嘛は五影たちの反応を鼻で笑い、サスケを見下ろす。

「どうした」

「良いことを提案してやろうと思ってな。外道魔像から尾獣を引き剥がすことができたらの話だが、今回の戦、ワシら九匹のチャクラを貸してやる。こういう場だからあえて出てきて言ってやってんだ」

「血迷ったか」

「相変わらず気にくわねぇが、チャクラコントロールに関してはお前の右に出る者はいない。その点ナルトよりも上手く扱えるはずだ」

「アレを忘れたのか?オレはお前たちを幻術にかけ無理矢理チャクラを使っただろう」

「忘れちゃいねぇさ。けどな、お前はもう力に執着しちゃいねぇよな。まあ、別のモンに対象が移ったというべきか。とにかく、必要な時には使え。話はそれだけだ。……ナルトは起こすか?」

「ああ」

 

 九喇嘛が消えると、ナルトが背伸びをして身を起こした。

「あーよく寝た。対処法ってコレかよ。懐かしーな」

 疲れてどうしようもなく仕事が手に付かない時、誰が呼んだのかふらりとサスケが現れてはこの術をかけられたことを思い出し、自然と笑みが溢れる。ある意味では酷い術だとも思うが。

 六道仙人の次は九尾。しかもサスケとの会話の内容はツッコミ所が満載だった。

「サスケ……尾獣を幻術に?九匹とも、だと……?」

 皆を代表して尋ねるカカシ。

「ああ。……あの時はどうしてもこいつを殺してやりたい一心で」

 つい少し前までは援護するとかどうとか言っていた本人からの爆弾発言。

「なはは、あんときゃマジで死ぬと思ったってばよ。ひっでーよな」

「悪かったと思っている。だから今こうしているだろう」

 サスケは幼い頃からどこかナルトに対して献身的にも従属的にも見えた。その関係性の根底にあるものが垣間見えたような気がした。

 再びナルトから九喇嘛のチャクラが現れる。

「言い忘れていたが、ワシから見てもコイツらはだいぶブッとんでておかしいから気をつけろ」

 九喇嘛はそれだけ伝えて消えたが、一体何に気をつけろというのか。尾獣から忠告までされて困惑しかない。ナルトは「たしかにオレらおかしいよな〜」などと言っていたがこの件に関しては九喇嘛の方が常識的なのかもしれない。

 

 戦までに体を慣らしてくる、などと言ってナルトとサスケは当然のように会議室の扉から出て行った。二人の後ろ姿を見送り、五影は互いに顔を見合わせる。

「うちの里の者が申し訳ありません」

 カカシは平謝りするしかなかった。

「驚きすぎて腰が抜けたわい……」

 オオノキは腰をさすっている。

「五影会談の時に感じた異様な気配にもむしろ納得した。戦力になるならいいだろう」

「成長したサスケくんが綺麗すぎます」

「ナルトが、実は大人……」

 守鶴は一応伝えていたが、どんな伝え方をしたのか我愛羅には微塵も伝わっていなかったらしい。

 

 明日に開戦を控える雲隠れの里の忍連合本部には、緊張感が漂っていた。開戦前というのもあるが、今日の今日まで協力・連携体制のなかった隠れ里同士が一朝一夕にして仲良くなどできるはずもなかった。特に日向一族と雲隠れの里との因縁は根深いものがあり、ヒナタは一族のキャンプから抜けて一人歩いていた。

「お、ヒナタじゃん。お前もあっちに行くのかよ」

「え?」

「皆が集まっている」

 ぼうとしているところに同期のキバとシノに声をかけられハッとする。ヒナタの反応からどうも違うらしいと、キバとシノは顔を見合わせる。

「ナルトは九尾の人柱力だし、サスケはその護衛ってことになってんだってな」

「そうみたいだね。……なんだか、実感がなくて」

 側に二人がいない。そしてカカシも六代目となり近くにはいない。急に置き去りにされたような感覚がしていた。

 へらりと笑うヒナタを見て、これは重傷だと思った。

「ところで、皆が集まってるっていうのは?何かあったの?」

「オレらも詳しくはしんねーけど、なんか面白いことやってんだろうな。見に行ったモンがもどってこねーんだ」

「ついてくるか?」

「うん、行ってみようかな」

 気分転換にいいだろうと、ヒナタはキバとシノについていくことにした。

 

 キャンプ場から離れた場所にある森の中に少し開けた場所がある。どうやらそこに目当てのものがあるようだが、人集りがすごい。

「すっげー人だな。って、ん?……んなわけねぇか。ヒナタ、白眼なら見えるだろ」

ーー白眼!

 人集りの中心には、組手をしている男性が二人。

「そんな……ナルトくん!」

「マジかよ……気のせいじゃねぇのか」

 ヒナタがそう言うのならそうなのだろう。そして、キバもナルトのにおいがしたような気がしたところだった。サスケのにおいも。

 三人は木々を伝って目的地を目指した。他の者も考えることは同じで、木々の上から観戦している者も多い。

「はぁ?!」

 キバが声を上げる。見えるのはどう見ても成人男性でナルトとサスケではない。と言いたいところだが、においは少し変わったような気もするが二人のもので、その外見も二人がもし大人になったらそうなりそうだと思えるものだった。何故?疑問符しか浮かばない。

 二人は涼しい顔で激しくぶつかりあっていた。しかし決定打には至らず。観戦者は二人がどこの里の忍びかとしきりに話しているが、わかるはずもない。

「っ、もらったぁあ!!」

 両腕で蹴りをガードするも衝撃は逃せず、サスケの体は木の幹に叩きつけられる、はずだったが姿が消え、ナルトの背後に立っていた。

「体力バカが相手では組手では敵わないな」

「負け惜しみかよ」

「ウスラトンカチが」

 わっと歓声が沸き、二人は思わず後ずさる。あちらこちらから負けただの勝っただのと声が聞こえ、どうやらどちらが先に一本取るかを賭けていたようだ。

「ナルトくん!サスケくん!……その姿、どうしたの?変化ではなさそうだし。そもそも、守られないといけない人がどうしてこんなところにいるのか聞いてもいいかな」

 二人の成人男性に対し「くん」付けで、しかも守られる人、ということは今回敵の標的とされている九尾の人柱力か、と周囲もどよめく。しかし「九尾の人柱力はまだ少年だと聞いていたが」などと言われており観客は混乱しているようだった。

「ヒナタ……これには深いワケがあってだなぁ。サスケと二人で抜け出してきたんだってばよ。あっ、ホラ、こんなナリで守ってもらうとかもはやギャグじゃん」

「心配ない。今しがた五影たちの了承を得たところだ」

 ナルトはなんだか適当に誤魔化そうとしている感じが否めないが、サスケの一言でヒナタはホッと胸を撫で下ろす。この二人なら許可も得ずに好き勝手することも想像でき、それはさすがに看過できないとも考えていた。

「んでもって、この体に慣れるために動かしてたんだってばよ。……にしてもすっげーなこのギャラリー」

「見せ物ではないんだが」

「仕方ないよ。組手は見応えがあったし、ナルトくんは格好良いし、サスケくんは美人だし……」

「だよな!サスケってばおっさんになってもすっげーキレーでさ。もう同じ人とは思えねぇんだってばよ」

「何言ってんだか」

「あだっ」

 ナルトの頭にサスケのゲンコツが落ちた。

「思ったことをそのまま口にするな。それでも忍か?」

 おっさんがおっさんを綺麗だと褒める会話はなんともいえないが、ナルトの言うようにサスケの容姿は全て計算されて創り出されたもののように流麗で、ただそこに立っているだけでも絵になる。そのぶっきらぼうな物言いだけが彼に人間味を与えていた。

 一方キバはこのギャラリーの中出て行く気にはなれずにシノとともに様子を伺っていた。

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