もし二人であの頃に戻れたなら(完?)   作:冬乃菊

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際どい表現あります。すみませ


タズナ邸に集う人柱力

 波の国・タズナ邸。そこは不定期に住人が増える謎の屋敷となっていた。波の国からガトー財閥が消え、自由な商売が可能となり市場は自然と発展し、タヅナの受注も増え生活は潤うようになった。そこで臨時の職人を停めるためにと宿泊所兼自宅を構えていたところ、突然にナルトとサスケに借りを返す機会が訪れた。

 初めは体格の良い大男。次は少年だった。その次は気の強そうな女性。その次は自分と同じくらい年老いた背丈の低い老人。そして今回は飄々とした青年が新たにやってきた。

「ナルト。お前さんには超返しきれねぇ恩義ってモンを感じていたんじゃが、これ以上はいくらなんでもなぁ」

「わりぃなタズナのじーちゃん。もうこれ以上は増えないってばよ」

「そうか!それならいい。部屋が足りなくなるところじゃったわい」

「サンキューな。んじゃまた!」

 ナルトはタズナと他五人に手を振ると、サスケと共に別の空間へと消えた。

 違法ギリギリのグレーゾーンの行為と空間忍術を同時に行っている事の重大さのわりに、あまりにもあっさりし過ぎている二人のやりとりにウタカタは唖然とする。だが、このタズナという人物に頼る他ない以上、初めの印象は大事だろうと気を取り直してタズナに向き直った。

「タズナ殿、俺はウタカタ。これから世話になる」

「はいよ。ここでの決まりはそこの四人に聞いとくれ」

 ウタカタが深々と頭を下げるも、タズナは相変わらず軽いノリで受け応える。もう五人目ともなると慣れきっているのかもしれないが、ウタカタにとっては拍子抜けすることばかりだ。

 

 今回、五尾の人柱力がタズナ邸を訪れたということは大半の尾獣が暁の手に落ちたことを示す。加えて、波の国を訪れる商人の話では、北部で戦争が起こる気配がありその土地の有力者などは火の国などの南部の国へと移動しているという。近いうちに事が動くことは明らかだ。

「まさか他里の人柱力と共同生活をすることになるとはな」

 ウタカタはそう言いながらタズナ邸別邸の談話室に集った面々を一瞥する。

「ワシらも皆そう思っとるわ。この年での共同生活はちとキツいが、悪くはない。それにこういう機会がなければお前さんとももう会わんかったかもな」

 この中で最も年長の老紫がそう言うとハンが鼻で笑う。

「それはそうだろう。俺たちは本当なら死んでいた身だ」

「そうだね。私はあの時死んだんだ。……未だに時々これが現実なのか疑ってしまう」

「そうだな。むしろ死んだ方がよかったんじゃないかと思う時もあるくらいだ。オレがやったことはあまりにも……いくら操られていたとはいえ取り返しがつかないことだ。それに操られていたこと自体が影として失格だろう。まあ……それについては今回の戦が終わってから考えるが」

 四代目水影の姿を見た者は霧隠の里内部でもほとんどなく、今は抜け忍であるが元は霧隠の里に在籍していたウタカタも本人を見るのは初めてだった。それがまさかこのようなチビガキだとは思うまい。口には出さないが。

「水影のアンタを操っていた相手と戦の相手は同じだろ?答えは簡単だ」

「ああ、借りはきっちり返すつもりだ。……その分だと、もう色々と話は聞いているようだな」

「尾獣を抜かれた人柱力の蘇生に、二度目の人生。……信じられないような話だが、現状に身を任せるほかない。……それより、だ」

 何かを言いかけ、あえて言葉を止めたウタカタに四人の視線が集まる。

「あの二人にはどこからどうつっ込めばいいんだ。……俺だけか?違うだろ!」

 それは禁断の話題だった。これまでタズナ邸に集う人柱力の間でも暗黙の了解で触れられずにいたパンドラの箱。黙ったままの四人をよそにウタカタは言葉を続ける。

「目が覚めたら知らない場所で、ベッドの横見たら二人して布団に包まって寝てんだ」

 四人は無言で頷く。ナルトのアパートでの療養中、各々その光景から何度目を逸らしてきたことか。

「それが実は人生二回目で中身は三十路?それが同衾だと?距離感おかしくないか」

「私も……流石に驚いたよ。だが、又旅いわく長年連れ添う仲だそうだから、そういうものなのだと」

「な、長年連れ添う仲……?磯撫は、ナルトがサスケのことを、その……好きすぎて……舐め回す勢いだと言っていたが、アレって単なる比喩表現じゃねぇんだな」

 外見がチビガキであるやぐらからそんな言葉が出ると犯罪臭が凄い。話題を振ってしまったウタカタは負い目を感じ視線を逸らす。

「……生々しいな。なんかすまん。水影」

「いや……。つか、やぐらでいいし。もう水影じゃねぇし」

「穆王から聞いた話では、ナルトに対するサスケの愛が重すぎると。あの『狂気』で有名なうちは一族の者なら頷けるものだと理解していたが……。そうか、ナルトも」

「孫は、愛人関係と言っておったぞ。だからそういうものだろう」

 四人の目線が老紫に集まった。そういうことか、と。

 五人が沈黙する中、その妙な空気を払拭するかのようにやぐらが嘆息した。

「話をまとめると、だ……。サスケはナルトの愛人で相思相愛。それから、お互い……愛が重い。今のところおそらくその二人が人類最強な上に未来を知っているってことだが、……とんでもねぇな」

 五人は悟った。知らなくても良いことまで知り過ぎてしまったことを。

 

 夜、風呂をもらった後、やぐらは海に面したテラスに晩酌をしているタズナの姿を見つけ声をかけた。

「タズナ殿、なぜ俺たちの身を引き受けた?」

 どうもこのタズナという老人は、自分たちを人柱力と知らずに匿っているらしい。というよりも一般人がゆえに、人柱力や尾獣といった言葉さえ知らないはずだ。ナルトとこのタズナという男はどんな繋がりがあってこのような無茶を引き受けているのだろうか。

「ん?……ナルトがワシを頼るってことは、助けが必要なんだろう。断る理由がない」

 いや、断る理由はいくらでもあるはずだ。やぐらが聞きたい話はそんなことではない。ナルトと出会い、初めて三尾・磯撫と会話した。これまでは使役する対象として付き合ってきたため、対等な立ち位置での会話は初めてだった。磯撫はナルトが望んでいるからだと言っていた。そしてこの老人もまた同じようなことを言うのだから可笑しいにも程がある。

「はは、ナルトはそういう男だ。意図せずとも人心を得る妙なる才を持つ」

 助けられた時もそうだった。するりと懐の中に入ってくるような奴。

「お前さん、やっぱりただのガキではないな」

 これまでタズナは彼らに詳しい事情を尋ねたことはない。彼らの反応を見る限りでは各々面識はなさそうだが、その後すぐに打ち解ける様子をみると何かしらの共通点があるようだが首を突っ込まないことにしている。忍の世界の事に一般人が口出ししては火の粉が降りかかるかもしれない。そもそもこの忍であろう彼らを預かること自体に危険が伴うことも認識しており、そんなことに構ってはいられないのだが。

「そもそも初めからガキじゃないって、何度言ったらわかんだよ」

 そんなことを言ってもやぐらは見た目がチビガキでしかないためタズナには微塵も伝わらない。

 気を良くしたタズナは酒をちびちび飲みながら、ナルトの話をした。

「……だからな、火の国と波の国をつなぐ橋はナルト大橋と名づけたんじゃ。……まあサスケも超強くてナルトと同じくらい助けてもらったが、ナルトの方が語呂がよかった」

 橋の名前の語呂についてはともかく、タズナが自分ら、人柱力になにもわけを尋ねない理由は、単純にナルトやサスケに対する恩義に起因するものなのだろう。

 

 ナルトを中心として尾獣を通して繋がる深層心理の中。そこに現れた彼の姿に皆が唖然とした。

「これはたぶん、六道仙人の遊び心だってばよ。わりーな、一足先に大人になっちまってよ」

「はぁ?!俺もう大人だしィ!!」

 ナルトとやぐらのやりとりはどう見ても子供を揶揄う悪い大人の図でしかなく、他の人柱力はなんともいえない気持ちで傍観していた。

「んで本題な。急で悪ィけど、明日辰の刻に開戦だ。そのちょい前に空間をつなぐ予定だから、準備しといてくれってばよ。あと、団結式んときには代表して誰か話して欲しいって。どーする?」

「……それはオレしかないだろ。元水影だし」

「んじゃよろしくな」

 深層心理会議は本当に戦前なのかと思うほどあっさりしており、面々は一抹の不安を覚えた。

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