カグヤの封印と同時に、ナルトとサスケの姿は元の十五歳の姿へ戻った。それともまた十五歳に戻ってしまったという方が正しいのだろうか。二人は互いに顔を見合わせて笑った。
誰もが忘れかけていたことであったが、二人はまだ少年だった。ヒナタとのスリーマンセルはちぐはぐに見えていたが、少年の姿へと戻った二人と並んでいる分には何ら違和感はない。
「……イズナ?」
サスケの顔を見た柱間は思わず声をあげる。
「確かに、よく似ておる。……というよりも、生き写しじゃな」
扉間の目にも同じくそのように映るらしい。自分の息子に対して知らぬ名を呼ばれ似ていると言われるのは何者だろうかと、フガクは怪訝な表情をしており、それに気づいた扉間は言葉を続けた。
「イズナはマダラの弟だ。丁度あのくらいの歳にワシの付けた傷が癒えぬまま息を引き取ったという」
マダラに弟がいたとは聞いたことがなく、フガクは目を丸くする。そしてそれが扉間との戦闘が原因となると、その昔の戦国時代の世を彷彿とさせる。
十尾と外道魔像の抜けたマダラの身体はもう長くは保たない。柱間は地に横たわったマダラの横に腰を下ろし、静かにその顔を眺めていた。うちは一族の影には常に黒ゼツの暗躍があったこと、それゆえに必要以上に傷ついたことを知った。柱間は死して穢土転生の術を経て戦場に立ち、ようやくマダラという男を理解できた。もちろん全てを理解したつもりはない。
「イズナ、だと……?」
マダラは柱間が口にした弟の名に反応を見せた。
「サスケ、ここへ来て顔を見せてやってくれ」
柱間はサスケに手招きをする。マダラの弟、イズナに似ていると言われたことは前にもあった。しかし、その時のマダラには弟への情はなく、躊躇なく胸の急所を貫かれた。今回もおそらく顔を見せたところで柱間や扉間が期待するような反応はないはずだとサスケは嘆息しつつも、横たわるマダラの側にストンと膝を折り顔を寄せた。
「……もし、生きていたならお前のように……あのように、強く……凛々しく、成長しただろうか」
マダラの虚な眼から一筋の涙が伝う。サスケは予想外の反応に眼を丸くし、やがて頬を緩めた。どうやら彼は死の間際にして正気に戻ったらしい。まるで、終末の谷での戦いの後の自分を見ているようだとも思った。
「さあな」
「その目は、……あるものを欲し、追い求めた者の証だ。お前も……闇を見たか?」
「ああ、悪夢の中にいるようだった。ナルトが……助けてくれた」
「そうか……」
「アンタはとんでもない間違いを犯したが、少なくとも、忍全員が団結するきっかけを作ったのは間違いない事実だ。それに、同じく輪廻眼を持つ者として……感じてきた痛みはよくわかる」
「ふっ、情けはいらん。……九尾の……ナルトといったか。連れてこい。……最期に輪廻転生の術をやる」
要するにチャクラが足りないのだろう。
「もういるってばよ。ほら、これでいいか?」
マダラは両手で印を組む。
ーーー輪廻転生
この術でどれほどの人が蘇生できるかはわからないが、せめての罪滅ぼし。
「マダラよ、……あの世で、戦友として杯を酌み交わそうぞ」
「ああ……悪くない」
静かに、呼吸が止まった。