もし二人であの頃に戻れたなら(完?)   作:冬乃菊

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 サスケ視点の話です。


紅い華を君に〜ナルトとヒナタの祝言〜

 今日、ナルトとヒナタが挙式する。心からおめでとうと言えるかと聞かれたら、返事に困るような心境だ。挙式と披露宴は昼間に執り行われるため、サスケは着慣れないモーニングコートを身に纏う。これはナルトからの贈り物でもある。「コレ着て、来てくれよな」そういう彼の少し寂し気な表情が、今でも印象に残っている。それにしても新郎がゲストに衣装を贈るとは、どういうことかと首を傾げるしかない。本当にアイツはどういうつもりなのか。だいたいモーニングコートは新郎の主に親族が着るような……と、考えたところでようやく腑に落ちた。そういう立ち位置を望んでいるのかもしれない。

 同期の間ではナルトとの関係が近すぎることは暗黙の了解であったが、この二人の結婚を機にその関係について彼らがどう思うかは明白だ。もしかすると自分が参列しないものとも考えているかもしれない。

 普段はしないブローをして、軽い整髪料で髪を整え、サスケは挙式会場へ向かった。受付で御祝儀袋を手渡し署名をしていると、よく見知った男に声をかけられた。

「あら、サスケくん。奇遇ね」

「アンタも呼ばれていたのか」

「一応、里の御意見番よ。……それにしても、良い趣味をしているのね。よく似合っているわ」

「オレじゃない。ナルトの見立てだ」

 自分では服装のことなどよくわからないし、あまり興味もない。

「それはそれは……この期に及んでよくもまぁ」

 大蛇丸は手で口を隠して含み笑いをする。

 サスケの社交性は皆無で、同期とのつながりもあまりない。ナルトやヒナタ、家族以外との交流といえば、この大蛇丸とカカシくらいしかないかもしれない。

 

 木ノ葉隠れの里で最も大きな神社での神前式。ナルトはさておき、白無垢姿のヒナタは誰もが見惚れるような息を呑む美しさだった。サスケはただ、二人を眺めていた。

 

 神社の隣の広場で披露宴が行われる。式とは雰囲気が変わって洋風の小洒落たビュッフェスタイルのガーデンパーティが始まった。  

 特に司会進行はなく、宴会のようにゲスト同士が各々立ち話を始める。

「うちはサスケ様、よろしいでしょうか」

 パーティのスタッフらしい男がサスケを呼び止める。その手には紅い大きな花弁が美しい花が二輪。

「こちらを新郎と新婦へお渡しください。タイミングはいつでも」

 それだけ言うと男は去っていった。ナルトがこの衣装を自分に贈ったのは、こういうことも考えてのことだったのだろうか。

 ナルトの交友関係は広く、里の内部はもちろん外部の忍も招待されているためゲストの人数はかなりの数だ。新郎新婦の姿もここからは見えない。

「行ってきたら?」

 そのやりとりの一部始終を見ていたカカシはポンポンとサスケの背中をたたく。

 ナルトはどうやらサスケから花を受け取りたいらしい。ヒナタにも渡してほしいようだ。その理由はいくらか推測できる。単純に祝ってほしいから。もう一つは、サスケに対する周囲の目を気にしているから。

「……ウスラトンカチが」

 小さく嘆息し、サスケは二人がいるであろう方向へ足を向けた。

 

「サスケ!」

 ナルトが大きな声を挙げたため、二人を取り巻いていた同期たちの視線がサスケに注がれる。

 ナルトはまるで飼い主を見つけた犬のように駆け寄ってきた。

 新郎らしい白いモーニングコートのブレストポケットに、手に持っていた紅い花を一輪添える。

「これでいいか?」

「ありがとな。来てくれて」

「ヒナタにはお前から」

「サンキュ」

 ナルトは紅い花を受け取りヒナタのいる方へ向くが、もう一度サスケの方を振り返る。

「お前も来いよ」

 手を掴まれる。

 サスケの出立ちは洗練されており、その持ち前の美貌も合間って人の目を惹きつけていた。顔立ちが女性的ということもなく、体格も男性のものでとても華奢とは言えないが、通常の男性にはないような言いようのない魅力がある。その手を新郎が握って連れて行くものだから、多くの人がその様子をうかがっている。

「改めてナルト、ヒナタ、結婚おめでとう」

「サスケくん、ありがとう」

 ヒナタはふわりと微笑む。そのやりとりは、何も知らない者たちにとっては特に深い意味をもたない形式上の会話のように見えるだろう。しかし、周囲にいるのは同期やナルトをよく知る者たちだ。二人のやり取りを固唾を飲んで見守っていた。

「ヒナタ、少し屈んでくれってばよ」

「はい」

 ナルトはサスケの渡した紅い花をヒナタの髪につける。

 どうも何事もなさそうな雰囲気に同期たちは胸を撫で下ろし、サクラは新たに加わってきたサスケに話を振った。

「サスケくん、今日の服装すごく素敵ね」

「それ私も思った〜。やっぱ顔がイイと違うわね」

「……こういうのはよくわからない。アイツが勝手にしただけだ」

 そのサスケの発言に場の空気が固まった。

「そーなんだって。サスケってばこんなナリして服装とか全然興味ねぇから、こういう時はオレが見立ててやんねぇとな」

「ふふっ、ナルトくんって意外とセンスいいもんね」

「サスケのことはオレが一番わかってっからな」

 なんなんだこの新婚夫婦の会話は。誰もがそう思った。

 不意にナルトが揃いの紅い花をサスケに差し出す。

「なんだこれは。新郎新婦と同じ花なぞ付けれるか。ドベ」

「親とかはつけたりするってばよ」

「オレはお前の親族でもなんでもない。はぁ……もういい。よこせ」

「おう」

「ヒナタ、少し屈んでくれ」

 サスケはナルトの刺した紅い花の横にもう一つ加えた。

 以前は、妻を娶り、子をもうけたこともあった。そうして本当の気持ちに向き合うこともなく選んだ道を歩くのは、想像以上の苦痛を伴った。そして今回は同じ道を辿らぬよう、別の選択をした。結果として、惚れた男は同じように妻を娶ったが、自分は生涯一人でいることを決めた。そう決めたはずなのに、ヒナタはサスケを離そうとしなかった。ナルトのために。二人を見ていると、チクリ、チクリと心を針で刺されるような、ありもしない痛みを感じることもあるが、あの頃の苦痛を思えばなんてことない。それに、この痛みはおそらくヒナタも同じように感じているのだろう。

「綺麗だな」

 サスケの顔を見上げると、返ってきた言葉は意外なもので、ヒナタは目を見開く。驚いたのはヒナタだけではなく、ナルトやその他の参列客も。サスケは微笑を浮かべ、その場をあとにした。

 

 

「おつかれさん。……さっきより顔色いいね」

「顔色?」

「一言で言うなら死にそうな顔してたよ。……吹っ切れたか?」

「吹っ切れた?」

「だから、お前ら別れたんじゃないの?」

「別れる?」

「え?……ナルトと別れてないわけ?」

「そもそも元から付き合っていない」

「は?」

「将来一緒になれるわけでもないだろう」

「あー……。そうだけどさ」

「二人の婚姻はオレも望んでいたことだ。ヒナタ以外はありえない」

「お前らってホントよくわかんないね」

「そうだな。三人でいると、よくそういう話になる」

 サスケはくすりと笑った。カカシは小さく嘆息する。三人の関係はどうも単純ではなくかなり複雑なもののようだ。おそらく本人たち以外は理解し難いものなのだろう。




ナルトの行動が意味不明ですね!色んな意味があるんですけど!書き表せません!
後日修正すると思います。
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