追放されたので隣国乗っ取って取り返しに行く系王女   作:サイリウム(夕宙リウム)

18 / 19
18:謁見ですわ!

 

「な、なんとかなりましたッ!!!」

 

「いやほんとよくやりましたわね、うん。」

 

 

死屍累々なお針子さんたちと、肩で息をするジェーン。

 

その代償として、ワタクシの前で輝く一着のドレス。

 

 

(えぇっと、この子達ものの十数日で間に合わせちゃいました。……ヤバくない?)

 

 

ワタクシたちが国から逃げ出してちょうど3か月。

 

案の定王都からのお呼び出しを受けた私達は、すぐに出発し何事もなく到着。そのまま王城に連れてこられ、色々と準備をしている所になります。どうやら各地の有力諸侯を集めて会議する感じの奴がちょうど開催するところだったようで、そこにワタクシの授爵式をぶち込む感じのようです。

 

んでまぁこの国の王と、その他貴族の前に立つわけです。最低限の身だしなみを整えるのがマナーですし、礼儀でもあります。

 

ワタクシが持つパワーをもってすれば口を開こうとする貴族全員を物理で黙らせることも可能ではあるのですが、この国での最終目標は『王位の簒奪』に他なりません。王は臣下がいてこそ存在できるもの。国乗っ取った後に兵纏めて母国のサキュバスぶっ殺しに行くことを考えると『コイツには従うだけの何かがある』と周囲に示さなければなりません。

 

有力貴族が集まる場。未来のワタクシの臣下候補が集まるとなれば……、より気をつける必要性はご理解いただけるでしょう?

 

 

(でもまぁ急な話でしたし、此方としては適当なドレスを何処かから買って手直しするか。最悪鎧着こんで『常在戦場です~』って顔しておけば何とかなるって思ってたんですけど……。)

 

 

えぇ、はい。まぁ。ジェーンが張り切りガールになっちゃいまして。

 

あの風呂の時から全力で人を集めて、お裁縫が出来るマダムや職人さんたちが大結集。不眠不休で図を描いて布と糸と格闘して、それでも間に合わないのでワタクシたちと一緒に王都に来て、この王城の中でも阿鼻叫喚しながら作業して……。

 

ようやく完成したみたいなんですのよね。はい。

 

い、いや皆様めっちゃ頑張ってたというか、皆様ワタクシが守ったあの城塞都市で住んでた方ばっかりでしてね? 『守ってくれた英雄様に恩を返すんや!』みたいな感じで張り切ってくださったので止めることも遠慮することも出来ず……。

 

 

「完璧っ! 完璧の仕上がりッ! 気合で裁縫覚えたかいがあったッ!!!」

 

「目ぇガン決まってますわよ?」

 

「さぁさぁアデ様ッ! 着てみてください! いま! すぐ! ここでッ!!!」

 

 

徹夜続きのせいか、それともようやく作品が形になったせいか。

 

目が見開かれテンションぶち上げな彼女。

 

そこまでワタクシのことに熱意を向けてくれるのはありがたいですし、彼女からの想いに応えたいのは山々なのですが……。うん、ちょっと周囲見ようね?

 

 

「流石にお年を召しているといえど殿方の前で服を脱ぐのは……。恥じらいとかは特にないのですが、痴女扱いされるのは嫌です。」

 

「あぁ、うん。席外した方がいい感じかな、アデさん。」

 

「大丈夫ですわ。ウチの者がすみません。」

 

「いえいえ。」

 

「…………誰だテメェ!?!?!?」

 

 

口悪。

 

いや誰って役人様ですわ。さっき入室の許可を求められたからお部屋に入ってもらったでしょう? ジェーンたちはドレスしか見てなかったから気が付かなかったみたいだけど、さっきまでこの方と色々お話してましたわよ?

 

 

「え、そうなの?」

 

「そうなの。」

 

「……頭ぶん殴ったら記憶消えますかね?」

 

「少なくともご本人の前で言う事じゃないと思うわ。」

 

「物騒だね君たち。」

 

 

そう返してくる人当たりの良い高齢の男性。先ほど説明したようにこの国の役人、官僚的な感じの人になります。

 

まぁ細々とした振る舞いに“貴族特有のソレ”があることから確実に単なる役人ではないのでしょうが……。此度の授爵式のアレコレ、そのすり合わせに来てくれた方ですね。確かにワタクシは王族ですが、対外的にはただの傭兵です。あちらからすればただの荒くれものであるこちらが作法を知らずに恥をかかないように。もっと言えば『あいつら作法全く解ってないぜ、ぷーくすくす!』とか笑いやがった貴族を勝手にぶち殺されないようにするための予防策みたいな奴。こういうのをしに来てくれた方です。

 

ワタクシとしても国の手順と若干違う所がありましたので、事前に聞くことが出来て良かったのですが……。

 

 

(ま、見極めでしょうね。)

 

 

うまく隠していらっしゃいましたが、“こちらを探る眼”は誤魔化せません。

 

かなり寂しくなっている頭部と、節々から見受けられる丁寧な所作。確実に高位貴族の方でしょう。“役人”としてワタクシたちの目の前に現れたことから『王派閥の人間』であることは確実でしょうが……。実際は大臣、もっと言えば宰相レベルの御方。ストレスを感じさせる頭皮がソレを表しています。

 

まぁそれと、部屋の周囲や天井から潜めた呼吸音が複数。完全にプロの反応が幾つかあることからも彼が要職に就いていることが解るでしょう。……あ、ようやくジェーンも気が付きましたね。普段通りの顔してますけど、内心滅茶苦茶パニックになってそう。おもしろ。

 

 

(こちらを探る、もっと言えば“テストする”感じのお言葉が多かったですし、色々見られていたのでしょうね。……ま、想定内ですけど。)

 

 

現在のワタクシたちは単なる傭兵。その功績から爵位を与えるのは確定ですが……、彼らからすればその扱い方は熟慮しなければなりません。

 

確かにこの国、ドンエーニュ王国からすれば武力は欲しいでしょうが、無能な味方ほど恐ろしいものはありません。手元に置いて上手く使うか、最前線において勝手に死ぬまで扱き使うか。その判別をしに来たのでしょう。

 

けれど皆様ご存じの通り、ワタクシは王族です。

 

確かにこういう腹芸は得意な方ではありませんし、ウチの妹。次女が得意としていたので大体まかせっきりでしたが……。出来ないわけではないのです。あちらが求めるであろう“英雄像”を推察し、それに合わせ整えていく。その調整を見抜かれたとしても、それは『こちらが相手の要求にこたえる意図、そしてそれを察する能力がある』ことを示すことになります。

 

解ってしまえばこっちのもの。コレぐらいなんともありませんわ~!

 

 

「……と、何処まで話しましたかな?」

 

「一通りご説明いただき何か質問があれば、とのことでございました。ワタクシといたしましては大変丁寧にご説明いただけたおかげで十分に理解ができたと感じております。……ただこのような場は初めてでして、少々緊張しておりますが。」

 

「それはそれは。……自身としましても“周囲の方々はお気になさらず”とお伝えしたい所なのですが……。」

 

「ふふ。先達の皆様に恥じぬよう、精進いたしますわ。」

 

 

……うん、悪くないですわね。

 

彼の『王に反発してる貴族結構来てるから色々煩いと思うよ?』という忠告に、良い感じで返すことが出来ました。無論演技も手を抜いておらず、傭兵らしい荒さを隠しながら精一杯貴族っぽい話し方を頑張る感じ、そして今後への不安が隠し切れていない様子、まさに完璧な偽装が出来たはずです。しかも相手の感触もかなり良いですし、“上手く使える”と判断されたことでしょう。

 

まぁ正確に言えば彼らが“使う”のではなく、ワタクシが“骨の髄まで利用する”のですが……。その辺りは今後のお楽しみということにしましょうか。

 

 

「っと、そろそろ自身は退散すべきですな。ご婦人の部屋に長居して申し訳ない。この辺りでお暇させて頂きましょう。」

 

「えぇ、お手数おかけしました。」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

(アデ様~~~! な、何で教えてくれなかったんですかッ!!!)

 

(いやだって正気じゃなかったでしょう?)

 

(そ、それはそうですけどッ!)

 

 

王城の中を歩きながら、視線と小さな表情だけでジェーンと意思を交わします。

 

この子とは結構長い付き合いですからね。偶に読み間違えるので言葉でやり取りした方が確実なのですが、こんな“周囲の視線が多い”場所などではこうやって口を開かずともやり取りが出来たりします。ふふ、これも王女としての基本スキルですわよ!

 

……にしてもまぁ、好奇の視線が多い事多い事。

 

 

(仕方ないんじゃないですか? 何て言ったって出来立てホヤホヤのドレスですし!)

 

(違うと思うわよ? ……まぁ良い出来なのは認めるけれど。)

 

(でしょー!!!)

 

 

いつもより大きく口角を上げる彼女に、少しだけため息をつきます。

 

今回彼女が用意してくれたドレスは、黒地に赤の刺繍が入ったもの。新参者の小娘があまり華美な装いをすれば咎められるだろうという想定に応えてくれたものになっております。ワタクシが王女時代に着ていたドレスは“次期女王”として振舞わなければなりませんでしたので、フリルとかの装飾を増やしたり一族の紋章をあしらったりしていたのですが……。

 

 

(今回はそういうの一切なし、上半身は体に合わせ、下半身のスカートの開きも控えめ。けれど全体に薄っすらとですが赤の刺繍を入れることで派手さを抑えながらも質を保つというかなり気合の入ったドレス。)

 

(こことかこことかこことか! 私が縫ったんですよ!!!)

 

(あぁうん、ありがとう。でもね?)

 

 

この刺繍の意匠ってさ、どう考えても“返り血”……。

 

あ、やっぱりそうなんだ。

 

い、いやいいんですよ? 赤は我が家、ランカステル家の色ですからなじみ深いですし、お気に入りの色です。ワタクシが得意とする火魔法の色と同じですしね? それにデザイン元に困った職人の皆様が“あの戦闘”を思い出して返り血とかそういう暴力的なイメージを参考にするのもまぁ解るんです。彼らからすれば鮮明に焼き付いてる記憶でしょうし。でもそれを黒の生地に合わせるのはちょっと解り過ぎるというか、赤が余計に目立ってすぐ“返り血”に気が付いちゃうというか……。

 

あ、自傷で腕炭化させてたの見てた職人さんがいたのね? それでなんか次の日には戻ってたからそこに神秘性見出しちゃって黒で押し通しちゃったのか。

 

あぁうん、それなら仕方ないわね。うん……。

 

 

(8000の敵兵1人でぶっ殺した奴が返り血イメージのドレス着て授爵式行くとかヤバくない? 蛮族の王が人骨で出来た鎧着ていくようなもんじゃない? い、いやまぁ着心地は良いし、作り手のこだわり見えるから嫌いじゃないけどさ。色々と、うん……。)

 

(も、もしかして。だめ……、でした……?)

 

(……捨てられそうな子犬の顔で見るのは反則では???)

 

 

そんな見たこともない可愛い顔してッ!

 

あぁもう解りました! これでやればいいんでしょこれでやれば! ワタクシの気質はさっきの役人さんを通して“陛下”にも伝わってるだろうし、こういう“演出”って割り切ればいいんでしょ! やってやりますよコンチクショウッ!!!

 

そう心の中で叫びながら、ゆっくりと。そして確実に思考を深めていきます。

 

この後に行われる謁見の手順は既に確認済みですし、その時に行うべき演技の用意も整っています。さっきの役人さんからある程度王の人となりは聞き出せましたし、その辺りは問題なし。となると残っているのは……。

 

 

(そのほか有力貴族。……もう少し情報を集める時間があればよかったのだけれど。)

 

 

先程ジェーンが見当違いのことを言ってきましたが、やはりワタクシたちは“見られて”います。

 

まぁ現在王と諸侯が集まる場所。所謂王座の間に向かっているわけです。そこに行くまで警邏の騎士やメイドに見られるのは理解していたのですが、それにしても多い。

 

 

(この感覚、王宮が少々汚染されていますわね。)

 

(……“諜報員”ですか?)

 

(えぇ、その通り。)

 

 

“スイッチが入った”ジェーンの言う通り、その可能性が高いでしょう。

 

そも騎士やメイドというものは、各貴族が王家に推薦することで雇用されるものです。王族という尊きものに仕えるにはある程度の作法、一定の教育を受けた存在でなければ務まりません。そしてこの時代に於いて“教育”などというコストを払えるのは貴族ぐらい。ここにいるワタクシたちに視線を向ける大半が、何処かの貴族家の出身でしょう。

 

そしてその騎士やメイドたちは……、総じて実家に“告げ口”を行います。早い話、スパイですわね。国が成立する際に一番強い力を持っていたからこそ、王になるのです。時代を経て弱体化したとしても、その権威や積み上げてきた歴史というのは無視できないもの。より上手く利用するために自身の配下を騎士やメイドとして送り込む、ってやつです。

 

ま。王家に力が残っている場合は独自の教育機関などを作り、王宮が汚染されないようにするでしょうが……。どうやらここ、ドンエーニュ王国は違うようで。

 

 

(ウチの国、エンラード王国では全員子飼いだったからちょっと新鮮です。)

 

(でしょうね。……母上が色々してくれたおかげね。あの人『大きな功績が無い故に歴史書には残らないが確実にその後の発展の土台となった』ってタイプの君主だから。)

 

(細かい所に手が届くお人でしたものねぇ。)

 

 

まぁ母上の場合、その境遇が影響してるんでしょうけど……。っと話がズレましたね。

 

そんなわけで滅茶苦茶注目されているわけですから、こうやって言葉を交わさずに話してるってわけです。どこの貴族もワタクシの情報は欲しいでしょうからねぇ? “お犬”の皆様は主人に良い顔をしてもらうために頑張り、此方はそれに備えて口を開かずに話しているというわけです。

 

……っと、そろそろですか。

 

色々と考えていると、ようやく見えてくる大きな扉。周囲と比べより華美な装飾が為されており、幾人もの騎士が整列している特別な場所。王座の間へと続く扉でしょう。あの先にはこの身が乗っ取るべき王座に座る者がいて、我が臣下に成り得る貴族たちが居る。確かに今一番身分が低いのはワタクシですが……。いずれ全てひっくり返るのです。

 

今はちょっとしたロールプレイを楽しむとしましょうか。

 

 

(……やっぱり側付きは入れない感じみたいですね。口惜しいですが、ここで待たせて頂きます。せいぜいこの国の奴らの度肝を抜いてください、我が主。)

 

(今日は大人しくするつもりですが? ……ま、頑張ってきますわ。)

 

 

ワタクシから離れていく彼女にそう返しながら、何事もない様に。けれど緊張のせいかどこか固さが見える様に前へ前へと歩いて行きます。

 

こちらの存在は彼らにも伝わっていたのでしょう。整列している兵士たちはその役目からか一切身を動かすことはありませんが、門近くに立つ者たちはこちらに頭を下げてくださいます。慣れていないように軽く会釈を返せば、小窓を通して中にいる者とのやり取り。すぐにその準備へと取り掛かってくれます。

 

それで細々とした手続きが終われば……。

 

 

「……よろしいでしょうか?」

 

「えぇ、よしなに。」

 

「畏まりました。……英雄“アデ”様がお入りに成られます!」

 

 

声量を抑えながらもよく響く声。それと共にゆっくりと王座の間に続く扉が開いていきます。

 

この辺りの所作は国によって色々と違ってくるようで、扉が完全に開き切るまでこちらは待たなければならないそうです。それゆえに中にいる者たち、とくに貴族たちの顔色を窺いその反応を確かめてみますが……。

 

 

(利用2割、疑い3割、拒否3割。残りは無関心ってところですか。)

 

 

どうやら相当に王家の力が下がっているようで、王派貴族らしい一団からもあまりよくない視線ばかり飛んできています。

 

まぁ確かにどこぞの馬の骨が尊き血で構成されたこの場所に足を踏み入れること自体が受け入れられないでしょうし、一人で8000消し飛ばすとか普通ならば眉唾です。こうなるのも仕方のないことでしょうが……。王に属するはずの貴族ですら“それを表に出している”のはあまりよくない状況でしょう。

 

その真偽がどうであろうとも、王という自分たちの派閥の長がそう決めたのであれば、従わなければいけないのが常です。けれど王が同じ場所にいるというのに表情を作らないのは“嘗められている”に他なりません。罰する力が残っていないがゆえに、そうなっている。

 

 

(王自体の求心力が無いのか、王権が落ちているか。……乗っ取る前にある程度回復させる必要がありそうですね。)

 

 

そんなことを考えながら。扉が開き切ったのを確認してから、より前へと進んで行きます。

 

我が国では王が一番最後に場に入るのですが、どうやらこの国では一番最初に王が中に入るようで、入るのが遅ければ遅いほどに新参者で重要視されない存在となるそうです。けれどワタクシが軽視されているわけではないらしく、役人さんからは『本来会議などが始まった後は緊急時以外入室が不可だが、そこを変更し開始後に入室することで特別感を演出する』と聞いています。

 

なのでまぁあらかじめワタクシという存在への説明などは粗方終わっていると思うのですが、それなのにこの反応。ちょっと面白くなってきました。今後は王派閥の貴族、その暴力担当として振舞っていくことになるでしょうし……。ぶっ殺しリストに大量の顔を刻み後の功績稼ぎのことを考えていると、ようやく“かの存在”が視界に入っていきます。

 

どんな顔をしているのだろうと、バレないように覗き見てみますが……。

 

交わる視線。

 

そしてあちらが浮かべるしたり顔。

 

 

 

(…………あらあら、思ったよりおチャメな方の様で。)

 

 

 

自身の視界に映るのは、“先ほど見た役人の顔が、王座に座っている”というもの。

 

えぇそうですね、この国の王様が役人の振りしてこっちを窺いに来てたわけです。

 

……お前暇なんか?

 

とと、此方も“お返し”しませんと。

 

急いで場に合わせ即座に呆けた顔を作り、次の瞬間に酷く不安そうな顔。そしてその感情が外に出ていることをようやく気が付いた顔を作り、元のすまし顔。けれどどこかぎこちないものを張り付けておきます。

 

正直驚きはしましたが、このような場で感情を表に出さぬよう滅茶苦茶矯正されてますからね、ワタクシ。こういうの仕掛ける人って解りやすいほど驚いた方がウケがいいのでこうしますが、普段のワタクシだったら“無”の顔浮かべてますわよ? マジで。

 

……早い話、ご自身で見極められたかったのでしょう。

 

事前確認ぐらい幾らでも代わりはいたはず。むしろこちらは歩く戦略兵器です、常人ならば近寄りたくないでしょうし、王が近寄ろうとすれば止めるはず。けれどそれを押し切り実行し、あの部屋の周囲に大量の護衛を張り付けながらも、王の仮面“は”ワタクシに気取らせなかった。

 

 

(少なくとも今の御仁は、王として認められるだけの覇気がある。)

 

 

この身やワタクシが尊敬する母上、現エンラード王国女王と比べるといささか劣りますが、やはり纏う雰囲気は王のモノ。けれどあの場ではそれを抑え、少なくとも“役人”として見せていた。そしてこの王座の場で正体を明かすことで、一定の格付けを行おうとした。ワタクシと王の間に一定の上下を植え付け、同時にこの“催し”を以て王への親近感を植え付ける。

 

見るからに落ち込んでいる王の力を復活させるのに使えるかどうかを見に来た、というのもあるでしょうが……。

 

どうやら酷く食えないお方のようで。

 

 

「よくぞ参った、我が戦士アデよ。」

 

「光栄に存じます、陛下。」

 

 

その場に跪き、王座からそう投げかけてくる陛下に言葉を返します。

 

……ふふ、まぁそれぐらいしてくれなければ困るのです。何事にも速さは肝心で、それを為すには全て簡単な方がいい。そう言う方もいらっしゃるでしょうが、どれだけ素早くコトを起こせたとしてもつまらなければ何の意味もないのです。

 

障害は多ければ多いほど、乗り越える楽しみが出てくるというモノ。

 

大陸ゆえに地続きで、周辺は敵ばかり。こちらは新参者で、他の貴族の協調性は無し。自己の利益しか見ておらず、力を見せても利用するどころか信じない者すらいる始末。さらにそれを纏める王は“この貴族を纏め国を維持する”ことが出来ているだろう狸。

 

単に奪い取るよりはそちらの方が面白くて何倍もいい。

 

 

さぁ貴方も、ワタクシを楽しませてくださいね?

 

 

 






〇ご挨拶

これにて本作を一旦の完結とさせて頂きます。
幕間代わりとしましてジェーンの過去編、現在のアデ様たちの母国の様子。この2話を作成予定ではありますが、それ以後の執筆予定はございません。またこちらの幕間も諸般の事情により、急遽製作が中止となる可能性があることをご留意頂ければ幸いです。
これまでの応援大変ありがとうございました。あなたちゃんの次回作にご期待ください。多分マッドサイエンティストの怪人スライム女が異世界で暴れる話を書くと思います。倫理観が無い奴です。

ただ、何かの間違いで日間1位などを頂けるのであれば再開するかもしれません。

ワタクシに高評価を捧げるのですわ~!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。