ダンジョンへ拉致してきた美少女ケモミミ幼馴染がしっとり激重感情抱えてた件~ドロップアウトガールRのばあい~   作:IXAハーメルン

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第30話

 一週間たって、クレアちゃん達は未だに協会へ足を運んでいた。

 二週間たって、やはり四人はいた。

 そして一か月経った今――

 

「ぷん!」

「んぇ~……クレアちゃーん……」

 

 クレアちゃん達は、未だに協会へ来ている。

 相変わらず嫌われたままのボクは静かに涙を流した。

 

「いや色々使ってみたけどトンカチまーじ最強じゃね? 安いし!」

「ナタぱわ~!」

「でもでも! ライトで目くらましするのも結構いいかも!」

 

 クレアフレンズの三人ともすっかり仲良くなった。

 今彼女たちは羽兎狩りに勤しんでいるらしく、四人で協力して追い込むことで確実なハントをしているようだ。

 

「羽兎かぁ……懐かしいなぁ、ボク最初の頃は怖くて全然近づけなかったよ!」

「でもでも! 今はもっと強いモンスターと戦ってるんですよね!?」

「うちらも他のモンスターと戦いたいのになぁ! でも中々レベル上がんないしさぁ」

「土日だけだからむり~」

 

 聞けばみんなのレベルは平均して5ほど、やはり土日くらいしか時間に余裕もなく、毎週ってのも難しいのもあって中々レベルが上がらないのが悩みの様だ。

 そっか、みんな学校あるもんね! ……ボクだって学業があるはずだって?

 ワハハ。

 

「あっ、巣穴には近づかないほうが良いよ! おっきいサソリに刺されるかもしれないし!」

「一回戦ったけどクレアでも攻撃通らなくてマジウケたわ!」

「せんりゃくてきてったい~」

「あ~、関節狙うと結構柔らかいんだけどねぇ」

 

 危険だと思えばすぐ逃げる、基本だけど四人はちゃんとそれに従って行動してるようで一安心。

 これならみんな無理はしないだろう。

 

「お、きたきた」

 

 腕元で血圧計、もといレベル計測装置が電子音を上げる。

 ボクはゆっくりと腕を引き抜いて液晶を眺めていると、横でフレンズの三人がにょきっと一緒に覗き込んできた。

 

「レベル53!? マジヤバじゃん!」

「うそうそ!? すっごーい!」

 

 ……ふっ、ちょっと優越感。

 

「ふふん、まあ普通よふつー!」

 

 今日のボクはイケてる先輩なのだ!

 

 ニヤついた顔をきりっとしつつ、ボクは備え付けのパンフレットを抜き取って近くのソファに座り込んだ。

 いつもの冊子、ここいらのダンジョンが紹介されているアレだ。

 

「おのあの、もしかして他のダンジョンに行くんですか?」

「りっさんが行ってるのって何とか植物園っしょ? どしたんすか?」

「まーマンドラゴラ狩りも悪くないんだけどねぇ」

 

 ここ一か月、つまりクレアちゃんが突撃してきたあの日から、ボクたちは基本的にマンドラゴラの繁茂する『大西地区特定植物園』で戦ってきた。

 まあたまに輝良がスライムで遊びたいっていうから最初のところ行ったりもしたけど。

 

 丁度輝良が今換金に行ってるけど、まずマンドラゴラの魔石は個体でばらつきがあるけど、黄マンドラゴラで百円前後、白なら二百円近くつく。

 ゴーレム一体を構成するのでも数十匹はいて、三体も狩れば一日の稼ぎとしては十分以上だ。

 しかし問題が最近浮上してきた。

 

「最近見つかるマンドラゴラ減ってるんだよね」

「マジ!? ダンジョンのモンスターって減るんすか!?」

「ねー意外でしょ、ボクも最初は疑ってたんだけどさぁ、間違いなさそうなんだよね」

 

 そう、問題はあれだけいたマンドラゴラたちがすっかり減ってしまっていることにある。

 勿論あのダンジョンは周囲が無数の山に囲まれている、掛けられた橋を渡ったり、他の山に登っていけばいくらか群生地を見つけることはできた。

 だが結局のところそこでゴーレムを倒せば数日で枯れ、次の狩場を見つけなくてはいけない。

 

 ダンジョンってゲームみたいに無間湧きだと思ってたけど……結構現実的なんだよなぁ。

 別にもうダンジョンを遊びだって侮ってるわけじゃないけどね!

 でもなんか不思議なんだよなぁ、細かなところで現実世界と同じってのが特に違和感だ。

 

「そろそろレベルも上がり辛くなってきたし、気分転換にもなるから次のダンジョン探そうと思ってさ!」

「ぼーけんしゃだ~」

 

 はっはっは!

 褒めたまえ褒めたまえ!

 横で輝良とかいうやべー女が暴れ回ってるせいで、基本落ちてるボクの自己肯定感がぎゅんぎゅん上がっていくのを感じるぞ~!

 

「え、も、もう次のダンジョンに行くの!?」

「おあ!? く、クレアちゃん、ま、まあちょっと、ね?」

「もうそんなに強くなって……!」

 

 いつの間にか背後に彼女が立っていたことに気付かず、ボクは思わず肩を竦めあがらせてしまった。

 三人に聞いたところ平和主義に服を着せたようなこのボクは、大好きなお姉ちゃんを誑かす悪女として扱われているらしい。

 このままだとボクは一体どこまですさまじい人間になってしまうのだろうか。

 

 いい子だし仲良くしたいんだけど……ずっとつんつんされてると、ちょっとボクも凹むというか……さ。

 う、めちゃ睨んでる……怖いよぉ。

 

「皆もう行こう!」

 

 ぷんすこといった言葉が相応しく、足音荒く入口へと向かう彼女。

 

「……マジな話クレア、平日も一人でダンジョン入ってるみたいなんすよねー」

「強くなりたいってずっと言ってて~最近むちゃしすぎ~」

「うんうん、最近怪我も多いよね!」

 

 彼女についていく最中、三人がこそっとボクに耳打ちした。

 

「それ、ちょっとヤバくない?」

『ほんとに!』

 

 一抹……いや、百抹くらいの不安が脳裏によぎった。

 

 自分で悩んで、抱えて、いつの間にか一人で解決しようとして。

 クレアちゃんはそんなあの夜悩んでいた輝良そっくりだった。

 

「いやなところで姉妹似てるんだなぁ……」

 

 こりゃまいった。

 三人は優しいから今もこうやってクレアちゃんについてきてくれているけれど、もし少しでも何かがあったら分からない。

 そして仮に三人がもしクレアちゃんに見切りをつけたら……きっとあの子は、踏みとどまるべきラインを易々と越えてしまう。

 

「よし、おねーさんに任せなさい!」

『おおっ!』

 

 さすがに見過ごせない、かな。

 それにきっと、あの子に何かあれば輝良は悲しむ。

 別に、なんて言いながらさ。

 

「ボクのアカウント教えるからさ、何か心配なことあったらすぐ連絡してよ! もーいつでもどこでも駆けつけちゃうから!」

 

 ボクはリュックからスマホを取り出すと、三人に向けて急いでQRを見せつけた。

 

「了解っす!」

「いぇっさー!」

「わかりました!」

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