ダンジョンへ拉致してきた美少女ケモミミ幼馴染が長年ドロドロ激重感情抱えてた件~ドロップアウトガールRのばあい~   作:IXAハーメルン

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第47話

 そうしてクレアちゃんをめぐるダンジョンの崩壊事件は解決した。

 鬼灯さんはさすがトップクラスの実力者と言われるだけはあって、近寄るモンスターはもはや一般人が気付くより早く駆逐、大掛かりな救助班が到着するまで完全な安全が確保されていた。

 むしろ下手したら外で普通に暮らすより安全なんじゃないか、なんて思うほどに。

 

 大怪我を負ったボク達も一応精密検査を行い帰宅……と、同時に、家の前にパトカーが鎮座。

 

「狐天輝良ちゃんと谷百合律ちゃん、高校二年生で学校をサボって探索者として生活中、ね。中々非行してるじゃないの」

 

 二人仲良く連行。

 そして今に至るわけである。

 

「妹の友達が崩壊現象に巻き込まれてダンジョンに突撃、無事救助ってわけね。怪我は大丈夫か?」

「協会の方から回復剤を貰ったので」

「通りで……ま、それは良いとして」

 

 警察官の彼が深々とため息をつき、手にした資料をテーブルへと投げた。

 

「そりゃ逸る気持ちは分かるよ? 分かるけどねぇ君達……危険すぎるし、警察の物品を勝手に持っていくのもいただけないなぁ」

「すみません……」

 

 ボクたちの目の前に転がるのはレベル計測装置。

 勿論まだちゃんと動くよ? リュックの中に入れてたし、ちゃんと結界内に置いてから戦いに行ったからね!

 ……まあ、そもそも輝良が勝手に持ってきたものだから怒られてるんだけど。

 

「まあ事実として? 君達のおかげで被害者が大幅に減ったのは良かったけれどねぇ」

「どーいたしまして」

「こら輝良! 調子乗らないの!」

 

 もー、気が抜けたらすぐにこういう事しだすんだから!

 

 ダブピを作ってるアホをぺしぺしと叩く。

 輝良の様子に説教する気も失せたのか、警察官は呆れた顔で天を仰いだ。

 

「……いや本当にねぇ、俺の立場としても注意せざるを得ないわけだから、少しは反省の態度をだねぇ」

「すみません! 輝良にはもう、もうほんっと言い聞かせておきますから!」

「クソ、やり辛えなぁ……嘆願書も大量に届いてるし、俺も君たちの立場ならきっと同じことをしてただろうし」

 

 眉間にしわを寄せ男が呟く。

 思いもしない言葉が出てきたことにボクは疑問符を浮かべ、彼にいったいどういう事だと質問を投げた。

 

「あー、どこから話が漏れたのか分かんないけどね、君達を罪に問わないでくれってのがいっぱいさ。まあそもそも今回は厳重注意だけなんだけどね」

 

 もうやめだやめ! と彼はパイプ椅子から立ち上がると、スマホを取り出して扉へと歩いていった。

 

「君達もおなか減ってるでしょ、何か出前頼むけど俺のおごりで食べたいのあるか?」

「かつ丼!」

「あ……じゃあボクも同じヤツで」

.

.

.

 

「へえ、狐天ちゃんからの誘いでダンジョンに」

「そうなんです、もーホント色々あったんですけど……やっと基質励起も出来るようになって!」

 

 輝良が実家から飛び出してきてからはや二か月、多くの経験をした。

 実力不足を感じながらもなあなあで過ごした最初の頃、全てが巡り巡って致命的な怪我をした日、戦うための力を求め、ついにボクは『基質励起』にまで至った。

 ようやくボクはいっぱしの戦う力を手に入れたのだ。

 

 こんこんと今までの出来事を語るボクの横で、輝良はもりもりと無言でかつ丼を平らげていく。

 まあ当然だ。なにせザクロちゃんから連絡があってからというもの、ほぼ飲まず食わずで戦い続けて、ようやく帰ってきたと思ったらこの場への連行である。

 ボク自身も大方話終わったので、目の前の丼へと手を伸ばしてがっついた。

 

「基質励起、ああ、確か探索者の使う魔法の呼び方だっけか。どんなのが使えるんだ? 見せてくれよ」

「けふ。わたしは紫の炎」

「……随分小さいな?」

 

 輝良が自分の割りばしの先へと狐火をつけた。

 だが警官が言う通り、それはもはやマッチだとかそのレベルの火力だ。普段使う炎とは比べ物にもならない。

 獣を焼き払い、マンドラゴラを焼き飛ばしたあの狐火は一体どこに行ってしまったのか。

 

「ダンジョンの外だと力が弱くなる、ふだんの百分の一くらい」

「え、そうなの!?」

「りつ、知らなかったの?」

 

 そりゃさっき初めて使えるようになったんだからね!

 そういえばあんたが外で使ってるの見たことなかったな、そういう事だったのか。

 

「谷百合ちゃんの力は?」

「あー……はは、輝良ほど派手じゃないんでちょっと」

「そうかい、残念だな」

 

 冷や汗を垂らして頭を掻くと、彼は残念そうな顔を浮かべ自分の丼をつつき始めた。

 

 冷静に考えてボクの能力、つまり体を今まで摂取した毒にするってのはなんだかこう……すごく地味だ。

 なによりそう、これ自分で言っていいのか分からないけど……毒能力って敵の使う奴じゃん! なんか違うんだよなー! もっと派手な水だとか雷だとか、そういうのを望んでたのに!

 

 戦いの熱が醒めてからというもの、ボクは自分の魔法のなんかこう、なんとも言えない微妙さに、頭をよぎる度渋い気持ちになってしまうのだ。

 輝良ずるくない? 火とかもう完全に主人公じゃん、なんかちょっと紫がかってるけど。

 

「ま、二人とも反省したなら次からはせめて近くの警官に相談してくれよ。それと飯食い終わったら帰りな、丼はそのままでいいぜ」

 

 彼は自分の丼を勢いよく掻き込むとあっという間に食べ終わり、書類整理があるとだけ言って扉から姿を消した。

 しかしすぐに戻ってくるとこちらへ視線を向け、窓の外を指差す。

 

「ああそれと、外に女の子たちが待ってるぜ。友達か?」

 

 

「りつねぇ~!」

「へぎゅっ」

 

 署から出た途端、ボクの腹部へ何かが突撃してきた。

 無警戒だったボクは当然尻もち、しかしそれはこちらの様子など気にしない。

 それは一回り、いや二回りほども小さな少女で、彼女はポニーテールの頭をぐりぐりとおなかへ押し当ててくる。

 

「く、クレアちゃん? どうしたのさ」

 

 だがそれで終わらなかった。

 

「りっさーーん!!」

「へ?」

 

 大きな影がボクを覆う。

 

「ぎゃああああ折れる折れる!」

 

 さらにもう一人、ザクロちゃんが突撃してきたのだ!

 女の子二人と言えど人間は人間、地面にへばりついたボクの全身の骨が鳴ってはいけないミシミシとした音と共に、限界を伝える鈍痛が走り始めた。

 

 要するにちょー重い!!

 

「りつ~!」

 

 ついでに輝良も乗ってきた!

 何やってんだこの馬鹿!? アンタ身長デカいし筋肉ある分重いでしょうが!!

 

「わ、わたしも!」

「ルチルもやる~!」

「ぎゃああああああああ!?」

 

 死ぬ死ぬ死ぬ死ぬ!!!!!

 せっかくダンジョンから生還したのに、救助した奴らに押しつぶされて死ぬ!!!

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