白上縁起恋灯絵巻 ミオしゃ√【完結】   作:DX鶏がらスープ

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ここからは過去編ダイジェストと主人公たちの視点の同時進行でお送りします



お出かけ

 

一体どれだけの時間が経ったんだろう

一体どれだけの冥獣ケガレを倒したんだろう

 

分からない

分からないままに走り続ける

 

何故ならそうでなければ飲み込まれてしまうから

この過酷な戦場において生き延びる事ができないから

 

だからスバルは走り続ける

立ち塞がる冥獣ケガレを傷を負いながらも何とか撃退し、倒れた仲間の屍を踏み越えて意地汚くあがき続ける

 

すべては生きて帰る為

大切な友達に広い世界を見せる為

あの子が...ミオしゃが笑って過ごせる世界を作る為

 

だからスバルはもがき続ける

地獄の戦場を気合いと根性だけで乗り越える

敵味方問わず次々と命が消えていく戦場のど真ん中で、それでも命を繋ぎ続ける

 

(負けるもんか!)

 

隣で一体の冥獣ケガレが音を立てて崩れ落ちる

しかし、その冥獣ケガレに止めをさそうと接近した一人の退魔師が別の冥獣ケガレに吹き飛ばされ、そいつもまた別の退魔師が放った光線の前に血飛沫を上げて倒れ伏す

 

そんな風に命が簡単に消えていく地獄の戦場の真っ只中で、血の味を噛み締めながら歯を食い縛って走る

 

だってスバルは言ったんだ

必ず帰ってくるって

約束したんだ

二人で旅に出ようって

 

(だから負けない!

絶対にミオしゃのもとに帰るんだ!!)

 

その想いだけでボロボロの体を引きずりながら戦い続けるスバルだったけど、気が付くと冥獣ケガレの群れに囲まれていた

 

「くっ!?」

 

二重の意味で目眩がする

周りに味方は誰もいない

スバル自身も満身創痍な上に逃げられそうな場所もない

 

完全な詰みの形

だけど、それでもスバルは諦めない

例え1%だとしても、可能性を信じて生き足掻く覚悟を決める

 

「絶対に生き延びてやる!!」

 

そしてスバルは目の前の冥獣ケガレ達へ決死の突撃を強行しようとして

 

「…えっ?」

 

不意に体が軽くなる

気が付くとスバルは突然足元に空いた穴に落ちていて

 

「あ、えっ?」

 

突然の事態に混乱するも、その間にもスバルの体は落下し続ける

その事に気が付いた時には、もうスバルが落ちた穴は遥か遠くへ遠ざかっていて

 

「うわあぁぁぁぁっ!?」

 

落ちていく

落ちていく

落ちていく

 

果ての無い暗闇の底へと落ちていく中でスバルの意識は次第に遠くなっていって…

 

 

 

「ーーあれ?

君もしかして人間?」

 

 

 

目を覚ました時、そこにいたのは頭に妙な突起をつけた少女だった

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

あれから少しの時間が過ぎた

 

僕らが現世に帰ってきたタイミングで冥界の扉マガツトボソは再封印され、一連の騒動は一先ずの終結を迎えた

そしてその後、風真さんの縁で親交を深めたホロックスのメンバー達がこの村に引っ越して来たのだが、その際に博衣さんがとある道具を作ってくれた

 

それは磐ノ斗から出られない白上さんとミオさんの越境を可能にする道具と、目に見えない彼女達と話していても周りから違和感を抱かれなくする道具だ

 

(「お二人からは貴重なサンプルとデータをいただきましたし、改めての冥界の扉マガツトボソの調査でもすごく興味深い結果が出てます!

ですからせめてものお礼です、受け取って下さい!!」)

 

とは、この道具をくれた時の博衣さんの言葉

どうやったのかちゃっかり冥獣ケガレの体表サンプルまで手に入れてホクホクの彼女からもらったそれらの道具は、まだ試作段階ではあるものの効果はバッチリ

そして、これに対して「これで一緒に色んなところに行けるね!」とミオさんも大喜び

 

という事で、早速僕らはこれらの道具を使ってみようと色々と検討をし、結果僕らはこれまで出来なかった街中でのデートに行くことを決めた

そして、目的地を近くで一番大きな街に設定した僕らは、どこに行くかを相談しながら互いにその日を心待ちにしていたのだが、遂に今日その日が訪れたのだった

 

「あ、海斗くん

おはよう」

「おはようございます、ミオさん

待ちましたか?」

「ううん、今来たところだよ」

 

磐ノ斗村の駅

僕らが予め待ち合わせ場所としていたそこの改札口の前で、だけど僕の言葉にミオさんがおかしそうにクスクスと笑う

それを見てどうかしたのだろうかと首を傾げる僕だったが、そんな僕に対してミオさんは舌を出した

 

「…なんてね

本当はもっと前から来てたんだよ」

「え?

もしかして結構待たせちゃいましたか?」

 

だとしたら申し訳ない

そう考える僕だったけど、ミオさんは別に良いよと首を横に振る

 

「うちが勝手にしたことだしね

それに…君を待つのも楽しかったよ」

 

そう言って心底楽しそうに微笑むミオさん

そんな彼女のいじらしい笑顔に少しだけドキマギしていると、「分かりやすいなぁ、海斗くんは」と笑われる

 

「ふふ、それじゃあ行こっか

そろそろ電車が来るんじゃないかな?」

 

そう言ってさりげなく差し出されるミオさんの手

それを取った僕は、彼女に手を引かれるがままに改札を通り、電車へと乗り込む

 

「今日は楽しい一日にしようね、海斗くん!」

 

そんな輝くような笑顔のミオさんと一緒に電車に揺られる事暫し

近くで一番大きな街に来た僕らは、まず自然博物館に行く事にした

 

「ミオさん石好きですもんね」

「あはは、それもあるんだけど、実はうち石は石でも化石は流石に専門外でさ

磐ノ斗じゃ見れないものだし、折角だから一回くらい見てみたかったんだ」

 

そう言って照れ臭そうに笑うミオさん

とは言えそのあたりは心配ない

 

「へぇ、それならその辺りは僕が案内しますよ

小さい頃恐竜とか好きだったので、少し位は分かりますよ?」

「そうなの?

それじゃあお願いしようかな」

 

そんなミオさんと一緒に、僕らは恐竜の化石や珍しい石なんかを見て回る

 

先に聞いていた通り、ミオさんは化石に関してはほとんど触れて来なかったようで、僕が案内したティラノサウルスの化石やマンモスの化石なんかを興味深げに見ていた

逆に地学コーナーの鉱石展示に関してはミオさんの独壇場

これはあれでそれはこうで~、と目を輝かせながら博物館のスタッフ顔負けの解説をするミオさんと一緒に僕も展示品を楽しむ

 

「いや~、やっぱり石は良いねぇ

見てると心が洗われるよ♪

地球に感謝!Thank you for Earth!!」

「ミオさん、なんかキャラがぶれてませんか?」

「ソ、ソンナコトナイヨ?

…でもやっぱり楽しかったな

鉱石コーナーは勿論だけど、まさかこの目で恐竜の化石を見られるとは思ってなかったよ

付き合ってくれてありがとね」

「いえいえ、僕も楽しかったですよ」

 

そんな会話をしながら僕らは自然博物館を出る

そしてちょうどお昼だったので、僕らは近くのフードコートで休憩がてら昼ご飯を食べる事にした

 

僕はうどん、ミオさんはたこ焼き

 

それぞれの食べたい物を買って席に着いた僕らは、先の博物館の感想や次はどこに行くかなどの話題で盛り上がっていたのだが、そんな中ふとミオさんが自分のたこ焼きに視線を落とした

 

「?、どうかしましたか?」

 

その問いに答えず、ミオさんは笑う

 

「…ねぇ、海斗くん

口開けてくれる?」

「え?はい

………って熱っ!?」

 

思わず手元のコップの水を口に含む

見るとミオさんがニコニコしながらつまようじを持っている

そんな彼女のまるでイタズラが成功したかのような笑みに僕はちょっとした抗議の視線を送る

 

「ふふ、美味しかった?」

「ミ、ミオひゃん?」

「ごめんごめん

お詫びにうちにもやって良いからさ」

 

そう言って、ミオさんは自分のたこ焼きとつまようじを僕に渡し、口を開けた

 

「良いよ、食べさせても」

「えっと、でも…」

 

まだ熱いたこ焼きとミオさんを交互に見るも、彼女は良いから良いからと笑う

 

「ほら、今ならやり返せるよ?

うちを同じ目にあわせなくても良いの?」

「ミオさん、もしかしてこれって…」

「さぁ、何の事かな?

それより良いの?

うちの気が変わっちゃうかもよ?」

 

平然とすっとぼけるミオさん

だけど、良く見れば少し顔が赤いし、どこか期待するような目でチラチラと見てくるのだから、僕も覚悟を決めるしかない

 

だから僕は思い切ってつまようじをたこ焼きに刺し、ミオさんに食べさせた

 

「えっと、それじゃあ...

あ、あ~ん…」

「あ~ん♪

…~~~っ!!」

「だ、大丈夫ですか!?」

 

案の定、熱々のたこ焼きに悶絶するミオさん

だけど、ちょっと涙目でコクコクと頷くと、少ししてたこ焼きを飲み下してから笑った

 

「ふふ、やり返されちゃったね」

「もう、あまり無茶しないで下さい」

「あはは

ごめんね、いじわるして」

 

ーーでも憧れてたんだ、こんな風に普通の女の子みたいに過ごす事に

 

そう言ってミオさんは周囲へと目を向ける

昼時のフードコート

たくさんの人々でごった返す光景を見ながらミオさんは続ける

 

「今まではこういう事、中々出来なかったから…」

「…じゃあ、これからはいっぱいしていきましょう」

「え?」

 

驚くミオさんだが、僕からしたら当然の事だ

 

「だって今なら出来るんですから

それならしなきゃ損でしょう?」

「海斗くん…」

「さて、それじゃあそろそろ行きましょうか

今日のデートはまだ始まったばかりなんですから」

 

そう言って僕は席を立つと、ミオさんに手を差し出す

すると少しの間唖然としていたミオさんは、やがて花が咲いたかのような笑顔で僕の手を取った

 

「そうだね!

よしっ!午後からも楽しもう!!

ね、海斗くん?」

「えぇ、一緒に満喫しましょう!」

 

そうして僕らはフードコートを立ち去り、次の目的地へと向かう

繋いだ手の先に互いに互いの存在を感じながら、僕らは歩き出す

 

楽しい時間は、まだ始まったばかりだ

 

 





ちなみに博衣こよりさんが主人公達に渡した道具は、本編で渡した道具とほぼ同じものです

こちらでは主人公が異界創造の能力に目覚めていないので、本編のように一般人も神様が見えるようにする道具が作れるかは分からないですが、この二つに関しては異界関連技術が無くても作れるものなのでサクッと作ってくれました

だからホロックスを登場させる必要があったんですね~
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