白上縁起恋灯絵巻 ミオしゃ√【完結】   作:DX鶏がらスープ

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以前作者は「なんでもシリアスにしちゃう病」の罹患者だと書きましたが、ついでに言うと結構な中二病患者です
B〇EACHとか〇月とか大好きで、何ならオリジナル固有〇界とか魔術とか考えちゃう人です
以前マリン船長のオリジナル星辰〇を詠唱付きで作った事もあります

何が言いたいのかというと…中二病バトルとか必殺技って良いよねっていうことです



大丈夫

 

 

 

「風真一刀流『風輪花斬』」

 

 

 

刹那、風真さんの刀から無数の斬撃が放たれる

瞬間、まるで硝子細工の様に僕が張った結界が砕け散る

 

荒れ狂う斬撃の嵐は全てを切り裂き、それに伴い風真さんを閉じ込めていた結界がまるで花弁のように散って消えていく

流石の技の冴えだ

 

だが、それこそが僕の狙いだ

 

「ここっ!」

 

瞬間、風真さんの足元から彼女を縛り上げたのは桜色の鎖

みこさん直伝の止縛法であり、それにより風真さんの動きが止まるのと同時に僕は走り出す

 

何故なら僕ではまだ本家本元のみこさん程の出力を出せないし、更に言えばこれは戦闘中にこっそり床に刻んだ印を使って略式で発動したもの

そう大した拘束力はないし、現に風真さん程の強者なら数秒もあれば振り払えるだろうからこそ、迅速に次の行動に移らなければいけない

 

ここまで何とか印がある場所まで風真さんを誘導し、大技の後の隙を狙って拘束に成功したが、それだけで何とかなるほど風真さんは甘い人ではない

 

故に追撃

僅かでも時間を稼いでいるこの間にペースを取り返そうと、僕は風真さんの間合いの中にまで踏み込み

 

「なっ!?」

 

その瞬間走った斬撃に切り刻まれる

 

そこまではまだ良い

 

問題なのは目の前の風真さんが刀を振っていない事

彼女が特に何かした訳でもないのに、何故か僕が切り刻まれている事だ

 

「『風龍印字』

龍の通り道が必ずしも安全とは限らないでござるよ?」

(龍の通り道…?

まさか、さっきの斬撃の軌跡が残留していた!?)

 

ーーだからそこに突っ込んだ僕は切り刻まれた

設置されていた真空の刃に切られたのか!

 

そう理解するも、もう遅い

既に鎖から抜け出した風真さんは、止めの一撃の用意まで終えていた

 

「ーー風真一刀流『春風葬』」

 

そんな言葉が聞こえた瞬間には、僕の前に風真さんの刀の切っ先が突き付けられている

そして、そうなってしまったらもう僕に出来る事は何もない

だから、こうなる

 

「そこまで!

いろはさんの勝ちです!!」

 

 

 

 

 

「ーーお疲れ様、海斗くん」

「あ、ミオさん

ありがとうございます」

 

白上神社の本殿の軒先

さっきまで境内で僕と模擬戦をしていた風真さんの次の試合を見ていると、ミオさんがお盆に乗ったお茶を持ってきてくれる

 

「ついでに傷の手当てもしておくね?はい、腕出して」

「何から何までありがとうございます」

「良いってこのくらい

それに夏休みにもたまにこうやってうちが傷を治す事があったじゃない

今さらだよ」

「…それもそうですね」

 

そんな話をしながら、今度はみこさんと模擬戦をしている風真さんを僕はぼんやりと眺める

 

そもそも、どうしてこんな状況になっているのかと言うと、それは数日前のデートの時、僕とミオさんが死にかけの風真さんを見つけた直後に遡る

 

 

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

「いや~、助かったでござる!

海斗殿とミオ殿は風真の命の恩人でござるな!!」

 

そう言って、食べ終えたどんぶりを横においた少女は改めて「ごちそうさまでござる!」と手を合わせる

そんな彼女に対して、取り敢えず白上神社の代表として主には白上さんが話をしているのだが、それによると彼女の名前は風真いろは

見つけた時の状態からすっかり回復した彼女は、特に隠す事もなく正直に事情を語ってくれた

 

「いや~、組織の任務で磐ノ斗の調査に赴いたは良いものの、途中で道に迷ってしまって…

二人が通りすがらなければ、下手すればあそこで死んでたでござるよ!

本当にありがとうでござる!!」

 

そう言って改めて僕らに頭を下げる風真さん

とは言え、僕らがやった事はと言えば、餓死寸前だった風真さんを慌てて白上神社に運び込み、ご飯を食べさせただけだ

そしてその理由も、流石に見ず知らずの相手と言えど目の前で死にかけている人を放って置けなかったからというだけなのだが…元気になった彼女を改めて見ると、この風真さんという少女はただものではない

 

まずその立ち振舞いに一切の隙がない

今だって、こちらに対する戦意や殺意こそ無いものの、何時でも刀を抜けるようにしている

また、笑顔の裏で自然に部屋の隅々に目を向けて間取りの把握や逃走経路の算出に勤めている

総じて間違いなく達人の領域に入っている一角の武人であり、その実力は恐らく白上さん達ともまともにやり合えるレベル

それに加えて、当たり前のように白上さん達を認識している

普通の人間には見えない彼女達の姿が普通に見えているのだ

 

(間違いなく一般人じゃない…)

 

だからこそ、神社の代表として対面する白上さんもどこか緊張した面持ちだ

 

「組織…ですか?」

「そうでござる!

風真は秘密結社ホロックスの一員!

ここには冥界の扉マガツトボソの調査に来たでござる!!」

 

そう言って胸を張る風真さんに詳細を聞くと、なんでもホロックスという組織は異世界からの放浪者によって作られた組織であり、主な活動は自分達と同じ境遇の人間の探索、保護らしい

そして、最終的な目標はメンバー達が無事に異世界へと帰る為にすべての世界を征服する事であり、その為に日々情報収集を行っているのだとか

 

「まぁ、世界征服だなんて言っても、実際には皆が穏便に故郷へ帰れるようにする事が一番の目的でござる

それに、そもそも肝心の他の世界に渡る方法の目処も今のところ立っていないのでござるがね?」

 

お恥ずかしい、と頭をかく風真さん

しかし、言ってる事自体はどうやら本当のようで、風真さん本人も本気ではあるようだ

 

「…と言う訳で、お願いでござる

この神社にあるという異世界への扉、冥界の扉マガツトボソの調査と…それと出来ればその使用許可をいただけないでござらんか?

風真はラプ殿の夢を叶えてあげたいんでござる!」

 

ただ…

 

「えっと…事情は分かりました

ただ風真さんは一つ勘違いをしています」

「え?」

冥界の扉マガツトボソは別に異世界への扉ではありません

そのまま文字通り、冥界に繋がる扉です」

「………ゑ?」

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

 

 

そこからは早かった

どういう訳か冥界の扉マガツトボソを異世界への扉だと思っていた風真さんの誤解を解くと、彼女は崩れ落ちた

 

「伝承の移り変わりとかじゃなくて、本当に冥界への扉だったなんて…」と落ち込む風真さんだったが、すぐに彼女は気がつく

 

すなわち冥界の扉マガツトボソは彼女の思惑と違っても、確かに別の世界に繋がっている事に

そして、それがこれまで目処すら立っていなかった世界移動の糸口になるかもしれないと考えた風真さんは改めて調査許可を白上神社に求める事になる

 

そして当然、僕らはその危険性から難色を示すが、話し合いの末最終的に祭神である白上さんが風真さんの依頼を承認

それにより、後日ホロックスの総帥達が直々に白上神社に赴く事になり、それまでの間風真さんも一時的に白上神社に泊まる事になったのだ

 

そんな訳で、しばらく風真さんは白上神社の仕事を手伝いながら生活していたのだが、そんなある日突然みこさんが風真さんの実力を知りたいと言い出した

 

何でも「ホロックスの用心棒をする程の腕前を是非一度見てみたい」という事らしいのだが、それを快く受け入れた風真さんのご厚意と、せっかくだから皆もやれば良いというみこさんの無茶振りによって今僕らはこうしてここにいるという訳だ

 

「それにしても、みこさんがあんな事を言い出すとは思いませんでしたよ

あの人、別にバトルジャンキーとかじゃないですよね?」

「うん?

海斗くん気付いてなかったの?

あれはみこちなりにホロックスに探りを入れてるんだよ

構成員と直接戦う事で、中核のメンバー達が来る前にある程度の脅威度を推定する

その為にわざわざあんな事をしてるんだよ」

 

そんな話がミオさんの口から出て驚く

「むしろ、海斗くんが気付いてないのは意外だったな」とミオさんは笑うが、まさかそんな事情があったなんて…

「流石ですね…」

「あれでも精鋭だからね

そうでなきゃ、冥界の扉マガツトボソの監視の意味合いも大きい白上神社の神主代理なんて役職、とてもじゃないけど勤まらないよ」

 

そう言って誇らしげに笑うミオさんの視線の先を見る

すると、そこにはさっき僕が敗れた風真さんを相手に互角以上に渡り合うみこさんがいる

 

そして、その姿は正直に言ってかっこ良い

風真さんの研ぎ澄まされた斬撃の嵐を掻い潜りながら、巫術と雷撃、そして体術を駆使して互角以上に渡り合うその姿は、まさに本人が常々言っている通りの「えりーと」の姿そのものだ

 

それを見て僕はため息をつく

そしてそんな僕の様子を見て何かを察したのか、ミオさんは苦笑した

 

「元気ないね?

やっぱり負けたのは悔しかった?」

「そうですね

別に驕っていた訳ではないですが、それでも同じくらいの年の女の子に負けると堪えますね…」

「あれ?

その言い分だとみこちも入るけど?」

「あの人に関しては、もう今さらなので...」

 

そもそもみこさんに限らず、白上さんとミオさんに関しても僕の師匠みたいなものだ

だから、夏休みに散々転がされたしもう慣れている

 

しかし、風真さんは違う

彼女の出身がどこかは知らないが、多分年は同じくらいだし、だからこそ堪える

同年代にも関わらず彼我の間に横たわる力の差に愕然とする

自分の無力さを突き付けられているような気がして嫌になる

 

それに何より…

 

「…もしかして、うちにかっこ良いとこ見せたかったとか?」

 

 

思わず黙り込むと、ミオさんは少し意外そうな顔をする

 

「…ふ~ん?」

「………悪いですか?」

「ふふふ、ごめんごめん

海斗くんも男の子なんだなって」

 

口ではそう言いながらも、ニヤニヤとした顔でこちらを見るミオさん

そんなミオさんから視線を逸らすと、「まぁまぁ、気を悪くしないでよ」と諭された

 

「そもそも海斗くんといろはちゃんとじゃ、積み上げてきた物の土台が違うんだよ

片や僅か数ヶ月前から修行を始めた海斗くんに、片や恐らく10年は刀を振ってるいろはちゃん

どっちの方が有利かなんて、火を見るよりも明らかだよね?」

「…」

「だから海斗くんが負ける事自体は仕方がない事なんだよ」

 

その言葉が残酷に僕にのしかかる

 

そうだ、最初から分かっていた事ではあるのだ

彼女と僕とでは積み重ねたものが違う

もっと言うなら、みこさんや白上さん、ミオさんだってそうだ

みんな僕よりもずっと前から頑張っていた

 

だから強い

そして、僕は彼女達に追い付けない

そんな当たり前で、だからこそ残酷な現実に対して僕は…ーー

 

「ーーでも、それでも海斗くんは最後まで諦めなかった

そうでしょ?」

 

その言葉に横を向くと、ミオさんはどこか誇らしげな顔をしている

 

「実力も経験も何もかも足りてなくて…それでも君は最後まで勝つことを諦めなかった

結果的にいろはちゃんには負けちゃったけど、それでも戦闘中に罠を張って、自分の得意な結界術だけじゃなくて、みこちに教えてもらった巫術まで使って食らい付いた

出来る事全部使って最後まで勝ちに行ったんだよね?」

 

なら何ら恥じる事なんてないよ、とミオさんは笑う

 

「大丈夫、海斗くんは頑張ってる

そして、頑張ってる海斗くんはちゃんとかっこ良かったよ」

「ミオさん…」

「だから元気出して

うちは、君のそういうところ好きだよ?」

 

その時、ちょうど模擬戦が終わったのかフブキさん達がこちらへとやって来た

 

「すみません、二人とも

ちょっと掃除を手伝ってもらえませんか?

みこさんが境内を派手に壊してしまって…」

 

その言葉に視線を向けると、確かに境内の一角がまるで爆発でも起きたかのように粉々になっている

そしてそれを見たミオさんは一瞬唖然とした後、みこさんに雷を落とした

 

「もう!

何やってるのさ、みこち!!」

「ち、違うのミオちゃん!

ちょっといろはが思ったよりも強くてつい…」

「言い訳しない!」

「あわわわ!

ご、ごめんなさいでござる!!」

 

珍しくお怒りのミオさんにたじたじのみこさんに、自分のせいかもとあたふたする風真さん

そんな三人を「あの~皆さん、取り敢えず掃除を…」と白上さんが宥めるも誰も聞く耳持たない

 

そんな有り様を見ていると、何だか悩んでいるのが馬鹿馬鹿しくなってきて

僕は僕のペースで歩けば良いと、不思議とそう思えてきたから

 

「ーーこうなったら徹底的に掃除するよ!

みこちはあっち!いろはちゃんはそっち!フブキと海斗くんはあっちで、うちはこっち!

何としても日が沈むまでには終わらせるからね!!」

「ひぃ~っ!

ミオちゃんが鬼畜だよ、畜ミオだよ~!!」

「あわわわ!」

「…と言うか、どうしていつの間にミオが仕切ってるのでしょうか?」

「あははは…」

 

晴れ渡る空の下

僕らは壊れた石畳をどうにかする為に必死で走り回るのだった

 





ござるさんが使った技まとめ

・風真一刀流 風輪花斬
周囲を薙ぎ払う斬撃の嵐

・風真一刀流 風龍印字
斬撃により空間に傷を付け、そこに足を踏み入れた相手を真空の刃で切り刻む設置技

・風真一刀流 春風葬
神速の抜刀術
あまりの速さに相手は自分が切られたことに気付かず、ただ風が通り過ぎただけに感じることからこの名が付いた



沈まれ!俺の右腕!!
流石にここから本格能力バトルものみたいな路線に変更するのは無理だから!
漢字に横文字のルビ振ったカッコイイ技とか能力で小難しい概念バトルをするのは無理だからっ!!
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