コードギアス・フロントライナー   作:なべを

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5.幕間

シンジュク・ゲットーでの虐殺から一夜経った今、

エリア11のブリタニア政庁、軍司令の内部では文官、武官共に混乱に陥っていた。

 

クロヴィス殿下が、テロリストに殺されたのだ。

 

葬儀の手配など各所が慌ただしく動いている中、俺とヴィレッタは割り当てられた部屋で待機していた。

正確には、除け者にされていた。

 

俺はヴィレッタが入れてくれたコーヒーを通信機の横に置き、コーネリア殿下と会話をしている。

身内が亡くなったので気落ちしているだろうが、それを感じさせない口調でこちらに聞いてくる。

 

『クロヴィスが暗殺された際の警護はどうなっていたんだ?』

「体制としては万全だったと聞いています。ただ全員が、覚えていない、と証言してるのも混乱の元になっていて」

『その時、お前は?』

「いつも通り最前線に」

 

ふー、と深く息をつくコーネリア。

 

『この後の事はどうなっている?』

「今は「純血派」という派閥が先導をとっているので、葬儀等はつつがなく行われるかと」

『そうか……。おそらくだが、次の総督として私が指名される可能性が高い』

「コーネリア様が来るということは、問題有るエリアと認識されたってことですね」

『そうだ、だからお前には一層働いてもらう。用意はしておけ』

「はい。それで早速ですが、相談があります」

『なんだ?』

「シュナイゼル殿下の直轄である特派の機体をこれからも使いたいので、コーネリア様から一言お願い出来ませんか?」

『特派の機体はそれ程のものか?』

「現状、自分が全力を出せる唯一の機体かと」

『それ程か……。わかった。兄上には私から伝えておこう』

「ありがとうございます」

 

そうして、通信は終わった。

机に置いていた温かいコーヒーを口に含み一息つく。

 

ギアスに関する知識はあるが、実際にその現場に立ち会うと、思っていた以上に現実に整合性が取れない流れになってしまうな。

それが、超常の力だといってしまえばそうだが、使われる側からすると恐怖と混乱でしかない。

 

そう考えを巡らせ部屋に視線を送ると、部屋にあるソファーに座っているヴィレッタが目に入った。

が、組んだ足が小刻みに揺れている。苛立ちが抑えられないのだろう。

 

それが見えているが、あえて聞いてみる。

 

「なにか、苛立つことがあったのか?」

「解りきったことを聞くな。クロヴィス殿下が亡くなった今、純血派が指揮を取っているのが気に食わない」

「頭が居なくなったんだから、代わりの頭は必要でしょ?」

 

その言葉がトリガーになったのか、ヴィレッタは俺が座っている机の前まで来て、こちらに身を乗り出して机を叩いた。

バンッ! と大きな音が部屋に響く。

 

「シンジュクゲットーでは、お前がテロリスト共を一掃したのだぞ? お前こそが頭になるべきだ!」

「まぁ、戦果だけ見ればそうだけど。ほら、俺はナンバーズだから嫌われてるんだよ」

 

わかるだろ?と返すが、それでも納得はしてない様子で腕を組みこちらを見て眉を立てている。

 

「めんどくさいことを進んでやってくれるなら、任せようよ」

 

そう言い、椅子から立ち上がり部屋の外に向かう。

まだご立腹のヴィレッタが俺に尋ねてくる。

 

「何処に行くんだ?」

「特派のところ」

 

 

軍施設で特派に割り当てられた格納庫へヴィレッタと一緒に中に入る。

そこでは、外装が外され内部構造がむき出しになったランスロットが、整備を受けている最中だった。

その脇でモニターを確認しているセシルさんに声をかける。

 

「こんにちは、セシルさん」

「こんにちは、アサト卿、ヌゥ卿」

「カイでいいですよ。気を使わなくて大丈夫です」

「私もヴィレッタで構わん」

「解りました、カイ君、ヴィレッタさん」

 

君付けで呼ばれるのは久しぶりなので、少し照れる。

その照れを隠しながら、整備中のランスロットを見て質問する。

 

「ランスロットの調子はどうですか? 結構、本気で使いましたけど」

 

その言葉が聞こえたのか、奥からロイドさんがこちらに向かって来た。

 

「それそれ! まさかランスロットへの負荷がこんなになるなんて思わなかったよ。君、凄いね!」

「こんにちは。ロイド伯爵」

「ロイドでいいよ。君と同じようで気を使われるのは好きじゃない」

 

先程のセシルさんとの会話が聞こえていたのか、そう言って顔の前で手を振る。

 

「ではロイドさん、と。欲を言うならレスポンスが遅く感じる時があるので、なんとかなりませんか?」

 

それを聞いた、セシルさんとロイドさんは呆気に取られたように口を明けて、こちらをまじまじと見つめた。

その後、ロイドさんの笑い声が格納庫に響いた。

 

「はははっ! ランスロットをもってしても性能不足か! 本当に君は僕を楽しませてくれるね!」

そして、なんとかしてみるよ、と返してくれた。

 

その後、一番聞きたいことをセシルさんに質問した。

 

「今後も、俺はランスロットを使えるんですかね?」

「それは……、シュナイゼル殿下に確認しないとなんとも言えませんね。今回はあくまで現場判断という事になっているので」

「流石にそうですよね。それは確認してもらえませんか? 使えるのと使えないのとでは戦術が変わるので」

「解りました。こちらにいらっしゃったのはそれ確認をするためですか?」

「いえ、それ以外にも聞きたいことがありまして」

 

セシルさんとロイドさんの視線が俺の方を向いて、続きを促す。

 

「これからのことを考えて戦力を補強しておきたいのですが、ランスロットの開発機みたいなのってないんですか?」

 

そう言うと、ロイドさんはとてもいい笑みを浮かべた。

 

 

クロヴィス殿下が崩御して3日後には犯人が特定された。異例の速さだ。

その名前は「枢木スザク」。

 

そして、その処刑が夜に行われる事が大々的に報道された。

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