その夜、エリア11の橋の上では緊張が走っていた。
クロヴィス殿下殺害の犯人とされている、枢木スザクの処刑を純血派が先導したパレードが橋に掛かったその時、
クロヴィス殿下が使っていた御用車が、純血派たちに相対するように反対側からゆっくりと現れたのだ。
その車がジェレミア達の前で止まると車の後部に火が走り、全身黒ずくめでマスクをした謎の男が大きな機械を背にして姿を表した。
そのマスクの男に対して、パレードの先導をしていたジェレミア卿が声を掛ける。
「お前は何者だ!」
「我が名は『ゼロ』!」
反逆者「ゼロ」がこの世界に現れた瞬間だった。
*
俺とヴィレッタは、当然メインの警護からは外されているので、橋から少し離れた場所で警護している。
が、それでも「ゼロ」の姿は、
その姿を見た俺は感じていた。
だっさ!! と。
え? 「ゼロ」って実際に見るとこんなにダサいの?
アニメで見た時は、スタイリッシュで如何にも謎の男感があったけど、現実に現れると謎の男というより不審者に近い。
『なんだあいつは……』
無線からヴィレッタの困惑した声が聞こえてくる。
そうだよね? 不審者が突然現れたら困惑するよね?
無線からはジェレミア卿と「ゼロ」の会話が聞こえてくる。
『枢木スザクとこいつの交換だ』
『此奴は、クロヴィス殿下暗殺の徒。渡すわけにはいかん』
『間違っているぞ、ジェレミア。クロヴィスを殺したのは……、私だ!』
カメラ目線でドヤ顔しているルルーシュが浮かんで爆笑しそうになるのを堪える。
耐えろ腹筋!
無線からは「ゼロ」は続けて話をしている。
『そうでなければ公表するぞ。「オレンジ」を』
『なんの事だ? なにを言っている?』
その後、「ゼロ」が告げたのは「命令」だった。
『私たちを全力で見逃せ! そっちの男もだ!』
普通はそんな命令、聞くわけがない。
だが、俺は知っているギアスが発動したのだ。
『わかった。その男をくれてやれ!』
無線からは突然心変わりしたようにしか思えない、ジェレミアがそんな言葉が聞こえた。
モニターからも、聞こえる無線からも、全員が困惑しているのが伝わってくる。
*
枢木スザクの身柄はゼロに渡される事になった。
スザクが、ゼロの元までたどり着くと、車の後ろにある機械からガスのようなものが噴出され、橋の上は混乱に陥った。
どうやら、それに乗じて逃げるらしい。
「ゼロ」達犯人は橋から飛び降りた。
が、
その後、キューエル卿がいち早く動き
無線に向かってジェレミア卿は叫んでいる。
『いいか! これは命令だ! 全力を上げて奴らを見逃すんだ!』
こうして、クロヴィス殿下暗殺の犯人を処刑するパレードは、ジェレミア卿の「命令」の元、速やかに撤退が行われ終了することになった。