シンジュク・ゲットーでの騒乱のあと、俺とヴィレッタ、ユフィは政庁へと戻ることになった。
その日の夜にコーネリア様が総督として着任することになったからだ。
スザクに関しては、一旦自宅待機を言い渡した。
これから働いて貰う予定だが、今はまだ大人しくしていてほしい。
政庁に戻り、俺とヴィレッタは今度は私服から制服に着替える。
ヴィレッタは制服の着方に戸惑っているようだった。
「緊張してるようだけど大丈夫?」
「当たり前だろ。我々はコーネリア様の派閥に含まれる。着任の際は列の最前に立つのだぞ」
緊張しないわけないだろ、と言って鏡を見るのにも余念がない。何処かでみた光景だな。
そうか、着任した際の歓迎での順番は序列というより、どれだけその人に近いかが重要視される。
俺がコーネリア様の下に付いているというのは、周知の事実だから前の方になるのか。
「そう思うとちょっと緊張してきたな」
「遅すぎるぞ」
そういって着替えを済ませ、2人でコーネリア様が到着する滑走路まで向かう。
夜の帷が降りた政庁だが、皇族専用機が降りる滑走路は眩しいほどの明かりがついていた。
遠くの空から、皇族専用機のエンジン音がどんどん近づいてくる。
俺とヴィレッタは、到着口の列の最前で待機し、中央に敷かれているレッドカーペットにはユフィも待機している。
専用機が着陸しレッドカーペットの前で止まると、先ずは親衛隊が降りてきた。その後、コーネリア様が姿を表しユフィの前まで足を伸ばす。
姉妹ではあるものの、ここでの立場は総督と副総督にあたる。そのため、お互いに立場はわきまえようという、会話をしていた。
その姉妹の交流が終わると、
「カイ!」
と呼ばれたので、俺とヴィレッタはコーネリア様の近くまで移動する。
俺が近くまで移動するのを確認すると、コーネリア様は政庁の方に歩き出したのでそのまま話す。相変わらず実務優先な方だ。
「お久しぶりです。コーネリア様」
「挨拶はいい。どうなっている?」
「純血派という派閥が没落したため、また頭がいない状態に戻りました」
「そうか、先ずは全体を掌握するところからだな」
政庁の入り口前までたどり着くと、後は親衛隊に引き継がれるので俺はここまでだ。
と、コーネリア様がこちらに振り向いて吉報をくれる。
「そう言えば、特派の件。兄上とは話が付いた。今後も使っていいそうだ」
「本当ですか? 助かります」
「あと、特派の玩具をいくつか持ってきた。それも確認しておけ」
「了解です」
そういって、コーネリア様は親衛隊を伴って政庁の中に入っていった。
あとは、政治の話なのでおまかせしよう。
*
コーネリア様との挨拶のあと、俺とヴィレッタは特派の格納庫に向かった。
そこでは、新しく来たおもちゃを歓迎するように、各員が駆け回っていた。
そんな中、一番喜んでいるだろうロイドさんに声を掛ける。
「ロイドさん」
「やぁ。カイくんじゃないか! もう、いろんな玩具が届いて大慌てだよ!」
そこには、深く楽しげな笑みが浮かんでいる。
「実際には、何が届いたんですか?」
「ランスロット・トライアルが2機と、ランスロット用のヴァリスだね」
「結構いい感じの戦力強化ですか?」
「強化どころじゃないよ、デヴァイサー次第では一個騎士団に相当するね!」
じゃ、僕はいろいろを確認するから、と言って格納庫の奥に向かっていった。
「特派の新しい
「他人事みたいだけど、一騎はヴィレッタに乗ってもらうからね」
「……扱えるかわからんぞ」
「そこは扱えるようになってもらう。副官として戦場で付いてきて貰うためには必須だから」
「……わかった。残りの機体は誰が乗るのだ?」
「それは後のお楽しみ」
ランスロット・トライアルを見上げるヴィレッタは不安そうだが、頑張ってもらおう。
残りの機体には「彼」に乗ってもらうので、どうやら期待した以上の戦力が確保出来るようだ。
*
翌日朝一番で、俺とヴィレッタはコーネリア様に提督室へと呼び出された。
提督室の中に入ると、執務机に座っているコーネリア様の後ろにユフィが控えている。
執務机の横にいるギルフォード卿は相変わらず、俺の事が気に食わないようで厳しい目を送ってくる。
そろそろ、認めてくれてもいいじゃないだろうか?
役者が揃ったのか早速、話が始まった。
「昨日の内に、全体の指揮権はこちら側で押さえた」
「流石です」
「と、なると次は外を対処せねばならん。ゼロだ」
今、一番ホットなテロリストの名前が出た。
「ゼロですか。神出鬼没なため、後手後手に回っているのが現状ですが」
「対応策を考えた。ナリタに日本解放戦線のアジトがあることがわかった」
「それを釣り餌にすると?」
「そうだ、エリア11における不穏分子を一気に壊滅させる」
そうして、次の軍事作戦、ナリタ決戦が発動された。