シュナイゼル様を見送った後、俺達は軍施設のいつもの俺の部屋に来ている。
俺は部屋の奥に備えられた椅子に深く腰掛け、ヴィレッタは部屋中央にあるソファに座っていた。
休みを与えられたが、疲労はあるが精神的興奮が続いているのか眠くならない。
ヴィレッタも同じ様子のようで、ソファに座って事務仕事をこなしている。
どうしたものか。
と、椅子と一緒にくるくると回りながら考えていると、先程シュナイゼル様が言った言葉を思い出した。
「学園祭か……」
そのつぶやきがヴィレッタにも届いたのか、作業をしていた画面から顔を上げ、こちらを向いた。
回るのを止めて俺もヴィレッタに向き合う。
「どうかしたのか?」
「いや、さっきシュナイゼル様が学園祭がどうこう言っていたからさ」
「学園祭か。この辺りだと枢木が通っている学園のことじゃないか?」
「たしか、アッシュフォード学園、だっけ」
「そうだな」
アッシュフォード学園か。ある意味、物語の中心的な場所だが行ったことは無い。
行く必要も無かったけど、観光として見に行く分なら全然ありだろう。
「よし、ヴィレッタ。暇なら学園祭に一緒に行かないか?」
「お前とか?」
「そうだけど、嫌?」
「いや、そうではないが……」
と、ごにょごにょと口ごもるが、最終的にはOKを出してくれた。
じゃ着替えますか、といって椅子から立ち上がったら、
「お前が先に着替えてくれ。私はその後から着替える。施設の入り口で合流しよう」
と、提案された。
「別に、前と同じで一緒に着替えれば良くないか?」
そう言ったら、凄い剣幕で怒られた。なぜ?
仕方なく、先に更衣室に向かう。
薄手のタートルネックにカジュアルスーツと革靴を合わせた、いつもの私服に着替えて軍施設の入り口に向かう。
女性の身支度は時間が掛かるというが、まぁヴィレッタなら待つのは苦にならないだろう。
20分ほど待っただろうか。廊下の向こうから、こちらに歩いてくるヴィレッタの姿が見えた。
が、いつもの服装とが違うことに気づいた。
彼女の私服はパンツスタイルのカジュアルスーツ姿をよく見るが、今回は違った。
磨かれた黒のローファー、黒のロングスカートに体に合ったサイズの白シャツを来て全身のシルエットが綺麗に見える。
また髪型も、いつのもポニーテールでは無く、下ろして後ろで一括りにしている。
化粧もいつもとは違って明るい感じがする。
見慣れていない人から見ると、別人と見間違えそうだ。
俺の前に立ち止まった彼女をじっと見ていたら、その視線に耐えられなかったのだろう。少し体をよじりながら、
「なんだそんなにジロジロ見て。変か?」
「いや、いつもと違う格好だから戸惑っただけ。とても似合ってるよ」
じゃ、行こうか、と言って学園に足を向ける。
後ろでは顔を赤くしたヴィレッタが付いてきているが、俺には見えていない。
*
アッシュフォード学園。
アッシュフォード家が運営する私立学園だ。
俺は特に恩恵を受けてはいないが、租界ではイレブンも入れる少ない学園である。
そんな学園の入り口まで俺とヴィレッタはたどり着いた。
入り口のアーチはカラフルに装飾されていて、入るものを歓迎している。
今は午後だというのに入っていく人は多い。中にはイレブンも混じっている。
「思っていた以上に賑わっているね」
「そうだな。本国で私も学園祭を開いた事はあるが、ここまででは無かったな」
そう言いながら、装飾されたアーチをくぐって校舎へ続く一本道を2人並んで歩き出す。
その一本道の横にはいろんな出店が並んでいて、あちらこちらから呼び込みの声が聞こえる。コスプレしている人もいるようだ。
前世でもこんな感じの学園祭だった気がする。だが、もう遠い過去のようだ。
そんな、賑わっている道を歩きながら隣にいるヴィレッタに聞く。
「なにか食べる?」
「そうだな、甘いものがいい」
歩きながら食べれそうなベビーカステラの出店を見つけたので、購入しヴィレッタとシェアして食べようと思う。
袋から一つ手にとって口に入れる。この甘い味の感じなんか懐かしいんだよな。
シェアする事にヴィレッタは少しためらいが見えたが、
気にしたら負けだ、みたいな感じで差し出された袋から一つ取り出し口にした。
そうして、一本道を校舎に向けて歩いていると校舎前で見知った顔が、アッシュフォード学園の制服を着た生徒と話しているのが見えたので、近づいて声を掛ける。
「スザク」
「カイ! ヴィレッタ卿も来てくれたんですね!」
「ああ、楽しんでるよ」
そう言って出店で買ったベビーカステラの袋を掲げる。
そんな俺達をスザクと一緒にいた生徒は怪訝なというか、警戒した眼差しで見てくる。
その生徒は、すらっとしたモデルのような体型をしており、黒い髪をしていて、女性と見間違えるほど整った顔をしていた。
最も印象的なのは、その眼だ。鋭く深い紫色の眼からは知略が感じられる。
スザクはその生徒に対して俺達を紹介しだした。
「ルルーシュ。こちら、僕の上司にあたる、アサト卿とヴィレッタ卿だ」
「初めまして、カイ・アサトといいます。名前を伺っても?」
「……ルルーシュ・ランペルージといいます。初めまして」
そうして、俺は右手を出す。
敵意は無いとアピールするためだ。
が、向こうはそうは思っていないようで、逡巡が見て取れたが握手を返してくれた。
……特に何も感じない。という事は、俺にギアスの素質は無いってことなのかな。
そんな感じで、握手している手を見つめていると、
「どうかされましたか?」
と、聞かれ慌てて手を離した。
「いや、失礼。考え事をしてしまったもので」
「いえ」
そんな俺達には気づかないスザクが聞いてくる。
「カイ達は来たばっかりなの?」
「ああ、まだ見て回るつもりだよ」
「なら、今回の学園祭のメインイベントがこれからだから見ていってよ」
「そうさせてもらおうかな」
じゃ、まだ準備があるから、とスザクとルルーシュは校舎に向かって行った。
それを見送った後、横を見るとヴィレッタは渋い顔をしていた。
「なにか感じた?」
「ああ、お前を相当警戒していたぞ」
「まぁ、初対面だし仕方ないのでは?」
納得してなさそうなヴィレッタだったが、
「せっかくお祭りに来たんだ。変な事は考えないようにしようよ」
「……そうだな」
そうして、俺達は校舎へと足を入れた。
校舎内は、展示物や、劇などいろいろな催し物がされていた。
それをヴィレッタと一緒に見ていく。
なんというか、青春って感じがしていいな、と思う。
そうやって校舎を一通り見て回り、入り口の方に向かうと、外から歓声が聞こえてきた。
メインイベントが始まったのだろう。
俺とヴィレッタは校舎を向け、メイン会場へ向かって歩き出した。
メイン会場には第3世代
実況役の生徒の話しによると、あれで特大のピザを作るらしい。操縦者はスザクだ。
「ガニメデ」がピザの生地を器用に回して大きくしていく。流石だな。
その光景に皆が見惚れていた時、強い突風が吹き抜けた。
その突風が吹き吹き抜けた後、メイン会場の近くにいた学生の一人が呟いた。
「え? ユーフェミア様?」
その声を機に、ユフィを探す声があちらこちらから聞こえてくる。
その中の生徒の一人が指を指し、声を出した。
「あれか!」
「ホントだ、ユーフェミア様だ!」
ユフィが見つかったことで、メイン会場は混乱に陥っていた。
皆がユフィの元に駆け寄っていったのだ。
俺もユフィを見つけたが、人の壁が邪魔で到底たどり着けない。
混乱に陥ったメイン会場だったが、「ガニメデ」がユフィをマニピュレーターに乗せて救っているのが見えた。
どうやらスザクが助けたようだ。人の壁の外からそれを見て安心する。
その「ガニメデ」の下には観客、生徒、TVカメラまでもが集まっていた。
全ての視線がユフィに集まっていた。
すると、ユフィは「ガニメデ」のマニピュレーターに乗ったまま、眼下のカメラに向かって宣言し始めた。
「本日は
一息つき、
「