コードギアス・フロントライナー   作:なべを

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3.ホッカイドウ

ユフィの行政特区「日本」設立の宣言から幾日。

 

その宣言を受けて、ブリタニア政庁、ブリタニア軍共に慌ただしく動く事になったみたい。

コーネリア様も聞いていなかったようで、その対応に追われてかなり大忙しなようだった。

 

申し訳ないが、俺達に出来ることは無いので大人しく待機しようと思っていた。

が、とある事を思いついた事ので、それを実行するためにあちらこちらへと駆け回り、ヴィレッタにもとある仕事をお願いした。

 

そうして、俺達のもろもろが準備が出来た日。

俺とヴィレッタは、行政特区「日本」の入居管理センターへと来ていた。

ここに、ユフィがいると聞いたからだ。

 

開設以来から入居申請者は途切れることがなく、受付には今も多くの人が並んでいる。

そんな、入居申請者の列を眼下に収める窓がある場所で、ユフィはスザクと話をしていた。

その場所に俺は足を踏み入れて、

 

「こんにちは、ユフィ、スザク」

 

片手を上げて挨拶をしながら2人に近づいていく。

その挨拶に気づいたユフィとスザクは、こちらへ体を向けて挨拶を返してくれる。

 

「こんにちは、カイ。いらしてたんですね」

「こんにちは、カイ」

 

俺達は歩いて近づき、2人の前に立つと会話を始めた。

 

「ああ、2人というか、ユフィに用事が合ったからね」

(わたくし)に用事ですか?」

 

頭をコテンと横に倒した様子から、頭の上に疑問符が見えるようだった。

その愛らしい様子を横目に、窓から見える入居申請者の列の方を眺める。

 

「凄い人数だね」

「入居申請は20万人を超えたそうです」

「そりゃ凄い」

 

行政特区というよりもはや一つの都市だな。

それほど「日本人」で在りたいということか。難しいな。

 

「それで、用事とはなんでしょうか?」

「ああ、ユフィはこれから、行政特区『日本』でイレブン……、日本人とブリタニア人の共存を目指すわけだ」

「はい、難しいことだとは思っていますが、やり遂げてみせます」

「もし、それを実現している場所があったら行ってみたくないか?」

「そんな場所があるのですか!?」

 

驚きを隠せない様子で、ユフィはこちらに身を乗り出してくる。

 

「ああ、エリア11にはあるんだよ」

「それは何処でしょうか!?」

「ホッカイドウ・ブロック」

 

 

そうして、皇族専用機に乗って俺達は空からホッカイドウ・ブロックへと目指している。

皇族専用機が使えてよかった。軍の輸送機とは比べ物にならない位に居心地がいい。

室内の向かって右側の席にユフィとスザクが並んで座り、テーブルを挟んで反対側に俺とヴィレッタが並んで座っている。

 

「ユフィはホッカイドウ・ブロックの事を何処まで知っている?」

「恥ずかしながら、ほとんど知りませんでした」

「じゃぁ、簡単に説明するね」

 

現ホッカイドウ・ブロックの統治者である皇 重護(すめらぎ じゅうご)様は、シャルル皇帝陛下が即位する前に、陛下の御息女であるシェリー・メ・ブリタニア様を妻に迎えられた。

 

その後、ブリタニア帝国の侵攻時に重護(じゅうご)様、シェリー様が陛下と交渉された結果、ホッカイドウは元ブリタニア皇族が住まう地として特別統治区に認定され、エリア11の中で比較的日本人の自由が認められた地になった。

 

「と、まぁこんな感じかな」

(わたくし)が目指す場所が、既にエリア11にあったなんて……」

「まぁ、トウキョウ租界とは地理的にも離れているから、あまり気が付かないよね」

「そんなお方がいらっしゃるのなら、ぜひお話を聞いてみたいです!」

「だろうと思ってもう話は通してあるよ。これから行くことも先方には伝わっている」

 

このためにいろいろと奔走したのだ。

コーネリア様にも動いていただいた。とても忙しい時期だったがちゃんと話を通してくれたので、流石としかいいようがない。

 

ヴィレッタに声を掛けると、彼女は一枚のタブレットを机に置いてユフィに渡した。

ユフィはそのタブレットを受け取って、表示されている内容を見る。

タブレットには皇 重護(すめらぎ じゅうご)に関する資料が纏められていた。

 

皇 重護(すめらぎ じゅうご)様に関する資料だ。ホッカイドウ・ブロックに着くまで読んでおくといい」

 

ユフィはタブレットを持ったまま俺の方を向いて

 

「ありがとうございます!」

 

と返事をして、タブレットの内容を確認しだした。

 

 

皇族専用機がホッカイドウ・ブロック政庁の発着場に着くと、皇 重護(すめらぎ じゅうご)様と他重役の方が待機しているのが見えた。

 

停止した皇族専用機の扉が開き、開いた扉はそのまま階段になる。

俺達が先に降り階段の横で待機してから、最後にユフィが皇族専用機から降りてくる。

 

重護(じゅうご)様がブリタニア式で拝礼を取り、こちらへの歓迎を表してくれた。

 

「ようこそ、ホッカイドウ・ブロックへ。ユーフェミア皇女殿下。この地の統治を任されております皇 重護(すめらぎ じゅうご)と申します」

「お初にお目にかかります、皇 重護(すめらぎ じゅうご)様。ブリタニア第3皇女ユーフェミア・リ・ブリタニアと申します。本日はよろしくお願い致します」

 

ユフィもスカートをつまみ挨拶を返した。

挨拶が終わると、重護(じゅうご)様は後ろに控えている、イレブンで騎士の制服を着ている俺に気づいたようで、

 

「もしかして、あなたがアサト卿ですか?」

 

と、俺に向かって質問してきた。

 

「はい。お初にお目にかかります。(すめらぎ)様」

「おお、お噂はホッカイドウ・ブロックまで響いておりますよ!」

 

と、俺の前まで近づいて両肩を叩きながら褒めてくれた。

 

「ありがとうございます。自分がそこまで有名だとは思ってもいませんでした」

「何をおっしゃいますか、最前戦を駆け抜ける日本人。このエリア11では有名にもなりましょう!」

 

そう言って、褒めちぎってくれるが、褒められる事に慣れていないので、ものすごく照れる。

そいういうやり取りが終わると、俺達は発着場から政庁の応接室へと通された。

 

応接室は質素ながら洗練された場所で、その中央にある豪華なソファにユフィと重護(じゅうご)様が机を間に対面して座った。

俺はユフィの席の後ろ立ち、他の2人は壁際で待機している。

そうして、話し合いが始まろうとした時、応接室の扉が開き2人の少女がお茶を運んで来た。

 

「お父様、お茶を持ってまいりました」

「おお、ありがとう、サクヤ、サクラ」

 

そう言った重護(じゅうご)様の顔は為政者ではなく、父親の顔になっていた。

 

「これは娘のサクヤと、従姉妹のサクラです」

「初めまして、(すめらぎ)サクヤと申します」

「初めまして、春柳宮(はるやなぎのみや)サクラと申します」

 

まるで双子のようだ。少女達の整った容姿、声、髪の長さまで同じに見える。

年相応とは思えないほど、礼儀正しく少女達はお辞儀をして、お茶をユフィと重護(じゅうご)様の前に置いて応接室を去ろうとした。

その時、一人の少女と俺は眼が合った。

そのまま俺を見続けているので、軽く首をかしげると、はっとしたようにお辞儀をして、2人とも部屋から出ていった。

 

「君の事が気になったのかな? 娘はやれんぞ?」

「まさか」

 

その声は真剣(マジ)だった。怖い。

そうして話し合いが始まる前に、ユフィが俺達のことを気遣ってくれた。

 

「アサト卿、それと2人とも。楽にして構いませんよ」

「イエス・ユア・ハイネス」

 

ユフィに返礼して、俺達は応接室の外に出る。

が、流石に護衛がいないのはまずいので、スザクとヴィレッタには扉の前で待機を言い渡した。

 

俺は応接室から少し離れた所にある中庭に来ていた。

そこは小さな日本庭園になっており、池に鯉までいる。

その池に掛かっている小さな橋の上で池の鯉を見ていると、先程お茶を運んできた少女がこちらに向かってくるのが見えた。

 

「こんにちは、サクヤちゃん」

 

その言葉にびっくりしたようで、立ち止まり固まっている。

 

「私がサクヤだとわかるんですね」

「一応、人を見る目はある方だと思っているから」

 

当てられた衝撃から立ち直ったのか俺の隣まで近づいてきた。そして、サクヤちゃんは顔を上げてこちらを見て質問してきた。

 

「あなたは、なぜ騎士になろうと思ったのですか?」

「力が欲しかったからだよ。これは後付になるが、やりたい事も見つかったから」

「それだけですか」

「それだけ」

 

そうすると沈黙が流れるが、俺はそれを破る。

隣に居るサクヤちゃんの方を向き、前にかがみ目線を合わせ話をする。

 

「今の君には難しいかも知れないが、これから世界は変わっていく」

「行政特区の話しでしょうか?」

「君は頭がいいね。それもあるが、いい意味でも悪い意味でもこれから世界は変化する」

 

そういって、懐から取り出したお守りをサクヤちゃんに渡す。

ロイドさんに作ってもらった特別製のお守りだ。

 

「これは……」

「これは、俺に直接合図が届き、現在位置を知らせる機械が入っているお守りだ。今後どうしようも無い事が起こった時、これを使うといい」

「使うことは無いと思いますが、ありがとうございます」

 

サクヤちゃんはそういって、お辞儀してくれた。

そんなサクヤちゃんの頭に手を置いて

 

「それじゃ、縁があったらまた会おうね」

「子供扱いしないで下さい。……縁があればまた会いましょう」

 

そういうと、サクヤちゃんは俺から離れて中庭から出ていった。

……最悪には備えとかないといけないからね。

 

しばらくして、ホッカイドウに滞在できる時間が来たので、中庭から応接室へ戻る。

応接室に入り、ユフィの後ろまで近づき耳打ちをする。

 

「ユフィ、そろそろ時間だ」

 

その行為で重護(じゅうご)様は気付いてようで、

 

「おっと、もうそんな時間かな」

「ええ、そのようです。もっとお話をお聞きしたかったのですが」

「いえ、これからも機会はあるでしょう。まずは行政特区『日本』に注力してくだされ」 

「有難うございます」

 

ユフィと、重護(じゅうご)様は握手をして、突発的に行われた特区に関する会談は終了した。

そうして俺達は皇族専用機でホッカイドウ・ブロックを後にした。

 

皇 重護(すめらぎ じゅうご)様と話したのがいい刺激になったのか、

ユフィはトウキョウ租界に戻ると政庁に籠り行政特区「日本」の構想を再度、練っていった。

 

そして、行政特区「日本」開設式典が始まる日が訪れた。




奪還のロゼ、面白いですよ
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