ブリタニア皇帝、そんな人物が俺とスザクに会いたいと言っている。
そんな渦中の俺とスザクはアヴァロンの更衣室で、パイロットスーツから制服へと着替えていた。
これから、皇帝陛下に会うというのだ。パイロットスーツでは不敬というもの。
着替えてる最中に、スザクは、俺ならやってそうだな、みたいなノリで聞いてくる。
「カイは皇帝陛下に会ったことがあるの?」
「……あるわけ無いだろ」
「……だよね」
そう言って、その会話は途切れた。
後は無言で着替え続ける俺達だけが残った。
数時間後、アヴァロンはブリタニア帝国の首都ペンドラゴンに到着した。
宮殿前に着陸して、これから謁見の間へと向かう。
皇帝陛下は謁見する際に一つ条件を付けた。ゼロを連れてこい、というものだ。
そのため、スザクにゼロを捕縛してもらっている。
ゼロは拘束具の付いた囚人の服を着せられ、アイマスクをしている。
ギアス対策はしとかないとね。
着陸後、待っていたお付の人に先導されて、俺達は謁見の間の扉の前まで来た。その扉の重厚さにゴクリを生唾を飲む。
俺がこれから会うのは、世界最大国家の最高指導者、にして神を殺そうとしている人物。
その圧はいったい、いかなるものか。
そして、お付の人によって扉がゆっくりと開かれる。
扉が開かれ、俺はスザク、そしてゼロを伴って謁見の間へと足を踏み入れた。
その部屋はそれなりに広いが、照明が少ないので薄暗い部屋だった。
柱が何本も立ち、質素ながら豪華さがあったが周りに人は居ない。が、人の圧はたしかに感じる。
その圧は部屋の一番奥、最も高い位置にある皇帝の玉座に座る人物から発せられていた。
ブリタニア皇帝、シャルル・ジ・ブリタニア。
その人だ。
玉座に収まらないほどの巨躯。そして、その眼光は全てを手にした傲慢さがあり、確固たる自信も伺える。
俺とスザクは皇帝陛下の玉座の前まで歩き、膝を着き頭を垂れる。スザクはゼロを組み伏せてアイマスクを外した。
俺は緊張を堪えながら告げた。
「拝謁の名誉を頂き光栄極まります。自分はカイ・アサトと申します」
「同じく、拝謁の名誉を頂き光栄極まります。自分は枢木スザクと申します」
皇帝陛下はこの場にふさわしい重く低い声で告げた。
その視線はゼロへと向いている。
「……元皇位継承権17位、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。久しいな我が息子よ」
ゼロは父親である皇帝陛下に向かって、何か言おうと頭を上げようとするが、
「ギアスは使わせない」
そういって、スザクがゼロの頭を床に押さえつける。
そして、妙に落ち着き払った声でスザクは皇帝陛下に進言した。
「恐れながら申し上げます、陛下。自分を……、いえ、自分
俺は頭を垂れながら、驚愕した眼で隣のスザクを見た。
スザクがナイト・オブ・ラウンズに加えて欲しいという言うのは、知っていたが、それに俺も含めるとは思ってもいなかった。
それに皇帝陛下が応える。
「ゼロを捕まえた褒美が欲しい、と」
その言葉にゼロが反発する。
「友達を売ってまでなりたいのか!」
「そうだ」
感情のこもっていない声で、スザクは即答した。
「よかろう、その答え気に入った。では、ナイト・オブ・ラウンズに命ずる。左目を押さえてゼロの頭をこちらに向けさせろ」
「イエス・ユア・マジェスティ」
スザクはギアスが宿っているゼロの左眼を封じて頭を持ち上げた。
「反旗を翻した不肖の息子よ。だが、まだ使い道はある」
そう言いながら、皇帝陛下は椅子から立ち上がり、こちらに向かってゆっくり歩いてくる。
そうして、俺達の前で立ち止まると皇帝陛下は高らかに宣言した。ギアスの宣言を。
「記憶を書き換える! すべてを忘れて只人に戻れ! シャルル・ジ・ブリタニアが刻む! 新たな偽りの記憶を!」
「やめろーー!!」
こうして、ゼロの反乱は、ゼロの消滅という形で決着が付いた。
その後は、俺達の拝命が行われた。
「枢木スザク、貴様にはナイト・オブ・セブンを。カイ・アサト、貴様にはナイト・オブ・イレブンを任ずる」
それだけ言うと、皇帝陛下は謁見の間から去っていった。
ゼロは、警護の人が何処かに連れて行った。その後、俺達は謁見の間から脱した。
そして、扉の前で一呼吸して落ち着いてからスザクに語りかける。
「スザク、俺までナイト・オブ・ラウンズに加えなくてもよかったのでは?」
「カイ、君にはこれまでの恩がある。それを考えたらこれくらい安いものだよ」
こいつめ、とスザクの肩を軽く拳で叩き、2人笑い合う。
こうして、俺は帝国最強の十二騎士の一人、ナイト・オブ・イレブンとなったのだ。実感はあまりないが。