1.ユーロ・ブリタニア
式が終わった翌日。
俺とヴィレッタは早速、E.U.、正確にはヨーロッパ侵攻軍である、ユーロ・ブリタニアへ向かう飛行機の中にいた。
今回は
窓側の席に座っている俺の隣に座っているヴィレッタが聞いてくる。
「お前がE.U.に興味があったとはな」
「E.U.というよりは、そこにいる人材に興味があるんだ」
「人材? これからの目的はスカウトということか?」
「まぁ、そんな感じ」
「なるほど……」
そう言って顎に手を当てて、考え込むヴィレッタ。
「誰か教えてくれ」
「E.U.にいる、レイラ・マルカルという人物だ」
「…女か」
「そうだけど、何か問題が?」
いやなんでも無い、といってヴィレッタはタブレットで調べ物をし始めた。
それを横目に窓の外から、流れる雲の海を見ながらぼんやりと考える。
今回の旅の目的はスカウトだ。
俺はラウンズとして独自の部隊を持つことを許されている。
その部隊を一から作るのは時間がかかる。そして、残念ながら「次」まではあまり時間がない。
ならば、既にあるものを持ってくればいい。
そう、wZERO部隊だ。
wZERO部隊をそのまま引っこ抜ければ、戦略、戦術面ともに文句なし。
独自の
ランスロットに何か応用が出来ないかと思っている。
ここではなんとか出来るだろうと、なんの根拠も無い確信がったたがそうはならなかった。
*
ユーロ・ブリタニアの軍施設の滑走路へと俺達を乗せた飛行機が滑り込む。
俺達はまずは政庁に赴き、宗主であるヴェランス大公に挨拶する必要がある。
ラウンズだからといって、何でも出来るわけではない。
ラウンズも貴族の一種。ある程度の筋は通しておかないと後がめんどくさい。
その辺りもコーネリア様から教わった。何事にも手順は存在すると。
そうして、政庁の応接室に通された、俺とヴィレッタはヴェランス大公を待っていた。
待つ間、応接室の窓際に移動し、外を眺める。
見える風景はブリタニアそのものだが、風土のせいだろうか。本国とは違い重苦しい感じはしない。
窓から外を眺めている俺の隣で、同じ様に外を見ているヴィレッタは慎重な声で聞いていた。
「……お前はヨーロッパでも最前線にいたのか」
「まぁ、ね。戦場があればどこの最前線だろうと関係なく送られたから」
その質問を最後に、沈黙が部屋を支配した。
俺としてはあまり気にしていないことなんだが、ヴィレッタにとっては腫れ物を扱うような話だったのだろう。
その沈黙が続いた中、突如部屋の扉が開いた。
ヴェランス大公がお供を連れて現れた。
俺とヴィレッタは窓際から、ヴェランス大公の方に歩み寄って挨拶をした。
「お初にお目にかかります。ヴェランス大公」
「初めまして、アサト卿。……失礼ですが、本当にナンバーズの方がラウンズになれたのですな」
「ええ、いろんな方に手助けしていただいたので」
軽く挨拶をすると、ヴェランス大公は応接室に備えてあるソファに腰を掛けた。
俺はその反対側のソファに腰を掛ける。ヴィレッタはその後ろに立っている。
「それで、今回の来訪はどのようなご要件で?」
「はい。こちらでとある噂をききましたので、それについて知っている方を紹介して頂きたく」
「噂とは?」
「『ハンニバルの亡霊』です」
「ああ、その噂ですか。小耳に挟んだことはあります」
「それに遭遇した、シャイン卿を紹介して頂きたく」
その言葉を聞くと、ヴェランス大公はとても難しい顔をした。
何かあったのだろうか?
「アサト卿。申し上げにくいのだが、シャイン卿は亡くなられた」
「え?」
「ヴァイスヴォルフという城の攻略戦の最中に命を落としたと聞いている」
え? ということは、もう亡国のアキト本編が終わっているという事?
そんな事想定してない!
上手くまとまっていない頭をフル回転させて、次にしなければいけない質問を考える。
「……ではお聞きしたいのですが、その攻略戦で戦った相手はどうなったのでしょうか」
「投降してきたため一時、捕虜となっていたが今はE.U.へ帰されたと聞いている」
あー、もう旅芸人になってる可能性が高いのか。それだと探すのが大変だ。
顎に手を当てて今後のことを考えていると、
「あなたにとっては良くない知らせだったのですか?」
「まぁ、そうですね。これから人探しをしたいので、いろいろと動かせて頂きますが、そこはご了承いただけると」
「解りました。それくらいならば好きにして構わなでしょう」
それで、俺とヴェランス大公の会談は終わった。
部屋に残ったのはのは頭を抱えた俺とヴィレッタだけだ。
「それで、どうするんだ?」
「……もちろん探す。悪いがしばらくは足を使う必要がありそうだ」
「仕方がない」
そうして、俺達はwZERO部隊の足取りを追った。
E.U.に戻ってからの足取りが、ほとんど掴めなくてとても手間取った。
行方が解ったのは、会談から1ヶ月後だった。
E.U.の領地内にある川岸に旅芸人の一座の馬車が止まっている。
どうやら、そこで昼ごはんの用意をしているようだ。
洗濯や、野菜の皮むきなどありきたりな日常がそこにはあった。それを壊してしまうかもしてないと思うと気が重い。
その一団にいる。目当ての人物に声を掛ける。
「ようやく見つけましたよ、レイラ・マルカルさん」
ジュリアス君を出す余裕は無い