コードギアス・フロントライナー   作:なべを

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前回の部隊表にアシュラ隊のメンバーを追加しました


3.演習

ラウンズに任命されてから4ヶ月位経って、ようやく自分が思っていた部隊が出来た。

現在進行してるランスロットやアレクサンダの機体開発・改造も順調なようだ。

 

だが、問題もあった。それは部隊の練度の話になる。

もともとwZERO部隊はレイラを中心として、ほぼ出来上がっている状態だ。

そこに俺とヴィレッタが入ることは、部隊練度を下げる要因になってしまう。

 

KMF(ナイトメアフレーム)のシミュレーターでパイロットの慣熟訓練は出来るが、部隊戦のシミュレーションは現状、難しい。

 

そこで考えたのが演習だ。

全員が参加する演習を組めば、部隊練度は上がるはずだ。

なにより、wZERO部隊のパイロット組が俺を舐めている、という認識を改めさせないといけない。

 

*

 

ブリタニアの首都ペンドラゴンに借りている屋敷の書斎の机に座りながら、俺はヴィレッタと対面している。

机に肘をついて手を組みながら、机の向かいにいるヴィレッタに少し情けないが現状を話す。

 

「ヴィレッタも薄々感じていると思うけど、新しく作った部隊の連中が俺達を下に見ている傾向がある」

「そうだな。指揮官であるレイラやオペレーター達は違うが、パイロット、特に佐山リョウ、アシュレイ・アシュラ辺りは完全に舐めているな」

 

ヴィレッタはそう言って、腕を組み軽く足を踏み鳴らした。すでに何回か衝突しているのだろう。

 

「で、それをどうするかは考えているのか?」

「ああ。ラウンズという地位は関係ない。連中は俺の実力を実際に見ていないから下に見ている」

 

それで?、とヴィレッタに先を促される。

 

「なので演習を組もうと思う。そこで格付けを済ませるんだ」

「なるほどな。お前が戦場に出るのが一番手っ取り早いか。で、相手は」

「コネと実力を考えると、コーネリア様の部隊一択になる」

「まぁ、妥当なところだな」

「だから、ヴィレッタはレイラと一緒に演習の案を作ってくれ。それをコーネリア様に伝える」

「イエス・マイ・ロード」

 

ヴィレッタは一礼すると、颯爽と書斎を出ていった。早速取り掛かってくれるだろう。

 

演習の案が出てきたのはそれから3日後の事だった。

 

午前の日が高くなってきた頃、書斎で机に座りながら俺は通信機でコーネリア様と打ち合わせをしている。

通信先のコーネリア様は俺の提案に乗ってくれた。

 

『お前もようやく上官の立場というのが解ってきたようだな』

「上官というより、部隊内の格付けみたいなものですよ」

『それをしっかりするのも上官の役目だ。それに提案された演習はこちらにもプラスになるからな』

「ではスケジュールですが、1ヶ月後で問題ないですよね?」

『ああ、こちらの準備も考えるとそれで問題ない』

 

コーネリア様が演習の案に関して質問してきた。

 

『この資料ではお前はランスロットではなく、サザーランドに乗ると書いてあるが合っているな?』

「はい、同型騎で実力を見せたほうが格付けしやすいので」

『解った。ではこの資料に沿って進める。これからも励めよ』

「イエス・ユア・ハイネス」

 

そう言って通信は終了した。

 

その日の午後は軍施設の会議室を貸し切って、部隊に演習の話をする流れになっている。

会議室の前方にあるスクリーン前にはレイラとヴィレッタが立ち、他の隊員達はその向かいの席にそれぞれ座っている。

俺はレイラとヴィレッタから少し離れたスクリーン横に立っている。

 

しかし、佐山リョウは机に足を乗っけたり、アシュレイ・アシュラは銃をいじっていたりと興味なさが伺える。

まるで学級崩壊だな。と思い苦笑する。

それを見てレイラとヴィレッタは顔をしかめるが、頭を振って演習の説明を始めていく。

一通り説明が終わると、一番先に口を開いたのは佐山リョウだった。

 

「おいおい、まさか日本にいけるとはな!」

 

それに対して、ヴィレッタが反応する。

 

「おい、観光じゃないんだ。気を緩めるな」

「でもよー。実際、演習なんて効果あるのか?」

 

そう言ってレイラやヴィレッタではなく、佐山リョウは俺の方を見てくる。

俺はそれに答えてやる。

 

「実際問題、お前達が俺を下に見ているは知っている。それを改善するためだ」

「だから、それが解決すると思ってるのか?」

「少なくともKMF(ナイトメアフレーム)戦で俺がお前らに負ける事ない」

「はっ、どうだか」

 

佐山リョウは完全に俺を下に見ている。明らかな嘲笑がそこには含まれていた。

 

「おまえっ!」

「ヴィレッタ」

 

ヴィレッタが佐山リョウに対して、何か言おうとするのを制する。

怒ってくれるのは嬉しいが、今は誰がボスザルかをきっちり解らせないといけない時だ。

 

俺以外の人間が怒ると舐められっぱなしになってしまう。

腕組みをして、人差し指を立て余裕を持ちながら俺は提案した。

 

「じゃぁ、佐山リョウ、俺と賭けをしよう」

「賭け?」

「そう、演習で撃墜数がお前達の誰でもいい、それより少なかったらお前の願いを聞いてやる」

「マジか!」

 

そう言って、佐山リョウは机から足を下ろし、身を乗り出してきた。

 

「俺が出来る範囲だがな、どうだ? 乗るか?」

「乗るにきまってるだろ!」

「解っていると思うが、俺が勝ったらその態度は改めてもらう」

「その程度かまいやしねーよ」

「他のパイロット達も文句ないな?」

 

全員を見渡しながら言う。

佐山リョウもアシュレイ・アシュラもこちらをみて獰猛な笑みを浮かべている。

が、誰も発言しないので沈黙を肯定と捉える。

 

「じゃ、演習が楽しみだな」

 

そう言って、俺は会議室から外に出る。その後にヴィレッタとレイラが着いてくる。

通路を歩く俺の後ろからレイラが開口一番、謝罪してきた。

 

「申し訳ありません。あれでリョウはとても頼りがいがあるのですが……」

「大丈夫、あれくらいの反発は想定内だ」

 

しかし、ヴィレッタは苦言を呈してくる。

 

「ラウンズに対してあの態度。本来なら、軍法会議ものだぞ」

「ですよね。あまり続くのは運用にも問題が出そうですし」

 

そんな不安を抱えている2人の前で立ち止まる。それに応じて2人も立ち止まる。

そんな2人に振り返って、きっぱりと真っ直ぐに眼を見て断言する。

 

「安心しろ。KMF(ナイトメアフレーム)戦なら俺は誰にも負けない」

 

そう言い残し俺は通路を一人、先に進んだ。

 

*

 

そして、1ヶ月後。

俺達はエリア11に足を下ろした。

 

軍施設の滑走路に降り立った飛行機から降りる俺達を、コーネリア様が直々に迎えてくれた。

相変わらず筋を通すお方だ。

 

「よく来たな」

「はい、今回はよろしくお願いします」

「ああ、本番は明日だ。今日は体を休めておけ」

「イエス・ユア・ハイネス」

 

その日、俺は特にやることも無いので、割り当てられた部屋に向かって休むことにした。

他の連中はトウキョウ租界に向かったりしたそうだ。本当に観光気分なんだな。

 

次の日。

トウキョウ租界の郊外にある森林地帯が演習の場所になる。

 

演習の内容は至ってシンプルだ。森の両端にそれぞれ部隊を展開して激突させる。

KMF(ナイトメアフレーム)の銃の中にはペイント弾が装填されていて、これが一定以上付着するとKMF(ナイトメアフレーム)は停止する仕組みになっている。

近接武器は今回使わない。

 

こちらに割り当てられた陣地に置かれた臨時指揮所の中で、レイラを含むオペレーター達が準備をしている。

俺はそこに足を踏み入れ、入り口から中に向かって声を掛ける。

 

「レイラ、準備はできた?」

「はい。こちらの準備はできています」

 

レイラに確認すると、俺は指揮所を出て更衣室として用意されたトレーラーに向かう。

そこでは、他の連中も着替え始めていた。

俺もそれに混じって自分のロッカーに向かい着替え始める。

着替えている俺に佐山リョウが近づき、確認の質問をしてきた。

 

「おい、賭けのこと忘れてねぇよな?」

「ああ、忘れるわけないだろ。お前も忘れるなよ」

 

佐山リョウの顔を見返し答える。

パイロットスーツに着替えて、俺は用意されたKMF(ナイトメアフレーム)に向かい、コックピットに収まった。

 

モニターから見えるこちら側の部隊配置は佐山リョウ、アシュレイ・アシュラが俺より前に立っている。

完全に舐められているな。

 

コックピットで待機していると、無線機からオペレーターの声が聞こえてくる。

 

『演習開始まで残り10分』

 

カウントがゼロになり、演習が始まった。

 

俺はスロットルを全開にし味方のKMF(ナイトメアフレーム)を掻き分けて、フロントライナーとして他の誰よりも前に駆け出した。

この時間が結構好きだったりする。モニターに映る視界に味方はいない。見えるのは敵のみ。

 

無線機からは俺が一人で最前線に出て焦っている声が聞こえてくるが、関係ない。

ここが俺の場所だ。

 

すると、コックピットのモニターに敵のKMF(ナイトメアフレーム)が映り込んだ。

その布陣をみて関心する。さすがコーネリア様、俺の事をよく理解している。

完全に俺を倒すことに特化している布陣だ。

だが、関係ない。そう、全部倒せばいいだけの話だ。

 

一人、先陣を切っている俺を囲うため、前、左右の三方向から2騎編成の部隊が同じタイミングで詰めてくる。

その包囲網が完成する前に、俺はスロットルを踏んで更に前に出る。

 

それに慌てたのか、相手は布陣が完成する前に立ち止まってこちらへと銃を向けてきた。

遅い。

その時には前の部隊を通り越して背後を取り、相手のコックピットへ目掛けて銃を撃つ。撃つ。

前の部隊を落としたら、速度を落とさずに旋回し、右、そして、左の部隊を潰していく。

 

俺を倒す布陣の第一陣は壊滅した。

それに気を止めずに、更に最前戦に飛び出していく。敵はまだ沢山いる。

 

*

 

演習は終了し、勝利はこちら側が貰った。

 

そして、賭けの結果は明らかだった。

俺一人で、コーネリア様の部隊の約半数を潰したのだ。

自陣に戻り、コックピットから降りて佐山リョウに近づいていく。

そして、事実を告げる

 

「どうだ、佐山リョウ。これで文句はないだろ?」

「……ああ。文句はねぇよ」

 

こうして、俺の部隊のボスザルは決定した。

残り半年。

まだやるべきことは沢山ある。こんなことで躓いてなんかいられない。

 

*

 

演習が終わった後、コーネリア様に聞いた。

 

「なんか、そちら側の練度が少し低い気がしたんですが、新人を使いました?」

「ああ、こんな機会めったにないからな、お前をダシに使わせてもらった」

 

相変わらず抜け目ない人だ。

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