太平洋でナナリーを助け、無事エリア11へと送り届けることが出来た。
テレビにはコーネリア様とナナリーが出会い、会話をしている様子が映っている。
周りを軍人が取り囲んで護衛しているが、2人の顔には笑顔が浮かんでいる。
そのナナリーの後ろにはスザクが控えている。
これでスザクがナナリーを助けたように映るだろう。
後は、スザクとナナリーが旧知だったこともテレビで流せば、お涙頂戴ものだ。
そうすればテレビに映る絵面としてはこれ以上の文句はないだろう。
その様子を俺はアヴァロンのブリッジからモニター越しに見ている。
手柄とかそういったものに俺はあまり興味が無いので、後の事は全部スザクに任せた。
そんな、アヴァロンのブリッジにいる俺をロイドさんが煽ってくる。
「いいの? あれじゃスザクくんが助けたみたいに見えるけど」
「いいんですよ。表に出るのは好きじゃないので」
そう言って、俺はブリッジを後にした。
ブリッジの外では、アシュレイが手で銃を遊びながら、壁に寄りかかって俺を待っていた。
「俺は手柄を横取りされたら怒るけどな」
「お前もか。いいんだよ、そういうのは。それよりやることは沢山あるぞ」
そう言って、アシュレイを伴って俺は軍施設へと戻った。
*
翌日、ナナリーの副総督就任式があった。が、彼女はそこで衝撃的な発言をする。
行政特区「日本」を再建したい、と。
それは様々な所で波紋を呼んだ。
また虐殺皇女のようになるのではないか?
俺達を嵌めようとしているのではないか?
本当に出来るのだろうか?
ナナリーの発言を議論するのため、俺達はコーネリア様の執務室へと集まった。
メンバーはコーネリア様、ナナリー、スザクと俺だ。
コーネリア様は椅子に座り、俺達はその机の前に立っている。もちろんナナリーは車椅子だ。
今のいつもとは違ってすこし重い空気になっていた。
コーネリア様は椅子に深く腰掛けながら、諭すようにナナリーに言った。
「ナナリー。気持ちはわからんでもないが、あのような場所で突然言うのは控えて欲しい」
だが、ナナリーも譲らない。
「解っています。姉様。ですが、私はユフィ姉様のやろうとしたことを否定したくはありません」
お互いの話が正しいため、平行線が続いている。
そのため、俺が話を進める。
「ひとまず現実的な話をしましょう。ゼロがどう動くか、を」
「そうだな」
その時の議論としては、黒の騎士団が参加することは無いだろう、というのが話としては一致した。
それで、その場は解散となった。
*
就任式の翌日、俺は学園へと足を運んだ。
まだ、あいつを怪しんでいるからな。
生徒会室に踏み入れると、そこにはルルーシュが一人だけいた。
ルルーシュは生徒会室の中央にある大机の椅子に座り、パソコンでナナリーの就任演説の動画を見ていた。
その姿に俺は、今にも壊れてしまいそうな儚さを見て取った。
そんなルルーシュに俺は声を掛けて、向かい側の席に座る。
「どうしたんだ、ルルーシュ? なんか塞ぎ込んでいるように見えるけど」
ルルーシュはパソコンから目を離さずに言った。
「……なぁ、カイはなんでラウンズに成ろうと思ったんだ?」
「唐突だな。まぁ、ラウンズになったのは棚ぼただけど、騎士になった理由はちゃんとあるよ」
「それは?」
ルルーシュは顔を上げて俺の方を見る。
その眼は答えを欲している迷い子の眼をしていた。
だから、俺は正直に答える。
「最初は力が欲しかった。生き残るためにはそれしか無かったからね」
「……」
「でも、それはある人に出会って変わったんだ。その人は俺の未来に期待したんだ」
「未来に……」
そう、ここには居ないが、誰よりも明るい未来を期待した人が居たのだ。
「そ。よりよい未来を期待された。それを実現するためには力がいる。だから、ラウンズに成れたのはありがたかったよ」
「……」
だから、俺はルルーシュへ逆に質問をする。
「ルルーシュは、どんな未来を期待しているんだ?」
その時は返事をくれなかった。
ただ、彼ならいつか答えを出すだろう。あのルルーシュなのだから。