ルルーシュが皇帝に即位してから神聖ブリタニア帝国は変わった。
貴族制の廃止。
財閥の解体。
前皇帝が標榜していた「力こそ全て」という思想を真っ向から解体していった。
それに従順する貴族は多かったが、いくつかの貴族達は不服を申し立て皇帝ルルーシュに反旗を翻した。神聖ブリタニア帝国は一種の内乱状態へと陥った。
首都ペンドラゴンにある軍施設の一際大きい会議室。そこに俺は部隊の全員が集めていた。
俺は壇上に立ち、その脇をヴィレッタとレイラが固めている。
他の隊員達は各々、会議室の椅子へ腰掛けている。
態度が悪いやつも居るがいつも通りだ。
静かな会議室の壇上から俺は皆に向かって話しかける。
「これから俺達がすることは各地で起こっている、反乱した貴族の討伐になる」
机に足を投げ出しているリョウが、ヒュ~っと口笛を吹いてから、感慨深く言った。
「貴族の討伐かよ。E.U.に居た頃には想像もしてなかったぜ。俺達も偉くなったもんだ」
「不服か?」
「いーや。ブリタニアの貴族を倒せるなんて楽しいじゃねえか」
俺の返しにニヤリと笑いながらリョウは答えた。
壇上から首を回し皆に視線を送りながら、俺は改めて全員に問う。
「これは前にも聞いたが。皆、本当に良いんだな?」
会議室中の視線が俺に集まる。
「俺達が、ルルーシュがやろうとしていることは世界に喧嘩を売ること、だ。場合によってはお前達も戦犯扱いになるぞ」
俺の言葉で会議室の中の空気が重くなっていく。だが以外にもそれを壊したのはアキトだった。
「別に問題ない」
それにレイラが続く。
「あなたの部下になって解ったことがあります。あなたはキチンと教えてくれる。今回の事も私たちに全部話してくれました」
さらにヴィレッタが続ける。
「それを聞いた上で我々はお前に付いていくことを決めた。お前が心配することではない」
アシュレイが最後の言葉を紡いだ。
「だからよ、あんたは胸をはって俺達を使えば良いんだぜ?」
「……そうか。……改めてありがとう、皆」
俺が頭を下げると、各々が気合を入れる仕草をする。やっぱりwZERO部隊を引き抜いたのは正解だったな。俺は頭を開けてこれからの指示を口にする。
「では、具体的な話をしよう。ヴィレッタ、レイラ、頼む」
俺は壇上から降りる。代わりにヴィレッとレイラが壇上に上がり、これからの作戦を話し始めていく。俺達は各地の反乱を収めるために動き出した。
*
一通りの反乱を治めた後、俺は首都ペンドラゴンにある皇宮の庭園に向かった。
そこにルルーシュとスザクが居るというのを聞いたからだ。
ただこの庭園、めっちゃ広くて移動に馬を使うことになる。
馬に乗り慣れていないから、乗るたびにお尻がめちゃ痛い。
セグウェイみたいなの無いのかな?
ラウンズの制服を着込み庭園を馬でゆっくりと歩きながら、池のほとりにいる2人へと近づく。
馬を降りて皇帝陛下の衣装を纏ったルルーシュの横に立つと、俺は報告を始めた。
スザクはその横でナイト・オブ。ゼロの衣装を纏っている。
「ルルーシュ、各地で上がった反乱は大体を治めたよ」
「さすがだな、ナイト・オブ・ワン。お前の部隊は特に優秀だ」
「ありがとう。で、これからはどうするんだ?」
「明日を迎えるためにはまず、世界征服から始める」
「……なんていうか、世界征服とか口にすると途端に軽くなるな」
「たしかにな」
ふっと笑みを浮かべるルルーシュ。
そこに
「本当なのか? シュナイゼルが考えていることは?」
「ああ、例の情報と、カンボジアの機関が離反したことを考えると……」
話し合っている最中、ルルーシュの懐にある携帯が鳴った。
携帯から聞こえてくる報告を聞き終わった後、その内容をルルーシュが俺達に向かって教えてくれる。
「どうやらビスマルクを筆頭にラウンズが反乱を起こして、こちらに向かってきているようだ」
「なるほど。迎撃するのか?」
「当たり前だ。そして、それはスザクとカイの2人だけでやってもらう」
「「イエス・ユア・マジェスティ」」
再度、馬に乗って俺とスザクは庭園を後にする。
そして、軍施設までたどり着くとスザクと共に更衣室でパイロットスーツに着替えながら、算段を立てていく。
「今回の場合、ビスマルクの相手はスザクがしたほうが映えるな。他は任せてもらおう」
「これからのためにもその方が良いだろうね」
俺とスザクはパイロットスーツに着替えた後、格納庫へと足を向けた。
そこには、ロールアウトしたばかりの第九世代の
ランスロット・アルビオン。
アレクサンダ Type-09。
この2騎をもって相手を制圧する。
俺はキャットウォークからアレクサンダ Type-09のコックピットに乗り込み、シートをスライドさせカバーを下ろし、キーを指して起動させる。
内部モニターに次々と点灯して内部を明るくしていく。
OSが起動している最中、このアレクサンダ Type-09の事を振り返る。
アレクサンダ Type-09の外観はアレクサンダ Type-01と大差ない。エナジーウィングを装備しているか否かくらいだろう。
ただ中身はメインフレームから新規設計をしているので、まるで別物だが。
コンセプトは「耐久は薄くてもいいので、機動性と即応性を限界まで高める」だ。
要は、相手の攻撃は全部回避すればいい。こちらは最速で攻撃を叩き込む。
という単純明快なコンセプトだ。
武装は小型の
アンナとロイドさん、セシルさんに結構無茶言ってしまったが、それに応えてくれて本当に助かる。
アレクサンダ Type-09に火を入れて、ランドスピナーを地に下ろし滑走路へと移動させる。
俺はスザクに向かって合図する。
「それじゃ、お先に」
『ああ、僕もすぐに追う』
アレクサンダ Type-09のエナジーウィングを展開し、滑走路を加速して空に向かう。
ペンドラゴンの直上まで加速して停止すると、同じ様に飛び出してきたランスロット・アルビオンが横に並んできた。
「じゃ、あとは打ち合わせ通りに」
『わかった』
ランスロット・アルビオンはビスマルクが駆るギャラハッドへ向かって行った。
俺もアレクサンダ Type-09を敵機が展開している場所に向けて加速させた。
先に第九世代の紅蓮聖天八極式に乗れたのは大きかったな。第九世代の操作性にも慣れた。
敵部隊を確認すると、どうやら反旗を翻したラウンズはドロテアさん、モニカさん、ジノっぽい。
ノネットさんがいない事が救いか。あの人こういうのにあんまり興味なさそうだもんな。
敵部隊がこちらに気づいたようだが、そのときにはもう懐に入っているよ。
俺はまず、ドロテアさんの機体に最高速で近づきながら左手に持った
返す刀でモニカさんの機体へ加速しながら近づき、これも両断する。
ラウンズの機体が一瞬にして2騎も破壊された。
脱出機構が動作したのを見届けながら、エナジーウィングを大きく展開して無数のエネルギー矢を射出して、他の雑魚どもを排除していく。
雑魚の相手をしていたら、ジノのトリスタンから攻撃を仕掛けられた。
『目を覚ませ! 今ならまだ戻れるぞ!』
「戻る? 何処に? ジノ、君はブリタニアに反旗を翻すのか?」
その言葉が思いの外効いたのか、ジノの動きが止まってしまった。
戦場でそれは致命的だろうに。その間に近づいて、トリスタンの頭を蹴り飛ばし、行動不能にする。トリスタンはそのまま墜落していった。
モニターを確認するとスザクとビスマルクまだ戦っている。なら、その他大勢の雑魚を片付けるか。おれは最前線に向かって加速し空を駆けた。
最終的にスザクはビスマルクを打倒した。
あの未来予測のギアスを破るとは、流石スザクだ。
この戦闘の様子はテレビ中継されている。その放送にルルーシュが割り込んでくる。
『我々はブリタニアは超合衆国への参加を表明する。交渉の場所は日本のアッシュフォード学園を指定させていただこう』
こうして、最後の内乱は終わり神聖ブリタニア帝国は完全にルルーシュの手中に落ちた。
*
超合衆国との会議の日。
ルルーシュは最低限の人員で、日本へと向かって行った。
ブリタニア軍は日本の領海ギリギリの公海で留まって、様子を伺っている。
その中にあるアヴァロンには俺と部隊の皆が乗っている。
俺はブリッジのモニター越しに、会議の様子を見守っていた。
アッシュフォード学園では、ルルーシュによる「民主主義」が展開されている。
スザクの突入もあって、場は完全にルルーシュが支配していた。
そうして順調に場は進んでいたが、アヴァロンがペンドラゴンの異常を察知した。
それはペンドラゴンが消失したという衝撃的な情報だった。
俺はブリッジにいるセシルさんに向かて声を荒げた。
「すぐにスザクに繋げろ!」
「イエス・マイ・ロード!」
スザクとの通信はすぐに繋がった。
『どうしたんだ? カイ』
「スザク。ペンドラゴンがフレイヤによって消失した! ルルーシュに伝えてくれ!」
『! 解った!』
情報がルルーシュに伝わったのか、会議場を後にし皇帝専用機に乗りランスロット・アルビオンを伴ってこちらに向かおうとしている。
皇帝専用機との回線はアヴァロンとも繋がっている。セシルさんが恐る恐る報告していく。
「消失半径は約100キロ、上空に巨大な要塞が……」
『ルルーシュ、やはり君の推測通り』
『ああ。一次製造分のフレイヤ弾頭は全て天空要塞ダモクレスに搭載されているはずだ』
その時、ルルーシュと繋げている回線に皇室専用チャンネルが割り込んできた。
皇室専用チャンネルにシュナイゼルが映し出された。
『フレイヤ弾頭は全て私が回収させてもらった。残念だが私は君を皇帝とは認めていない』
『なるほど。自分こそがより皇帝にふさわしいと』
『違うよ。ルルーシュ、彼女こそが皇帝にふさわしい』
シュナイゼルの手を向けた先にカメラが移動すると、そこにナナリーが映し出された。
ナナリーは静かに、しかしはっきりと言い放った。
『私は貴方達の、敵です』