遠き星エイリア、もといお日様園では一妻多夫が認められている(詭弁)   作:\コメット/

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前回のあらすじ:嫁は万能だ。当然キーパーもできる。

今回:フィフスの最高傑作vsお日様園の最高傑作&白竜改心RTA、の話。
とあるタイミングでアンリミテッドシャイニングを流すと、いい感じになるらしいです。




第8話 素晴らしい提案をしよう、私の婿にならないか。

 

 

全国大会三回戦は、昨年優勝を争った木戸川とのマッチアップ。

 

突然の円堂監督の離脱、なし崩しで監督となった鬼道さんへの反発───私は特に気にしなかった───や、十年前の韓国戦に出てた神っぽい人が監督やってる!?と私の中で話題になったり、水面上で不規則に浮き沈みする板材の上でのサッカーには悪戦苦闘したが、先陣を切る京介の化身シュート、何より龍馬が化身を覚醒させてのハットトリックにより計4得点を叩き込み、試合には勝利した。

私はというと、その日はMFとしてサポートに回った。婿を立てるのも嫁の役目、龍馬のレベルアップに繋がったのは願ってもない事。

試合後の隙を突かれてマサキに水へ落とされたのは不覚だったが、ただでは死なないのが私。道連れにしてやった。

 

中学サッカー界に革命の風が吹き抜け、他校でもその煽りを受けてフィフスセクターへの反発も始まっているとのこと。

雷門の勢いは留まることを知らない───。

 

「で、ここはどこだ」

 

暗く広々とした空間、冷たく固い床の上で、私は目を覚ました。

床で寝ていたのもあるだろうが、頭が妙に重い。たしか私達は、フィフスセクターから強化合宿という名の嫌がらせを強制させられ、バスに乗り込んだ。

京介の横を陣取りイキイキしていたのも束の間、突如睡魔が襲ってきて...気がつけばここにいた。

 

(京介や天馬、皆は...いないな)

 

隣同士で座った際に自然と指を絡めようとしてアイアンクローを食らい、ならばと袖を掴むだけに留めていた私の手から先に、京介の姿は在らず。おまけに天馬を始めとした他のメンツも不在ときた。

 

(ここが合宿所とは思えないし...)

 

まさかバスで一服盛られ、私だけ孤立させられたか?

 

『目が覚めたようですね』

 

と、頭上から声がする。

拡声器越しの声。見れば、広い窓ガラスからこちらを見下ろす一人の男がいた。

体格は大きく、センスの無い口髭と髪型を携えた男性。恐らく私を攫わせた張本人だろう。

 

「誰だ、貴様は」

 

『ほう、それが教官に対する口の聞き方ですか』

 

「私は私の趣向に合わず、私に無礼を働いたアラフィフに対しては元来こういう接し方だ。尤も、それは貴様が初めてだがな」

 

『アラフィ...ま、まぁいいでしょう。ようこそ、究極を生み出す島、神の特訓場ゴッドエデンへ。私は牙山、この特訓場、言うなればフィフスセクターの精鋭、シードの養成施設を預かる者』

 

「ほう...?」

 

またえらいところに連れてこられたものだ。

 

『キミの活躍、耳にしていますよ愛星愛花。得点力もさることながら、多種多様な必殺技にそれぞれのポジションで発揮されるポテンシャル、実に素晴らしい。革命という反抗を続ける雷門の中でも、キミの実力は群を抜いている。よって、キミは選ばれたというわけだ...究極のチーム、ゼロのメンバーに』

 

「自力で雷門を止められないと分かれば、懐柔か。管理サッカーも余裕が無いらしい」

 

『つくづく、教官への態度がなっていない方だ。言ったでしょう、キミは選ばれたと。光栄に思いなさい、シードでもないキミが、シード最強のチームに加入できるのですから』

 

「断る」

 

『...今、なんと?』

 

「断ると言った。そんなことより天馬達はどこだ」

 

『...彼らは究極の光を放つ者達、アンリミテッドシャイニングに敗れました。捕縛しここへ収容しようとしましたが、部外者の介入がありそれは叶っていません。恐らく我々への対抗策を考えているのでしょうが、無駄な足掻き。所詮は徒労に終わります』

 

「先ほどから究極究極と、それしか語彙を知らないのか?アラフィフにもなって幼稚ではないか?」

 

『...直ぐにでもチームとの連携をと考えていましたが、キミの態度で気が変わりました』

 

「子供の発言で感情を上下させるとはな」

 

『ええい黙りなさい!キミに必要なのは教育だ!ランクB、C、あの少女を捻り潰せッ!!』

 

怒号が部屋中に響き、周囲のドアが開く。

出てくるのは私と同い年かそれより上の、サッカープレイヤー達。

 

「シードか」

 

『ご名答、先ほどのご自分の発言を悔やむことです!』

 

一、二...十人の選手が私を等間隔で囲み、一人が足元のボールを私へと蹴り込んだ。

 

「よっ」

 

回避。

シュートは私の後ろにいた者へと飛んでいくが、そこはシード。難なくトラップし、すぐさま打ち返してきた。

それを避ければ、再びシュートが打ち込まれる。

 

(なるほど。先ずは身体に分からせようということか)

 

超次元サッカーではよくある手法だ、芸がない。

このまま最小限の動きを続けて相手が疲れるのを待つのも手だが、生憎と私は意味のない同じことの繰り返しが大嫌いなのだ。

よって、早々に終わらせるとしよう。

 

「...ここだな」

 

回避が二桁になり、同じようにシュートが飛んできた。

 

「ふうっ!」

 

それを私は回避...せずに、90度右にいる者に向けて弾き返した。

 

「な」

 

相手は反応できず、直撃を貰い横転。上へと弾かれたボールへ私は飛び、オーバーヘッドの要領で固まっていた三人に打ち下ろす。

強烈な衝撃波が起こり、一瞬で四人が戦闘不能に。

 

「荒事は好まないが、早く婿に会いたいのでな。眠っていてもらおう」

 

「う、うわあああ!!」

 

やぶれかぶれで突進してきた一人をかわし、続いて向かってくる者達も翻弄、撹乱。これにより一箇所に固まった残りの六人へ、私は必殺技を放った。

 

「ユニバースブラスト...!」

 

本来は二人技だが、一人でも打てるようにした改悪版。威力はお粗末、しかし直撃させて戦闘不能にするには丁度いい。

小宇宙が展開、神秘的な光と質量が私の両脚により生み出され、ボールが相手へと着弾。

選手達が衝撃で吹き飛び、気絶したのを確認した私は牙山を見上げる。

 

「気は済んだか?」

 

「ぐ...っ、次だ!ランクAを二十人連れてきなさい!目にもの見せてやるのです!」

 

次々と送り込まれるシード達。

中には化身使いもおり、剣だの槍だの拳だのを振るって私を攻撃してくるが、オサーム兄から化身の対処方法は教わっている。

 

「即ちっ、必殺シュートを直接食らわせること!」

 

「ぐはぁ!?」

 

グングニルが化身を四体まとめて貫き、その巨躯を霧散させる。

化身は発言者の精神と魂の表れ。無理矢理破壊されれば、暫くは動けない。

 

「ハッハッハ!やはりサッカーは、白兵でないとな!」

 

既に、私の足元には何十ものシードが地に伏せていた。

 

『牙山教官、奴のスコアを...』

 

『どれ...な、白竜と同等だとぉ!?あり得ない...!』

 

「どうした、まさかもう打ち止めとは言わないだろうな?」

 

『ぐぅ...!』

 

「総じて練度は高いが、体力と耐久が低い...いや、私とやる前から、此奴らには疲労が溜まっていた。碌に休息を与えていないな、管理サッカーが聞いて呆れる。子供の自主性を重んじ、清く聡く健やかな(約一名の虚言癖クソ野郎を除く)成長を育む我らがお日様園を見習ったらどうだ」

 

『ベラベラと減らず口を...ッ』

 

「まだ、続けるか?」

 

『...やむを得ません、白竜!!』

 

『それが、既に...』

 

「む?」

 

上から、気配。

今までのシード達とは違う、異質な───京介かそれ以上の圧力。

 

「ふんっ!」

 

ドンッ

腹に響く地鳴りと共に、気配の正体は降り立った。

白い髪、赤銅色の瞳、端正な顔立ちと寸分なく鍛え抜かれた肉体を携えた、恐らくはこの施設においての最高戦力。

 

「途中からだが、拝見していた。見事と言わせてもらおう」

 

「お褒めに預かり光栄だ。名は...こちらから名乗ろう。愛星愛花、この世全てに愛されるために生まれてきたのが私だ」

 

「良い名だ。俺は白竜、アンリミテッドシャイニングのキャプテンであり、今後組織されるチームゼロのキャプテンでもある」

 

自己紹介をしつつも、互いは既に臨戦態勢。

一方は星のオーラをまとい、もう一方は白き龍を思わせる気迫を感じさせる。

 

「素晴らしい提案をしよう、白竜」

 

「なんだ」

 

「私の婿候補にならないか」

 

「婿候補、だと?」

 

「見れば分かる。おまえは私の夫になるに相応しい男だ。その肉体、魂、かなりの水準まで練り上げられている。私の求める領域に近い」

 

「...く、くく、くははははは!面白いなキミは、愛星!」

 

「愛花でいいぞ」

 

「愛花、サッカーの技量といい人間味といい、キミには興味が尽きない!先ずは実際に体感させてもらおうか、婿云々の話はそれからだ!」

 

「ふっ、いいだろう」

 

私と白竜が放つプレッシャーに勘付き、倒れていた者達がこちらの、いや白竜の邪魔をしてはいけないと痛めた体を引き摺って端へと逃げていく。

 

「「───」」

 

互いに笑みを含みながら睨み合う私たちの間にサッカーボールが転がってきて、丁度両者の中央でゆっくりと、静止。

 

「「シッ!!」」

 

それが合図となり、私たちの舞踏が始まった。

バズーカでも撃たれたかのような轟音が、右足と右足がボールを挟んで激突したことにより周囲に響き渡る。

 

「「...っ!」」

 

目線がかち合う。笑みは、深みを増すばかりだ。

拮抗状態が続きパワーは互角か、と思われたが徐々に押され始めたのは───私。

 

「はぁッ!」

 

「むっ!」

 

弾かれ、両者後退。ボールは白竜へと渡る。

 

「いくぞ、スプリントワープッ!!」

 

ドリブルから加速、左右不規則にまるで瞬間移動のように、突風と共にこちらを翻弄。

 

「七ツ星!!」

 

対する私は、効果範囲を広げたDF技を展開。

七つの星がドリブルで高速移動中の白竜の行く先々に飛来し、その行手を阻む。

 

「そこか!」

 

「なに!?」

 

六つを要して動きを見切り、七つ目の星が着弾したと同時にボールをカット。

 

「俺のドリブルを止める奴がいるとは、やはり面白い!」

 

「私も初めてだ。七ツ星を使って、ここまで捉えるのが困難な相手は」

 

今度はこちらからだ。

攻守が入れ替わり、私は自身の持つオフェンス技の名を口にする。

 

 

 

********************

 

 

 

「いくぞ...プリマドンナ!」

 

「プリマドンナ...?」

 

直訳して踊り子、バレエを模したドリブル技かと白竜は予想を立てる。

必殺シュートやディフェンス技は星がモチーフだったのに比べ、ネーミングからのスケールダウンは必至。期待はずれに終わるかと思われたが、その思考はほんの数瞬で吹き飛んだ。

 

違和感。

 

(なんだ)

 

明らかに、愛花のプレッシャーが豹変した。

強者特有のものから、白竜が味わったことのない未知の領域への変貌。

それに感化されたのか、背中を伝う冷や汗、悪寒、自然と後退する片足と、変化は白竜自身にも表れた。

 

(怯えているというのか、この俺が!?)

 

驚愕、しかしこれに焦燥、悪感情は無い。

今まで見たことのない技、纏うオーラ、それをこれから体感できる。

得体の知れないブラックボックスの中に両腕を突っ込む感覚、白竜の心は躍っていた。

 

「ほう?普通なら私が近付いただけで逃走を図るのだが、やはりおまえは一味違うらしい」

 

「ククク...興味が尽きないな、キミは。さぁ来い!」

 

震える両足をバンと叩き、愛花の行動に備える。

その意気や良し、とついに彼女は動き出した。

両手両足を柔軟に、しなやかに、滑らかに稼働させ、魅了し困惑させるワルツを踊り白竜の周囲を周り始めた。

 

「ぐ、お、おおぉ!?」

 

全方向からピンク色のナニカがシード最強へ向けて集中砲火。心を侵食し、増大する未知の感覚。制御している筈の手足が愛花のダンスに呼応し、自らもステップを踏まんと強制させられる。

 

「くっ、保たないか...!?」

 

遂に、均衡が崩れる。

白竜は愛花に釣られるかのように、ワルツを刻み始めてしまった。

 

「勝負あったか...む?」

 

「おおおお!!」

 

だが、抵抗は続いていた。

ダンスを強制させられはしたものの、そのスタイルに関しての矯正への抗いは終わっていない。

愛花のステップがバレエであるならば、白竜が踊るのはキレのあるストリートダンス。

この必殺技のフィニッシュは、相手と交錯しそのまま抜き去るというもの。

 

フィールドの中央で両者は接触した。

 

「はぁ...はぁ...!」

 

「───驚いた」

 

ボールは───白竜の足元に。

一つのダンスの終局のような、両者の顔が近まり、愛花の手を取り腰を支える形で、受け攻めの勝敗は喫していた。

疲労の色が濃いのは白竜であり、仕掛けた愛花はピンピンしているのが二人の対決を見守る者達を困惑させる。

 

「これでプリマドンナの成功率は変わらず0%だ。技さえ決まって仕舞えば自信はあったのだがな」

 

「...紙一重だった。少しでもタイミングがズレていれば、醜態を晒していたのは俺の方だっただろう」

 

「ふっ、嬉しいことを言ってくれる。どうする?疲労が濃いが、私の膝で休むか?」

 

「愚問だな。これほど心躍る余興、終わらせるなど馬鹿馬鹿しい」

 

「違いない」

 

再度、二人は離れる。

 

「俺の本職はFWだ。キミも...おまえもそうだと聞く。どうだ、そろそろシュートの応酬というのは」

 

「いいだろう」

 

他人行儀な呼び方からおまえに変えたのは、無意識に愛花に敬意を持ったから。

実力は殆ど五分と五分。若干白竜が優勢かというところ。

それを白竜自身でも理解しているのか、先手は愛花に譲られた。

 

「いくぞ」

 

足元のボールと共に、愛花の姿が仮想の宇宙空間へとワープ。

想像し、創造するは必殺の槍、神の一撃。

 

「グングニルッッ!!」

 

愛花本人は知らないが、この技はかつて、伝説と呼ばれしGK円堂守の正義の鉄拳を打ち破った、エイリア学園イプシロン主将の奥義。

十年の時を経てお日様園の最高傑作に継承され、今、フィフスセクターの最高傑作に向けて放たれた。

 

「凄まじいな...だがっ!」

 

白竜の右手が振るわれ、それが号令となり白く輝く竜巻が巻き起こる。

 

「おおおおおおっっ!!」

 

殺到する突風、嵐が迫るグングニルの勢いを削ぎ、刈り取り、やがて威力を内包した球体へと変え、手中に収める。

 

「さすがだな」

 

「これを食らって無事でいれば...おまえは本物だ、愛花!!」

 

「受けて立とう」

 

「ホワイト...ハリケーンッッ!!」

 

天候をも変える、黄金の巨大な質量を持った竜巻。それは竜が空中を舞うかのように、愛花へ迷うことなく突き進む。

 

「ふっ!」

 

跳躍。

避けることは目的としていない。これは己の必殺技を従前に放つための、いわば前準備。

 

「私も全力で、迎え撃つッ!」

 

「魅せてもらおうか、愛星愛花!」

 

「ブレイキング...!」

 

振り下ろした右足が、ホワイトハリケーンと衝突。

 

「コメットッッ!!」

 

次いで、竜巻を飲み込まんとする超新星の爆発が、炸裂した。

 

「おおおおぉぉっっ!!」

 

似合わない咆哮。同年代でこれほど対等に戦える相手はいつぶりだろうか。

血湧き肉躍るこの一騎打ち。願わくばもう少し続けと、互いの想いは一致している。

 

閃光、爆発。

 

結果は天井を突き破るカウンターシュートとなり、崩れた穴から差し込む月光が両者を淡く照らす。

 

「楽しいな、白竜」

 

「...楽しい、か」

 

愛花の言葉にハッとして、何かに気づいたように薄く微笑む白竜。

 

「久しく忘れていたな...そんな気持ちは。俺は究極の力を求めて、これまで血の滲む修練に耐えてきた。感情も押し殺し、やがて俺の中でのサッカーは、自分の価値を定めるものであり、俺の存在意義になっていた」

 

「...」

 

「だが、おまえと戦い、胸を熱くする感覚...サッカーの楽しさを、もう一度思い出すことができた。良いものだな、サッカーは」

 

「ああ」

 

「ふっ。剣城にもまた、感謝しないとな」

 

「む?白竜は京介を知っているのか?」

 

「ああ。短い間だったが、アイツは俺と共にこの島で修行を重ねたライバルだ。昨日試合を行ったが、実力は鈍っていないらしい。勝ちはしたが奴には点を決められた」

 

2-1。

それが、アンリミテッドシャイニングと雷門が行った試合のスコアボード。

二得点は勿論白竜。雷門の一点は、剣城京介が新技デビルバーストによりもぎ取ったもの。

 

「きっと、愛花が同じチームにいたからだろう。アイツも負けじと、特訓を積んでいたんだな」

 

「確かに、ここ最近の京介の成長は目覚ましかった。まだまだ彼奴は化けるぞ、白竜も気が抜けないな」

 

「ああ、そうだな」

 

『白竜、何をベラベラと敵と話している!?さっさと潰せ!敗北に価値は無いのだぞ!?』

 

天変地異の激闘を見せられ、普段の敬語混じりの口調はどこへやら。

牙山は焦りを隠せない様子で、白竜へ命令を下す。

 

「白竜、私から提案があるのだが」

 

「なんだ?」

 

「チームゼロの件、受けようと思う」

 

「理由を聞こうか」

 

「婿達の成長には、強大な壁が必要不可欠だ。私はそれになりたい。そして、おまえにもその役目を担って欲しい。頼めるか?」

 

「───面白い。楽しくなりそうだなそれは」

 

固い握手が交わされる。

何故に両者は分かり合ったのか、周囲の人間は見当もつかない。

だがのちに、近い未来で、その意味を理解する。白竜の笑顔の訳を。

 

サッカーとは楽しいものだと、理解する。

 

 

 

********************

 

 

 

ゴッドエデンにて執り行われていた計画、プロジェクトゼロ。

アンリミテッドシャイニングとエンシャントダーク、二つのチームを掛け合わせて究極のサッカーチームを作るというもの。

白竜との一騎打ちで互いを認め合い、私は提示されていたゼロへの加入を許諾した。

理由は二つ、その方が婿候補達の成長に繋がると共に、力をつけてきた彼奴らと全力で矛を交えることができるからだ。

 

「そんな、シュウ...!?それに、愛花!?」

 

雷門の前に姿を現したチームゼロ、その中に森で会っていたらしいシュウと私がいるのを見つけ、天馬や他のメンバーが驚愕する。

 

「二つのチームが融合し、そこに愛星が...」

 

「どういうつもりだ、愛星!」

 

むふん、驚いてる驚いてる。

どうやらサプライズは成功のようだ。

 

「私がこのユニフォームを着て、こちら側にいる。説明はそれだけで十分だと思うが?」

 

そう、細かい説明などいらない。

心の通じ合っている我々に、長い言葉など不要。口では理解不能と言っているが、私が立ちはだかることで雷門の成長を促すキッカケを作りたいということを、彼奴らはきっと分かっているのだ。

 

「愛星の隣の彼もそうだ。島での特訓に力を貸してくれたというのに」

 

「誤解の無いように言っておくと、僕は自分の意思でこの計画に参加したんだ」

 

「シュウ、愛花、どうしてなんだよ!?」

 

「ふっ。天馬、おまえはサッカーをするのに理由が必要なのか?違うだろう。おまえにとってのサッカーは」

 

「そういうことじゃ...!」

 

「さぁ天馬、サッカーをやろう」

 

「こんな形で愛花とサッカーをやるなんて...そんなのって...!」

 

...流石に悪役ムーブが過ぎたか。ヒントも少なかったし、これで気づかないのは無理もない。

仕方なし、興は醒めるがここは軽くネタバラシを...、

 

 

 

「なんてこった...愛花の奴、完全にフィフスに寝返っちまったのかよ...!」

 

 

 

しようとしたところで、私の声はお日様園の育てた虚言製造クソ野郎、狩屋マサキに遮られた。

 

「は?おま」

 

「俺は、信じてたんだ...例え敵に捕らえられても、愛花は愛花だって、そう...」

 

涙を拭う仕草をするマサキは私だけに見える目線まで顔を下げ、

 

「信じてたのにィ...」

 

人を蹴落とすのを生き甲斐とした邪悪な嘲笑を、静かに浮かべていた。

 

(ま、マサキ貴様あああァッ!!)

 

気づいてる、あいつだけ気づいている!

私がゼロに入った理由を、ちょっと裏切り感を漂わせて反応を楽しもうとしていたことを、見抜かれている...!

 

「い、いやその」

 

「天馬ぁ!」

 

このままではいかんと私が潔白を証明すべく言い訳を並べようとしたところ、少女の声がスタジアムに響いた。

頭上の檻に入れられた、葵の悲鳴であった。

 

「葵!?」

 

「まさか人質か!?」

 

「汚ねえぞ愛星!」

 

「あの」

 

「堕ちるところまで堕ちたようだな...!」

 

「違くて」

 

「円堂!」

 

そこへ、鬼道さんと音無先生、水鳥、茜が合流。

 

「鬼道、無事だったか!」

 

「すまない、俺がついていながら」

 

「おまえのせいじゃない。今は、天馬達に望みを賭けよう。この一戦に、サッカーの未来がかかっている。そんな気がするんだ」

 

どうしよう、取り返しも収拾もつかなくなってきた。

 

「天馬、サッカーは自らの価値を決める道具でしかない。彼女を助けたければ、キミは戦って己の強さを証明するしかないよ。愛花のようにね」

 

「おい余計なことを言うな」

 

「シュウ、愛花...!」

 

マズイ、本格的にマズイ状況だ。完全に裏切り者扱いされてしまっている。

ここは新しい婿候補、白竜に助けを求める他に救いの道は無い。

 

「はくりゅ」

 

「剣城。おまえは今日、究極を目指した俺の更に上のレベルを体感することになる。本来のサッカーの意味に気付けた俺の力、このチームで...愛花と共に見せてやろう」

 

「───白竜、まさかおまえ」

 

「良い勝負に、いいや...楽しいサッカーをしよう、剣城」

 

それだけ言い残して、白竜は自分のポジションへ歩いて行ってしまった。

京介は彼の後ろ姿を目で追ってから、次いで私へ視線を送る。

 

(あれ、おまえが、原因か?)

 

(まぁ、そう)

 

表情と少しのジェスチャーで意思疎通を交わし、どうにか京介には私が裏切ってないことに気づいてもらえた。

 

(ややこしい事するから、こうなる、日頃の行いだ、少しは反省しろ)

 

(そんな、私はただ、おまえ達を、驚かせたかった、だけなのに、ついでに、強くしたかったのだ)

 

(だとしても、他にやり方が、あるだろうが)

 

(エンタメは、何においても、優先されるだろう)

 

(それで、今、この状況、なんだろ、馬鹿)

 

(ぐぬぬ)

 

「剣城くん、裏切り者に何かされてない!?大丈夫!?」

 

「今のアイツには近づかない方がいい、何をしでかすか...いや普段からそういう奴だが...」

 

若干笑い混じりで私と京介を引き剥がすマサキ、そして結構ガチトーンで私を拒絶する蘭丸。悪い、少し泣く。

 

(これ、私は無事に雷門へ戻れるだろうか...)

 

私は生まれて初めて、私自身の調子の良さを呪った。

 




改心した白竜、よくわからないけど実力が保証されている奴の加入は歓迎なシュウ、それはそうと本気は出す愛花が、雷門に立ちはだかる...!尚、試合内容はキングクリムゾン。7-7引き分けです。

白竜:ホワイトハリケーン
白竜:ホワイトブレス
愛花:ブレイキング・コメット
シュウ:ブラックアッシュ
シュウ:魔王の斧
愛花(三人):スーパーノヴァ
白竜(&シュウ):ソードエクスカリバー

剣城:デビルバースト
剣城:ロストエンジェル
剣城(&神童):ジョーカーレインズ
天馬:ジャスティスウィング
錦:武神連斬
剣城:デビルバーストG2(マッハウィンドからのチェイン)
天馬(三人):ソードオブファイア

愛花:滑走ドリブル今度私もやろうと検討中の女。試合では2ゴールの活躍。三人でスーパーノヴァを放ったりした。
剣城:迫真のハットトリック。ついでにアニメでは不遇なデビルバーストを進化させた。乱入してきたフィフスの大人共はランスロットで蹴散らした。勝ってれば間違いなくMVP。
天馬:シュウの説得に頭を使ったが、試合は楽しめた模様。これは白竜と愛花の影響が大きい。
神童:神のタクトでカオスな試合を最後まで導いた影のMVP。マジで疲れた。
狩屋:人を陥れることに関して他の追随を許さない。試合では何度もハンターズネットで愛花の邪魔をした。
白竜:めっちゃイキイキしてた。剣城も調子上げてるしで大満足。愛花のことは気に入ったが、婿候補の件については保留。
シュウ:なんか敵から寝返ってきた奴がべらぼうに強い。ま、いいか。よろしくね!のテンション。ちゃんと光堕ちはできたらしい。

次回は少し短いですが、太陽編。お楽しみに!
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