くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【速報】はじめてのくえすと・2

 わたし、華亥ムラクモ♡ 独自の理論を振りかざす、前人未到、空前絶後のクイズ王♡

 

 

 ところで問題です。なんか……葉っぱ。うんたら草とかいうヤツは、どんな見た目をしているでしょうか?

 チックタック、チックタック……。ピンポーン!

 あ、あれだわね! ムラクモちゃん、キチンとお話聞いてたから知ってるよ! あの……うん、蛍光紫のやつでしょ! トゲとかいっぱいついてる……はい、ブブー。不正解! 適当言っちゃダメですぅ。

 ……くっ、知能レベルの低さが、こんなところで足を引っ張るなんて、とんだ誤算だったぜ。

 こうなりゃ、ヤケだあ! 片っ端から草木全部引っこ抜いて帰ったる! きゃーっ、最低! 丘くんの頭髪全滅させて丸坊主にする気なの!? 円形脱毛症の丘にする気なの!? 無慈悲! 環境破壊大臣わたし。

 ……いや、冗談だけどね。さすがに自然破壊はしないよ。だってムラクモちゃんは自然派美少女だからね! 怪物に厳しく、自然に優しく……清く正しいヒロインわたし。なんつって。

 

「……うーん。見分けがつかない」

 

 どっちがどっち? こっちがあっち? 俺がお前でお前が俺で? 俺がお前? ここはどこ、私は誰? ふっ、ならば教えよう! ここは脳内ムラクモ空間! 特に意味のない場所だ! なんだってー!

 ……頭こんがらがってきちゃった。

 なんかその辺の草を適当にむしりむしり。ちょっとムラクモちゃんー。お外の草が茂ってきたから引っこ抜いておいてね! おっけー! ついでにお家も引っこ抜くね! なして! それはね……私に命令したからだーっ! うわー! どかーん! ふっ、俺は俺の道を行くぜ。……単なる破壊行為をえらくオブラートに包みましたねぇ。

 

 さておき、私に考えがあります! 軍略家ムラクモちゃん? 分からないなりにそれっぽいのを必要分摘んで行きましょう。素人ガンナーもたくさん撃ったらクリーンヒットするって言いますからね。目利き素人わたしも、数を撃ったら当たりますよ! す、すげぇ。これが稀代の軍略家の発想か……。なんて天才的なんだ! ……って、草の見分けがつかん言うてるでしょ!

 

 改めて周りをキョロキョロ。なんて小高い丘なんだぁ……。まるでムラクモちゃんの自尊心みたいね! まぁ、謙虚ってこと? ナルシーってことですわ! ひどい! でも当たってる!

 ……ここねぇ、当たり前なんだけど、草花がかなり生い茂ってる。ほら見てあなた! お花畑よ! なんて美しいんだ……。そうね……。ふっ、花畑も綺麗だけど……一番はムラクモちゃんさ。きーっ! この泥棒猫! どっかーんっ。……ちょっと、話が逸れてますわよ!

 

 うむむ、と顎に手をやって考える人のポーズ。……実際、頭の中は空っぽですケドね! 非実在性思考回路わたし。

 

 

 …………。

 

 

「……ん。そういえば(突然の気付き)」

 

 おじょー様! ムラクモちゃんにはつい最近、莫逆の友ができたんでしたわ。友達……なんて甘美な響きなんざましょ。なのに忘れてたの? それは、はい。友達がいたことなさ過ぎて、思考からすっかり抜け落ちてたのん。……ワシとしたことが、うっかりしとったわい。薄情者めーっ。すみません!

 そ、それよりも見てこれ! PINEの友達リスト! 一人になってるでしょ。ドヤァ……。これをねぇ……こうしちゃうっ。 

 

 カシャカシャーッ。

 うおお、スマホ的な端末で草を激写激写ーっ。そしてそいつを──PINEへ張り付ける!

 リア充人生邁進中わたしにしか成しえない大技だーっ!

 

 

:添付画像

 

:ムラクモちゃんからのお願いだよ♡

 なんとか草ってやつ教えて!

 

 

:うーん、ちょっと手掛かりがふんわりし過ぎてますから、映ってる物の名前を列挙しますわね。

 

 

:やったぁ♡

 さすが終生名誉我が子房だね♡

 

 

:まあ嬉しい。

 右から、キュリア草、アルティ草、クオン草ですわよ。

 

 

                      

:サンキュー博士!

 くれぐれも悪用するんじゃないぞー!

 

 

 

 ……ふっ。やはり我が策に狂いナシ。

 こうも容易くクオン草の正体を突き止めてしまうなんてね。我ながら、無限の策を生み出す頭脳が恐ろしいぜ……。見つけたぞ! 軍師ムラクモだ! 殺せ殺せーっ! ぎゃあーっ! ざしゅー。……ふっ、人の功績を横取りするような奴には似合いの末路だな。……チャリクモ、暁に死す!

 うん。おじょー様ありがとう。チャリクモちゃんは今日も大親友飼い主ちゃんに心の底から感謝してますのん。

 

 

 ところで、草。

 えーと、左右ってどっちだったかしら。生きてて右とか左とか特に気にしてないから、急に言われるとわけわかんなくなっちゃいますわね。

 俺が右でお前が左。左があたしで、右があんた……。うん。もうよくわからんくなったので、この三つを適当に摘んで帰ったらいいや。なんか飽きてきちゃったし。

 

 えいやっ、と軽く草を引っ掴んでぶちぶちー。それを袋に詰め詰め。……いいね!

 んじゃ、もう帰ろっかな。

 

 

 

 ───

 

 

 

 はい、ただいまー。ただいまー。

 見てこれ、見てこれ、みんな見てー! 本日の成果ですわよ。ムラクモちゃん有能説にまた、一つ裏付けがされてしまったわね。キラーン。

 

 常識的文明人のわたしは、クエスト報告の受付の列にもキチンと並んじゃう。蛮族じゃないからね。混んでるからって、先客をぶっ飛ばしたりはしないのだ! まあ、なぁんてえらいんざましょ。素直でお利口なムラクモちゃんに百点満点花丸! いやー照れちゃう。

 

 暇だなー。やることないなー。退屈だなー。

 なんて思いながら待ってると、二つくらい前かしら。その辺りに並んでたガールがいきなりぎゅるんってこっち向いたんだよね。え? 何よ。もしかして、ファンの方? 握手したいワケ? もしかして、笑顔みたいの?

 ……わりぃなお嬢ちゃん。ムラクモちゃんスマイルは安くねえんだ。……おっといけない! 先走ちゃったわぁん。

 

「……アンタ、それ」

「ん?」

「他人事みたいな顔してんじゃないのよ! アンタその袋に入ってんの、キュリア草でしょ! しかもすり潰したやつ! クッサいのよっ!」

 

 ええ……。いきなりなんてこと言うの、この子は……。

 さすがのムラクモちゃんもドン引きしちゃいますわ。常識ってものがないのかしらね。ムラクモちゃんを見習ったらいいよ。……やめて! 世界の常識がムラクモちゃんになったら、この世の終わりだわ! ……そんなことなくない? なくもない? なくなくもない。

 

「ちょ……ナニ奇人を見るような眼ェ向けてんのよ。言っとくけど、おかしいのアンタの方だからねっ!」

「見て。色々入ってる」

「ちょっと! 何近づけてんのよ! ちょまっ、クサッ。臭いって言ってんでしょ!」

 

 ぺちこーん。あいたーっ。

 ムラクモちゃんのプリティーヘッドをどつくとは、ひどい女だ。

 ……ところで、そんなに臭いかしら? 

 

 袋に鼻を近づけてスンスン。……別にそんなでもなくない? 宇宙ドデカカメムシの体液の方が億倍臭かったけどなぁ。アレやばかったもの。流石の最強ムラクモちゃんも一瞬気を失っちゃったんだから。

 しかもその体液ひっ被っちゃったせいで、一年くらい隔離されたからね。あれマジで傷付いちゃったんだから。リキッドメタル・ハートわたし。

 

 女の子──赤い髪してるから、レッドンでいいや。……プークスクス。なんだか怪獣みたいな響き。

 ヒャッハァ、ぷりちームラクモちゃんに手を上げたお前にはお似合いの名前だぜーっ! なんつって。……れっちんに変えてあげよ。

 鼻をつまみながら、イヤそうにムラクモちゃんナップザックをのぞき込むれっちん。

 

「…………アンタ、これ」

「ん?」

「キュリア草、アルティ草、クオン草……全部潰れてダメになってんじゃないの! これ、買い取ってもらえないわよ!」

 

 がびーん! そんな馬鹿な!

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