わたし、華亥ムラクモ♡ 座右の銘はラブ&ピース! ノーサイド精神ギッチギチに詰まってる系女の子♡
……ただし、ドデカ虫っ。テメーは許さねぇっ! シャッキーン!
ということでね、積年の(逆)恨みも晴らせたことだし、頸部をへし折ったげた用済み死骸くんはそこらへポイッ。
出たーっ! 環境破壊大臣ムラクモの面目躍如だ! 見つけたぞ、アンチナチュラリスト・ムラクモめ! どこでもポイ捨て行為の現行犯で逮捕する! がっちゃーんっ! ゆるちて〜。
……まぁ、うん。ポイ捨てはよくないよね。良くない良くない。逮捕は当然の報いだぞ、反省したまえムラクモくん!
……とはいっても。こんなでっかい虫ゴミ持って帰りたくないから、放置しちゃうけど。
【フィーナ@公式アカ:ちょっと! 何雑に捨ててるんですか! 持って帰ってきてって言っといたでしょ!】
【フィーナさんバチギレしてて草】
【つか、モンスター相手にのど輪からのへし折りフィニッシュって、いくら何でも野蛮すぎん? まさか蛮族か? ……バーバリアンロリだったわ】
【↑ ベアハッグの使い手でもあるぞ。ヨマズネ山で大イノシシ両断してるからな】
【草。……いや、ハッグで両断って何?】
んだらこってね。次のお仕事に取り掛かってござるですわよ! キモ虫駆除業者わたしは今日も大忙し! ヤツらの巣穴を隅から隅まで探し回っちゃうんだからっ。そんでもって、見つけ次第星の海へ投げ込んじゃうのだわっ!
おらおら、飛んでけ飛んでけっ! キラーン☆
「ま……まってくれっ、君!」
「……?」
決意をあらたに気分上々、意気揚々とキモ虫駆除へ繰り出そうとしてたらね、野太い声がかかったのん。
いったいどこのどいつよ! ムラクモちゃんの出鼻を挫くなんて、相当な勇者じゃないの!
やるなお主! ムラクモ式プリティ大仰天流・免許皆伝をくれちゃる。これでハロウィンもバッチリだわね!
さておきさておき、振り返ってみるとねぇ。そこには大剣おじさんとマイフレンド・おじょー様がハロー、ハロー。
んん? 何用でおじゃるか?
「き、聞きたいことは色々とあるんだが……とにかく!
助太刀には命拾いさせてもらった! 君が来てくれてなかったら、俺達はいったいどうなっていたことやら……」
【律儀だなぁ、エスター】
【スキンヘッドのマッチョおじが銀髪ロリに頭下げてる光景はそこはかとなく事案のニオイがするけどな】
【↑ 無言でムラクモちゃんを撫でてるレイラたんは事案じゃないのか?】
【そもそもの原因はタイラントロリが暴れまくったせいなんだよなぁ……。もうこいつタイラント通り越してディザスターロリだろ】
【↑ ま、まぁモンスターを攻撃してる分には健全だから……】
【てか、タイラントロリ、心底どうでも良さそうで笑う】
あ、お礼を言いたいのねと俄然ガッテン。
けども……わりぃな。べつに恩を着せるつもりなんかなかったから……どうでもよかことばい。
なので大剣おじさんのお話はひらりんちょと受け流しつつ、受け流しつつ。目ん玉カメラをむんず。
「奥に向かいますの?」
「ん。まだ生き残ってるのいるかもしんないし。……ぜんぶ絶やすの」
「ちゃーちゃんは仕事熱心なのねぇ……」
「いや……レイラさん? いやいや……え? なにこのちっちゃい子ぶっそう」
【虫モンと出会ってこっち、ムラクモちゃんの殺意がずっと高くておじさん、泣いちゃった】
【わぁお、またお目々ギンギラしてるね。かわいいなぁ】
【エスターおじちゃん、困惑しててかわいそう】
あばよっ、じゃぁにぃ〜!
ムラクモちゃんは行くぜっ! 光り輝く明日の先の先……って、ヤツにさ。安心しろよ。お前は俺が支えるさ。……へっ、ガラにもねぇこと言っちまったな。忘れてくれドカーンっ! ムラクモは死んだ。
……命って、儚いわね。
とってんかん、とってんかん。……工事してますのん? ちゃうわい! 足音や! 足音ファンタジー工作わたし。
通路で偶然出会ったキモ虫から、部屋の隅っこで震えてるキモ虫まで幅広く対応! まー! お得! 気になるお値段は……無料です! やったね!
【一方的じゃないか、我が軍は!】
【我が軍(ちびっ娘一人)】
【深緑に飛び散る血雨の中、銀の髪を靡かせるキミはまさしく……タイラントロリ】
【↑ 三流ポエマーやめてね】
【最下層のモンスター達まで巻き添えで逃げ惑ってて草。……いや、草なのか? うっ、頭が!】
どどんがどん! おみゃーらは太鼓だでな! めっちゃぶっ叩いていい音させたるでよ! 見よ、一秒間に三千回べちこーん!
ふっ、これぞ名付けてプリティ・デス・デストロイヤー(ただのコークスクリューパンチ)! 相手は消える。デッドパンチャー・ムラクモ……なんて恐ろしいやつなんだ。……なんつって。
そんでね。ムシケラくんとキモ虫をなぎ倒し、なぎ倒し。戻ってきました体内模倣キモ壁エリア。
なんかあのアリもどき達ってば、この辺りからうじゃらこ沸いてたみたいだし、うーん……。
とりあえず、キモ壁全部ぶっ壊したらいいかしら? えっ、壊し屋ムラクモちゃんが誕生しちゃうのん? どんな頑丈な建物の破壊もお任せください! 跡形もなく更地にしちゃうよ、勝手に! ちなみにキャンセルは不可能です!
……そいつ実は地上げ屋だったりしない? 壊し屋兼地上げ屋ホームレスわたし。
つーことで、どったかばったん!
お引越し業者のムラクモちゃんでーす! みなさんを地獄へ運搬させてもらいますねー!
【虫くん全滅させて未踏領域に戻ってきたと思ったら、ムラクモちゃん今度は壁を攻撃し始めたんだが……。俺はいったい何を見てるんだ?】
【栄養不足? もしかしてイライラしてらっしゃる?】
【アリもどき達はどうやら、あの壁から生じてるみたいだったし、根を絶つつもりでやってるんじゃないか?】
【ウッキウキで破壊行為してて草】
はいどーん! ばーん! ばっきぃっ!
殴れば殴るほどキモ壁は砕けて潰れて崩落してっちゃう。なんだろ。なんだろうね、この……。
そう、痛快!
それは誰かの積み上げた努力を一瞬で台無しにする快感! やべぇぜアニキ! ムラクモちゃんってば、破壊の快楽に目覚めちまいそうだ! ……なんちゃってね。冗談だよ。
いや、ホントに。
鯛は腐っても鯛。魔法少女はくたばり損なったって魔法少女だもん。正義のハートは忘れない!
そーれ破壊だぁ!(ドゴォ!) わははー!(バキィ!)
わぁ、危険人物の仲間入りだぁ。
【ムラクモちゃんが楽しそうで何よりです】
【虫モンスターくんに対しての殲滅行為に、慈悲と余念が無さすぎる……】
【でも、顔はすごく可愛いから……】
【“顔だけは”な】
「……ん?」
んーで、しばらく破壊行為を続けてるとねぇ、崩落させた壁の向こうに通路を見つけたの。肉々しい壁にキモいエッグがビッチリ張り付いとる。
さすがのわたしもドン引きしちゃうわね。
【うおっキモッ! やっべぇなこれ】
【モンスターが産卵してるって、普通じゃないぞ! これ、明らかに重大事件じゃねぇか!?】
【↑ どゆこと?】
【常識くらい勉強しろ! モンスターは発生するものであって、誕生するもんじゃねぇってことだよ!】
【↑ ツンデレ乙】
【つまり放っておいたら……?】
【ロクなことにはならんだろ。要するに、あのやべえアリもどきが際限なく数を増やしてるってことだからな】
はい、すんっ。
ムラクモちゃんの感情はジェットコースター! その場のノリでなんとなく上がり下がりしちゃうのんっ。
……なんか脳みそが危険な物質生み出してそうですわね。
なんだっていいや。
キモ虫は絶滅させる。わたしが考えることはそれだけだからね。
けど、このキモ卵、殴って潰すのやだな。数が多くて手間だし、ばっちぃしね。
……ふむ。
焼き払って綺麗にしちゃお。
とのことでね、そーれそーれ火の粉よ、舞い上がりたまえー。かしこみ、かしこみー。
そんで、でき上がった火の玉を卵通路に向かってポイ捨て! ちょっとムラクモちゃんったら! あなたポイ捨て辞めたんじゃなかったの!? す、すまねぇ。一度身に付いた負の習慣は中々抜けねぇんだ……。いやんっ、世知辛い。
【ムラクモちゃんが魔法を使った!? 使えたの?! つか今詠唱してたか?】
【んにゃ、してない。手のひらを掲げたら急に炎が発生したぞ】
【えぇ……無詠唱ってやつ? 意外とインテリジェンスなのか? タイラントロリって】
【↑ 馬鹿野郎! 滅多なことを言うんじゃねぇ! あの頭バーバリアンがインテリなら、俺達の脳みそは蛮族以下だぞ!】
【す、すまん……】
ぼーんどかーんっ。
着弾したファイヤーがめっちゃ燃えて、ばっちぃ卵を通路もろとも綺麗に消毒してっちゃう。
炎はよいのぉ。あったかいし、なんか綺麗。空気まで焼き尽くしちゃうのが玉にキズだけど、ムラクモちゃんにとってはなんてことないのだ! 何故なら最強だから!
ふっ、俺はもう空気に依存する生活は……やめたのさ。そんな! わたし達もう終わりなの!? いいや、新しい……関係の始まりさ。
……それってどんな関係?
即席暖炉でぬくぬくするのもいいけど、今はお仕事中。キモ卵がちゃんと消し炭になってるか確認しつつ確認しつつ。先に進んじゃおうかな。
【いやいや……。ちっこい火の玉でしたやん。それが着弾した途端にあんな地獄もかくやって燃え広がり方するとかある?】
【あ、ちょ! ムラクモちゃん! 危ないから火中に飛び込んじゃいけません!】
【俺、火竜戦の時からの古参だけどさぁ……。もしかしてタイラントロリって、俺らが思うよりずっと非常識な存在なんじゃねぇか?】
……。
うん。いい感じに焼けてるみたい。
定期的にファイヤーを放ちながら奥へ、奥へ。
もっとだ! もっともっと燃えるがよろしい! わー! 火事だー! ふっ、火の中を歩くのも乙なもんだな。……はっ! これが俗に言う、放火犯は現場に戻ってくるってやつ? 放火魔系配信者わたし。
てくてく歩いて、TECテクノ音楽! ……ムラクモちゃん。ノリで変な事言うくせ、治しましょうね。いいやダメだね! 馬鹿は死んでも治らない! ……いや、わたし馬鹿じゃないけどね! 困ったなー。天才すぎて一周回っちゃったみたいだわー(棒読み)。
「……!」
どうやら最奥部についたみたい。
目の前にはなんか緑色のネバネバした──なんだろ。扉? 壁?
まぁ、なんでもいいや。ネバネバ粘液が道を塞いでる。耐火性があるのか、ムラクモちゃんファイヤーでも燃えてない。
ムラクモちゃんは賢いので、みなまで言わずともわかっちゃうんだよね。いるんでしょ、この奥に親玉。そんでやっつけたらいい感じになって、キモ虫は絶滅するんや! 知ってる知ってる。
ということで、べりべり剥がしてベリーマッチョ! ……ぶぇーっくしょいっ。ぶるぶる、寒いわね。
【ちょ、明らかにボス部屋前でしょ! 準備とか……いや! せめてためらって!】
【↑ よう、ルーキー。この配信じゃ今更の心配だぜ】
【あ】
【うわキモっ】
「キシャアアアアア!」
キモ(素)。
いや、本当にキモいのん。不快害虫度数アップ、アップですわね。キモさで言えばドデカ宇宙ゲジゲジに匹敵しちゃう。ちょっとここに来たの後悔しちゃった。
見た目はねぇ、卵がぎっしり詰まった透明のお腹を抱え込んだ、お手々いっぱい、見てるこっちの胸もいっぱいな、変な虫。てっきり女王アリ的なやつがボスかと思ったのに、見た目のイメージはナナフシに近い感じ。ムカデみたいに脚が多くて、でっかい卵巣を抱えてるナナフシ。
……いけない。説明したくなんかないのに、思わず語っちゃった。錯乱してんのかも。
一刻も早く滅ぼしちゃお。なんかもう、こいつが存在してるの許せないので。
よいしょっと拳を軽く握り込む。
これっぽっちも申し訳ないとは思っちゃないけど──。
一応はこっちの事情で滅んでもらうわけだし、謝っとくね。
「……ごめんけど、消えてね」