わたし、華亥ムラクモ♡ 立てばプリティ、座ればラブリー、殴る姿はバイオレンスな大和撫子系女の子♡
てめぇのハートを撃ち抜いたるぜ! そーれバキューン! いやんっ、やめて! そんな物騒なモノをこんな狭い道でぶっ放さないでよ! ぺしーっ。
「ま、マジかよ……。メーザーキャノンを手で払い落としてやがる……化物か?」
「ちょ、ちょっとリーダー……今からでも謝った方が良くない? 態度悪くして、ごめんなさいって」
「そうだよ! だって“暴君”だよ!? どんな目に遭わされるかわかんないよ!」
「うぐぐ……」
遺跡ダンジョンの狭っ苦しい廊下には危険がいっぱい! 宇宙戦争ロボットくんの大軍団がうじゃらこうじゃらこ。 所々にはね、備え付けの鉄砲があって、ペンペン撃ってくるのん。
すんごく未来的だぁ……。この遺跡ダンジョンが古代ロマンっぽかったってこと……どうか忘れないでください。……あばばっ。しまった電磁トラップだ! ぶちーっ!
だが効かぬ! ムラクモちゃんに電撃は通用しないのだ! 何故なら最強だから! 残念賞あげる。……ふっ、すまねぇな。強すぎちまってよ。俺も困ってるんだ、自分自身のあまりの強さにな……。なんつって。
さておきさておき、ロボットくんへパンチパンチ! がっしゃーん! ぐしゃー! なんてこった壊し屋ムラクモだ! ロボが見る見るうちにスクラップにされてっちまうぜ!
おらおらー、必殺のラブリーハリケーン(パワーボム)じゃー! どっかーんっ!
「おいおい嘘だろ……。見ろよリーダー……あんなちまっこい小娘がマシナリーをぶん投げてやがるぞ……」
「ヤバいって! 目付けられてボコされる前に、謝った方がいいよ!」
「り、リーダー……」
「わ、悪い夢だ……」
ガッシャコーン! お見事!
おじょー様が振るった剣がロボくんの弱点を的確に突いてやっつけちゃうところを横目でチラリ。キャッ、覗きよ!通報して! ゆ、許してくれっ。悪気はなかったんだっ! ぶっぶー。悪いやつはみんなそう言いまーす。ムラクモ死刑! 無慈悲!
……おじょー様やれっちんも頑張ってるみたい。
魔法でびゅんびゅか攻撃したり、槍でツンツンしたりしとる。……しかし、最強はこのムラクモだ!
目指せロボット逆ハーレムわたし! 見て! 見よ! おみゃーらのつぶらな一つ目を釘付けにしたるでよ! ムラクモちゃんフラッシュ! うおっ、まぶし!
「……アンタ。今何でちょっと発光したの?」
「ん。……ノリで」
「どんなノリよ! マジメにやりなさいよね!」
うえーん、れっちんが怒ったぁ。怖いよぉしくしく(ぶりっ子)。ムラクモちゃんのストレス知らずハートに致命的ダメージ! ふっ。光が目に染みるぜ……。
そんなこんなのそんなにこんなん?
宇宙戦争ロボを掴んでは千切り、掴んでは千切り。愉快な探検道中inムラクモちゃん御一行。
ある時はレーザートラップをかい潜り(怪盗ドラマかな?)、またある時は金庫みたいな宝箱をぶっ壊……そうと思ったんだけど。
おじょー様とれっちんの二人がかりに止められて、ぷんすかぷんぷんに怒られちゃった。「力ずくでやったら、中身までダメになるでしょ」って。
……なるほど。こりゃ盲点だぁ。
失敬、失敬。
何でもかんでも力ずくでやっちゃうの、ムラクモちゃんの数少ない欠点の一つなのん。でも、欠点がある方が親近感がわいて相手を好きになるっていうし……。
きゃんっ。ダメよ、いけないわ。ムラクモちゃんはみんなのモノ……誰か一人のモノにはなれないの。
安心せい。そりゃ杞憂ってもんじゃい。……世知辛い世の中だ。
「ど、どうやらこの先がゴールみたいですね……“暴君”の姉御」
なんだかいつの間にかへーこらした態度になってたヤンキーくんが、押忍ッて感じに言ってくるのん。
なに? 舎弟なの? 確かにムラクモちゃんは脳内にチンピラを飼っているけれど、もしやそれを見抜いてしまったのん? いやんえっち。女の子をテレパスするなんて、セクハラよ! テレパシー・ハラスメント! なんてね。
うん。
いきなりなんやねんってねぇ、首をかしげてたら、おじょー様が教えてくれたの。
「ちゃーちゃん。グレルさんはね、お友達になりたいですよって、態度で示してるんですのよ」
「えっ?! いや別にそういうわけでは──」
「そうなの?」
「ですのよ。ほら、モジモジしてらっしゃるでしょ。あれ、照れ隠しですのよ」
そっかぁ。なんかビビってるように見えないこともないけど、おじょー様がそう言うなら、わたしの気のせいか。
というか、友達になりたいんならそう言ってくれたら良かったのに。照れ屋さんも大変なんだねぇ。
正直名前も知らない、今日会ったばかりの人といきなり友達になれってどうなの? ふしだらじゃない? って思っちゃうけどぉ……。
ふっ。これも人気者の宿命……って、やつね。
博愛精神の権化であるムラクモちゃんは問題なく受け入れたげよう。ムラクモちゃんの愛は万人に開かれたものだからね。……ただし会員制です。一見さんお断り。まったく開かれたものじゃないやんけ!
つーことで。これあげちゃう。
「ん」
「こ、これは……?」
「あらまぁ。素敵な木彫りの熊さんですわね」
「いや……これ。猛り狂うドラゴンでしょ。中々芸術性高いわね」
違うよ! まったく失敬だなぁ!
おじょー様もれっちんもよく見なさいよっ。
どっからどう見てもアイドルポーズしてるムラクモちゃんフィギュアでしょ! ほら見て! うり二つ!
「うわぁ。変な人形……。いや、あれ人の形してる?」
「造形ガッタガタじゃんねぇ。天は人に二物を与えないんだなぁ」
「リーダーも気の毒に。あんなの俺なら絶対もらいたくないね」
おい。そこのヤンキーくんパーティ共。
そのコショコショ話、聞こえてるからね。ほんの些細な陰口も聞き逃さないムラクモ・イヤーからは逃れられないんだぞ!
壁に耳あり、ムラクモにイヤーあり。内緒話はもっと狭いところでやるんだな……盗聴系警察官わたし。
……うん。まぁいいや。
んで、最深部。
いい感じに装飾された扉を抜けるとねぇ。玉座の間っぽいところに出たの。いかにもボス部屋って感じ。封印されし棺からファラオ・アンデッドとか出てきそう。
でもねぇ。周囲を見渡してみるんだけど、なんもいないみたい。
な、なんだよ。何もいないじゃんか……。遺跡ダンジョンも大したことな──ガオーッ! グワーッ! フラグ乙。
……ってことでね、先手を打っちゃう有能ムラクモ。これでさすがに奇襲されたりなんかしないでしょ。ボス部屋メタ読み湧き潰しマンわたし。
……語呂悪いな。フラグへし折り闇のレースクイーンわたし。
「……あった。聖獣の輝石よ」
「ん。なんかピカピカしてきれい。それなぁに?」
「呆れた。……アンタ本当に何も聞いてこなかったのね」
だってよ、れっちん。仕方ないことだったんだ……。お話長いんだもの。
仮になんかあったって、ぶん殴ったらだいたい解決するし……。まー、野蛮! 最近の文明人は話し合いとラブ&ピースの精神で解決するんざますのよ! で、でも。ムラクモちゃんだって人間は殴らないから……。
Q 人外は? A 殴るよ。……野蛮人!
「ん。これで任務達成?」
「そんなわけないでしょ。依頼品は納品するまでがクエストよ。
いい? ……ちょっと腕が立つからってね、アンタ油断すんじゃないのよ。こういう分かりやすい部屋がガラガラの時って──」
「ぐああーっ!」
「り、リーダー!」
「いやぁ! グレルゥー!」
れっちんがねぇ、言い切る前に細長いレーザーがビビビーッ。ヤンキーくんを正確に撃ち抜いたの。ば、馬鹿な! お前はボス登場フラグ! 先んじてへし折っておいたはずだ! ……いや、普通に考えて、頭ん中でグダグダやってんのが現実に干渉するわけないよね? そりゃそうだ! 判断が遅い!
当たり前だけど、ヤンキーくんパーティはてんやわんや。……心配しなくても大丈夫だよ、って言ったげたいけど、今はボスを優先した方がいいかも。
レーザーが来た方を見てみると、ロボットの親玉みたいなやつが屈伸煽りしてる。四本脚でねぇ、エッホエッホ。
お兄さん達よっわーい♡ 前衛スカスカ♡ 耐久力ザコのヘボ探索者♡ ムラクモ♡
ムッカァ。おい! 人の名前を煽りに使うなんてどんな了見なんだい! もはや許さぬ、わからせの刑だぞ!
勝手に煽られた気になって勝手にキレ出すなんて……なんて理不尽! しかし、それが世界だ。チャララーン、あなたの髪に潤いを。異世界シャンプー新発売!
「……あのマシナリー……ヤバそうだわ。アシュベリー! アンタ、戦える?」
「ええ! 準備万全ですわ! ちゃーちゃんは?」
「ん。やれるよ」
屈伸煽りメスガキロボットくん……ちゃん? どっちでもいいけど。
君には大人の怖さってやつを教えてあげちゃうぜ! ゲへへ……。ジリジリにじり。キャッ、変態! その愛らしか四本足むしり取ってリボン結びにしたんどワリャーッ!
……チンピラの喧嘩かな?