くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

27 / 37
【配信】異世界インタビューされちゃう件

 視聴者数:21007

 

 

 

 

「はろーはろー、皆さまご機嫌よろしくて? わたくしはすこぶるご機嫌ですわっ。

 フリーで探索者をさせていただいておりますの。レイラ・アシュベリーですわ」

 

 

【はじまた】

【レイラたんがコラボってマジ? あの子ああ見えてけっこう気難しいから心配だゾ……】

【↑ 安心しろ。タイラントロリは頭蛮族だから大抵のことはなんとなく流してくれるぞ】

【相手の子誰?】

【↑ お前知らんの? 最近話題の“暴君”だぞ】

【レイラたんもムラクモちゃんもかわいいなぁ】

 

 

「配信タイトルにもあります通り、今日はコラボですの。とっても可愛らしくて素敵なお客様をお呼びしてますのよ。

 わたくしの一番のお友達、ちゃーちゃんこと、華亥ムラクモちゃんですわ」

「ん。

 ……わたし、華亥ムラクモっ♡ 地方の田舎迷宮都市から夢の大都市、王都へこんにちは! 自分語りするのが大好きな配信者っ♡

 ……今日はよろしく」

 

 

【草】

【ムラクモちゃん自分語り好きなの? その割に謎多き人物じゃない? おじさんにもっと色々教えてよw】

【↑ 通報しました】

【情緒ぶっ壊れとるんか、この子?】

【いつになく感情が籠もった媚び挨拶で草。……タイラントロリ、レイラたんのこと好きなんか?】

【この子が“暴君”なの? もっとゴリゴリの怪物みたいなやつかと思ってたわ】

【↑ 増虫事件で検索してみ。目玉飛び出すで】

 

 

 異世界の王都ってさぁ……地下にあるもんなのね。ムラクモちゃんびっくりしちゃった。

 すごいんだよ、もう。

 モノレールもどきで来たんだけどねぇ。……湖の中にドボンって突っ込むのん。

 んーで、でっかい観音開きの扉くぐるんだよ。鉄のやつ。そんでね、トンネルに入って、長ーい距離走って、終点が王都なの。

 ふっ。つくづく俺の考えを裏切ってくれる……。おもしれー異世界。

 

 ここはすごいぞぉ、眠らない街だぁ。

 地下だってのにねぇ。めちゃんこビル建ってるの。なんなら、ムラクモちゃん世界のビルより高層なのがばっつんばっつんって。

 ……あんなでっかいの建築しちゃって、地震とかきたらどうなっちゃうんだろ。……おめでとう! 君は絶対住みたくない家ダービーで見事一位を獲得したよ! って感じ。しかもねぇ、なんか教育に良くない感じのポスター貼られまくってるの。いやんっ、こんなのって、ムラクモちゃん恥ずかしぃ……。

 看板とかね、建物とか、いかがわしい色の電飾で飾られまくっててさぁ……なんだろうね。

 治安悪そう(素)。

 や、闇の気配をひしひしと感じちゃうぜ! おどれムラクモコルァ! 何さらしとんじゃ死ねやーっ! バキューン! みたいな展開……毎秒起こりそう。……これがアンダーグラウンド・シティってやつか。

 

「今回、わたくし達が何をやるかは既にポンスタや概要欄でお伝えしている通り、雑談ですわ。

 わたくしが聞きたいこと、知りたいことを一方的にちゃーちゃんにぶつけて、より仲を深める……そういう内容となっておりますのよ」

「ぱちぱち〜」

 

 

【質問に拒否権は認められないんですね、わかります】

【ムラクモちゃん、そこはかとなく嬉しそう】

【というか、その内容は雑談でなく対談では?】

【お見合いかな?】

【大丈夫? ムラクモちゃん、ちゃんと人間同士の会話できる?】

【さっきから、ムラクモちゃんところの視聴者さん酷い言い様で草】

 

 

 んまあ、何でも聞いてくれていいよ。特に隠すようなこともないしねぇ。……え? おじょー様との関係? ふっ。あいつの寝相を知ってる仲って言えば……伝わるかい? がびーんっ! ぱりーん! しまった脳破壊ムラクモだ! 死ねぇ泥棒猫ムラクモ! ぐさーっ。

 い、いかがわしいことしてないよ。ホントホント。昨日ね、一緒のお部屋で一夜を過ごしただけだよぉ……。

 

 

「それじゃあ、ちゃーちゃん。最初の質問しちゃいますわね。好きな食べ物と、苦手な食べ物を教えて?」

「んー……」

 

 こ、困るよぉ……。そんな質問、こんなところでされたら……。

 で、でも他ならぬおじょー様の頼みだし、トクベツ……なんだからね♡ なんつって。

 

「……食べられたら何でも好きだけど。特に好きなのはお肉かも。串焼き。……嫌いなのはねえ、アリンコ鍋。酸っぱくって頭おかしくなるの」

「アリンコ鍋……。ちゃーちゃんも苦労してきたのねえ……」

「うん。半年くらい毎日三食だったの」

 

 

【いやいや……。いや、ツッコめよ】

【半年間毎日アリンコ鍋って、どういう状況だよ。そしてそのカミングアウトを「苦労してきたのねえ」で流すレイラたん、受容の怪物か?】

【もしかしてだけど、ムラクモちゃんの飽くなきまでの虫モンへの憎悪はソコから来てるの?】

【つかまず、アリンコ鍋を食わざるを得ない状況が頭おかしいわwww】

【ムラクモちゃんのお目々が曇ってる……】

【アリンコ食べられてえらい!】

 

 

 もっとひどい味も結構あったけどね。

 ドデカゲジゲジとか、グロデカスパイダーとか。そいつらに比べりゃ味自体はマシな方だけど、期間がね。食べざるを得なかった期間が長すぎたので、宇宙ドデカアリンコ鍋くんはワースト一位です。

 おめでとう! 二度とそのツラ見せるなよ! ドアバターン!

 

「そういえば、虫で思い出しましたけれど……。増虫事件の時、虫モンスターのこと壮絶にしばき回していましたわよね。ちゃーちゃんって虫嫌いさんですの?」

「…………どうだろ」

 

 改めて聞かれると迷っちゃうなあ。別に嫌いなわけじゃないのよ。ただ、見かけたら滅ぼさなきゃって思ってるだけで。

 憎いとか嫌いとかって感情とは違う気がするなあ。……きゃんっ。これってもしかして、恋!? サーチ&デストロイ系恋愛わたし。……ホントにそれって恋ですか?

 

「友達になりたいですって言われたら、死ねって殴っちゃう。……そんな程度の感情かな」

「あらまあ。ちゃーちゃんも意外と激しいところあるのねぇ」

 

 

【いや、めっちゃ嫌いやんけ!】

【お目々ギンギラになってるよぉ……ムラクモちゃん】

【↑ そしてそのバーバリアンロリをこともなげに撫でるレイラたん……。てぇてぇ。……いや、本当にてぇてぇか?】

【つかさ、“謀帝”の聖剣へし折ったってマジなの?】

【デマだろ。本当に“謀帝”と“暴君”がやりあったなら、剣が折れる程度の損害じゃすまなかったはずだぞ】

【だがタイラントロリだ。やりかねないぞ】

 

 

「……ふむ」

 

 おじょー様はお空に目をやってコクコク頷いてる。視線の先にはうっすら透明の板にもにょもにょ文字列。なんか気になることでも書いてあったのん?

 

「ちゃーちゃんが“謀帝”の剣を壊したって噂、気になってる人、たくさんいるみたいですわよ」

「……ん?」

 

 その……“謀帝”とやらはどちら様でおじゃるの? 特徴は? てかポンスタやってる? 話し聞こっか?

 ……ごめんねぇ、ムラクモちゃんってば人の名前覚えるの苦手なの。ゆるして。

 で、でも。なんかヒントあるもんね。ちょっと待って、思い出してみるのん。

 剣……剣かぁ。そういえば、二つ名をもらった時に、ピットブルおじさんの立派な剣ぶっ壊しちゃったけど、そのことかしら? ……いやんっ。違うのぉ(ぶりっ子)。悪気があったんじゃないのよ。ただ……。最強が滲み出てしまった……ふっ。それだけさ。なんちゃって。

 

 

「ん。二つ名もらう時に喧嘩したかも。おじさんの持ってる剣、こう……ピンってやって壊したの。先手必勝で」

「それ、ちゃーちゃんお得意のデコピン砲ですわね。……思えば、わたくしも火竜に襲われてるところをソレに救っていただきましたし、奇妙な縁を感じますわねぇ」

 

 

【それ、縁じゃなくないっすか? “暴君”の舐めプ被害者の会が結成されてるだけじゃ……ないっすか?www】

【↑ なにワロてんねん貴様】

【……誰も突っ込まないけどさぁ、そのちゃーちゃんって呼び名何なの? “暴君”の名前に「ち」は入ってないよね?】

【いや、おかしいでしょ。認定をもらいに行って普通……聖剣を砕くような話になるか? てか、聖剣って人の手で砕けるもんなのか?】

【頭トロールロリがやることだぞ。逆に俺は、“謀帝”が生きて戻った方が奇跡だと思うね】

 

 

 今思えばねえ、大人げない……最強げないことしちゃったなってちょっぴり反省しておりますのよ、ムラクモちゃん。ちょっと煽られたくらいでぷんすかぷんぷんになっちゃうなんて、貴公……いまだ迷妄なままのようだな。うっさいやい! 次はもうちょっと大人の対応ができるように心がけましょう。えー。あらゆる角度から慎重に検討をし、善処につとめたいと思いますのん。

 

「でも、なんでわざわざ剣を壊したんですの? わたくし、てっきり“謀帝”が自分に不都合な事実を隠すための噂を流しているものとばかり思ってましたわ」

 

 

【負の信頼をブッ込んできてて草】

【清楚系お嬢様のお上品な口からそこはかとない毒がまろび出ておる……】

【でも、そうだよな。俺もタイラントロリなら、敵対者は容赦なくミンチにするもんだとばかり……】

【↑ お前はバーバリアンロリを何だと思ってるんだ。あんなに可愛い蛮族なんだぞ】

 

 

 人間は殴らないよぉ。

 だってムラクモちゃんは魔法少女。腐っても鯛は鯛。くたばり損なっても魔法少女だもん。みんなの憧れのアイドルは、暴力とは無縁の可憐な存在なのだ☆ ……イラァ。このぶりっ子うざいわね。

 

「……ヒトのことは殴んないよ。人外は千切るけど」

「ちゃーちゃんなりの信念があるんですのねぇ」

 

 

【タイラントロリに目を付けられてるモンスターくんかわいそう】

【でもそうすると……この配信見て、調子に乗ったやつがムラクモちゃんに絡みに行きそうだよな。名を上げてやるってさ。ちょっとくらい殴ってもいいんじゃない?】

【↑ そういうやつは“謀帝”みたく装備やら何やら粉砕されるんだろ。ヒトは殴らないが、無抵抗でいてやるわけじゃないってことだぞ】

【人は殴らない(ただし聖剣はへし折る)】

【ムラクモちゃんは蛮族かわいいなぁ】

 

 

 なんだかエンジンあったまってきぞぉ。ムラクモ自分語りエンジン始動だ! ぶいーんぶいーん! 次はどんな質問が来るんだい?! なんだって答えてあげちゃうよ!

 ふふふ……。質問の流れからいって、ディープな感じのやつかしらん?

 魔法少女になった経緯かな? それともお気に入りの超必殺技? 絶海の孤島に眠る秘宝の話が聞きたいか! ウキウキの気持ちを込めておじょー様を見ると、にっこり笑い返されちゃう。これが……以心伝心か。

 

「ちゃーちゃんの趣味が聞きたいですわっ。休日はどのように過ごしていますの? 気になりますわ!」

 

 ずこーっ。

 

 

【いや温度差ァ!】

【そういえば、レイラたんって天然ボケだったわ】

【ムラクモちゃんのウキウキお目々がやる気なしに戻って草】

 

 

 その後、めちゃくちゃ雑談した。

 

 

 視聴者数:32044

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。