くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【朗報】住処見つかっちゃう件

 わたし、華亥ムラクモ♡ どんなモノでもおいしく食べれちゃう、明日にキラメク女の子♡

 

 

  そんなこんなのカクカクシカジカ。

 あー……。『暫定の漆』だっけ? どうでもいいけど……。

 ともかくセミみたいなミンミンお小言からサヨナラばいばい! いざゆかん、約束の地へってな感じで異世界の街へムラクモちゃん進出なのだ! (ちなみにこの時、トカゲくんを譲ってくれとか言われたんだよね、メガネさんに。……あげるわけないよね、トカゲ肉楽しみにしてんのにさぁ。だから眠眠打破でもゴックンしたら? って言っちゃった。セミだけにね(ドッ!)

 

 

 で、街並み。

 異世界ってんでしょ。だからさぁ、もっとこう……裸のおっさん達がたき火の周りでウホウホ踊り狂ってたりするもんだと思ってたのよね。

 んーで、「ほら見ろ、これが力だ」ってなんかアレコレやったら、「神様ウホ」ってなるようなイージーモード想像しちゃうじゃん。

 だってのにさぁ……。

 

 ──想像と違うやん!

 いや、薄々は察してたけどね。あの蟻塚くんってば、電球っぽい光源テッカテカだったしね。でも、夢こわれちゃう。

 

 まあいいや。

 何かこじゃれた近代っぽいファンタジー都市をトカゲくんをお供にうろちょろしてると……見つけちゃったの。どこぞの空き地を。

 

 けっこう広いじゃん! いいね!

 なんだか抗議の視線っぽいのを感じる気がしないでもないけど……決めたぜ! ここにムラクモタワーを建設する! 

 おめでとう! 石拾いホームレスわたしは、空き地ホームレスわたしへ進化した! ……それって進化なの? いいのよ、細かいことは気にしない!

 

 住処が見つかったなら、次にやることは決まってますわよね? ……そう! お楽しみのトカゲくん鍋♡

 そうと決まればさっそく調理開始だっ、俺のフライパンが唸るぜ! ……とテンション上げてから気が付いたけど、鍋ないじゃん。

 ムラクモタワー(神命名)を見渡してみても、ちょっと近くを見て回ってもない。

 ……はぁーやれやれ。その辺に調理器具が落ちてないなんて、常識のない異世界だなぁ。

 

「うーん。仕方ないから代用するか……」

 

 ちょうどいいところに廃棄されていた、なんか四輪の乗り物を……どーんっ。熱に強そうな鉄板の部分を軽く引っぺがしてコネコネ整形。

 ……するとあら不思議、なんかいい感じ(個人の感想)のお鍋が出来上がったではありませんか!

 いや、本当にいい出来。こりゃ、陶芸教室開ける出来ですよ、奥さん。……鉄をこねくり回して器を作るのって陶芸なの? どっちかってーと工事では?

 それは、はい。

 

 鍋ができたら、今度こそ調理開始!

 トカゲくんをブチブチと引き千切って細かくしちゃう。トカゲくんのコマ肉と、キモい内臓や目ん玉もきちんとお鍋へゴー・シューっ。

 んで、水をじゃばー。見て! 見よ! くたばり損なっても魔法少女! その神秘の魔法を!

 ……まあ、手のひらを蛇口にしてるだけだけどね。んで、軽く火を放ってぐつぐつ。

 

 おー……。いい匂いしてくるじゃない。月面戦争で作った宇宙アリンコのゲボヘドロ鍋とは大違いって感じで超期待しちゃう。

 火の制御にめっちゃ気を使いつつ、お鍋をのぞき込むと血のように真っ赤なスープ。……あ、血抜き忘れ取るやん。まあ、大して変わんないか。

 

 そうこうしてると、ムラクモタワーに向かって人が集まってくる。近隣の住民かしら? どうも、華亥ムラクモです。好きな食べ物は合成ゼリー。

 こんなに可愛いムラクモちゃんを遠巻きにしてヒソヒソ話をしとる。

 なんとなく盗み聞きすると、あの人達はトカゲくん鍋が気になってるみたい。

 

 ……おい、これはわたしのご飯なんだぞ! やんないからな! ……なんつって。まあ、たくさんあるし、少しくらい分けてあげてもよくってよ。

 

「……ね。お箸、貸してほしい」

「も、もしかして……。お、俺に言ってるのか……?」

 

 そうだよ。なんかわたしのこと撮影してたでしょ、チミぃ。バレバレなんだからねっ。……まあ、撮るのは好きにしたらいいよ。

 それよりも。

 

「ん。貸して。……お礼にトカゲ鍋、分けてあげるよ」

「いや……いらないが。それすっごい臭いし、なんか赤いじゃん。悪魔の供物か?」

「失敬な。立派な料理だよ。トカゲくんのブチブチ煮込み鍋」

 

 指差しして示してやると、その──うん。カメラくんでいいや。カメラくんはかなり嫌そうな顔をした。

 いや、本当に失敬だなこいつ。つか臭いって何よ。ムラクモちゃんのお鼻が狂ってると申すか?

 

 とりあえずはよお箸よこしなさいよと手のひらで催促してやると、ちょっと待ってろと言って去っていった。

 素直でお利口なお地蔵さんわたし。待つこと……どんくらいかな? 時計なんか持ってないしわかんにゃい。まあ、そんなでもないくらいの時間。

 

 おーおー急いで戻ってきなさる。ほらよと差し出されたお箸をでかした! と感謝しつつげっちゅ。

 料理を食べ始める前に、欲しい人いる? と聞いてみたけれど誰も手を挙げてくんなかったので、もういいもん! 独り占めしちゃうんだから!

 

「……いただきます。……ん、うん」

「……え? うまいのか?」 

 

 カメラくんってば、インタビュワー気取りなのかしら? カメラ片手に聞いてきたの。

 ごはん中に話しかけないでほしいんだけど……。まあ、今は機嫌いいからゆるしたげよう。

 

「それなり。どでかゲジゲジよりはおいしい」

「ゲっ……なんだって?」

「ゲジゲジ」

「いやいやいや。……は?」

 

 うん。味はかなり大雑把。あと生臭い。でも食べられる。80点ってとこかしら。ちなみにゲボヘドロゲジ野郎は20点。毒があったので。

 

「……気になったんだけど。それ、なんで撮ってるの?」

「え? あっ。……ごめん」

「いいよ。……で、なんで撮ってるの?」

 

 お肉モムモム。俺は重ねて問うぜ、お前によ!

 ……というか、責めてるわけじゃないんだし、別に謝んなくたっていいのに。

 それよりも理由教えてよ。なんかおもろいことあるん? 別にそこまで興味あるわけじゃないから、どうしても知りてぇってわけじゃないけど。

 

「面白いっていうか、タイラントロリ観察っていうか(ボソボソ)……。あっそうだ! 君も配信者をやってみればいい!」

 

 ん。あからさまに話題逸らしとるやんけ。つかめっちゃあからさまにカメラ向けてんだから、開き直ったらいいのに。

 

 ……ところで、配信者。

 配信者かぁ。うーん。確かにわたしは強くてかわいくて天才で……あとはなんか強くてすごいけど。

 あれでしょ。歌って踊るんでしょ。あとゲームしたり、料理したり……知ってる知ってる。

 

 ……ん?

 けど待って。あのダンジョンくんではなんか出会ったよね、配信者。親切な探索者系配信者。

 これ、もしかして。ダンジョンのムシケラくん達をしばき回すだけで、お金儲けできるのでは?

 

 …………。

 ま、まあ。ムラクモちゃんは最強だから、お金なんかなくたって別に生きていけるけどね!

 お金儲けなんて興味ないんだからねっ!

 

「……あ。でも、カメラないよ。わたし」

「旧型だけど、ドローンカメラなら持ってるから、君にあげるよ!」

 

 えぇ……。

 何なのこの人……。いきなりテンション上がりすぎでしょ。というか、タダより怖いものはないんですケド?

 わたし知ってんだからねっ! あれでしょ。なんかこの後契約書とか書かされて、たぶん端っこの方に小さくとんでもない条件書いたりしてるんでしょ!

 怪しい! 怪しか男ばい!

 

「投資だよ投資! 俺怪しくない!」

「……きょどられると余計怪しいですケド」

「と、とにかく! 俺カメラ取ってくるから!」

 

 脱兎のごとくっていうの?

 言うだけ言ってカメラくんはヒソヒソ人ごみに消えちゃった。

 

 ……まあいいか。

 なんか変な契約結ばされたって、わたし最強だからなんとでもなっちゃうしね!

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