くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【幕間】一見華やかで、けれどもグロテスクな愛

 貴族、王族が武力として騎士を持つように、商人は探索者を武の背景として持つ。ならば、教会は?

 信仰を祖とする勢力が何を背景にして、どうやって我が身を守るのかといえば……私達だ。

 要するに、信徒。死後の救いを謳い、現世の悪徳を無責任に許容することで、頭のゆるい信者どもは、いとも簡単に死兵と化す。

 世の中が荒れるほど、困窮する人が増えるほど、胡散臭い宗教が入り込む隙間が増える。

 ……そう、例えば──。

 

 ゼルヴィナ教とか。

 愛と赦しを謳うこのカルトに私が絡め取られてしまったのは、一生物の不覚と言っていいかもしれないし、納まるべきところに納まった結果と言ってもいいかもしれない。

 今でも時折思い出して、その都度死にたくなるが──。

 教祖リアンナ。あのアバズレ女がスラムの真ん中で赦しを謳っている姿は……慈愛の人物以外の何物でもなかった。

 

 実際、外面は完璧だったのだろう。

 見目麗しく、思いやりと深い愛情に満ちている。“どんな時にも”微笑みを絶やさず、見知らぬ誰かどころか、受け入れてしまえば教団の不利益になるような人物さえ懐に入れ、赦す……まるでおとぎ話の聖女だ。

 だが、それら全部打算と計算に満ちた演技なんだと気が付いたのはいつだったか。あの慈愛の笑顔のまま、汚れ仕事を言いつけられた時だっただろうか? あるいは信徒の亡骸を前に、笑みを崩しすらしなかった時かもしれない。

 リアンナは決して聖女などでなく、むしろ絵に描いたような政治屋そのものなのだと気が付いてからは、彼女の言葉のすべてが空々しく聞こえた。

 かといって、教団を離脱する気にもならず、売女の手先として外道の役割に手を汚す……。

 

 押入り強盗の娘が行き着く先といえば……まぁ、妥当なんだろう。碌でもない生き方してきた女の、自業自得の終着点。お似合いの人生だ。

 だが……。

 薄気味悪いのはそうでない人間だった。

 

 顔を見ればすぐにわかった。

 ああ、こいつは真っ当な世界で、真っ当に生きてきた人間なんだなって。なにせ表情筋が緩い。……表情筋以上に頭がゆるいが。

 そういう人間が、一度二度失敗したくらいでどん底気分になり、リアンナ様は素晴らしい、ゼルヴィナ教に救われたと口にする。……口にしながら、外道をやる。そして、その面持ちに罪悪感なんか一欠片だって宿りはしない。

 ……ま。他人の意思に依存して、責任までくれてやってる連中だから、当たり前かもしれないが。

 ……そいつの人生になんか興味はないけれど、物言いくらいはしたい気分になる。

 少なくともお前達は今、クソみたいな信仰と一緒に、ゴミみたいな仕事押し付けられて、絶対に踏み外しちゃいけない階段を突き落とされてるんだって。

 

 ……反吐が出る。

 何もかも。

 

 

 ───

 

 

 あのキッカー相国とフローゼ姫を巡る事件の時──遠目にだが、“暴君”を見た。

 ジャイアント・ビーを虐殺していたから、誰の目にも明らかだったかもしれないが……。私には“強い怒りを宿した少女”……という風に見えた。

 

 その“暴君”には感謝する気持ちがないじゃない。

 リアンナとかいう売女の計画をメチャクチャにしてくれたからだ。

 ヤツの考えることなんか、知ったことじゃないが……少なくとも身の毛がよだつほどに陰湿で、奸計の限りを尽くしたものであったことには違いない。

 ……アバズレ女のことだから、評議会に成り代わって王国を乗っ取ってやろうってくらいは考えてたんじゃないかって思う。そのために何もかも利用してやろうって。あの腐れ女に顎で使われてた私が言うんだから、間違いない。

 ……それだけに、計画も何もかも台無しにされて、心折れたのかもしれない。“暴君”を見て泡を吹いて倒れたのには、久しぶりに笑わせてもらった。……鼻でね。 

 実際のところ、なんであの女が急に気を失ったかはわからないけれど……。まさか、蜂モンスターが千切られるところ見て気絶したなんてことはないだろう。そんな殊勝な感性の持ち主じゃない。

 

 

 ……とにかく、売女は心折れて失踪して、残された教団はパニックになった。

 クソ女が落っことしてくれる赦しってエサが欲しくてたまんないヒヨコちゃん達が絶望して、憤激して……。ほんの一瞬、“暴君”やフローゼ姫へ償いをさせるだなんて話も出ていたけど、すぐに消えた。……虎の尾は踏みたくないわよね。誰でも。

 

 ……リアンナを失ったのだから、教団が瓦解する流れになるのは自然であり、必然のはずだった。

 ……けど。

 

 ──しなかった。

 リアンナが失踪した四日後くらいかな。女が入信して来たんだ。……教祖を失ってすぐのパニック中のカルト団体だもの。簡単な話じゃない。

 そもそも、ゼルヴィナ教はリアンナの愛と赦しが、依存って柱になって保たれてたカルト。当の教祖が居なくなったんじゃ、誰が新規信者に赦しを与えるんだって話。

 ……だってのに。

 

 ──四日だ。

 あっさり入信したばかりか、たったの四日で、ゼルヴィナ教を掌握して、実質的な支配者にまでなってしまった。大司教だって。

 狂ってるでしょ? でも本当の話。

 これって、信者共の頭が予想を超えて緩かったのか、女がリアンナ以上の売女だったのか……どっちにしたって悪夢みたいな現実には違いない。

 

 

 ───

 

 

「はじめまして! あたし、アンナっていいます! えへへ。教祖様と名前似てるでしょ? 偶然だけど、なんか嬉しいよね!」

 

 実際に会ってみた大司教は、びっくりするくらいに平凡な少女だった。すごい美人ってわけじゃないし、慈愛の精神が滲むって感じでもない。

 街を歩いていたら、その辺にゴロゴロ転がってそうな、どこにでもいる少女そのもの。年相応に明るくて、表情が豊かで、距離感が近い……。

 演技でやってんならヤバいけど、少なくとも私の目には、真っ当に生きてきた真っ当な少女にしか見えない。リアンナみたいな打算と政治のニオイもしなければ、“暴君”のような強い怒りや憎悪も見えない。どこまでも普通で、健全な雰囲気。

 

 ──こんな女が?

 こんな女に乗っ取られたのか? ゼルヴィナ教は?

 

 ──そんな馬鹿な話があるわけが……。

 

 

「手、傷だらけだね。……手当てさせてね」

 

 女は、打算なんて一切ないまま、困惑する私の手を取って、妙に手慣れた治療をしてきた。……気味が悪い。なんだこいつは。

 無視すりゃよかった。好きにさせるだけさせて、気が済んだようなら、気のない礼でもくれてやって。

 ……けど、もしかすると私も意地になってたかもしれない。

 騙されてなるものかって感じて。手を跳ね除けて、思いつく限りの言葉で面罵してやった。

 

「……苦しかったんだね」

 

 なのに返ってきたのは……笑顔だった。さっきまでの無邪気な笑顔じゃない。

 もっとずっと静かで、厳かで……言葉にし辛いけど……そう。まるで、“聖女”みたいな。浮世離れした笑み。

 あまりにあまり、変わりすぎた雰囲気に呆気にとられていると、ゆっくりと抱きしめられた。

 ……あたたかい。

 

「あなたがどんな人生を歩んできたかってわからないから、気安く赦します……なんて言えない。

 ……だからね、一緒に持つよ。全部ぜんぶ。何もかも。あなたがこれから行うすべて、これまで行ってきたすべて……何もかも全部あたしにも背負わせて。

 ……大丈夫だよ。もう、“寂しくない”からね」

 

 気味が悪い女だ。

 「お前に何がわかる」って、怒鳴りつけてやろうかと思った。……けど。この女の言葉は水みたいにするりと心の裡に入ってきて、防ぎようがなかった。

 気持ちが悪い。気持ち悪いくらいに言葉に嘘が見えない。まるで、本当に私を思いやっているかのような温かさを感じる。……打算も計算もまったくない、真摯な気持ちを感じるのだ。

 リアンナと同じようにカルトを掌握した女が、リアンナみたいに赦しを口にしている。

 甘くて、優しい……毒のような温かさを私へ押し付けてきている。

 

 こんな女、信じたくはない。

 信じたくないけれど……どうやったって抗えそうになかった。

 

 ……そうだった。思い出した。

 賢ぶって、信者共を見下してみたけど……。

 私だって結局のところ、リアンナの赦しに救われた──“頭のゆるい信者”だったんだって。

 なら、“私”って存在まるごと赦して祝福するような……いっそ暴力的でさえあるような愛に、抵抗なんてできるわけなかったのだ。

 

 

 ───

 

 

 ギルドの総本山たる迷宮都市のダンジョンは、けれど未だに、誰にも攻略されていない。

 理由は色々とあるらしい。単純にモンスターが強くて生還の見込みが低いこと。

 攻略の見込みがありそうな“二つ名持ち”の探索者が、ダンジョン探索に興味を持たないこと。

 

 ……ギルドは、商人の私兵。ゆえに彼らが手にしたすべては、商人達に買い叩かれてしまう。私も一時期、探索者をやっていたけど……適正価格だなどと、とても言えたものじゃなかった。

 ……ただ、探索者になった時点で毎月一定の資金が振り込まれはするものだから、ギルドや探索者も文句は言いづらい。

 これらの関係で誰が一番損をしているかといえば、実力のある探索者達だ。ダンジョンに潜って採取物を持って帰って来れる探索者達だ。搾取構造をもろに受けているわけだから、そういう者達ほど、不満は大きいと聞く。

 ……だから、“二つ名持ち”ほどになると、ダンジョン探索に興味は持たない。彼らはもっと自分の利益のために自由に振る舞う。……例えば、国を攻め落としてみたり、国に自らの価値を売り込んでみたり。様々だそう。

 

 

 私が迷宮都市ダンジョンに潜ることを決めたのは、アンナ様のためだ。アンナ様の“夢”に、少しでも協力したいと思ったからだ。

 ここのダンジョンの最奥に眠る宝は、アンナ様にとって、非常に重要な意味を持つらしい。

 どうして彼女が未踏破のダンジョンの秘宝を知っているのか……疑問に思わないじゃないけど、知ってどうなるもんじゃない。

 

 ……わたしはただ、 アンナ様の願いを叶えるだけだ。

 

 

 ───

 

 

 甘く見ていたつもりはなかった。

 けれどもやっぱり、甘かったのだろう。

 準備はしてきた。道中、注意もしていた。

 ……けれど実際、未踏破ダンジョンってのは伊達じゃなかった。

 上層でもモンスターはそれなりに強力だったし、最下層まで行くと最悪だ。Sランクのパーティが命がけで挑むような怪物が普通に徘徊している。

 ダンジョンには私と同じような物好きをそれなりに連れてきたけど、階層を進むごとに血のシミになって居なくなってく。

 

 ……私は戦いの腕にそこまで自信がある方じゃないけど……それでも問題はないつもりだった。何故なら、私の本領は戦いじゃなく、隠密だからだ。

 ……実際、それなりの実力はあったと自惚れてもいいのだろう。

 未踏破ダンジョンの最下層を慎重に進んで、どうにか最奥までたどり着くことはできたから。

 たどり着けはしたけれど……、仲間の数は四人にまで減っていた。

 

 最悪に近しい状況だった。

 撤収するにしてもダンジョンの奥まで入り込みすぎていたし、物資だって残ってない。それに、目的まであと少しの場所にいるっていう偽りの希望が後押しをして、結局はどう考えたって無謀な戦いに挑むことになった。

 

 意気込んで扉を抜けたが──その瞬間、仲間が二人破裂した。一番後ろにいた奴らだ。

 名前も知らないそいつらが内側から赤く膨れ上がって、爆発するのを見た。

 幸運だったのは、先制攻撃が速すぎて扉がまだ閉まりきってなかったことだ。

 思考する間もなく、本能的に滑り込んでどうにか奇跡的に生き残ることができた。……置き去りにした奴は可哀想だが、先に逝った奴らと同じ運命だろう。

 

 けど、そんなことを考える余裕もなく、無我夢中で逃げ、どこかの部屋で気を失った。……その道中、モンスターに出会わないよう隠密する癖がついてたのは、奇跡よりも幸運な事実だった。

 

 

 ───

 

 

 次に目を覚ました時、目の前にあったのは引きつった笑顔だった。

 造形は……整っているのだろう。まるで妖精のような美貌だ。……それ以上に無機質で無気力な表情が台無しにしているが。

 

 ……人を言えたもんじゃないが、こんな場所に人?

 記憶はあいまいだが、ここは未だにダンジョン最下層のはずだ。……奇跡的に下層や中層まで逃げられた可能性は──希望的観測にしても、あり得ない。

 ……だから、そいつを人に化けたモンスターなんじゃないかって思って、思わず情けない悲鳴を上げてしまった。

 だがどうも、襲ってくる気配がないところを見るに、本当に人間らしい。

 ひとまず安堵して、不調がないか身体の具合を確かめる。……どういうわけか、妙に調子がいい。魔力に満ちているというか、活力が満ち満ちているというか。

 ……あんなことの後、こんな場所で気を失っていたのに?

 

 そしてその内に、意識がはっきりしてくる。

 鉄みたいに鈍い輝きの銀髪、緑と金のオッドアイ……。

 

 “暴君”だ。

 王城で見た時のような怒りと憎しみは見えないが、間違いなく“暴君”だった。

 ……なるほど、と合点する。

 確かに、化け物みたいな腕力を持っているこいつなら、ダンジョン最下層に居てもおかしいことではない。

 “二つ名持ち”がダンジョンとは面妖な話だが……ドローンカメラを持ってるし、配信活動でもしているのだろうか?

 ……“二つ名持ち”が配信。えぇ……(困惑)。手の内をわざわざ見せるのか?

 

 そ、それよりも、考えようによってはこれはチャンスといえた。

 “暴君”の協力を得ることに成功すれば、このダンジョンを脱出できるかもしれないからだ。……うまくすれば、秘宝を得ることだって。

 ……なんとしてもやらねばならない。

 

 とりあえず誰何を問う体で話しかけてみたら、ダンジョンの天井をぶち抜くとか返ってきた。……もしやこいつ、頭がおかしいのだろうか?

 

 

 ───

 

 

 結論を言えば、“暴君”を使うことを思いついたこと……後悔している。……だってこいつ、狂気的なレベルの怪物なんだもの。

 命がいくつあっても足りないような場所を、命がいくつあっても足りないような進み方をする。

 特にヤバかったのは、ギガジエンド・バジリスクだ。

 アレが放ってくる概念魔法は多重に対策をしなければ、たちまちの内に肉が爛れ落とされてしまう。

 だが“暴君”はまったく意に介さないどころか、私を守ってくれさえした。

 それでいて、蚊を潰すような気楽さでモンスターを殺戮する。この時、彼女は相変わらずやる気のない様子のまま。

 彼女が埒外に強いのはわかったが、それだけに最悪だったのは、途中から痺れを切らして私を担ぎ上げて走り出したこと。

 ……これ、頭おかしくなるよ。本当に。

 なんといっても速すぎる。流れ去る景色のなかに無造作に散らされる赤い肉片を見てると、まるで猛獣の背に乗ってる気分になる。

 

 

 結局、私達が一ヶ月以上をかけてようやくたどり着いた最奥部へは二日もかからなかった。半分は私の先導があったから、最初から担がれてたら一日もかからなかったかもしれない。

 “暴君”は思ったよりも気遣わしげに私を降ろすと、ここで待っていろと言ってきた。

 ……この時の私の心境は筆舌に尽くしがたい。やはり“暴君”も秘宝を狙っているのかと、疑心と焦燥に満ち満ちていたからだ。

 けれど食い下がる私を有無を言わせず一蹴すると、暴君は特に緊張もない足取りで扉の中へ入っていった。

 

 

「……ん。終わったよ。帰り道教えて」

 

 時間にして、どれくらいだろう。その声が聞こえたのは。……そう長いものではなかった気がする。

 “暴君”に促されて部屋に入ると……凄惨だった。信者共を破裂させて殺した怪物は、さらにそれを上回る怪物に踏みにじられて、死んだ。それがありありとわかる有様だった。

 

 こんな地獄みたいな光景を生み出したくせに、何の感慨もなく帰り道を教えろと催促してくる“暴君”。

 秘宝への興味は薄いよう見えるが……。単に知らないだけなのか、あるいは本当に興味がないのか……。

 探りを入れてみると、なんかすっごいめんどそうな顔をされた。……もしや、宝を一緒に探せと言っているとでも勘違いされたのだろうか? ……むしろ一刻も早く帰ってくれ。お願いだから。

 しかし……ここに来るまで無表情ロリだったこの子の、初の表情がこれって何? 

 

 ……マジで興味ないのだろうか?

 いや、興味があったところで、持ち帰ったら商人に買い叩かれるか。……じゃあ、なんでこいつダンジョンにいるんだ? ……あ、配信のためか。……“二つ名持ち”が配信? ……ダメだ。こいつのやることを真面目に考えると、頭おかしくなる。

 ……仮に。

 彼女の態度に嘘がなく、本当に興味がないのなら、横取りをしたところで恨まれることもあるまい。

 帰り道を教えろとしつこい“暴君”へ、転移陣なら青白い光を放っているからすぐわかると教えてやると、案内してくれと言ってくる。

 ……用事があるから、案内はできないと断ると「……じゃあ、それ手伝う。あなたがどうしてもって言うから、仕方なくね」とか言ってついてきた。もちろん言ってない。

 ……なんなんだこいつは? 何がしたいんだ?

 

 

 秘宝自体はかなり簡単に見つかった。

 が……正直、“暴君”は何の役にも立たなかった。だってこいつ、ずっとウトウトしてんだもん。やる気なさすぎでしょ。……でもこいつ、あの破裂ボス倒してるやべー女なんだよな……。もう本当にマジで脳がバグりそう。

 

 正直、こいつマジで宝に興味ないみたいだから、そのまま普通に持ち逃げしてもよかったけど……。

 無傷でここまで連れてきてもらったのは事実だし、どうでもいいやつらとはいえ、同僚の仇を討ってもらったのも事実。だから、せめての誠実さで利用してやったことを教えてやった。私らしくない行いだけども。

 

 言い逃げのような形になる。

 そんな私の背を追ってきた声は……恨むでもなく、怒るでもなく。どこまでも無機質でやる気のない……けれど、どことなく気遣わし気な声。

 

「今、元気いっぱいだなって思ってるかもだけど、魔力で無理してるだけだからね。帰ったらちゃんとご飯食べてたくさん寝なきゃダメだよ」

 

 ……何それ。意味わかんない。

 それが“暴君”と呼ばれた女の言うことなの?

 ……でも、嘘や打算を感じない。

 

 ……薄気味が悪い。

 気持ち悪いけれど……今日はたくさんご飯食べて、ゆっくり寝よう。

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