くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【悲報】学校生活終わっちゃう件

 わたし、華亥ムラクモ♡ 壊し屋、アイドル、教師から地上げ屋までなんでもござい! 信じるだけならどんな可能性だって無限大!

 そうっ、ムラクモちゃんはやればできる子! やったらきっとできる子なんだいっ! ネムネムらいおん系女の子♡

 

 

 七日目ですね。お仕事最終日だよぉ。

 この日もね、学じいのところに呼ばれたの。そんでね、また長話ですよ。……ひょっとして学じいってば、ムラクモちゃんの最大にして最悪の弱点が長ーいお話だってわかっておじゃるの?

 まさか、まさか……それがしってば、心理戦を仕掛けられておじゃりまするのん? ……くたばれムラクモ! これから七十二時間、貴様には宇宙の成り立ちと生命の誕生秘話を聞かせ続けてやる! ……やめて! 興味ない!

 

 ところで、内容。

 ……なんかこの学校って変な宗教が入り込んで、勢力拡大しまくってたんだってぇ。そんでね、学じいとか他にも一部の先生なんかはそんな状況やべえなって思ってたらしいんだけど、気付いた時には結構でっかい勢力できちゃってて、どうしようもなかったらしいよ。

 ……んで、ガチのマジでどーしょもないのでぇ、助けてムラクモちゃん! っつって泣きついてきたのが今回の真相なんだって。……ちょっと! ムラクモちゃんってば人間は殴らないって言ってるでしょ! いつかのインタビュー配信でも明言したハズなんですケド! ちゃんと知っててよね!

 ……ほう! 約束破り魔ムラクモ! そういう考えを持ってる人間にしては、今回の件……ずいぶんとツー子に肩入れしてたじゃないかぁ! ギクゥッ! おっと図星! ……ま、まあ! 今回はムラクモちゃん、敏腕熱血教師だったから! 教師は生徒の味方だからね、仕方ないね。……え? すぃー姉への暴力ですか?

 …………うん。殴ってはないから! 殴ってはないからセーフ!

 ずっと誰に言い訳してるのん? ……自分自身の──約束(ルール)と芯(ポリシー)に……かな。ふっ。

 

 あ、ちなみにすぃー姉ね、逮捕されたらしいよ。

 詳しいことはまだわかってないらしいケド、生徒さんに精神魔法をかけてっぽいって。……これもしかして、人外として千切っといた方が良かったんでは? ……でも本人、人間だって言ってたし……人間っぽい気配も混じってたしぃ。むむむ。

 

「──しかし、噂通り見事な破壊ぶりでありましたな。例の教室は穴だらけで、しばらく使い物になりそうにない。……いやはや、“暴君”殿には流石の剛腕じゃ」

「……ん、照れる」

「ちっ。皮肉も通じんか、イノシシめ……(ボソ)。

 ……しかし、よもやラーネ・アウロラがモンスターであったとはの。まるで見抜けなんだわ。いや、あの異相……伝え聞く魔人やもしれん」

 

 おい。ばっちり聞こえちゃってんだからね、そのイノシシ。ブモー! ブモー! ムラクモポークだゾ♡ ……失敬な学じいだなぁ。

 見なさいよこのプリティ・フェイスを。全然イノシシなんかじゃないでしょ。むしろお花の妖精みたいじゃない。髪も銀色だし。

 名は体をあらわしちゃう。……ひかえーい! ひかえおろー! 華亥ムラクモの名前をなんと心得ておじゃるかー! 華のように可憐な、頭イノシシ娘……かな? 

 おっと、自認イノシシ娘。

 

 はい。

 お話ってそんだけなのん? なら最後のお仕事をしに行きたいんですケド。もう行っていいかしら?

 ってねえ、学じいに言ったら『貴公、お話理解しておらなんだの? 教職につけっての建前だって言ったじゃん。マジ迷妄』って感じのお諫めもらっちゃった。

 ……や、さすがのムラクモちゃんだって察しておりましたってばぁ。わかったうえで最後まで先生やりたいって言ってんですのよ。

 ムラクモちゃんがやってんのなんか先生ごっこだってわかってんだけどさぁ、最後までやらせてほしいんだよね。

 だって生徒さん達から受けるソンケー(都合の良い思い込み)の視線ったらさぁ……もうクセになっちゃって。ムラクモ……もう、他人の視線なしじゃ生きてけない! こんな身体にされたら──アイドルになるしかない! 

 ばきゅーん! かわいさ炸裂☆ダイナマイトウインクだゾ♡ なんつって。ちょっとそこのムラクモちゃん、うっとうしいので、引っ込んでらしてね。

 

「……“暴君”殿には校内のゼルヴィナ教一掃に助力していただく。

 ラーネ・アウロラを“暴君”が生け捕りにしたのだ。奴らがいかに狂信的だとて、少なからず動揺は走っておろう。そこを叩きたい」

「ごめんけど、興味ないの。……喧嘩したいなら、自分たちで好きにやって」

「そうは参らぬ。……こちらはすでに対価を支払っておるのだぞ。依頼金分の仕事はしていただきたいもの。……わかっていただけような?」

「……」

 

 わかんにゃい、わかんにゃい!

 やりたくないったら、やりたくないんだもんっ。うえーんしくしく(白々しい嘘泣き)!

 ムラクモちゃん・イヤーは自分に都合の良いことしか聞き取れないし、ムラクモちゃん・ブレインもわかりたいことしか理解しないのだーっ!

 まー、なんたる自分勝手! まるで暴君ざますわね!

 

 いや本当に。

 すぃー姉やっつけちゃったから勘違いさせたかもしんないケド、ムラクモちゃんってば人間の味方なんだよぉ。

 腐っても鯛、くたばり損なっても魔法少女。人間を虐めたりなんかしないんですぅ。……し、しかし……。ムラクモちゃんってばけっこう短気だし、その場のノリで動くから……カッとなったらわからないのでは? ……自信なくなってきちゃった。

 む、ムラクモちゃんは、基本的に人間の味方だから! おそらく、メイビー! 気分次第! 

 

 うん。

 んで、「気が乗んないよ」っつったり、「わがままを申されるな」つったり。そんな感じの押し問答してたの。しばらくやってたら、ムラクモちゃんのタングステンよりも頑丈なワガママ・ハートに焦れたのか、 

 

「──わからぬのか!? ゼルヴィナ教はラーネ・アウロラのような者まで懐に入れている! 放置することは一国の大事となるぞ!」

「……。わたし、ヒトは殴らないの。曲げるつもりないよ」

「王都事変ではフローゼ姫に助力したのであろう! であれば、おぬしのその信念とて裏切っておろう! ならば今回は何が違う? どう違う? ──違うまい!」

 

 くらえムラクモ、ダイレクトアタックだ! ズビシィッ! しまった図星を突かれた! ムラクモに致命のダメージ! ……なんつってねぇ。

 ……っていうか今知ったけど、フローゼとなんかワチャクチャしてたの……あれ、王都事変っていうんだ。……ムラクモちゃんの知能が1上がった!

 ところで、学じいの言い分。

 確かになぁって思うよ。なし崩しに始まったって感じだったケド、約束破り魔わたしとして覚醒してしまった事件だしね。……や、ちゃんと自分の意志でやったことなんだケドねぇ。

 そこを突かれると痛いなぁ。なぁんて鋭い正論パンチなんだぁ。膝に来たぜ……。ガクガク。

 

 ……。

 

「……聞いてもいいかな?」

「何を唐突に……。いや、よかろう。なんなりと」

「あなたはさ、正しいの?」

「は? ……無論であろう! 人心を惑わすカルト宗教勢力と、王立学長たる儂とでは、そもそもの立ち位置からして違う! それにの、“暴君”殿。一つ覚えておかれるがよかろう。

 自らの正しさを疑って動く者に、勝利はない」

 

 ……そっかぁ。

 ふーん。

 

 答えてくれてありがとねぇ。

 でも、申し訳ないケド、ムラクモちゃんの心の琴線にピーン! って来る感じじゃなかったからぁ、今回のお話はなかったことにさせてもらうねぇ。

 

「待たれよ! どこに行かれる?」

「……最後の先生、やりに行くんだよ」

「とことん人の話を聞かぬ小娘だ……! よいか──、ッ!?」

「わたしそれ、やりたくないって言った。やりたくないことはやんないよ。……だってわたし、“暴君”だし」

「ッ……だが」

「お金はちゃんと返すよ。じゃあね」

 

 ここでムラクモちゃんカード発動! ブルおじからラーニングしたカッコイイ去り方をここでも実践しちゃう! ほなさいならー。

 ……ところで、学じいが払ったってお金……どんなもんなんだろ? まさか……金貨十枚とか言わないよね? ムラクモちゃんってば貧乏暮らしの空き地ホームレスなんですケド。

 【急募】ムシケラ知能でもできる、簡単に稼げちゃうお仕事。

 

 

 ───

 

 

 カクカクシカジカーって感じでね、最後の講義も終わったの。

 敏腕熱血教師ムラクモちゃんとしては、『最後の授業だぜ』っつって、生徒一人一人を見渡してさぁ『出席番号一番・山田太郎くん。君はお料理が得意でしたね。将来はコックさんになるんでしょうか? これからの先生は君のお弁当を強奪できなくなるって思うと、気が狂いそうです』みたいなやつやりたかったケド……。全然生徒のこと覚えてなかったからできなかった!

 ……で、でも、外部講師だから仕方ない! ……ホントぉ? ムラクモちゃんの対人関係に難ありってことなんじゃ……ないんでゲスの? 知らない知らない! 聞きたくなーい!

 

 帰り支度をしてたの。

 つっても、ムラクモちゃんってば基本的に身一つっていうか、ナップザック一つで動き回ってるから言うほどやることってないんだけどねぇ。

 迷宮都市に帰ったらさぁ、お楽しみが待ってるのでごわすよ。

 それが何って、『今回のお仕事終わったら、海に繰り出してひと夏の思い出……作っちゃいましょうね』って感じに、じょーちゃん誘ってくれたんだよね。れっちんも来るらしいよ。

 わーいわーい! 楽しみだぁ。前に海に行った時は、ちょろーっち湿っぽいイベントになっちゃったからね。今回は目いっぱい楽しんでやるぜ! ぐふふのふ。

 青い海、白い雲……渚に佇む銀髪のキミは……渚のエンジェル。きゃんっ、ナンパされまくり宇宙になっちゃう♡

 

 

 なぁーんて、ドキドキワクワクしてたらね、来客だよ。

 どちらさまですのん? って思ったらね、ツー子だったの。

 んん? どしたの? ムラクモちゃんになんかご用?

 

「……その、お礼を言いに。危ないところ、助けてもらいましたし……。あとこの……狂気の悪魔像、お返ししようと思って」

「そう。……あとそれ、返さなくっていいよ。友達の証」

「へ? と、とも……!? ンンっ! ……いや、この悪魔像……普通に不気味ですし、あんまり持ってたくないなぁ~って」

 

 失敬だな!

 ムラクモちゃんフィギュアだぞ! 世が世なら、人々が大枚はたいて購入に殺到する勇者の装備なんだからねっ。勘違いしないでよね!

 というか、ムラクモちゃんから友達認定もらえるなんて、すごいことなんだよ! 何せムラクモちゃんのお友達は……なな、なんと四人! じょーちゃんとヤンキーくんとフローゼとれっちん! その内の一人に加われるんだから、こぉーんな光栄なことってないよ! ……それって、単にムラクモちゃんがさらなる友人を得たいってだけでは……?

 ムラクモの正体見たり! 強引に友人を増やそうとする手法、許し難い! 処刑だ死ねー! ぐわー!

 

 ……というか、お礼なんていらないよぉ。

『なんか友達のためにがんばったら、ムラクモちゃんとかって美少女のアイドルライブ生で目撃しちゃったぜ! ラッキー☆』くらいに思っといたらいいのに。

 今回もムラクモちゃんは好きにやっただけだもの。好きな相手に肩入れして、どうでもいいやつにイライラの八つ当たりしただけだよ。

 なのでねぇ、妙に真剣なお顔になったツー子を遮っちゃう。ツー子ほっぺをむにー。……ちょ、そんなにビビんないでよ。ちょっとムラクモちゃんのプリティ・ハンドでほっぺた触っただけでしょ。

 その、『ヒッ……』って感じの反応、ちょろっち傷ついちゃうんですケド……。まあいいけどね。

 

 ささ、帰った帰った。

 ムラクモちゃんってば、多忙を極める女だからね。ガサゴソ、ガサゴソ。あー忙しい、忙しい。

 そんな感じのこと言って追い返そうと思ったらね、『いや、明らかに暇そうにしてましたよね』ってツー子。……言うじゃないのよ。さすがはムラクモちゃんが認めた勇者だぁ。

 あんまりしつこいからねぇ、さすがのムラクモちゃんもしゃーないって気分になって折れちゃう。

 ……よく考えたら意地張るところでもないしねぇ。

 お礼かぁ……そうだなぁ。

 

「ん。名前教えて」

「へ? いきなり何を──? ……っていうか、講義の時に自己紹介──いや、いいです。何も言いません。

 アイリ・チャドーです。……ところでお礼ですけど──」

「もうもらった。十分だよ。……じゃ、ばいばい」

「は? ちょ、まっ」

 

 アイリね。アイリ、アイリ……うん。覚えとくよ。

 ってことで、ツー子……じゃなかった。アイリを追い出して一息。

 んじゃ、ムラクモちゃんもそろそろ帰ろっかなって。

 ま、待て! どこに行くんだお前! ちょっとムラクモちゃんを礼賛しただけじゃないか! きーっ! 男っていつもそう! 女を振り回してばかり! わたしの気持ちはどうなるのよ! もうついていけません! 実家に帰らせてもらいますぅ! 

 

 うん。

 帰るにしても……いちおう、学じいとかに帰りのあいさつとかした方がいいのかな? ……うーん。

 面倒だからいいか。だって俺達、探索者! 無秩序好き勝手が友達さ~……ってことで、ムラクモちゃん先生編・完! なんつって。

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