くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【長編】ムラクモちゃんズストーリー劇場版『帝都燃ゆ』!・4

 わたし、華亥ムラクモ♡ ちゃらちゃらちゃーん。白い雪、白い大袋……そして白いお鬚。その名は……そう! サンタさん! ナイスでキュートなラブリー・ムラクモちゃんサンタが世界へ夢をお届け! 善意押し付け迷惑系女の子♡

 

 

 はい。

 新しい街に来たよ。何個目の観光場所かって言ったら……んー。わかんにゃい! 三つを超えたあたりから……。数えるのをやめてしまった……ふっ。

 でもけっこう色んな街は見たよ。

 でっかい穴ぼこからロボット掘り出してる街とか、キラキラガラス石がこんもり生えてる街とか。……あ、そういえば。なんか変な鉄砲持ってる人もいたよ。何個目かの街。白いお鬚のおじいさんでねえ、白衣なんか着ちゃったりして。お目々もギンギラでさぁ……。変身ヒーローとか山ほど生み出してそう(偏見)。

 

 そのおじいさんねえ、マジびっくりなんだよ。

 何がムラクモちゃんを驚かせたかって、「見ろ! 世紀の大発明だーっ!」なんつっていきなりレーザー銃ぶっ放したりしてさぁ。ガチのマジで前触れなくいきなり、往来のど真ん中でビビビー、だよ。……マジヤバいよね。

 これにはもう……思わずムラクモちゃんも素に戻っちゃったもん。……や、ムラクモちゃんに素とかないケドね。常に自分を解放してる表裏ない系美少女だけどね。

 こりゃやべえってなって、さすがに制圧しちゃったもん。あ、もちろん殺してないよ。鉄砲ぶっ壊してあげただけぇ。デコピン弾でポーンって。

 

 街のお話し。

 今いるところはねえ、すごいよぉ。でっかいプリズン! って感じなの。でも、ちゃんと街。プリズン・シティ。……うーん。

 ここ、帝国中の悪い人をぶち込んでるらしいよ。

 たいして興味ないからそんなに聞いてないケド、「あ! おまえ国家反逆罪したな! プリズン行き! 貴殿、食い逃げしたね! プリズン行き! ああー! ムラクモちゃんはプリティすぎて罪だからプリズン余裕です!」 ガチャーン! って感じなのかしら? どうでもいいケド。

 

 ……ここ。

 どうもねぇ……。観光地として、楽しい場所になんないみたい。

 すんごく治安が悪いし、景色も殺風景だし、建物の窓とかドアにいちいち格子ついとるし。あげくに地元民さんはみんな首輪付けとる。で、胸のところに変なプレート張っつけとってねえ、それって囚人ランクっていうらしいよ。

 ……え? 囚人さんにランクあるのん?

 どんなスゴイ犯罪してやったぜ! って? 犯罪自慢がこの街だと文字通りの自慢になってしまうのん? 

 って思ったんだケド、違うらしいよ。なんか興行やっとるらしくってねえ。囚人さん同士でバトルするんだって。囚人コロシアム。

 んで、その成績に応じて決まるのが囚人ランクみたい。……ちなみに釈放される期間とかには別に関係ないらしいよ。

 ほえー。

 

 

 お宿探すことになったの。テコテコ歩きながらお話してたんだぁ。

 そしたらさぁ……わりと街に入ったばっかくらいのところでねぇ、なんかすんごいマッチョのおっさんが絡んできたの。「よぉ、お嬢さん方。この街は初めてかい? 複雑な場所だからよ、良けりゃエスコートしてやるぜ」ってぇ。……んー。

 ……一人か。……大した身のこなしじゃないな。

 ……。

 あらまあ、ご親切にありがとう! でもねぇ、いかにムラクモちゃんがプリティだからって、ナンパはいけないよ! ふしだらだからね!

 なんつってしょうもないこと考えとるムラクモちゃんはさておきさておき。 

 

 

 れっちんがね、断ったの。「お呼びじゃないわ」つって。

 そしたら、マッチョさん強引に迫ろうとしおったんだよぉ。「ゲヘヘ。気の強い女だぁ! 麻呂、つよつよ暴力系ヒロイン大好き! この豚ァ! って罵ってたもれー!」つってねえ。……あ、盛っちゃった。なんかもっと下品なこと言って掴みかかったのん。

 

 ジャカジャン!

 うおっ! 野生のマッチョが仕掛けてきた! やっちゃえれっちん! 返り討ちだーっ! ずばずびー! 決着!

 って感じでねえ。けっこうあっさり終わったよ。その時の絡み自体はねえ。

 

 

 そんなこんなでねえ、お宿は見つけたの。

 んだもんで、一晩お部屋貸してくださーいなってお願いしたんだよ。そしたらねえ、店主の人ったら はい! 金貨五十枚です! って。 ……ん?

 えぇ……(困惑)?

 いやいや。さすがにムラクモちゃんわかるよ。金貨の五十枚ってすんごい大金でしょ。金ぴかのコインがどっちゃりあるってことでしょ。

 ……。

 これあれだ! ぼったくろうとしてるんでしょ! それでお金払えませーんってなったら、「ああ……心配しなくていいぜ……。無担保で金貸ししてくれるところ知ってるからよ」っつって、あれよあれよの間に社会のどん底まで突き落とされるんでしょ! 知ってる知ってる。

 困っちゃったなあ。ムラクモちゃん、お金あんまり持ってないんですケド。別に野宿でも構わないケド、ご飯食べらんないのはやだなぁ。

 

 れっちんがねえ、交渉してくれたよ。

 

「……この店じゃ、観光客相手に暴利貪るのが商売ってワケ?」

「監獄街だぜ? 知らねえで来たのかい?」

「そりゃね。こんな掃きだめみたいな街……来たいと思って来る場所じゃないし」

「ははっ! おもしれーこと言う姉ちゃんだな。……出口はあっちだぜ」

 

 しかし敗走!

 健闘むなしく、寒空の下に投げ出されちゃったぁ。……吹き付けてるぜ。心に、冷たい隙間風がよ……。なんつってぇ。

 

 ……うーん。

 それにしたって、なんだか懐かしい気持ちになりますよぉ。

 ムラクモちゃんってば路地裏育ちのアウトロー・ガールなんだけどねえ。生まれ育った路地裏街ってのがなんだかこんな感じだったんだよねぇ。治安の悪さが懐かしくって、郷愁に駆られちゃいますよぉ。しくしく。

 ……つまり。ムラクモちゃんブレインの治安が悪いのは、生まれ育った場所の治安が悪いから……ってことですか? ぶっぶー! 不正解! ムラクモちゃんは生まれ落ちたその瞬間からすでに治安が悪い女だったのだ! ……失敬!

 ムラクモちゃんの治安は悪くない! 治安や法律を完全に無視してるだけなんだーっ!

 

 ってことでねぇ。寝る場所どうするのってお話しとる二人にムラクモちゃんからありがたーいアドバイスをあげちゃうよぉ。光栄に思ってよね!

 ドキドキ……ワクワク……。い、いったいどんなアイディアが……?

 ふふふのふ。それはねえ……なな、なんと! 野宿です! その辺に寝っ転がって一晩過ごしましょう! あ、褒めるな褒めるな、みなまで言うな。このくらいのあいでぃあ、ムラクモちゃんにかかれば一瞬で思い付いちゃうのん。……フフフ。どやぁ……。

 

 どう、どう? ナイスな考えでしょー。えっへん。

 自信をもってご提案させていただいたんだけどね、このプラン。れっちんってばぜんぜんお気に召さないのん。「馬鹿言ってんじゃないのよ」ってさぁ……ぺちこーん! されちゃった。

 ……ちょっと! 前々から思ってたケド、れっちんってばムラクモちゃんのコト気軽に叩き過ぎじゃない? 特になんも詰まってないムラクモちゃんヘッドだからいいモノの、普通は頭って太鼓じゃないんだからね! ぺちぺち叩いたらお馬鹿さんになっちゃうんだから! 勘違いしないでよねっ。

 

 でも今回に限っては……そう! 今回に限ってはね! ムラクモちゃんの軍略が力及ばずだったみたいでねえ。ハデポさんも「そういうことをする覚悟はしてきたが……場所が悪い。こんな場所で女三人が無防備をしていたら、ロクでもないことになるよ」って。民主主義的敗北をしてしまったのん。……むむむぅ。

 んじゃ結局どうすんのって、ぺちゃらこー、ぺちゃらこーつって。お話続くけど、答えでないみたい。

 

 もー。しょうがない二人だなぁ。

 ……かくなる上はねぇ、路地裏育ち……アンダーグランド・ムラクモが人生の先輩として、路地裏育ち流の最終奥義を教えたげようかな。

 んだもんで、もいっこ提案するよ。

 

 二人とも別に野宿がヤなわけじゃないんでしょ? 治安の悪いおじさんに絡まれるのがイヤなんだぁ。……だったらさぁ、下水道にお泊りしたらいいんじゃないのって。ムラクモちゃんの故郷は普通に下水道にも人住んでたケド、ここ……みんな家持ってるっぽいでしょ。なら、下に潜ったらそんなに絡まれないんじゃないのって。

 

 気になる二人のお答えは──「いや無理」。

 えぇ……(困惑)?

 

「いや何この世の理不尽嘆くような顔してんのよ。おかしいのアンタだからね」

「スカードレッド女史、その辺で。……“暴君”殿が合理的……うん。いや……合理……。……一生懸命考えてくれたことはわかる。ただね……」

「ん。そんなに人っていないと思うよ」

「そういう問題じゃないって言ってんの!」

「???」

 

 わがままだなあ。

 ……まあ、嫌だって言うなら無理にはすすめないよ。ムラクモちゃんの器は宇宙規模だからねえ。あまりに大きすぎて存在してるかさえ曖昧ですよぉ。……それははたして器が大きいと言えるのでしょうか? 謎は深まるばかり……。その謎を解き明かすため、ムラクモちゃん探検隊はムラクモ脳内へと旅立った。

 

 ……うむむぅ。

 なぁんかもうムラクモちゃんめんどうになってきちゃったよ。せっかく新しい街に来たってのにご飯できないし、頭使うしぃ。血糖値が急激に下がってきちゃってますよこれぇ。なので、ムラクモちゃんいったんおやすみなさいするねぇ。お話まとまったら起こしてちょー。

 

「ちょ! “暴君”! アンタ何こんなとこで寝ようとして──」

 

 

 ───

 

 

 ふわふわスウィートなもこもこランドだよ。

 そこはねえ。なんかやわらかい。そんでねえ、百人のじょーちゃんがムラクモちゃんを甘やかしてくれるんだよぉ。

 なぁんて素敵なパラダイス。ムラクモちゃんってば幸せ過ぎて、デロデロになっちまうよぉ……。

 ぽわんぽわんのでろでろでん。

 ……この世に生まれ出でた幸福を噛み締めてるとねえ、百人のじょーちゃんが一斉に言ったの。

 

 『ちゃーちゃん。わたくし達って……ずっ友ですわよね! ラブ・フレンズ・フォーエバーを祝して、このプリティ・リードと世界一おいしいドッグフードを進呈しますわ! これからもわたくしのかわいいセレブリティ・ペットドッグで居てね!』

 

 ……んむむぅ。じょ、じょーちゃんがどうしてもって言うなら別に……いやいや。

 ……いやいやいや。

 言わないよ。断じて断じて! じょーちゃんはそんなこと言いません! 何故なら大親友だから! 二人は健全な親友同士なんだよぉ。断じて主従関係じゃないからね!

 ……い、いやしかし……。言うかも……? いや言わない……。言う……。

 …………。

 

 あ! わかったこれ夢だ(震え声)!

 

 

 ───

 

 

 夢だったぁ。

 

 

 ところでねえ、ムラクモちゃんが目覚めてみると、そこはれっちんの背中だよ。なんだかゆらーりゆらゆら。ちょうどいい揺れ具合でまた眠くなってきちゃう。

 ウトウトしてるとねえ、いきなり落とされたよ。あいてー。れっちんめぇ。ムラクモちゃんをいきなり投棄するなんて、罰当たりな! この謀叛人めがっ。ゆるせぬ! 運んでくれてありがとう!

 

「アンタ、起きてんなら起きてますよってちゃんと言いなさいよね」

「……ん。ありがと」

「別にいいわよ。アンタの自分勝手なんかもう慣れたし」

 

 その節はご迷惑をおかけしておりますぅ。すみませんねぇ、うちのムラクモがぁ。……違うだろ。……え? そこはごめんじゃなく……ありがとうだろ? きゅんっ! かっこいい! なんつって。

 さておきさておき。

 今ってどこに向かっておじゃるの? って聞いてみたらねぇ、囚人コロシアムだって。選手になってバトルするんなら、控室の一つでも貸してもらえるかもしんないから、そこで一晩あかしましょうってことみたい。

 ほへー。……考えましたな。ムラクモちゃんのムシケラ知能からは、決して出てこない妙案だぁ。

 

 

 んーで囚コロね。

 見た目はでっかいアミューズメントパークみたいな感じだよ。光がギンギラで、出店たくさんあって、なんかよくわかんないアトラクションとかあるよ。子供向けなんかわかんないケド、グルグル巻きの線路をギュンギュン走っとるトロッコもどき。ゔ。見てるだけでムラクモちゃんの脆弱三半規管が揺さぶられそう。

 ガラが悪げなお歴々に見守られつつ見守られつつ。中に入って、受付けだよ。参加選手はね、れっちん。「別に宿代わりに控室借りるだけだし、本選は流しでやるわ」なんて言っとるケド。……んー。

 …………。

 

「れっちん」

「クリムよ。クリム・スカードレッド。そのヘンテコな呼び方やめなさいよね」

「ん。……目、付けられてるみたい」

「は?」

 

 ……ムラクモちゃん達を見守ってくれてるガラ悪一族さん達に混じってね、ムキマッチョさん達が睨んできてるよ。街に入った時に絡んできた人達。

 それだけなら別にどうってことないよねって思うんだケド……。どうもこの人達って舎弟だったみたい。「えーん先生! 越後屋のクズがワシを裏切ったんじゃあ! お願いしますよぉ!」シャキーン! って感じ。

 見たところ、先生(仮)、ちょろっちやれそうだなって思うよ。……まぁ、まともにやったられっちんの方が強そうだケド……うーん。

 順当にやったられっちんが勝つよ。ムラクモちゃんはそう思うの。……でもねえ、なんか気配が変だなぁ。変だけど……うーん。よくわかんない。

 具体的にはねえ、バフ受けとるって感じ。でも、強化するっていうには雑だなぁ。

 

「……気、抜いちゃダメだよ」

「アンタね、もっと人に伝わるような話し方しなさいよ。……誰に目を付けられて、気を抜いたら何が危険なんだって?」

「……魔力、変な人いる。本気でやった方がいいよ」

「……曖昧なくせに不安にさせるわね。……ま。わかったわよ」

 

 かくかくしかじかーってね。

 ムラクモちゃん達はねんがん叶って選手控室にご招待されたのん。……うわぁ。なんかベッドとかあるよぉ。やわらかソファーもあるぅ。めっちゃ至れり尽くせりやんけおいしい。この変な果物おいしい。あまいおいしい。

 

「……クタクタだ。……私は、甘く見ていたのだろうか」

 

 おいしい果物食べてたらねえ、ハデポさんソファーにグデグデーって寄っかかって、めっちゃ深いため息ついとる。

 そういやため息ってつくと幸せが逃げるらしいよ。で、四葉のクローバーって見つけると幸せが来るんでしょ?

 それって……。クローバー探しまーす! ……。見つかんねぇなぁ。はぁー。……ってこと? つまり……四葉さんが発見できないのは、この時にため息をついてるから遠ざかってしまってるんだって……そういうことなの?

 なぁんてこった新発見だ! こんなの……次元航行技術開発クラスの新事実だよぉ! 我ながら……明晰すぎる頭脳が……恐ろしいぜ。

 

 ……ん。ふああ~。

 変なこと考えてたら眠くなってきちゃった。……え? お前さっきまで寝てたろって?

 で、でもムラクモちゃんってば成長期だから……。 寝る子は育つんだよぉ。ムラクモ・スヤスヤなう。……だってのにぃ……拙者依然チビのまま……。何故ですか? この……重大すぎる問題を個人差の一言で済ませてよろしいの!? だが、それが天然自然だ。がっくし。

 

 ベッドはれっちんに譲ったげよ。って思ったからねえ、ムラクモちゃんソファーでウトウトしようと思ったの。まどろみに堕ちて、ぐっすりすやすや……。

 そしたらね、ハデポさんったら「え? 聞いてくんないの?」って感じのお顔で見てくるじゃない。……聞かないよぉ。言ったでしょ、待つって。

 んじゃ、ムラクモちゃん、気持ちくウトつくねぇ。……お話したいなら聞いたげてもいいケド、たぶんお返事しないよぉ。……それは聞いてるとはいわないのでは?

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