くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【閑話】三つの恩、ひとかけらの恩

 悪いことをしたとは思ってるわよ。

 母様や父様……シュカのやつにもね。言い訳なんか、みっともないからするつもりもないけど。

 

 スカードレッド家っつったら、帝国じゃあそれなりに知られた名家よ。

 貴族やら軍閥……ってほどえらいもんじゃないけど、小金持ちの地主くらいの位置にはなるんじゃないかしら。リィオって、寂れた僻地に根付いてる……貧乏暮らしの名だけ一族ってところ。名前だけそれなりの名家。

 

 妹のシュカとはそれなりに仲良くやってたと思うわ。

 姉さま、姉さま~ってヒヨコみたいに引っ付いてくんのうっとうしかったけど、それでも妹だもの。世話なんか焼いてやってさ。

 家は貧乏だったけど、両親は優しいし、地域の人達だって親切。不満なんてなぁんにもありゃしなかったわ。

 

 ある時、将来の夢について考える機会があったの。

 もちろん、あたしは家を継ぐつもりだったわ。のどかで面白みのない……愛すべきホームタウンに骨をうずめるつもりだった。趣味の槍を実戦で活かせないのは残念だったけどね。ま、貧乏地主の娘があたしであって、戦いの義務なんか持ってりゃしないんだからさもありなんって感じ?

 ……でも、そんな将来設計を木っ端みじんに砕く事件があったの。

 

 運命が変わったわ。……何の前触れもなくね。

 ヤバいモンスターには二つ名が付くのよ。コイツはこれこれこうだから、ヤバいんですってわかりやすいようにね。お陰様でダッサいネーミングになっちゃうけど。

 

 プロミネンスボディ・イフリート。

 見た目はね、ピンクの炎を纏った売女よ。見るからにムカつく笑顔張り付けてさ。甲高い笑い声上げながら人でも家でも……村でも、まとめて薪にするんだから。

 そんな奴がリィオに現れたら……答えなんか一つしかないわよね。

 盛大なキャンプファイヤーよ。そりゃもう、憧れの帝都からでもよく見えるくらいにはでっかいたき火がゴウゴウに燃えるファイヤー・パーティ。……ダンスなんか踊る気分にゃならなかったけどね。

 

 さいわい、イフリートはすぐに討伐されたわ。

 当時は帝国の少将──“抜剣”。今となってはギルド『窮鼠の牙』団長・“謀帝”ロイ・ローによってね。

 まるで神話みたいな戦いだったわ。その末にあの売女モンスターが打ち倒された時……柄にもなく涙なんか流しちゃったもんよ。

 「ロイ・ロー様、危ないところを救っていただきありがとうございますぅ」って。

 

 ……ここだけ聞くと、団長が善人に思えるでしょ?

 でも違うのよね。

 実際、リィオを焼いたのはイフリートよ。知り合いだって何人もあいつに殺されたわ。……でもね。あたしの両親を殺したのも、リィオを本当の意味で廃村にしたのも──やったのはロイ・ローだったのよね。

 

 ……。

 今でも忘れないわよ。真っ赤な血が滴る剣をぶら下げながら、底冷めするような瞳で言われた言葉。『国家機密保持のため、致し方ない犠牲』だって。

 何よそれ。……って思ったわよ。

 納得なんて出来っこないに決まってる。楽しく平和に暮らしてた他人様を散々にぶっ殺しておいて……何を言うかと思えば致し方ない? ふざけんなって話よ。

 実際、言ってやったわ。「アンタ、人の生命を何だと思ってんの」って。

 「言い訳の一つでもしてみなさいよ」って。答えなんか返っちゃ来なかったけどね。……余計に腹立つことに。

 

 断言するわ。

 ……団長は外道だわ。人殺しの、冷血漢よ。

 でも、子供を殺すほど腐ってるわけでもなかった。だから、あたしもシュカも生きてる。

 ……生きてるから、あたしはロイ・ローへついていくことにした。

 

 シュカや……団長に殺されたみんなから見りゃ、あたしは仇に尻尾を振る売女よ。……まったくもってその通りよ。返す言葉がないわね。

 あたしは、親を殺された憎しみよりも、故郷を焼かれた怒りよりも……なにより、妹への愛情さえ。すべて天秤にかけて、その上で恩義を選んだ女よ。

 団長への三つの恩。

 イフリートを殺してもらった恩。

 あたしを見逃してもらった恩。

 ……それから。シュカを、見逃してもらえた恩。

 

 ……だからね。

 ロイ・ローがどういう思惑であれ、何をもたらしたのであれ。

 あたしはこの恩義に報いようって思ってる。……それだけの話よ。

 

 

 ───

 

 

 団長から帝国行きを打診された時、本当に正気を疑ったわ。アンタ、よりにもよってこのあたしを向かわせるの? って。

 これでもあたし、アンタについてくって決めた時……故郷の灰を二度と見ないってくらいの覚悟だったのよ。それわかってる? って。

 実際に言ってやったわ。「だが、お前以上の適任に心当たりがねえ」だって。自分勝手もほどほどにしろってのよ。

 勘違いしないでほしいけど、恩は返すわ。そのためにアンタにも尽くす。……でもだからって、何でもかんでも従うわけじゃないのよ。

 

 この時、あたし絶対に行くもんかって気持ちだったわ。

 でもね。よくよく話を深掘りしてみりゃ……とんでもないじゃない。団長いわく、帝国のお転婆姫と“暴君”の二人旅が決定してしまったって。……不覚だけどね、同情しちゃったわ。お姫様にも、団長にも。

 ……あいつを野放しにはしとけないものね。

 

 

 ……何年かぶりの故郷は相変わらず灰まみれで、辛気臭くって……面白みがないところだったわ。

 どいつもこいつも空々しい顔して。人生の楽しみなんて知ったこっちゃないって感じ。“暴君”のやつの爪の垢でも煎じて飲んだら、少しは頭が緩くなって幸せも感じやすくなるんじゃない? ……いや。それヤバいわね。

 もしまかり間違ってクローンみたいに“暴君”が量産されでもしたらこの世の終わりだわ。わりとガチで。あんな自由人、ハナイ・ムラクモ一人ってだけでも大変だってのに。

 

 “暴君”のやつときたら、本当に自由よ。

 アンタの正体知られちゃなんないからって、変装させてやってる(あたしお気に入りの仮面よ。芸術的センス抜群のドラゴン仮面)ってのに、まるでしのびやしない。目を離せばフラフラ出歩くし、石は拾ってるし、お土産屋にも立ち寄る。事故が起これば衆目なんか気にせず止めに入るし、野宿も気にしない。……こいつ、自分の立場と今の状況わかってんのかしら? ……わかってないわね、確実に。

 

 

 最悪だったのは、新都で妹にかち合っちゃったこと。

 勤勉で働き者な帝国軍人さんから職質されてた時に、偶然見つかっちゃったのよね。

 ……想定してなかったわけじゃないわよ。そういうこともあるかもしれないとは思ってた。まさか帝国軍に就職してるとは思わなかったけどね。

 

 口論になったわ。考えてみりゃ当たり前の話よね。

 でも、あたし普通にショック受けちゃったのよ。……何でって、結局ね。物事を都合よく見てたってことなのよ。

 街でシュカに会って。「姉さまひさしぶり! 最近調子どう?」「それなりよ。アンタこそ病気してないでしょうね」なんてやり取り……出来るなんて夢想してたんだって。馬鹿な話よね。

 

 ……。

 シュカが立ち去ったあと。

 往来で姉妹喧嘩を壮大にやらかしちゃったあたしに気を遣ったのかしらね? あいつの考えることなんかさっぱりわかりゃしないけど。

 “暴君”がね、言ったのよ。いつもみたいに無気力無表情って感じじゃなくて。どこか様子をうかがう子犬みたいに。

 

「れっちんのこと……友達だって思ってるよ、わたし」

 

 ……いや、なによれっちんって。馬鹿にしてる? ってのは置いとくわ。こいつのやることなすこと、マジメに取り合う方が馬鹿だもの。

 ただ、意外だとは思わなかったわ。こいつ、無関心なようで意外と重たい女だもの。あの激重飼い主気取りのアシュベリーも軽く流してるし。

 一つ言っとくわね。

 “暴君”がどういうつもりで言ったかなんてわかんないわよ。

 妹に拒絶された情けないあたしを慰めようとしたのかもしんないし、単に気分で宣言したのかもしれない。……本当にわからない。

 ……でも。

 恩ができたわ。小さくて、なんてことない恩。

 だから、その恩返しに、今だけ素直になってやろうって思ったの。……思ったけど二の足踏んじゃったから、実行したの夜中になっちゃったけど。

 ……どんな恩返しだったかって? 言えたもんじゃないわよ。

 

 

 ───

 

 

 

 監獄街についてはウワサ程度だけど、それなりに聞いてはいたわ。

 帝国中から集められた犯罪者を一纏めにしてる街があるってね。……食い逃げから殺人、国家転覆、政治犯。──あるいは、皇室にとって都合が悪い奴が突っ込まれてる……なんてウワサさえ。ま。さすがに最後のは言いがかりでしょうけど。

 実際に来て見たならず者のパラダイスはね、その名に恥じぬって印象よ。住民の皆さん方一人残らず親切極まりなくって、感謝のあまり槍で突き刺してやろうかって本気で悩んじゃうくらい。

 ……いや。マジで気分最悪よ。

 すれ違うやつらどいつもこいつも下品だし、物価だって異常よ。……信じられる? 壁紙なんか剥がれてガサガサ、すえた臭いがする場末の宿が、一晩金貨五十枚だって要求してくんのよ。舐めんなって話よね。ここはお貴族様が宿泊されるホテルですかっての。

 一応、抗議はしてみたけど、まるで取り合っちゃくれない。

 ……おかしいわね。こんな場所よ。観光客なんかめったに来るもんじゃない。じゃあ、街の住民だけでホテル業の経済が回るかって言ったら……そんなことはないはずよ。……クサいわね。

 

 深掘りしてみたいところだったけど、今は寝床が一大事。

 ……真面目に話し合ってるってのに、“暴君”のやつときたら野宿だの下水道だのロクな案を出しゃしない。あげく、飽きて寝る始末。……とことん自分本位なやつね、こいつ。……ま、あたしも人のこと言えた義理じゃないけど。

 しばらく話し合った結果、バトリングに行ってみることになったわ。監獄街の闘技場って言ったら、それなりに名が通った興行よ。……悪い意味でね。

 そりゃそうよ。人間同士を殺し合いさせて、それを見せものにしようってんだもの。王都にある闘技場とはわけが違う。

 でも、それが許されているのが監獄街の監獄街たるゆえんってやつなのかしらね。……嫌いだわ。こういうの。

 

 その人間見世物小屋を寝床にしようって決めた理由はね……街の親切なおじ様たちに聞き込みをした結果よ。あたし自慢の素敵な商売道具をチラつかせてあげたら、頼んでもないことまで饒舌に語ってくれたわ。 

 監獄街にランクがあるのは知ってたわ。あたし達探索者にランクがあるみたいにね。

 ただ、何のためにあるものかまでは知らなかったわ。……幸いだけど、こんな場所にお世話になるような人生送ってこなかったし。

 ……結論から話すわね。囚人ランクっての、この街の人間にとっては自分自身に貼られた値札みたいなもんらしいわ。バトリングっていう巨大な興行における、商品としての価値。低ければ最低限の扱いしかされないし、高ければ高いなりの扱いを受ける。……闘技場内に限ってね。

 要するに、腕っぷしが強けりゃ強いほど、この街じゃいい思いができることよ。あたしは絶対ごめんだけど、見世物小屋のヒーローとして王様気分に浸れるし……。選手控室なんかもランクに応じてとんでもない豪華さになるらしいわ。それこそ、住み着いてる奴がいるくらいにね。

 ……業が深いのは、刑期を終えても出ていかないやつもいるらしいってこと。そんなもんだから、囚人ランクってのはこの街の住人にとっては何より大事な指標になってるみたいね。

 

 

 ───

 

 

 受付を済ませて、我儘娘とお転婆姫を控室にぶち込んだら、下見よ。

 バトル自体は一日中やってるみたいだけど、さすがに飛び入り参加はできないみたい。こっちとしちゃ、一晩宿を貸してもらえたらいいから、明日の試合まで出てやる必要はないけれど……それは不義理よね。だから最低限だけ戦って終わらせようって思ってたんだけど、“暴君”のやつが不穏なこと言ったのよね。しかも、大事な部分はわからないときた。……こいつ、マジで。ホント、マジで。

 ……リングを見てると、声をかけられたわ。見覚えある下品な表情を張り付ける男と、妙に自身のついた顔の男が一人。あとは有象無象ってところかしら。

 ああ、って合点がいったわ。目を付けられてるって、そういうこと。……でもおかしいわね。こんな三下くらい、あたしならどうとでもなりそうよ。どいつもこいつも身のこなしなっちゃいないし。“暴君”がワザワザ忠告してくるほどのやつらとは思えない。……じゃあ他にいるってことかしら。

 ……今の時点じゃ何とも言えないわね。

 

 やつらと一言二言話したわ。

 ひょっとしたら、こいつらここで仕掛けてくんのかしらって疑ってはみたけど、どうも宣戦布告に来ただけみたい。……こいつらにもいっぱしのファイターとしての矜持があるってことかしら? ……ふん。あたしらしくない過大評価したわ。“暴君”にアシュベリー。あのトンチキ頭共に影響されてんのかも。

 ……控室に戻ってみると、ソファーに沈むようにして眠るお転婆姫と、座ってウトウトしてる“暴君”。

 自分勝手なくせに、妙なところで気を遣うわね。……“暴君”のやつ、「ん。使っていいよ」ってベッドを指差したと思ったら……やることやったとばかりにご就寝よ。……ふん。待ってたならお帰りなさいの一言でも言えばいいのに。

 わかりづらい女だわ、本当に。

 

 

 ───

 

 

 試合はトーナメント方式よ。

 で、めでたくあたった一回戦の相手はマスク・ドライガーとかってけったいなヤツ。どっかの建物の柱引っこ抜いてきんじゃないのって鉄棒が得物の、とんでもない巨漢。

 熱気に包まれる素敵なアリーナで、ド派手な演出とシャレの利いた実況付きでこんなにも鈍くさそうなジェントルマンと社交ダンスできちゃうんだから、たまんないわね。嬉しくって涙が出るわよ。本当に。

 

 ……こいつは別に警戒するような奴じゃないわね。昨日声掛けしてきた奴らとも違うし。……こいつ適当に相手して、いいところで降伏しようかしら。

 なんて思ってたら、とんでもないパワーで鉄棒が振られたわ。あたしが予測してたよりもずっと力強い。

 人死にが出るパワーよ。……いや別にそこについちゃ文句はないけどね。妙なのは、インパクトの瞬間。あいつから感じられた魔力の胎動がおかしいってことよ。

 改めて言うけど、こいつは警戒するような奴じゃない。……少なくとも、見かけの上は。

 身体がどれほど大きかろうと、武器を大きく見せようと、肝要なのは魔力よ。

 体内で練り上げた魔力が身体能力を劇的に引き上げる以上、見かけの力強さなんて、何の価値もないの。“二つ名持ち”に“狂い咲き”ってヤツいるんだけど、ウワサじゃそいつ細剣で竜のウロコを紙みたいに引き裂くらしいわ。

 ……まあ、大して魔力を練り上げてもないくせに、巨大マシナリーをグチャグチャに破壊する“暴君”もこの世には存在するけどね。……いや、あんなのはごく一部の例外よ。アレがゴロゴロいてたまるかっての。

 ……いやあれマジどうなってんの? 見た目はちびっこ。魔力はぜんぜん込めてない。……いや、たまにめちゃくちゃ込めることあるけど。どういう原理であいつあんなパワーしてんのかしら……? ……ゔっ。真面目に考えたら頭おかしくなりそうだわ。やめとこ。

 

 ……とりあえず、見に回るべきかしらね。

 依然、あたしの方が強いのは変わらないと思うけれど、一度見立てを外している以上は相手の出方を窺うべきだわ。ヤツの怪力の秘密もわからないし、どんな隠し玉を持っているかもわからない。

 距離を取りつつ、牽制に火球をいくつか放ってやると、案の定通じてない。鉄棒で軽く弾かれて消えちゃったわ。……しかし、やっぱりおかしいわね。今の魔力の動き方……まるで外部から供給されてるみたいな……?

 

 ……いや待って。

 おかしいでしょ。外部から魔力を譲渡されたとして、力だけポンと渡されても練り上げる力量がなきゃ、単なるエネルギーでしかないわ。……あいつ、そんな器用な奴には見えないけど……。いや、さっきもそれで外してんだから、まずは確かめるべきかしら。

 もっと詳しくあいつの動きが見たいわね。

 だから……槍を地面に突き刺すわ。で、そこを起点に魔力を流して──マスク何某とかいうやつの周りへ散らばらせる。……そうね、イメージとしては地下に複数の槍が埋まってて、それがマスクを囲んでるって考えたらいいわ。要は観測機。

 次に、火槍を放つわ。上方に数本。で、そいつがマスクの周囲に突き刺さると、檻になる。……大して実用性のない魔法よ。地上げの依頼が来た時に脅しに使うくらいのしょうもない魔法。……けど、今の状況的にけっこうぴったりだと思うのよね。

 火球を連打して挑発してやると、素人みたいな軌道で飛び回る鉄棒。……怒ってるわね。魔力を観察してみると、外部から供給されてるっぽいのは間違いない。……そして、あいつが大して技量がない奴ってのにも間違いがないみたいだわ。

 

 ……ふむ。

 なら、あと確認すべきはあいつに奥の手があるかどうか。そこが問題になるわね。イチかバチかの戦いなんてしたくないもの。

 ただ……厄介なのはあいつ、そんなの持ってなさそうなところよ。今も怒り狂って鉄棒振り回すばっかりで、特にこれといって特別なことしてくるわけじゃないし。

 あのデカブツマスクマンにそんなつもりなんかこれっぽちもないだろうけど、一方的に心理戦を仕掛けられてる気分だわ。……マジで厄介ね。

 

 らちが明かないまま、牽制の火球を放ち続けてると──マスク野郎の魔力がブレたわ。……違うわね。“壊れた”といった方がいいかもしれない。

 蛇口ってあるわね。そこに無理やり大量の水を詰め込んで吐き出させていたら、口の部分が吹っ飛んだってイメージ。要するに、許容限界を超えたんでしょう。

 マスクはね、全身が赤く膨れ上がって破裂したわ。……魔力が逆流したのね。

 原因は……外部から供給される魔力を消費しきれなかったことじゃないかしら。もともと、本人の器以上の力を外側から注入されてるってのに、使い切る前にどんどん入れられるもんだから、溢れて逆流した。

 ……後味の悪い勝利だわ。 

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