くたばり損ない魔法少女わたしの独りゴト   作:土縁屋

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【長編】ムラクモちゃんズストーリー劇場版『帝都燃ゆ』!・10

 わたし、華亥ムラクモ♡ 世は戦国……大宇宙開拓時代。プリティ衛星、エウロペ・ムラクモスターに住まう少女が一人。「拙僧! アイドル系銀河皇帝になる!」

 行けよ! 果てよ! 振り向くな! 涙はもう……いらないぜ。脳内メルヘンチック宇宙女の子♡

 

 

 ムラクモちゃんのお散歩帝都観光ツアーはまだまだ続くよ。

 

 ……ってことでねえ。

 出合い頭のゲボヘドロ人外へ……くらえ! プリティ・ビーストジェノサイダー(爆発するパンチ)!

 ムラクモちゃんのプリティ・ライトハンドへ集った悲しみと怒りが地上をピカピカに照らす星となる! はいどーんっ。

 必殺技って言うにはちょろっち邪悪な色合いの閃光がね、ぶん殴って爆散したゲボヘドロの残骸を焼き尽くしちゃった。ぼーん! ちなみに色は赤黒いよ。……いやんっ、恥ずかしい。……ずっと秘密にしてたムラクモちゃんの魔力光……見られちゃったね♡ なんつって。

 

 別にかわいそうでもない異世界ケダモノ人外を皆殺しにしたら、忘れない内にガクブル地元民さんをチェック、チェック。

 あ、怖がらせちゃってごめんねえ。見るの見たら消えるんで許してちょ。……ん。大怪我してる人っていないみたい。

 なら、ムラクモちゃんヒールの出番はないみたいですね。

 

 でも安心できないよ。

 あの危ないお目々の連中、まだ絶滅できたわけじゃないし。またエンカウントしちゃうかもしんないから、貴公たちどっか安全なとこに隠れた方がいいんじゃない?

 シェルターとかさぁ。なんかそんな感じの場所へ行かれなされぇい! ……俺か? 俺は居残りさ。なぁに心配すんなって。あとで追いつくからよ……。じゃあの。

 なんつって。

 そんなようなこと言ったの。そしたらねえ、ビクビク地元民さんったら「安全なところまで護衛してよ」だって。……うーん。

 言っとくケド、ムラクモちゃんと一緒に居たって特に安全じゃないよ。そりゃ、どうにか命を守れるよう努めさせていただきますけどねえ。……うん。

 でも、『無防備に歩き回るよかマシ』なんて言われたら論破されちゃいますよね。確かにそうだ! っつって。

 

 

 ───

 

 

 地元民さんを連れ歩いての逃避行はけっこう大変だったよ。

 ゲボヘドロやロボットくんの攻撃をずっと気にしなくちゃなんないし……。ムラクモちゃんのプリティをもってしても拭えない暗ーい雰囲気も辛いのん。

 ……あと。単純に時間がかかる。

 これがもうねぇ……ワチャワチャーって気分になっちゃうのん。……でも、ちゃんと抑えなきゃ。救うことと殺すことを混同しちゃダメだって。

 見えないところまで見た気になって焦るのは筋違いなんだって。まずはこの人達を送ってかなきゃ。

 

 ……ワンワン!

 拙者送り狼でござるぞ! 必殺のスキル・送り火トレインを使ってスゴイ級ダンスをご披露いたす! ボォー! 油揚げをよこせぇい! なんつって。

 

 んでね、しばらく行くと兵士さんがたくさんいるところについたよ。……ミッションコンプリートってことですねえ。

 地元民さんのお見送りしとるとねえ、「どうかここを守備するのに協力いただけませんか」つってねえ。軍人さんからお願いなんかされちゃうケド……。ごめんねえ。

 ムラクモちゃんってばこのあと、ご用事あるからお付き合いできません。あなたの気持ちは嬉しいけれど……もっといい人見つかるよ! 今後もお友達でいよ?

 つってねえ、お断りさせていただきましたわ。

 

 

 

 しばらくぅ、しばらくぅ。

 その後もゲボヘドロやロボットくんをお掃除しながら人命救助に勤しんどるとねえ、一角でけっこうド派手な戦闘してるっぽいところに遭遇したよ。……うーん。

 人間側はね、れっちんあっちんの謀叛人シスターズと、ブルおじ。三人を包囲するみたいに囲んでんのが、ゲボヘドロ共と……なんだろ。人間っぽい魔力感じる。

 でも、人外っぽい魔力も同居しとる。つまりこれは……? ピンポーン! はい、ムラクモさん! お答えは? 改造人間! 大正解!

 なんか雑草っぽい人間だよ。変なツル、ウニョウニョさせとる。

 

 ……。

 とりあえず。ゲボヘドロ人外ビーストを発見したならやることって一つだよ。……滅せよ! キサマらは今日この日! ムラクモちゃんによって滅び去るのだーっ!

 なんつってねぇ。飛び入り参加しちゃうよぉ。ばーん!

 スターでライトなスポッツライトがムラクモちゃんのプリティをキラキラに彩っちゃう! 視線という、スポットライトが、ねぇ。ふっ。

 ……いやんっ、照れちゃう!

 百万点の笑顔と怒りと殺意に満ちた八つ当たりパンチを持参して、他人のライブステージへ殴り込みだぁ! ……パンチだけにね(ドッ!

 

 ゲボヘドロライオンのね、頭上から奇襲したげたのよ。無意味なジャンプと回転からの……プリティ・おみ足だよ。ほぉーら、これが欲しかったんでしょぉ。この……踏みつけがっ。どっしーん! ギャッ! 重い! ……失敬だな!

 ……かるぅーく踏んづけたげて、スタイリッシュに着地する予定だったんだケド。ライオンったら爆散しちゃったもんだから、ムラクモちゃん足滑らせてずっこけちゃった。

 うえーん、カッコ悪い。

 

 赤っ恥にムラクモちゃんが悶絶しとるとねえ、どんな些細な陰口も決して聞き逃さないムラクモ・イヤーが拾ってくれちゃいましたよ。れっちんの失笑を。しかも、ブルおじの方はかなり露骨なため息! ……クッ! こやつらめが!

 ……いや、ムラクモちゃんが言うのもなんだけど、いきなり乱入してきたやつが人外爆散させつつずっこけたら、普通は困惑しない? そこのあっちんと雑草人間さんみたく。なしてお二人は反応でムラクモちゃんを煽っとるん?

 ……いいケドね! ムラクモちゃん気にしない!

 

 ノリと勢いで押せば、だいたいなんとかなるもんだからね、この世の五割くらいは。いや、三割。……一割くらいかも。と、とにかく何事もなかった顔をしてご起立!

 立ち上がりざまに人外野郎の足を引き千切りつつ、引き千切りつつ。その足を顔面に叩きつけて潰してあげちゃう。んで、何が起こったかわかんないって顔してる隣のやつの頭をむしり取って、奥っ側へシュート! ばごーん! ホールイン・ワンだぁ。……どこの穴に入ったの? ふっ……。知りたいかい? ならば教えよう。地獄の穴さ。彼らを突っ込んだげたんだ。……うーん、イマイチ。

 

 

「は、華亥ムラクモ……っ! お、お久しぶりですねぇ。相も変わらず、ムチャクチャをなさってるようでぇ」

「……ん?」

 

 人外を殺してたらね、いきなり雑草人間が話しかけてきたよ。……なぁに? なんかご用? 今ムラクモちゃん忙しいんだケド。

 でも話しかけられたからね。いちおう、そっちへお顔向けてあげたら……失敬だよ! もう本当に失敬なんだけど、「ヒッ!」とかってビビり散らかしやがったの! このプリティに対して! 自分から話しかけてきたくせに! ぷんすかぷんぷんですよ、さしものムラクモちゃんでもね!

 ……ところで、相変わらずってなぁに? わたし達どこかでお会いしましたっけ?

 ってねえ、聞いてみたの。そしたらさぁ、「覚えて……いない? この、ラーネ・アウロラを……?」だって。うん。ごめんねえ。

 

「はんっ。無様ったらないわね! ……言ったでしょ、アンタなんかしょうもない軽口以下の価値だって!」

「クリム・スカードレッド! あなた風情に何がッ!」

「知りたいとも思わないっての。

 ……“暴君”。手、出すんじゃないわよ」

「……?」

「借りがあんのよ。腹も立ってる。……だから。アレ、あたしの獲物だわ」

 

 槍をね、クルクルさせながら、れっちん言ったよ。……怒ってんのかな? 見下してんのかも。ちょっと複雑でわかんない。

 雑草人間さんはなんだかすっごい怒っとる。屈辱~って。んで、あっちんは謎にキュンキュンしとって、ブルおじはやれやれってしてる。

 ……ん? なんかお話見逃しましたか? ムラクモちゃんついてけない。……別にそこまで興味ないけどねえ。

 

 ……。

 

「あなた、人間なの? それとも人外?」

「ッッ!! ほ、本当に……。本当に覚えていないのか! この私をッ!」

「うん。……で、人間なの? 人外?」

「──ッッッ!!!?

 ……ふ。ふふふ、ふふ。……人間でも、人外でもありませんよぉ。私、もっともっと幸福で、素晴らしい存在なんです」

「???」

 

 何言ってんだこいつ(素)。

 ……おっといけない。困惑のあまり素が出ちゃった。……いや、素とかないケドね。ムラクモちゃんは正直な裏表なき人間なので。

 

 うん。

 ……なんかもうよくわかんないケド、まあいいや。

 本人は変なこと言ってるけど、改造人間なんだろうし。なら何で聞いたんだよって話だケド……様式美? 別に理由なんてないよね。

 ってことで、ヒトってことにしとくよ。……いちおうね。いちおう。

 だから、れっちんに譲ったげる。……感謝してよね!

 

「……ん。魔力譲渡、いる?」

「やったらぶっ飛ばすわよ。……言ったでしょ。これ、あたしの喧嘩。不純物なんかいらないわ」

 

 ふ、不純物……。ひでぇ言われようだぁ。

 ……でも知ってんですよ。拙僧博識なうえに、現代異世界を生きる数寄の者だから。芸術ってむしろ不完全なくらいが美しいんだぁ。……これ、負け惜しみじゃないからね! 勘違いしないでよね!

 

 さておきさておき。

 ……ムラクモちゃんが見る限り、けっこうギリギリの戦いになるんじゃないかなって思うよ。二人、そこまで差がない。……魔力だけを見るなら。

 でも戦いって、必ずしもぜったいに魔力がすごい奴が勝つってワケじゃないしね。技術とかね、メンタルとか戦略とか。色々あるよね。

 ……ま。ムラクモちゃんは魔力もフィジカルもすごいから色々全部ぶっ飛ばして最強だけども。

 

 いらないよって断られたのを無理に押し付けるのもどうかって思うからね。

 ……ん。じゃあムラクモちゃん、ゲボヘドロ絶滅に注力しちゃうねえ。

 ってことで、とりあえず手近なやつの頸部をへし折っちゃう。ぼきー。……んで、そいつを団体さんのところへ不法投棄しつつ、しつつ。別のやつにはそーれ張り手だぁ! ばちこーん! 破裂しちゃった。

 犠牲者大量生産工場・工場長ムラクモです。ドーモヨロシク。そーれ、ぶちぶちー。よいしょ、ちぎちぎー。……この世の終わりみたいな肩書だあ。

 

 そんな感じにゲボヘドロの脊椎引っこ抜きながら……。

 べ、別に気になったわけじゃないよ。気になってないケド……。横目でれっちんのことチラ見してみるとねえ、けっこう一方的な展開じゃない。……あ、勝ってんのれっちんね。

 

 ……思った以上に技量が開いてますね、これは。

 れっちんスピアね、雑草ちゃんのツタぜんぜん寄せ付けないよ。

 ……んーむ。雑草人間さんってばね、配置が上手じゃない。適当だよ、ツル生やす位置。人外のスペック任せで力を振るうから、何もかも読まれちゃっとる。

 ……魔力の隠蔽さえしないんだもの。それで背後から攻撃したって当たるわけないよねって。

 

 特に拙いのは、冷静さ失ってることかも。

 もうちょい冷静になって戦えば、こうまで一方的にはなんなかったかもしんないケド……いやどうだろ。

 この状況でもれっちん冷静だよ。無理攻めはしないし、観察も怠ってないみたい。雑草人間の対応の一つ一つ、反応の一つ一つをいちいち確認して、攻撃を修正してる。

 その上、悪口にも余念がないよ。めっちゃ煽りよる。馬鹿にされとる雑草さんは目論見通り怒り狂って……。本当にそうかな? これ素で口が悪いだけでは?

 

 ちなみに、あっちんはねえ。なんかメラメラソードで人外斬ってるよ。……優等生の戦い方って感じ。あんまり長生きしなそう。戦場にこだわるならね。

 ブルおじはねえ、なんか居合。両刃の剣で居合。……え? 居合ってあれでしょ。鞘を使って打ち出す感じのやつなんでしょ? だから片刃じゃないとやりにくいんだぁ。でも両刃の剣で居合。めっちゃつおい。一振りで三体くらい切り刻んでるよ。……まあ、ムラクモちゃんならパンチ一発でこの辺り一帯消し飛ばせるケドね。

  

「あなたなんかに、あなたなんかにっ、あなたなんかにぃっ!! 何で! 何で当たらない! 何で殺せない! 私の方が優れているのに!!」

「わかりきったことでしょ。ヘタクソだからよ、アンタが。ヒステリックに喚くのは勝手だけど、ちょっと声抑えてくんないかしら。……そのキンキン声、近所迷惑よ」

「ふざけるな! “暴君”……! 私は“暴君”から生き残ったんだぞ! こんなところで──ッ!!」

「──見逃されただけでしょ? 何でもかんでも自分の都合がいいように解釈する癖、治しなさいよね」

「──ッ!!!?」

 

 ……そろそろ決着みたい。

 雑草人間の全てを賭けた必殺・アロマセラピー・ラフレシアンクラッシュ(勝手に命名)に対して、れっちんが選択したのは──!

 メラメラスピア・ドラゴンファイヤーアタック(勝手に命名)だよ。……盛っちゃった。

 別に必殺技のぶつかり合いとかなかったよ。普通にキレ散らかして隙だらけの雑草の喉笛にれっちんが槍を突き込んだってだけ。……うーん。

 本人申告じゃ非人間だったケド、人間の魔力持ってるのは確かだったからねえ。

 

 ……成仏してねえ。

 

 そんじゃね、ってことで。

 ムラクモちゃんの方も終わらせちゃうよ。行くぜくらえ! ぱんちぱんち!

 並みいるゲボヘドロ達へ、ぱんちきっく(ドゴッメキッ)! 目潰し(グチュ)! そしてトドメの……ラブリー・デススティンガー(ただの貫手)! どすーっ。んで、心臓抉り出してぶちゅー。でフィニッシュです。

 ばっちいゲボヘドロハートの残骸をポイ捨てしてるとねえ、なんだかドン引きした顔のブルおじに「お前……いや。うん。……せめて、返り血くらいは拭え。怖い。あと、もうちょっと……出来ればもっとやり方考えろ」って。……ええ?

 

 ……この辺りもキレイになったみたいだから、別のところ行こうと思ったの。

 そしたらあっちんがね。「どこ行くんですか」って。や、だから別の場所に人外……じゃない。生存者いないか探しに行くって言っとるでしょ。脳内で。

 全部がぜんぶ、何もかも思い通りにできるなんてうぬ惚れるつもりないケド、だからってどうにかしようって足掻かない理由にはなんないでしょ? あ、今いいこと言った。勉強になったねえ。名言代は請求しないだげるから、拙僧を止めてくれるな! ……ってことでね。ムラクモちゃん行くよ。

 

「……余計なお世話でしょうけど。……気を付けなさいよね」

「ん。……さっきの、かっこよかった」 

「ふんっ。……さっさと行きなさいよね!」

「ちょちょ! 何言ってんですか、姉さま! “暴君”さんも! 一緒に行動するべきだってわかりませんか? 姉さまは服装のセンスだけでなく、常識のセンスまで歪んでしまったんですか? ……って、“暴君”さん行かないで! 話聞いて!」

 

 ……あ、そうだ(唐突な思い出し)。

 忘れるところだった。れっちんから借り受けたクソダサ仮面返さなきゃ。ってことでね、かっこいい別れの余韻を台無しにしつつ、しつつ。

 ……さ。気を取り直して今度こそ行きましょう。

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