無個性でヒーロー!? できらぁ!   作:にょわ

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お久しぶりです…………。
何書けばいいか物凄く迷子になってました、まずはごめんなさい。

なんとか、、ふっかつ、、、、!


絶対鏖殲滅丸

 USJでの一幕の後、私は脳無とかいうのの攻撃を受け流したときに逃がしきれなかったダメージや手男に触れられた際になにかされているかもしれない、ということで一日学校を休んで病院で検査を受けてきた。勿論結果は問題なし! 流石は私、来世は柔道家になろうかな。

 そして今日、クラスメイトとの久しぶり(?)の再開にるんるんと心を弾ませてがらっと教室の扉を開け放つ。

 

「みんな~~! 一日ぶりーー!」

「あ、架沙音! 怪我は大丈夫?」

 

 私の声を聴くと、一足先に登校していたデクがつったかたーとこちらに駆けてきた。

 ……両足にものすっごい大量のギブスを巻きながら。

 

「いやこっちのセリフ!!」

「あはは、もう見た目ほど酷くはないよ、心配してくれてありがとう」

 

 え~ほんと~? この子すーぐ無理して強がるからなぁ……。

 

「えいっ」

 

 てことでかるーくギブスの上から小突いてみた。

 

「っ~~~!! かか架沙音⁉ なんで蹴ったの⁉」

 

 一瞬明らかに痛そうな顔をした後、取り繕ったかのように大げさに突っ込むデク。

 ほら、全然大丈夫じゃないじゃん。

 

「はぁ……ちょっとそこ座って」

「え、う、うん」

 

 私の机に一旦デクを座らせ、"足(補助)"とかかれたカプセルを開く。

 じゃじゃーん、取り出したるはリハビリ用歩行補助マシーン。

 太もも辺りまでを覆うブーツのようなそれをがばっと開き、デクの足に取り付けた。

 

「痛かったら言ってね」

「うん、わかった」

 

 スパナを取り出し、側面にいくつも取り付けられたボルトをきーこきーこと閉めていく。

 これでしっかりこていするのだ。

 

「……あ、いたい、痛いかもちょっとこれ……架沙音⁉聞いてる? 痛いよ今あっまって痛い痛い痛い痛い‼」

「そりゃ痛いでしょ、患部を圧迫して固定してるんだから」

「じゃあなんで聞いたの⁉」

 

 別に痛かったら止めるとは一言も言ってないしー。 

 ふん、無理した罰だ。

 最後に一締め回したら……よし!

 

「よっしこれでおっけー! ちょっと歩いてみて」

「うわなにこれ! 急に全然痛くない!」

 

 さっきしてたのは圧迫度の調整。部分部分が異なる力で押されてたから痛いのであって、全体を均一にぎゅっと固めれば痛くも無くなるのさ!

 校長せんせみたいな口調になっちゃった。

 

「このブーツがあればほとんど関節を動かさずに自然な歩行ができる筈。あとこれ松葉杖」

「な、何から何までありがとね架沙音」

「……いや、感謝するのはこっちの方だから」

「え?」

 

 非常に……ひっっっっじょ~~に業腹ではあるが、デクは私の命の恩人……ということになってしまう、可能性を……否定できない……。

 デクなんかに守られてしまうなんて……架沙音ちゃん一生のフカク!!

 と、いうことで、渋々遺憾の意を飲み込みながら感謝のかを述べる。

 

「メッセでも言ったけどさ……あの時、守ってくれて……ありがと」

「……うんっ!」

 

 そこで真っすぐ感謝を受け止められるんだ……やっぱり成長したね、デク。

 

「ふふっ」

「へへ」

 

 なんだか真面目に目を合わせているのが気恥ずかしくなり、デクも同じだったのかお互い自然と笑みがこぼれる。

 ……その瞬間だった。

 

「ぴぴぴっ! ぴぴぴっ! 青春の波動を検知! 青春の波動を検知!」

「どこだ~~~? ……ここかーーー!!」

「うわっ! 三奈ちゃん!? 透ちゃん!?」

 

 どこからか目の中に星を煌めかせた青春ゾンビが二匹湧き出し、私のほっぺをつんつんとつつく。

 

「ちょ、違うって二人とも! そんなんじゃない! ねーデク!」

「そ、そうだよ! ボクと架沙音がこ、恋人……だなんてあるわけないよ!」

「は? デクの癖に私じゃ不満だっていうの?」

「うぇえ!?」

 

 急に梯子を外され漫画みたいな二度見をしてくるデク。

 ぷっ、あはは! 何その顔ウケる!

 

「うぅぅ……そうだよね、無個性の私なんかじゃデクには釣り合わないよね……よよよ……」

「よしよし、かわいそうな未来ちゃん」

「こんな可愛くていい子泣かせるなんて男子ってばサイテー」

 

 わざとらしく二人に枝垂れかかりよよよと泣き崩れると、女子~ズはノリノリで私を抱きとめてくれた。

 

「えっやっちがっ!」

「ふぇぇぇぇぇん」

 

 ふふ、デクの顔にわかりすぎるくらい「なんでぇ⁉」が浮かんでて、非常に楽しい。

 そんなこんなでみんなと戯れていると、ガラッと扉を開けて教室に入ってきたかっちゃんと目が合った。

 

「………………ハッ」

「はいかっちーーーん」

 

 たっぷりと間を開けてから鼻で笑ってきやがったこいつ!!

 キレちまったよ……。

 スマホをぱっぱっぱっと操作し、アルバムの”とあるフォルダ”を開く。

 

「ばくごうかつき(6)がおねしょしちゃって泣いてるときの写真見たい人ーーーー!!」

「はぁ⁉ なっおまっなんってめっ‼」

「「はいはいはいはーーい!!」」

 

 突然の大声に一瞬静まり返った教室だったが、状況を理解したのかまるでダイナマイトに点火したように一気に熱気が爆発した。

 

「あーーーっはっはっは! 私を怒らせたらどうなるかの勉強代は、君の尊厳で支払ってもらおっかなーー!!」

「テメェライン越えだろゴラァ消せ今すぐほんで死ねカスボケ女ぁ!」

「ん~~? そんな態度でいいのかな~~? あ~手が滑って共有ボタン押しちゃそーー」

「なっテメェ! マジでぶっ殺すぞコラ!」

 

 ほ~れほ~れ、うばってごらんよかっちゃんさ~ん。

 そんな風に幼馴染二人をもてあそんでいると、教室にミノムシ(不審者)が入ってきた。

 

「おはよう」

「「「相澤せんせぇ!!」」」

 

 勿論不審者とは、我らの愛する担任教師、相澤先生である。

 え、なんでミノムシ(不審者)呼びしたのかって?

 だって顔以外の全てを包帯でぐるぐる巻きにされてるんだもん……なんであれで動けるの……。

 

「とにかく、無事で何よりだ」

 

 お言葉を返させていただきます。

 いや、アレ(ミノムシ状態)を無事で済ませていいのかはわかんないけど。

 

「しかしお前ら、気を抜くなよ」

 

 相澤先生の言葉で、教室の温度が少し下がったのを感じた。

 どこか暖かかった空気は鳴りを潜め、誰かが生唾を飲み込む音がやけにはっきりと聞こえる。 

「戦いはまだ終わっていない……いや、むしろこれから始まるとすら言えるだろう」

 

 なんだなんだ、また(ヴィラン)か、それとも除籍をかけた訓練か、はたまた抜き打ち小テストか……と戦々恐々とする私達の期待は……いい意味で裏切られることとなった。

 

「雄英体育祭が迫っている」

「「「クソ学校っぽいのキターーーー!!」」」

 

 1-A、大事件の後も変わらずn度目の大合唱である。

 うんうん、結束力が高くて素晴らしいね。

 

□■□■□

 

 説明しよう! 雄英体育祭とは!! 雄英高校の!!! 体育祭である!!!!!!!!

 

 ……え、雑過ぎ?

 まぁでも実際そうだからなぁ。

 個性が発生するまでの世界ではやっていたスポーツなんかが"ぶっちゃけ地味じゃね?"と廃れてから早数世代、どんちゃん騒げる派手なお祭りを求めていた国民が目を付けたのが、世界でもトップクラスのヒーロー育成機関である雄英高校の体育祭だった。

 国民にとっては若い才能が競い合うエンタメが、学生にとっては将来の為に国民全体へアピールできる場が、それぞれ得られるそれはもう最高のイベントである。

 

 と、いうわけで、この雄英体育祭というのは、そりゃもう一大イベントなのだ。

 それが一か月後に迫った今日、今の内からできることと言えば……。

 

「強くなりたいやつ、この指とーーーまれ!」

「「「「はーーーい!」」」」

 

 そう! 修行パートだよね!

 先日の戦闘訓練、そしてUSJ襲撃事件、これらの経験を得て、みんなやりたいこと、できないことが明確になったと思う。

 だからこうして、みんなで意見交換をして強くなっちゃおう! というわけである。

 特に私にはこの前みんなの個性を研究したこともあり、個性化学的視点で意見を出すこともできる……へっへっへ、役立ちますぜぇ旦那ぁ。

 

「ちっ、くだんね」

 

 しかし、仲良しこよしを良しとしない恥ずかしがりやなおませちゃんがここに1人。

 そう、今まさに扉を開けて帰宅しようとしているのは我が親愛なる幼馴染くんである。

 なんだ~? その頭みたく心までツンツンか~?

 

「ふ~ん、どっかの誰かさんは強くなるための機会をみすみす逃すんだ~、『みんなに手伝ってもらいとか恥ずかし~』みたいな安っぽいプライドに負ける程度の気概しかないんだ~~」

「んだと余裕だわボケさっさと始めろやカスコラァ!」

 

 ふっ、ちょろ。

 

「……なんかオレ、段々爆豪が可愛く見えてきたわ」

「ケロ、わかるわ」

「家の弟、反抗期なんだけどマジでこんな感じだわ」

「聞こえてんぞ雑魚共!!」

 

 上鳴、梅雨ちゃん、瀬呂くんがコソコソとつぶやくが、爆豪'sイヤーはどんな陰口も聞き逃さない! みみっちいぞ!

 

「ではまずこちら! 個性因子貰ったお礼にって約束してた各個性の初見と考察資料です! サポート科の親友、発目明ちゃんと一緒に丹精込めて作ったよ!」

 

 ドサッと机の上に出現する資料の山に、みんながちょっと引いてるのを感じる。訂正、目を輝かせているのが一名。言わずと知れたモサモサ頭である。

 ……いやだって20人分だよ? そりゃこれくらい(天井にギリ届く)にはなるって。

 

 というわけで、特にアツくなった説明を何人かピックアップして紹介するよ!! ダイジェスト!!

 

case1《蛙吹梅雨:個性"カエル"》

「カエルの種類ね……たしかに考えたこともなかったわ」

「私の予想としては、観測した時個性因子がかなりの幅で揺らいでたからいろんなカエルになれるんだと思う! 文字通り因子を変える(・・・)ってね!」

「ケロ、面白いわ」

「真顔辞めて……」

「表情が変わりにくいだけなの、ごめんなさいね」

「こほん、いいのいいの……それでこの予想があってたらおすすめの引き出すカエルなんだけど、例えばアメリカアマガエルは冬眠する時に体を本当に凍らせて心臓すら止めるんだって! それで春になるとそれを解凍するんだけど、これを使えば仮死状態になって敵の目をだませたり、熱源探知を搔い潜れたり、もしかしたら轟くんみたいな凍結能力までゲットできるかも! あとはアフリカツメガエルは骨で爪をつくって、皮膚から飛びだたせることもできたりするんだ! これなら切島の硬化みたいな近接戦闘能力を……あとはやっぱり定番のヤドクガエルとか(以下省略)」

 

case2《上鳴電気:個性"帯電"》

「上鳴の個性ってさ、持ってるものとか触れた人に電気纏わすことってできんの?」

「おう、できるぜ!」

「めっちゃ強いじゃん! じゃあさ、殴った相手に個性で電荷纏わせてさ、それより高い電位の電荷をちょっと纏えば」

「…………どうなんだ?」

「自動で相手に電気が流れてくってこと! こう、パリっと!」

「なんだそれ最強じゃん! しかもカッケーし!」

「……上鳴はなによりお勉強だね。はいこれ」

「げ、なにこのクソ分厚い参考書」

「二年の物理の教科書。電気に関する知識が付けば自ずとあれもできるこれもできるってなる筈だから、面倒かもだけど頑張って」

「勘弁してくれぇ!」

 

case3《砂藤力道:個性"シュガードープ"》

「砂藤の個性はそうだなぁ……要は糖分をとんでもない効率でエネルギーに変換して、それを体に還元して筋力を上げてるわけじゃん?」

「おお、そうだな……やっぱ単純で強い個性だとは思うんだけど、あんま拡張性はないよなぁ」

「まぁ聞きなって、てことはつまりよ? わざわざ体に還元しなければ、体外でもエネルギー変換自体はできるかもしれなくない?」

「お、おぉ……? できっかなぁ」

「例えば手で隙間なく包むことでその領域を体内と解釈する、とかね。これができたらさぁ……手の中で糖分をエネルギーに変換し、圧縮して放つ……撃てそうじゃない? かめはめ波」

「!?!?!?!?」

「楽しみにしてるから、個性の解釈頑張んなよ」

 

case4《葉隠透:個性"透過"》

「賭けてもいい、絶対に透ちゃんはレーザーが打てる」

「えぇ!?」

「サポート科に"レンズ"っていう光の収束率を変えられる個性の子がいるんだけど、その子と個性因子の形がすっっっごい似てるんだよね。その子には悪いんだけど多分透はその上位互換個性だと思う。そもそもどうして体が透けるのか考えたことある?」

「た、確かにないかも……そういうもんだとばっかり」

「透ちゃんの個性は体を光が通り抜けるように作り変えられる個性。その時に屈折率とか収束率とかをなんやかんやして透過させてるんだけど」

「なんやかんや……」

「周りの環境によって因子の配列がちょっと変化してたから、その変化を任意で起こせるようにすればオンオフも切り替えられるんじゃないかな?」

「やばいそれはちょっと夢かも! 頑張ってみる!!」

「ん、私も透ちゃんと本当の意味で顔を合わせて(・・・・・・)みたいし、楽しみにしてるね」

 

case5《爆豪勝己:個性"爆破"》

「かっちゃんは爆発する汗、掌以外から出せないの?」

「あぁ? んなこと試してるに決まってんだろ、できねぇわボケ」

「ん~~じゃあ……掌で汗を変換した後、外に放出せずもう一度中に戻すイメージ? できそう?」

「……できたわ」

「できんのかい! まったく才能マンめ……そしたらその汗をさらに別の汗で包んで二層構造にすれば、一層目の爆発で汗を発射して二層目の汗で遠隔爆破みたいな……いや流石に体内でコーティングは危険か、下手したら体が内側からBOOMB! だもn」

「できたわ」

「できんのかい!!!」

 

 以上! 他の面々についてはまぁ、もし発表の機会があれば都度説明していこう。

 後言わなきゃいけないのが……。

 

「デク」

「う、うん。資料ありがとう。すっごい細かく調べてくれてて参考になったよ。特に個性についていけず体が壊れてしまう原因の考察なんかは今足りてなかったイメージを補うのに最適だった確かにこれまで漠然と体ができてないからとだけ思っていたけど言われてみれば個性が神経の代替として強制的に筋肉を収縮させる際に限界以上の収縮が行われることで筋肉自体が骨ごとねじ切っていたなんて想像もつかなかっただからこれまでの個性の力を抑え込むために力んじゃうっていうアプローチじゃ余計な力が加わっちゃってむしろ悪化させてしまってたんだと思うUSJで腕の制御に成功した時はとにかく早く架沙音の基に辿り着かなくちゃって足に意識を集中させてて腕のことはほとんど考えてなかった気がするそれが適度な脱力を生んで必要以上の収縮が起こらず腕が無事だったんじゃないかなどう思う架沙音!?」

「早口きめぇよ誰も聞き取れねーわそんなん人と話す気あんのかデクカスコラ」

「そっのとーり! よくわかってんじゃんデク!私もまったく同じ考えだったんだよね!」

「んでわかんだよ架沙音お前もきめぇわ」

 

 やっぱデクとはこと個性に関しては話し合うな~~!

 かっちゃんはそこらへん感覚で何段階もすっ飛ばすセンスの塊マンだから私らみたいな理論ガチガチはむつかちいよねぇ?

 1二人とも個性の解釈や応用がめっちゃ上手で結果としては「1を教えたら10が返ってくる」っていうなんとも考察しがいがあるんだけど、かっちゃんは1っていうきっかけがあったら2~9を飛ばして10に辿り着いちゃう感じで、デクは一緒に1を生み出せたらそれを基に2,3,4……10って自分の中で組み立てて返してくれる感じ。う~~ん幼馴染が優秀過ぎて怖い! 負けてられないなーこれは!

 

「じゃっ! 私明ちゃんとこ行ってくるから! なんかあったらラインして~!」

「おー、きぃつけてな」

 

 挨拶を返してくれた上鳴に手を振り返し、つったかたーと走り……はっ殺気!? 歩き出した。

 

□■□■□

 

「たのもーー!!」

「あぁ架沙音くんか、発目はあっちだよ。今日はちゃんと暗くなる前に帰ってね」

「ゼンショします!」

「不安だなぁ……」

 

 出迎えてくれたパワーローダー先生、略してパワーーー先生にご挨拶し、丁度起こった爆発の方へ向かう。

 うん、いつ来ても爆発してるね明ちゃんったら。多分かっちゃんにも負けてない。

 

「やほ明ちゃん、調子どう?」

「未来さん! よく来てくださいましたねぇ丁度いいところにみてくださいこちらの新作ベイビーを発想の着眼点としては緑谷さんの個性でしてあの一度使うと自壊するとい強烈なデメリットをメリットに変えられないかと思いまして安全装置や制御機構破損防止の接合パーツにエネルギーを安定させるためのコンデンサ等をすべてとっぱらい圧倒的な軽量化&材料削減によるコストカットを果たすことができたのですどうでしょう可愛いでしょう見てくださいこの無駄なパーツが一切存在しないことによる無骨かつスタイリッシュなフォルムッッッ!!! ッス----(呼吸)……ドッ可愛い!!!!!!

「ふぉぉぉぉぉ!! ドッ可愛い!!!」

 

 なにそれすごい!! まずなによりビジュがよすぎる!!!

 配線や基盤が剥き出しになった、装飾の一切無いハンマーはちょっと私の語彙力じゃ語りきれない程カッコイイ。なによりも浪漫が迸っている。

 素材の金属は何らかの合金だろうか、光を殆ど反射しない黒は見覚えが無い。

 しかしハンマーというには先端がやけに棒というか、軸というには太いけど、ハンマーのハンマー部分が無いというか……えっ普段は折りたたまれて使うときに投石器みたいに跳ね上がる!? なにその浪漫機構!!

 

「ささっどうぞどうぞ! 持ってみてください!」

「いいの~!? うわ結構重い、軽量化してこれ?」

 

 明ちゃんに促され立てかけられたベイビーを手に取ると、ずっしりとした重さを手に感じる。

 重さは私で遠心力使えば振るえるな、くらい……これだと細かい取り回しはできな……いやいらないのか!

 

「本来艦装砲くらいの規模と重量が必要な機構をぎちぎちに詰め込んでその重さです! あと一発ぶちあてる、がコンセプトなので避けられる、振り回す、といった運用はそのそも想定してないんです」

「ん~~~! やぱ浪漫だね! 流石明ちゃん!! してその破壊力は……?」

「ふっふっふっふっふ……」

 

 わざとらしくもったいぶった後、バッと見栄を切りカッと目を見開きガッと近くの廃材に足を載せ、明ちゃんがワッと叫ぶ。

 

「全盛期オールマイトの85%! です!!」

「ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

 "私が調べた!"とデフォルメされたオールマイトがピースしているサイン付きの試験鑑定書を隅から隅まで眺める。

 なるほど、トリガーを引くと普段は折り曲げられている打面が叩き起こされて軸をへし折りながら打ちたい方向に引っ張られて発射に近い形で叩き込む……か、かっこいい……!!

 ハンマーの破壊力を上げる方法を考えた時に投石器をモチーフにできる発想力がやばい……ていうかじゃあインパクトの時は射程が倍になるってことだよね、多分目に見えない程の速度で。

 

「明ちゃんってばほんっと天才!! 好き!!」

 

 がばちょと抱き着き、迸る喜びを鮮烈に表現する。こんなんテンション上がるに決まってるじゃん!!

 

「そうと決まれば早速出陣しよう!! これがあればどんな(ヴィラン)もイチコロじゃぁぁぁぁぁぁげふっ」

「殺すな馬鹿」

 

 げぇ!? イレ先!?

 なんだよもう折角いいところだったのにぃとチョップされた頭をさすりながら恨みがましく包帯ミイラを見上げると、くそでっかいため息を吐かれた。

 

「この前の件でちょっと聞きたいことがある、ちょっと来てくれ」

「あっはい、明ちゃんこれ一本貰ってもいい~!?」

「えぇもちろん! とりあえず今は3本あるので、あとでお渡ししますね!」

「ありがとーーー!!」

 

 ふふ、ふへへへ、いいもの貰っちゃった~~~、後で常闇とかにみせびらかそ~~。

 

「おい架沙音、わかってると思うが、それ絶対人に向けるなよ」

「あったりまえじゃないですか~、こんなん人に撃ったら多分ミンチですよミンチ」

「そこまでか……」

 

 ドン引きするイレ先をしり目に、大事なことを思い出した私はバッと振り返る。

 

「ごめん相澤先生ちょっとまって! 明ちゃーーーん!! この子名前はーーーー!?」

「よくぞ聞いてくださいました!!!! 絶対鏖殲滅丸(ぜったいみなごろしせんめつまる)です!!!」

「ぜったいみなごろしせんめつまる…………!」

 

 ふぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!

 

□■□■□■□

 

 譲り受けた絶対鏖殲滅丸に頬擦りしながら相澤先生についていくこと早数分、やけに歩くなぁと思っていたら校舎から少し離れたプレハブ小屋に連れてこられた。

 

「せんせ? ここはいったい……」

「入れ、あとここで見聞きしたものは他言無用で頼む」

「わ、わかりました……」

 

 何やらやけにものものしい良い様……と戦々恐々としながら扉をくぐった私を待っていたのは、USJで捕虜となった、半裸の大男……脳無だった。

 

 かひゅっ、と喉が鳴る。

 あの日のことを……確かに感じた"死"の匂いを思い出して思わず体が震えた。

 

「落ち着け、こいつは死体だ。もう一切反応を示さない……というか、既に死んでたって方が正しいな」

 

 私の頭にぽん、と手を置きながら、状況を説明してくれる。

 頭に乗る無骨な手の感触と少しの暖かさに、硬直したからだが解きほぐされていくのを感じた。

 ……こういうことさらっとするんだからずるいよなぁこの人は。

 

「改めて状況を説明するぞ、USJに現れた(ヴィラン)の一味だったこいつ……死柄木ってやつは脳無って呼んでたな」

「はい、それは覚えてます」

「オールマイトにぶっ飛ばされて動かなくなってたこいつを接収して調査したんだが、わかったことが幾つかある。まずこいつは死体だ、ただオールマイトにやられて死んだのか、元から死んでたのを無理やり動かされていたのかがわからない。だからあの日実際に相対したお前の意見が聞きたくてな。どう感じた?」

 

 ふむ、なるほどね、そういうことか。

 

「心臓が動いてる止まってるみたいなのは一旦置いておいて、少なくとも精神的にはあの時既に死んでいたと思います」

「俺も同意見だ、ちなみに理由は?」

「私がぶん投げた時、上半身が地面に突き刺さった状態で身じろぎひとつしてなかったじゃないですか、仮に痛覚がなかったとしても、意思があれば脱出しようと何らかのアクションは起こすはずです。それと指示を受けた時に首肯や返事、ジェスチャーも何もなく行動に移っていたのもそうですね」

「ま、そうだよな……すまんな、まだそこまで日も経ってないのに」

「ぜんぜん! それより……」

 

 聞きたいのがこれだけなら、別に態々こんなとこまで来なくてもよかったよね?

 それでもここに連れてきたってことは、何か別の意図がある筈。

 

「あぁ、ここからが本題だ……お前、こいつ動かせるか?」

「……できます、たぶん」

 

 苦虫をかみつぶしたような顔で問いかけてきた先生の様子を見るに、上に言わされてるんだろうなぁとヒーロー社会の闇を感じながらも思考の海の潜る。

 多分こいつは今、命令者がいなくなったことで起動待機状態みたいになっているんだと思う。

 そのうえで、起動状態になったらある程度の自立思考……というかAIの予測みたいなので命令を解釈してその通りに動作するんだろう。要は戦闘用のでっかいアレクサだ。

 だから……。

 

「流石に声紋認識は難しいとは思いますが、既に組み込まれているプログラムを利用して、直接脳に信号を与えてあげれば。ある程度思うとおりに動くとは思います」

「そうか……「ただ」」

 

 期せずして、先生と声が被る。

 どっちから言う? 私? 私ね?

 

「こいつは多分まだ動く、だからこそ一刻も早く"利用"より"破壊"した方がいいと思います」

「あぁ、仮に命令権を持てたとしても、本来の主が目の前に来たらどう動くかわからん。オールマイトか、或いはエンデヴァーでもないと止められない災害がいつ利用されるかわからない状態で放置するなぞ、非合理に尽きる」

 

 ん、やっぱりここも同意見か。

 まぁ上は違う意見なんだろうけど、今の聞かせれば理解はしてくれるでしょ。お役所の大好きな言葉だし、"責任問題"って。

 

「「ただ」」

 

 しかし、ここでまたしても私達の声が揃う。

 

「オールマイトが全力でぶん殴っても再生して無傷に戻るヤツをどうやって"処理"するか」

「そーなんですよねーーーー……んむむむむむ……」

 

 どうやら"抹消"して一時的に再生を阻害しても、肉片がちょっとでも残っていれば抹消が解け次第そこから再生していくらしい。わぁ化け物。

 ていうか既に死んでるやつをどうやって殺すのさーーー!

 

「ま、そこはこっちで考えとく、助かったよ」

「いや! あんま力になれずゴメンって感じです!」

 

 ぺこりとイレ先に頭を下げ、促されるままにプレハブ小屋から退出する。

 

「じゃ、体育祭の準備頑張れよ」

「はーい、イレ先もお気をつけて~……っとと、絶対鏖殲滅丸忘れて、た……」

 

 忘れ物を取りに一瞬部屋に戻った際に、なんとなしに拘束されぴくりとも動かない脳無が目に入る。

 その瞬間、架沙音未来に稲妻が落ちた……!

 

「せ~んせ♡」

 

 ふふ、ふふふふふ……私ってばなんてことを思いついてしまったんだ……やっぱり天才かもしれない。いや疑うまでもなく大天才だ、べりべりじーにあすだ。

 どうした、と振り返る相澤先生の目に入った私は、きっととっても可憐(キュート)でちょっぴり狂気(マッド)な蠱惑的な笑みを浮かべていただろう。

 

コレ(・・)、ちょっと借りていいですか♡」

 

 待ってろよ体育祭! これで優勝は私のものだ!!




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