無個性でヒーロー!? できらぁ!   作:にょわ

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(追記)
タイトル設定し忘れてたので修正しました。
ついでに誤字修正も幾つか。


勝ったな! ガハハ!

 私の大問題選手宣誓の後はつつがなく開会式が終了し、今は第一種目である障害物競走のために移動中だ。

 競技開始までは10分ほどのインターバルがあるので、各自お友達と団らんしながらのんびり向かっている。

 そして静かにしなくてはいけない理由がなくなったということは……。

 

「架沙音ゴラァ!」

「ロックだね、アンタ」

「怖いもんナシかよ! しびれるぜ!」

「架沙音くん! 後半のはとてもよかったが前半のアレはなんだ! 主席学生として一年生全体の顔として立っている自覚を持ちたまえ!」

 

「ごめんまってまって多い多い聞き分けられない」

 

 当然、クラスメイトにもみくちゃにされるのでした。

 えへへ~やっちゃった。でも後悔はしてない! ……嘘ちょっとしてる!

 だって第一種目が!! 障害物競走って!! どうやってサポートアイテム無しでかっちゃんに勝てばいいんだ!!!!

 いや違うんだよ、うちの学校の体育祭、第三種目である決勝だけはステゴロトーナメントって決まってて、そこに出場するための第一、第二種目は毎年変わるんだって。

 そんなことしらなかったから、第一種目は去年と同じバトルロワイヤルだと思ってたから!!

 

 ……しかし、あんなこと言ってしまった以上、一位以外は許されない。

 私は絶対に、"わからせ"られるわけにはいかないのだ。だって恥ずかしいから。

 ん? 視線……って轟か。

 

「あれでいい?」

「あぁ、充分だ」

 

 ふっ、強者に言葉は不要なのだ……やばい、今の私達めっちゃカッコよくなかった!? 意味深なやり取りぃ!

 

 ……ん? 視線?

 

「はぁ、はぁ……オイラが架沙音をわからせて……体を重ねて……!」

 

 うわぁ……。

 

 

□■□■□■□

 

 やばい目をしたクラスメイト(変質者)は見なかったことにして、スタートゲートになら、ん、で……うっわ人ヤバ。明らかに人の数にゲートがあってないな、流石にわざとか。

 これだとスタートの瞬間に間違いなく妨害合戦になる。で、あれば最初は後方で待機し、漁夫の利を狙う形で上位を狙うのが確実……いや。

 

 それは雑魚の思考だ(・・・・・・・・・)

 

 っはー! 一回言ってみたかったんだよねこれ! いや言ってないけど!!

 

「じゃ、みんな後でねー!」

「あっおい大丈夫かよそっち行って!」

 

 みんなに手を振り先頭へ向かうと、上鳴くんが引き留めてくれる。

 A組で座学最下位の上鳴くんでもここまでの分析(前は危ない)をさらっと行い、かつ他人の心配までできるの、流石は国内偏差値トップの雄英高校ヒーロー科って感じするよね~~。戦闘IQの平均値がべらぼうに高い。

 

「ふふん、逆境を乗り越えてこそでしょ? ウルトラしなくちゃ」

「っは! ちがいねぇな!」

「お、上鳴も来る?」

「ほんじゃ折角だし、お供しますよお姫様」

 

 ひゅー! さっすが上鳴くんちゃらーい!

 

「……つっても行けんのか? これ」

 

 通勤時間の山手線くらいすし詰めの人の海を前に、至極当たり前な感想ありがとう。

 

「まぁ見てなって、ほら行くよ」

「あっちょ、おい! 手!」

 

 ぱしっと手を掴み、蛇のようにするすると人混みをすり抜けていく。

 宣誓パワーもあってか明らかに敵意を以て侵入を拒んでくる人もいるけど、フェイントも交えて誘導し、ほんのわずかな隙間を作って軽々進む。

 これは賭けてもいいんだけど、こと身のこなし、体の使い方で私に変える人はこの学年にいない。少なくとも今は。

 

「はい、とーちゃーく」

 

 気が付けばあれだけ積み重なっていた人の壁は無くなり、視界一杯に会場の様子が見渡せるようになった。

 

「うわ、いつの間に……いや、わかっちゃいたがやっぱすげーなお前」

「ふふーん、でっしょ~? もっと褒めたまえよ~~」

「いよっ! 天才! 最強! 美少女!」

「はっはっは! よしたまえ上鳴く~ん」

「じゃあやめた」

「なんだよぉ!?」

 

 ふふっ、たーのし! やっぱノリいいな~上鳴くん。

 

「あ、そーだ。物理の教科書(アレ)、ちゃんと読んだ?」

「すっげー苦しかったけど、なんとかな」

「おー! やるじゃん!」

「ふっ、電気博士ってよんでくれてもいいぜ?」

「物理なめんな」

「なんでぇ!?」

 

 さっきの鏡写しのようなやり取りをして、おもわず顔を見合わせてぷっと噴き出した。

 

「ま、博士って呼ぶかは今日の結果次第かな」

「まじ? おっしゃ燃えてきた!」

「だから今はまだ……電気」

「なっまっ!?」

 

 急な名前呼びにわかりやすく赤くなるかわいい電気に、拳を突き出す。

 

「こっからは敵同士。お互い頑張ろうね」

「……おう!」

「あははっ、それともエスコートが必要かな? お姫様?」

「いらねーよ、あと姫じゃねーし」

 

 こつんと拳を打ち合わせ、気持ち距離を取った。ちょっとおしゃべり楽しくすぎて緊張できないからね。

 さて、さっきは前に来るのは愚策って話をしたと思うんだけど、勿論ここでしか得られない利点っていうのもある。

 例えば、コースの様子を見ることができるとか。

 

「ん~~~、あれは……」

 

 なんかやけに広いフィールドが途中にあるな。それにその近くに空いた穴……これたぶんなんかでっかいのが出てくるな。

 その奥には……いや流石に見えないか。まぁ最初の障壁がわかっただけで充分か。

 ホントは双眼鏡覗きたかったんだけど、なぜか(・・・)サポートアイテムが縛られてて使えないから断念。

 なにしてんだ私ノバカーーーー!! テンション上がって変な縛りプレイつけてんじゃないぞばーーか!

 ……ふぅ、落ち着いた。まぁ無いものは無い。この体一つで優勝かっさらってやる!

 

『さぁ準備はいいかぁリスナー諸君!!』

 

 プレゼントマイクの声が会場に響きたる。

 きた!

 一度大きく深呼吸をし……よっしいくぞー!

 

『位置についてぇ……よ~~~~い……スタートォォ!! の号令をミッドナイト先生がしてくれます』

「「「「「山田テメェ!!!!!!!」」」」」

 

 アイツ!!!! 教師がやっていいことじゃないだろマジで!!!!!

 今ので真ん中の団子になってる辺りで総崩れだ。可哀そうに。流石にこれはキレていい。

 ほら見てよスターターとしてあの銃みたいなのもって準備してたミッナイ先生を。

 あれ? 私は? ……まぁ盛り上がるならいいか……。みたいな渋々と納得した顔してたのに(優しい)、今じゃ背後に悪鬼羅刹が浮かんでるもん。

 

『お前ら、すまない……本当にすまない……』

 

 あ、相澤先生のそんな申し訳なさそうな声初めて聴いた……。

 

『HAHAHA! 入試んときに言っただろォ! (ヴィラン)は俺らを待っちゃくれない! だが同時に、来てほしい時に来てくれるとは限んねぇのさ!! ……あれ? 校長先生? どうしたんすかこんな場所に。 え、半年減俸……? oh……こいつぁシビィ……』

『うちのバカが本当にすまない。このとおり罰は下った。ミッドナイト先生、お願いします』

 

 なんかいい話風に纏めようとした容疑者だったが、勿論許される訳なく制裁が下った。はっはっは、ざまーみろ。

 

「えーコホン……それでは改めて……」

 

 拡声器で大きくなったミッナイ先生の声が響き、今度こそ覚悟を決める。

 よっしいくぞーーーーーー!! テイク2!!

 

「第一種目、障害物競走……はじめ!」

 

 パン! と銃声が響き渡ると同時に、3歩程駆けてできるだけ高くジャンプ! そして体を縮めて衝撃にそなえる!

 

「あははっ! やっぱ来るよねぇ!! 轟ぃ!!」

 

 次の瞬間、世界が凍りついた。

 轟の十八番、開幕氷結ブッパが炸裂し、辺り一帯の地面が氷に覆われる。

 

『おっとスタートと同時に大規模攻撃ぃ! 規模やべぇなおい! 先頭集団は全滅かぁ!? しかも氷が伸びて壁になったぁ! ……いやちょっと待て!』

 

 芸が無いなぁ! だからこんな風に!

 

『ぐんぐん育つ氷のてっぺんに……架沙音未来だァァァ!! 伸びる勢いを利用して一気に加速加速加速ぅ!』

『あれは多分協力、ってわけじゃないな。こう来るのを予測して上手く使ったんだろう』

 

 はは! イレ先大正解!

 

「ちっ、やられた……」

 

 下で憎々しげにつぶやく轟が氷の生成を止めるが、もう遅い。

 

「ひゃっほーーーい!!」

 

 勢いのままにジャンプし、文字通り発射される。

 

「轟てめぇぇぇぇぇ!!!」

 

 あ、電気氷漬けになってめっちゃ叫んでんじゃん、ウケる。

 

『架沙音が飛んだぁぁぁ! てかくっそ高ぇし速ぇし大丈夫かぁコレ!』

 

 目測で高さが30mちょい、速さが70km/hちょいくらいかな。たしかにこんなの普通に着地したらひとたまりもないね。

 でもだいじょーーーーぶ! 何故か(・・・)高高度、高速度での着地には慣れてるから!!

 

『なんって綺麗な着地ぃ! 五体着地とかお前のクラスじゃそんなことまで教えたんのかよイレイザーヘッドぉ!?』

『教えてない。あんな危険なこと生徒にさせるわけないだろ』

 

 仲いいなぁあの二人。

 っと、それどころじゃない。後続にかなりの有利を付けて辿り着いたのはさっき見えていた大広間。

 さ~て、鬼が出るか蛇が出るか……。

 

『現在一位! 架沙音未来! 第一関門到着ぅ! 第一の障壁はこいつだぁ! "ロボ・インフェルノ"ォォ!』

『入試の時の0Pロボ(お邪魔虫)の大群だ。恐怖にも恐れず立ち向かえよ、ヒーローならな』

 

 ろ、ロボがでたぁ!! が、まぁこの程度なら楽勝かな。

 たしかに人が密集してるときに弧の数の……大体10体くらい? の大型ロボは誰狙ってるのかわかりずらいのもあって脅威だけど、一人ぼっちの今なら!

 

『おぉぉスッゲー身のこなし! 華麗にロボの攻撃を躱す! 躱す! 躱すぅ!』

 

 大きさっていうのはイコールで動きにくさでもある。同じサイズで数がいるならなおさらだ。

 これならスタートゲートの人混みの方がよっぽど障壁だったね!

 

『一度も立ち止まることなく第一関門突破ぁ! おぉっとここで後続がやってきたぞーー! 続くのは同じく1年A組! 轟焦凍と爆豪勝己だァァ!』

 

 ちぃっ! もう来たか! だがしかぁし! どうやら二人は牽制し合っている様子、それに立ちふさがる巨大ロボ×たくさん!

 二人の力ならロボを倒すのは簡単だろうけど、それをすれば攻撃の隙で相手に先に進まれてしまう……面倒だねぇ!

 はーっはっはっは! 行くのだロボ・インフェルノ! 反逆だーー!!

 

「「邪魔だ」ぁ!!」

 

『瞬ッ! 殺ッ! 開幕でも見せた大規模氷結×超大爆発の合体技によりロボーズ粉砕!! おいおい高ぇんだぞアレぇ!』

『足を引っ張り合ってまごつくより協力してとっとと突破する方を選んだか、合理的だな』

 

 ろ、ロボ・インフェルノぉぉぉ!!

 なんだよあいつらー! 個性使うなんてずるいぞーー!!

 でもありがとうロボ・インフェルノ……君が稼いでくれた時間は無駄にはしない……天国でも元気でね……。

 

『しかぁし距離が縮むより先に第二関門に到着架沙音未来! 第二の障壁は、落ちたら即脱落! 奈落の落とし穴、"ザ・フォール"ぅぅぅぅ!!』

『ある一定の高度を超えると突風が吹き荒れる暴風域だ。たしかに飛べりゃ有利だが、文字通り舞い上がり過ぎんなよ』

 

 なるほど、綱渡り……! いや底見えないんだけど落ちたら脱落(この世から)じゃない??? 大丈夫???

 

『ちなみにロープの破壊は禁止! 事故でもロープが破損した場合失格だぜぇ! 逆にそれ以外(・・・・)は何でもありだ!』

 

 ちゃーーんす!

 轟は後続の妨害をずっと考えてるから氷で橋を作るとかはしない筈。だって君の個性出した氷を解かすには()を使わなきゃいけない……でも今日の轟、やけに()にこだわってるもんね!

 そしてイレ先の言う"高度"っていうのがどれくらいなのかわからない以上、そこまでの高さを出せないかっちゃんはロープへの延焼の可能性が高い爆破での飛行はやりずらい筈!

 

「そしてぇ!」

 

 こういうシンプルなアクティビティは、私のいっちばんの得意分野!

 

『おいあいつのバランス感覚どーなってんだぁ!? 地上と一切変わらないペースで靴の横幅とほぼ同じ太さの縄の上を駆けていくぅ!』

 

 無個性でヒーローになるための訓練としてこれまで行ってきた体造りの内、私が特に重視していたのが『柔軟性』『体幹』『持久力』の3つ。

 その内『体幹』を鍛えるために行っていたのが、地面に立てたお箸の上に片足で立つ、というもの。初めの1年くらいはそりゃもう大変だったけど、おかげで今では何時間でも立っていられるどころかそのうえでブレイクダンスだってできる自信がある。

 そのおかげで、幅10cm程度の縄の上を疾走するなんてわけないワケ! わけわけ!

  石の上にも三年? 私はお箸の上に10年!

 

『架沙音未来首位独走ぅぅ!! もう誰もこいつを止められないのかぁぁ!?』

 

「はーっはっはっは! 勝ったね! がは」

 

『いや、こいつが来たぁ!! 轟焦凍ぉぉぉぉ!! 後続のアシストになるのを承知で氷の橋を架ける!! スタートで架沙音がやったように伸びる氷の上に乗り、今爆速で第二関門突破ぁ!!』

 

「はぁぁぁぁ!?」

「追いついたぞ、架沙音」

 

『おいおいマジか一石二鳥どころか二兆くらいあるぞこりゃぁ! これまで縄への引火を警戒して個性を使えなかった爆豪が、轟のつくった橋の上を文字通り"爆"走! 折角できた橋が壊れちまったぁぁぁ!!』

 

「はぁぁぁぁぁ!?」

「勝つんはオレだァ!」

 

『三人並んで第三関門を目指す! 優勝争いはこの三人で決ま……ってまてまてまてまて!! きてる!! 後ろからなんか来てるぞなんだあれ、プロペラ飛行機ぃぃぃ!?!?!?』

 

 ちょ、ちょっとまって情報が多い!!! まさか人の体育祭でプロペラ飛行機なんてあるわけ……。

 ぷ、プロペラ飛行機だぁぁぁぁぁぁ!!!!

 

『乗ってるのは八百万百、上鳴電気、麗日お茶子、緑谷出久……って多くねぇか!?!? なんでこの人数載ってあんなはやくカッ飛んでんだァ!?』

『恐らく八百万が個性"創造"で……いや流石にそんなすぐだせるもんじゃないか。ガワと回路だけつくってんな。材質もプラっぽいし。そこに動力として上鳴の"帯電"でプロペラ回しながら足りない浮力を麗日の"無重力"でブースト、緑谷が地面ブン殴って推進力にしてんのか……考えたな』

『解説センキューイレイザーヘッド! 全員ライバルのこの競技で、まさかの合体技! くぅぅぅいいねぇ! オレぁこういう友情モノによえぇんだよォ!』

 

 おいおいおいマジかあいつら! そんなコンボよくこの土壇場で思いつくね!? ていうかデク! 力の制御完全にモノにしてるじゃん!!! いや訓練でできるのは知ってたけど、本番の緊張感の中一発成功させてるのはシンプルにすごい! ひゅー!!

 多分発案はデクだけど、それにノるみんなも……ってそんなこと考えてる場合じゃない! このままだとデクたちに三人とも抜かれる……なんてことは無いか。

 いやー残念だなー、何とかしなくちゃいけないけど、無個性の私じゃアレ止められないな~~、こまったな~~~~。

 

「流石に」

「行かせるわけねぇだろ!」

 

『一気にトップ集団に躍り出たチームフライトだが、その進行方向に巨大な氷壁ぃ! さらに爆豪迫る!! メーデーメーデー!!』

 

「くっ、そう簡単にはいかないか! みんな離脱!」

「着地は任せてくださいまし!」

「オレは残って爆豪威嚇する! 巻き込まれんなよ!」

「上鳴くん! ありがとばい!」

 

『上鳴を残して全員脱出! そしてそこに……雷が落ちたァァ!』

 

「うぇい」

 

 ワァ! グウゼンヒーローガタスケテクレタ! ウレシイナー!

 こっそりこっそりすたこらさっさ。

 

『あっトップ集団の大混戦に目もくれず、架沙音未来こっそりゴールへ進むぅ! みみっちいぜおい!!』

『二人の性格から絶対妨害に行くと予測しての撤退だろうな、合理的だ』

 

「なっ架沙音てめぇ!」

「あははっ! 足止めご苦労サマ!」

 

 ただでさえ私は個性で移動できる轟、かっちゃん、デクに速度で負けてるんだ、少しでもリードを稼がないと戦いの土俵にすら立てないんだから仕方ないじゃん!

 

『一足お先に第三関門到着! ゴールまでの残り400mに敷き詰められるは大量の地雷原! "怒りのアフガン"へヨーコソォォォォ!!』

 

 は、はぁ!? 地雷ぃぃぃ!? 生徒殺す気ですか雄英高校さん!?!?

 

『おっと安心してくれリスナー諸君! この地雷は見た目こそ派手だがダメージ自体はそんなにねぇ仕様になってる!』

『要はめっちゃ吹っ飛ぶけど痛くないってことだな。安心して踏み抜いてくれ』

 

 なにそれどういう技術!? 衝撃だけ発生させてダメージは伴わない爆発とかめっちゃ便利じゃん……あとで作り方教えてもらお。

 幸い地雷はよく見れば判別できる、注意して進めば踏み抜くことは無いだろう。

 ただ唯一の問題は……。

 

『架沙音が立ち止まり作戦を練っているが、そんなゆっくりしてる暇ねぇよなぁ! 後ろから轟、爆豪、そしてさっきの飛行機チームが今度は……トゥクトゥクぅ!? トゥクトゥクに乗って猛追だぁ! ウッハーちってぇ車にみちみち詰まってルパンみてぇ! 間も無く第三関門に到着するぞぉ!』

 

 そんなことしてる時間が無さすぎるってことだよねぇ!

 かっちゃんは飛行能力蟻、轟は氷結で地雷をスキップ可能、ヤオモモ~ずは金属探知機鳴なんなり使って地雷を検知できるだろう。

 つまりこの中で私だけこの障壁にたいする明確な"解"が存在しない。

 

『立ち止まる架沙音を尻目に、今先頭集団が第三関門へ突入しついに先頭が入れ替わったァァァ!! やっぱ無個性じゃキビシーかぁ!?』

「あ”?」

 

 なんだぁ? テメェ……。

 架沙音、キレた!

 

 いや待てキレたってなにも始まらない。どうするどうするどうする頭回せ私にはそれしかできないんだ。

 必要なのは"スピード"、"地雷を見極める時間"、"妨害対策"の3つ……いやスピードと時間は矛盾してない? 高く飛びあがって滞空時間を確保できれば空から確認できいやダメじゃんアイテムが無いからその方法がくっそホップジャンプがあれば……あ? いや、待って……?

 

「いける、か……? いや、行く。行くしかない」

 

 プレセンまじでさっきの関門紹介嘘だったらお気持ちレビュー書いてやるからな!!

 

「電気!!」

「うぇい」

 

 過電流で脳がショートしかけてるのかスタート前より70%程アホっぽくなってる電気に声をかけ、振り向かせる。

 勉強しろって言ったのは私だからね、その有用さくらいは教えてあげなくちゃ!

 

「見てなよ! これが……物理だぁぁぁぁ!」

 

 恐怖を誤魔化すために声を張り上げ、私は全力で足元の地雷を踏み抜いた。

 うぉぉぉ!! プルスウルトラぁぁぁぁ!!!

 

『おぉっとついにう架沙音が動き出したが、一歩目で地雷炸裂ぅぅ! これはドンマイだぁ!』

『いや、基本バカだが頭がいいのは間違いない。そんなアイツがあの程度の罠に考えなしで突っ込むとは思えん』

 

 広がる爆炎を突き抜け、大空へかっ跳ぶ私。

 原理は簡単、地雷に対して適切な角度で足を踏み込み、適切な角度でジャンプすることで吹き飛ぶベクトルを制御しているのだ。まぁ1mmでもズレたら終わりだけどね!

 ホップジャンプの経験がこんな所で活きるとは! 世の中何が起こるかわかんないね。

 てかすごい! ほんとに痛くない!! でもめっちゃ飛んでる!! 大体10mは飛んでるんじゃない!?

 っと感動してる場合じゃない。落下地点を予測して、一番近い地雷は……あれか!

 今の落下速度と私の体重、さっきの爆発の仕方を踏まえて……この、角度っ!!

 

『落下地点でもまた爆発!! このとおりこの地雷原じゃ一度跳ね上がったが最後無限爆破コンボに晒されて……いや待てあいつ自分から踏み込まなかったか!?』

 

 再び爆炎に包まれた視界が一瞬で開け、辺りを確認する。うん、進行方向は今の位置とゴールの直線上だね!

 ……よっし完璧!! できた!!

 さぁ次は……そこぉ!

 この位置……頃合い、この角度……っ!

 

『おいおいまさか!! そんなんアリかよ!? アイツまさか、わざと地雷踏み抜くことで爆発の推進力で移動してやがんのかぁ!? またもや落下と同時に起こった爆発で吹き飛ぶ架沙音未来! 吹き飛ぶ方向がなんとゴールへ一直線んんん!!』

『あいつはまた危険なマネを……一歩どころか0.1歩でも間違えばあらぬ方向へぶっ飛んでくんだぞ』

 

 ドン! ピシャリ!

 

「おっさきー!」

「やりますわね! 架沙音さん!」

 

 3位のトゥクトゥク組を抜いて!

 

「ちぃ! 待てゴラァ!」

「この程度の"爆発"すら利用できないなんて、よっぽど私の方がその個性ピッタリなんじゃないの~!?」

「あ”ぁ”!?」

 

 2位のかっちゃんを抜き去り!

 

「やーい轟! 後ろばっか気にしてて前見えてないんじゃないの!? もっと"アツ"くなりなよ!」

「っ! うるせぇ!」

 

 あ、やばいなんか地雷踏んだ? いや本当の意味で地雷は踏んでるんだけど。

 まぁ今はいいやとにかく再び一位!

 

『ハッハー! この土壇場でしてみせたなぁプルスウルトラ! 再び一位に返り咲く!』

 

 ゴールまではあと100m! かっちゃん達にこれ以上の加速は無い!

 私のデータが正しければ最後にこの地雷を踏めば……よしっ! この勢いでゴール可能!

 はっはっは! 私の勝……ハッ殺気!?

 

「ハウザー……」

 

 こっちに掌を向けるかっちゃんと目が合った。

 

「ばっっっ!? 待ってかっちゃんそれはライン越えでしょうが~!」

「っせえこの程度何とかできないような奴に一位やれっかボケ!」

「ぐぅ!」

 

 それはぐぅの音も出るけど!! 私に空中機動力無いの知ってるでしょうがぁ!

 いや待て待て待てさすがのかっちゃんでもあれでみみっちいし直撃はさせない筈。なら狙うのは爆風による撃ち落とし! かっちゃんは既に汗のコーティングによる遠隔爆発を習得してるし、狙いは恐らく私の頭上!

 

「インパクトォォ!!」

 

 いやわかったところでなんだけどーーーー!!

 あえなく私は頭上で起こった爆発に撃ち落とされ、一位レースから脱落……いや待てよ? 飛んでくる巨大な一滴の汗の粒がやけにゆっくりと見える?

 ……ハッ! これは所謂"ゾーン"ってやつじゃない!?

 よしよしこれなら思考の時間が作れる!

 

 どうにかするには爆発を逸らす? いやそもそも私自身を狙ったものじゃないから干渉はできない。なら私の位置をずらす……空中でどうやって?

 落ち着け考えろ考えろ今の私に使えるのはこのすべすべもちもちな肢体のみ……であれば! ほわんほわんほわん(回想)

 

『HAHAHA! 実はこないだ転んだ拍子にうっかり拳を振るってしまってね(以下略)』

 

 はっ! これだ!!

 この前は呆れと共に思い出させてくれた内容が、今では光輝いて見える。

 いつもありがとうオールマイト。貴女はいつだって私達に負うべき背中を見せてくれるんだね!

 

 うぉぉぉぉ! 唸れ筋肉! 齎せ未来!!

 全身の筋肉を連動させ、足先にすべての力を集中させる。

 遠心力を全力で使い、汗玉の到達予測地点に向け、全力で足を振りぬく!!

 これで空気を打ち出し、汗を飛ばすと同時反作用で反対方向へ移動する!!

 

「プルス……ウルトラぁぁぁぁぁ!!」

 

 すかっ。

 

「ってできるかーーーーーー!! ぎゃーーーーーーーー!!!!」

 

 ただ空中で回し蹴りをしただけの私は、あえなく爆風により大地へ墜ちた。

 

 

 

□■□■□■□

 

 第一種目! 障害物競走!!

 

 一位! 轟焦凍!

 二位! 緑谷出久!

 三位! 八百万百!

 四位! 麗日お茶子!

 五位! 爆豪勝己!

 六位! 架沙音未来!




デクは無個性仲間でオタクトークについていける幼馴染がいた事、かさねちゃん主導のクラス個性解釈大会が何度も開催されたことで、原作より(多少)コミュ力が増し、"一人でやる"より"みんなで力を合わせて"するようになりました。
そのおかげで協力して強力な作戦を組めたけど、代わりに原作の鉄板サーフィンみたいな仲間が危険に晒される方法は取れなくなっちゃったっていう、言い訳でした。

ちなみにかっちゃんが緑谷達に負けてるのは、ハウザー打つために立ち止まる必要があったから。その隙に抜かれました。
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