無個性でヒーロー!? できらぁ!   作:にょわ

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週1投稿!!頑張ってる!!頑張ってるよ自分!!してるよウルトラ!!皆さんのおかげですありがとう!!!!


乾坤一擲

 さて、現状の整理をしよう。

 今私達の元には、計16本のハチマキがある。騎手の明ちゃんは首、肩、頭とあらゆる場所にハチマキをまいているが、まだまだ余裕はありそうだ。

 騎馬も含めて1チーム四本、私達は二本が初期所持本数とすると、かなりの数を取ったことになる。

 まぁさっきとったこの1000万Pがあれば本数なんて何本あっても変わんないんだけどね。

 制限時間は残り10分、八咫烏の飛行性能なら余裕で逃げ切れる計算だけど……そんあのするわけないよねぇ!

 

「まずは……アンタだ!」

 

 さっきはよくも明ちゃんを狙ってくれたねぇ! 物間くん!!

 明ちゃんを吊り下げた状態ではさっき轟に突っ込んだ時ほどのスピードは出せないが、それでも充分なスピードで急降下。

 落下の勢いも載せた踵落としを叩き込む。

 

「……やるじゃん」

「随分と速度が落ちてるようだけど、ガス欠かなぁ!?」

 

 腕のみを一瞬だけ鉄に変えることで、防いだ物間くんは、今度は逆の腕から爪を生やし、明ちゃんを持っている第三の脚めがけて振るう。

 それを再び跳び上がることで躱し、再び見合う。

 

「君じゃついてこれないでしょ? 手加減だよ手加減」

「その余裕、いつまで持つかな!」

 

 物間くんがなにもないところで腕を振るうと、ステージの瓦礫がこちらへ向かってくる。

 

「鴨撃ちのつもり? あててみ……んなぁ!?」

 

 身の前で巨大化した瓦礫に慌てて足を振るう。

 び、びっくりしたぁ……今のは"サイズ"個性? でも瓦礫を飛ばしたのは間違いなく"ポルターガイスト"だし、たしか複数の個性は同時に使えない筈……なるほどポルターガイストはぶん投げただけでその慣性を使ったのか。コピーする個性の切り替えがうまいなぁ。

 

「明ちゃん大丈夫!? 破片当たってない!?」

「えぇ、なんとか」

 

 物間くんは複数の個性を同時に使えないのが弱点らしいけど……あんな切り替え上手かったら正直そんな弱点合ってないようなもんじゃない?

 まずはなんとか認識から外れないと……それなら!

 

「ジェッパ!【明星(あけぼし)】」

「はい!」

 

 明ちゃんを離して第三の脚で腰に装備した球を真上にぶん投げる。投げた球は3m程飛んだ後は炸裂し、辺りに眩い閃光を放った。

 

「くっ、芸が無いね!」

「そっちこそそれにやられるなんて学びが無いねー!」

 

 これは轟くんにつかった【綺羅星(きらぼし)】というフラッシュバンの遠隔起動版……だけじゃない。

 

「【明星(みょうじょう)】! からの【箒星《ほうきぼし》】!」

 

 閃光が瞬いた直後、電磁石の原理で強い磁性を持った鉄球が内部から飛び出し、目標へ向かって打ち出された。

 目標(・・)は勿論、さっきの蹴りでマーキングしておいた物間寧人!

 さらにさらにぃ! さっきこの鉄球は電磁力で(・・・・)磁性を持ってるって言ったじゃん? つまりこの鉄球は。通電している!

 しかも物間くん、閃光で目をやられた瞬間全身鉄化して身を固めたよねぇ! 悪くない判断だけど……随分電気を通しやすそうな体になったなぁ!

 

「あばばばば」

「ははっ! もらっ」

「ばぁ!」

「っっきゃあ!?」

 

 背後に回り、勝利を確信しながら第三の脚でハチマキを掴んだ瞬間、空飛ぶ眼球と目が合った(・・・・・)

 うぇっ!? スプラッタ!? 私怖いの無理なんだけど!? って違う! 個性だ、たしか自切(じせつ)! B組の推薦組の!

 しかし、突然の空を舞う眼球(ジャンプスケア)に完全に体が硬直してしまった。

 全力で羽ばたきとにかく真上へ避難するも、リスクヘッジのために明ちゃんから受け持っていた半分のハチマキのさらに半分程が奪われていることに気が付く。

 くっ、我ながら初見殺しの塊みたいなコレをどうやって見切ったんだ……。

 

「ふっ、我ながら初見殺しの塊みたいなコレをどうやって見切ったんだ、とでも言いたげな顔だねぇ架沙音未来」

「バレすぎじゃない!?」

 

 えっ私そんな顔に出てる?? このまえもかっちゃんにエスパーされたし。

 

「安心しなよ、君に落ち度はないさ。ただ常闇踏影に対して"正反対"なんて気前よく叫んでいたから光に関する能力を持ってるだろうと予測し対策した0ボク達の頭脳が明晰過ぎただけだからさぁ!」

「ぐぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ!!」

 

 ぐぬぬぬぬ! 全然落ち度ぢゃん!!

 

「あーもー怒った!! 明ちゃん合体! 力で捩じ伏せる!!」

「っ! アレやるんですね!! いいですいいですすぐやりましょう待ってました!!」

 

 おめめをきらんきらんにしながらゴーーっとジェッパで浮きながらこっちにやってくる明ちゃんを素早く拾い、次なる変身を行う。

 

「ドレスチェンジ! 武装戦姫! 転装!」

 

 次なるフォームは、たったひとつのサポートアイテムの効果を極限まで高めるためだけに設計した特別フォーム。

 一発撃ったら即変身解除の浪漫の極限、思い知れ!

 

  獅子を模した兜に四肢を包む何かしらの噴出孔のついたアーマーと、SF戦士のような出で立ちに腰に穿いたロングスカートが風にたなびくクールビューティーな私が爆誕した。

 

「コード・ヘラクレス! 『乾坤一擲(けんこんいってき)』!」

 

 転装完了と同時に明ちゃんに出してもらった武器の柄をかつんと床につける。気分は薙刀を持った大将軍だ。

 傍らのソレ(・・)は私の背丈を優に超え、極限の無骨さによる圧倒的な機能美が周囲をその威容だけで威圧する。

 ちなみに明ちゃんは私に肩車されて私に搭乗している。美少女二人によるトーテムポールはそのかわいさだけで周囲を骨抜きにする。

 

「何が来るのかわからんが、地に足つけてくれてありがとう」

「にゅおっ」

 

 まずい! 床を本当に骨抜き(・・・)にされた! 厄介だなぁ骨抜くんの軟化の個性!

 ……ま、この装備の前では無力なんだけどね!

 

「【猪】!」

 

 左手の装備から水色の光線を奔らせると、光に触れた地面が凍り付いていく。

 ギミックその1は毎度同じみ冷凍光線銃。お気に入りポイントはバッテリーが切れた時に積んでいる予備バッテリーと入れ替えるんだけど、その時に切れたバッテリーがプシューって音立てながら排出されて、新しいのがガシャンって自動でセットされるところ!

 

「【牝鹿】!」

 

 両足の後ろについたブースターから圧縮した空気を吐き出し、加速する。参考にしたのは我らが委員長飯田天哉くん。

 ぬかるんだ地面を抜け出し、描いた氷の滑走路へオンザアイス。

 

「させないよ!」

「違づかせると思うかい!」

「ははっ! そっちこそ甘い甘い! 金のリンゴくらい甘いよ!!」

 

 茨の蔓、分割された手足が多方面から襲い掛かってくるが、遠距離からの牽制を選んだ時点でそっちの敗北は決定してる!

 

「【獅子】! 【雄牛】!」

 

 獅子を模した兜から漆黒の鬣が伸び、片足のブースターを意図的にオーバーヒートさせ莫大な推進力を確保する。

 鬣を盾に攻撃に正面から突っ込むと、障壁など無かったかのように真っすぐ正面からぶち破った。

 

「くっ! でも早すぎて狙いがブレてるよ架沙音未来!」

「ばーか!」

「シンプル悪口!?」

「【ケルベロス】!」

 

 右手の装備から特性のワイヤーが発射され、軸を固定して物間達の周りを旋回することでワイヤーを巻き付ける、

 さぁこれで逃げられないねぇ! 残った片足のブースターをオーバーヒートとさせ、空へ駆ける。

 

「明ちゃん退避!」

「死なないでくださいね! 自分も相手も!」

「おーらい!」

 

 肩から明ちゃんがテイクオフ、上空へ飛び立っていくのを確認し、位置を調整する。

 物間達の直情を奪い、逆方向へブースターの残りかすをフカして一瞬静止し、落下を開始した。

 さぁ準備は整った! 後はこれ(・・)をブッ放すだけ!!

 

「行くよ物間!」

「ははっ! 受けて立つ!」

 

 得物を振り上げる私に対し、意気揚々と全身を鉄に固める物間。

 残念、ソレは外れだ。

 

「受けたら死ぬよ、死ぬ気でウルトラしてみなよ!」

「なっ、くそっ! ちぃっ!」

 

 私の善意の忠告に迷わず従い、発動する個性を切り変える。"ボンド"で足元を固め、"サイズ"で即席の壁を築き、"茨"を地面に突き刺して安定させる。

 判断も行動も速い! お前は水柱になれ!

 

絶対鏖殲滅丸(ぜったいみなごろしせんめつまる)、機構開放!」

「名前ヤバすぎるだろ!!!!!」

 

 ただの黒い棒でしかなかった得物が、パーツの隙間から黄金の光を放つ。

 このフォーム(ヘラクロス)のすべての技はこの一撃のためだけにある。

 初志貫徹、一意専心……故にこそ、ここで謳う技名は、これしかありえまい!

 

「【乾坤…………」

 

 地面まであとわずか。

 絶対鏖殲滅丸(ぜったいみなごろしせんめつまる)を振り下ろし始め、トリガーに指をかける。

 全身のアーマーが今にも自壊しそうなものすごい音を立てながら、外付けの筋繊維としてスイングの威力を極限までアシストする。

 さぁ絶対鏖殲滅丸(ぜったいみなごろしせんめつまる)、お披露目の時間だ。

 私はここにいると、世界に証明してみせろ。全人類の度肝を、鏖にしてやれ!

 

「一擲】ぃぃぃぃぃぃ!!!」

 

 トリガーを、引く。

 

 弾き出されたハンマーが物間くん達のすぐそばの地面を打ち……その瞬間、世界から音が消えた。

 

 音も、光も、衝撃も、すべてを置き去りにし、"破壊"という結果だけが残る。

 

 少し遅れてジェット機のエンジンが目の前で点火したかのような爆風がこの身を打ち、アーマー込みでも軽い体をいともたやすく吹き飛ばした。

 

「うひゃぁ! ぐえっ!」

 

 最初のは私が爆風に吹き飛ばされたときの悲鳴。次のは明ちゃんが発射したワイヤーにより捕獲→巻き取られ、突然運動のベクトルが変わったことで出た悲鳴……というかうめき声。

 ちょっとかわいくない声が出てしまったけど、まぁ遅れて響いてきた隕石が落ちたみたいな爆音の中じゃだれも聞こえてないでしょう。

 

「大丈夫ですか!? すごい声出てましたけど!」

「……いっそ殺して」

 

 訂正、バッチリ聞かれてたみたい。死にたい。

 ていうかよく考えたらこの爆風の中高速で吹っ飛ぶ私めがけてワイヤー射出してバッチリ命中させてんのやばくない?? なにこの娘ナチュラルボーンハイスペック??

 

 あまりも強烈な爆風が砂塵ごと吹き飛ばしてしまったのか、思ったよりはやく土煙の晴れたスタジアムを見下ろすと……。

 

「さてさて、会場のほど、は……Wow!」

「計算通り……いえ、計算以上ですね未来さん!!!」

 

 "穴"が、そこにあった。

 振り下ろした箇所の半径3m程の地面が深く深く抉り取られ、穴という程ではないがクレーターがその周りへさらに広範囲に広がっている。

 地盤にダメージが入ったのか影響範囲外の地面も所々に段差ができており、平坦な筈のトラックはそれだけで激しめのハードル走に早変わりだ。

 ふっふっふ、流石は全盛期オールマイトの170%分のパワー。圧巻だね。

 え、この前は70%って言ってなかったっけって? ふ

 ちっちっち、それはあくまで絶対鏖殲滅丸(武器)単体のパワー。あの武装戦姫・『乾坤一擲』は単品でそれだけの破壊力のある武器をより強力にするためだけのフォームなんだから。

 『天地無双』、『八咫烏』等のフォームを安定駆動させらるだけのマシンスペックを持った装備をオーバーヒートさせながらたった一撃の補助を行っているんだ、それくらいのパワーアップは当然だろう。

 流石は私達、天才がすぎる。勿論今回もオールマイト印の保証書付きだ。ふふん、どーだすごいでしょ。

 

 あ、物間くん達穴の近くで完全に伸びてる。ふふっ、白目向いててウケるね。

 ……え、気絶してるだけだよね? 死んでないよね……?

 

 ていうかやけに静かだな……と周りを見回してみると、突然の大爆発と会場の異変にぽかんとしているのが大多数で、あのかっちゃんですらちょっと「マジかよ」みたいな顔していた。

 

「マジかよ……」

 

 ほら。

 

『……おいおいおいおいおい!! 一体何が起こったんだァ!? なんということでしょう、あんなに綺麗だった陸上競技場が架沙音匠の手により一瞬で世紀末世界に早変わりィィィィィ!』

『流石にフィールドがこれじゃ競技続行できないな……終了まで後3分程あるが、ここで第二種目終了にするか』

『オット、イレイザーヘッドによる合理的判断が炸裂ゥゥ! 架沙音未来、文字通り試合を終わらせて(・・・・・)しまったァァ! これ(スタジアムの損壊)保険降りんのかぁ!?』

 

 どうなんだろう、故意の損壊ではあるけど……本来の用途(体育祭の競技)の結果として生まれたモノではあるし……まぁ学生のカワイイ悪戯ってことで……ごめんちゃい♡

 

『おい架沙音』

 

 ひっ、悪寒……!

 

「えっとぉ……てへ☆」

『お前、この後ここ(放送室)来い』

「そんな殺生な!」

 

 死刑宣告を……下されてしまった……。

 

『オーケーリスナー!』

 

 なにもOKじゃないが!?

 

『そんじゃあ途中中断となっちまったが、第二種目終了時点……あー、アレ(絶対鏖殲滅丸)がぶち任された時点での順位を発表するゼ!』

 

 あっタイミングそこなんだ。

 ……まぁたしかに急に認識外からあの爆風喰らったら頭に巻いてるハチマキとか全部ふっとんじゃうしね。

 

『まず第四位! 王冠を奪われた後も切り替えてPの保持と奪取を続けた……チーム轟ぃぃ!! 合計705Pォ! 轟、常闇、飯田、芦戸が決勝進出の切符を勝ち取ったァァァ!!』

 

「ちっ……すまねぇ、俺が油断したせいで」

「気にするな、あんな人間ビックリ箱相手に油断もくそもないさ」

「その後の指揮も見事だったぞ轟くん!」

「わかる! つーかむしろキレ増してなかった!?」

 

 ま、別に1000万とられても他のチームメイトのハチマキがまだあるし、あそこは第一種目トップ10入りも多くて基礎P高いから妥当か。

 ちらっと様子を見ると、轟めっちゃ悔しそうにしてた。ふふん。

 えっ常闇くん私のことそんな風に(人間ドッキリ箱)思ってたの!?

 

『そして第三位! 安定&堅実! 圧倒的な総合力とチームワークで順調にハチマキを奪い、なんと一度もPが減らなかった唯一のチーム! チーム緑谷ぁぁ!! 合計960Pォ! ナイスなチームは緑谷、八百万、上鳴、麗日ぁ!』

 

「僕が……三位……!」

「わーー! やったよみんなぁ!」

「すみません上鳴さん、最後にあのような……」

「うぇーい」

 

 えっノーミスマジ!? すごいじゃんデク! あんなに事故を顧みなかったデクがチームメイトの為に……よよよ~~~~(涙)。

 つーか電気またアホになってるし。まぁなんかあそこのチーム全員の髪がスーパーサイヤ人みたいになってるってことは、多分電気がなんらかしてみんなを守ったんだろう。やるじゃん。

 

『第二位! クレバーかつアグレッシブ! ひたすらハチマキを奪って奪って奪って奪って奪いつくした! お前もう海賊かなんかだろ! チーム爆轟ぅぅ!! 合計1005Pォ! 1位がアレなこと考えたら実質王者なメンバーは、爆轟! 切島! 瀬呂! 耳郎だぁぁぁ!』

 

「クソがぁ! 最後にスパートかけて架沙音ブッ殺す筈だったってのに!」

「まぁまぁ」

「まぁまぁ」

「まぁまぁ」

「テメェらンだその顔!! オカンか!!」

 

 段々みんなかっちゃんの扱いが分かってきたのか、みんな優しい顔でキレるかっ()ちゃんを見守っている。それに余計キレるかっちゃん。それでさらに微笑ましくなる保護者ーズ……うーんカオス!

 ……いやーそれにしても危なかった。ヘラクレス使った後はしばらく武装戦姫がオーバーヒートと自己修復で使えなくなるから、さすがにかっちゃん襲来から1000万P守れり抜けた気がしないな。うん、けーさんどーりということにしよう。決して楽しくなっちゃって後のことなんも考えてなかったとかではない。ないったらない。

 

『そして、第二種目で栄えある第一位に輝いたのはァァァ………………びっくりドッキリメカ、発進! 架沙音・発目ペアぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 口上なんとかならなかったのかなぁ!!! まぁそれなら!!

 明ちゃんと顔を見合わせてこくんと頷き合い、両手を全力で上に上げる。

 

「「やっっっったーーーーー!!!」」

 

 はっはー! どーだみたか個性的なライバル諸君!!! 私が一位だーーーーーーー!!!

 

『序盤中盤終盤とどこを見ても常に誰かしらと相対し続け、轟を下し王冠……いやティアラを手にした後も一度たりとも逃げることのなかった圧倒的闘争心! あの武装戦姫ってやつ、超Coolだったなぁ! その総獲得Pは……1000万725Pぉぉぉぉぉ!』

 

 ひゃっほーい! いえーーーい! ぴーすぴーーーーす!!

 カメラどこ? あった! ほら明ちゃんも! いえーーーい!!!

 

 いやーー大満足だったなー! 新装備のお披露目もできたし、轟にもリベンジできたし、物間くんもぶっ飛ばせたし、絶対鏖殲滅丸もぶっ放てたし、一位にもなれたし、私は可愛いし、明ちゃんはもっとドッ可愛い。

 さーてこれでこころおきなくお昼ご飯を……って違うそうじゃん一位(私達)が二人組だから。

 

『名前が呼ばれなかった哀れなリスナー諸君! 朗報だァ! 決勝進出は16人、そして四位までに入賞したのは14人……つまりあと2人! 第五位のチームから決勝戦にコマを進まエことができる!!』

 

 だよね! 誰が上がってくるんだろ、結構ハチマキもってかれたし、物間くんかな。

 

『滑り込みで第五位に輝いたのはぁ……えっマジで!? な、なんと普通科の騎手が率いる、チーム心操ォォォ! なんと庄田、尾白と三人騎馬で403Pを獲得ゥゥゥ! すげぇな全然見えなかったぜ!』

 

 へぇ、すごいな……普通科かぁ。てかプレセン、ギリというか普通にディスだろそれはもう。

 

 あとなんか、勝ち残ったにしては心操くんとあら以外の2人の様子が……。

 

『と、いうわけで残った三人には、今から2つのみの決勝進出権をかけて血みどろの延長戦を……』

「「すみません」」

 

 プレセン……とすぐ変なこと言うプレセンに呆れていると、庄田くんと尾白くんがすっと手を上げた。

 う~ん? どうしたんだろう。

 

「実は俺たち、騎馬戦中の記憶が一切無いんです、あの爆発で意識が戻って」

「どうやって勝ったかもわからない人間がこの少ない席を預かって決勝戦に行くのは皆さんに失礼だと思ったんです。二人で話し合った結果、今回は辞退しようかと」

 

 2人の発言に、会場中がざわめく。

 いやマジかあの二人……棚から落ちてきた牡丹餅を食べずに棚に戻すなんて、普通出来ないぞ……たぶん私は無理。

 うわ、かっこいいなぁ……。

 

『マジか! ロックだなお前ら! でもホントにいいのかぁ? 一年に一回の晴れ舞台、その集大成に立てるんだぞ!?』

「「はい」」

『ヒュー! オーケーリスナー諸君! この二人の勇気ある選択に拍手ぅぅぅぅぅ!!!』

 

 プレセンが音頭を取った瞬間、会場中から物凄い量の拍手が巻き起こった。

 どれだけすごかったかっていうと、ただでさえボロボロな会場が余計日々が広がったんじゃないかってくらい。

 

 観客席の特にに生徒(負け犬)連中はわけわかんねぇ、とかヒーローらしい行動かっけー(笑)みたいな冷笑してるやつらが多いけど、ここまで勝ち残った人たちからは本当のヒーローを見た時のような尊敬の眼差しが送られている。うーん二極化! 一回戦で負けるのもさもありなんって感じだ。

 

『前代未聞! 決勝進出のチケットが降ってきた第六位! あの二人に感謝しろよぉ!? 第六位は……チーーーーーム、物間ぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 おー! やっぱあそこかー! いや物間くんあんな全方向自動煽り装置みたいな感じなのに、ちゃんと強かったからなぁ。騎馬のみんなも優秀だったし、誰が上がってきても違和感が無い。

 いつのまにか気絶から目覚めていた物間くん達だが、まだ状況が飲み込めていないのか目が点になってる。

 

『そんじゃあ今度こど、より少ない一つの席を巡って仲間同士のデスゲームを……』

「「「すみません」」」

『おいおい今度はなんだまた辞退かぁ!?』

『そんじゃあ今度こど、より少ない一つの席を巡って仲間同士のデスゲームを……』

「「「すみません」」」

『おいおい今度はなんだまた辞退かぁ!?』

 

 なになに、主張できない日本人なの? いやめっちゃ主張はしてるか。大逆だった。

 

「うちらB組は、悔しいけどこいつ(物間)の作戦のおかげでここまで勝ち上がってこれました」

「どうせ一人しか上がれないなら、恥ずかしいけどこれ(物間)に私達B組のぜんぶを託したい」

「こんなだけど、物間は誰よりもA組に勝ちたいってほんきで努力してきたやつだから」

「君達一言多いよねぇ!?」

 

 めちゃくちゃ辛辣な三人だけど……私にはわかる、多分物間くんが気負いすぎないようにわざとちょとふざけて言ってるんだろうな。

 愛されてるなぁ物間くん、羨ましい。

 

「あぁ……わかったよみんな、ボクに任せてくれ。A組全員二度とB組に足向けて授業受けれないようにしてやる」

「いやそれは無理だろ」

 

 轟ストップ、今は一旦突っ込みはナシで。いい話なんだから。

 ちなみにB組の教室はA組の黒板の向こう側だ。足向けないのは絶対無理である。

 

『話はまとまったようだなァ! そんじゃあヒーロー科1年B組の想いを背負い、物間寧人! 決勝トーナメント進出ぅぅぅぅぅ!!』

 

 いやーアッツイね! 友情! 努力! 勝利! って感じ! めっちゃジャンプじゃん!

 

『そんじゃあ今から昼休憩だ! ちょーーっとステージの修復に時間がかかるから予定より30分程伸ばしてお送りするゼ! 反省しろよ元凶リスナー!』

 

 お昼伸びるんだ、ラッキー! ……やばい、なんでだろう、絶対見えるわけないし、太陽光の反射で中の様子は見えないのに、相澤先生にめっっっっっちゃ見られてる気がする……。

 

『その後は予選の勝者歯医者関係なく全員で楽しむレクリエーションを挟み、ついに決勝トーナメントだぁ! 出場する生徒は昼飯く過ぎてハラ壊さねぇようにな!』

『じゃ、存分に羽を休めるように……午前はお疲れ様でした』

 

 やっふーー! おひるだーー!! 明ちゃんお弁当一緒に食べ

 

『あとさっきも言ったが、架沙音未来、今すぐこっちに来るように』

 

 ……………………。

 

「未来さん……」

「明ちゃん……」

「骨は拾ってあげますね」

「いや殺さないでぇ!?」

 

 雄英高校体育祭、午前の部、完ッッ!!!

 架沙音未来、現在一位!!!!

 

 

 

 

 

□■□■□■□

 

 

 

 

「お前、アレ人に向けるなって言ったよな」

「……はい」

「お前はヒーロー志望か? それとも気持ちよく力を振るいたいだけの(ヴィラン)志望か?」

「……すいません」

「聞こえないな、どっちなのかって聞いてるんだ。この会場はうちの所有物ではなく国から借りてるものだってのは知ってたか? 知ってるよな。破壊は控えろってきちんと説明したもんな」

「……はい」

「次やったら本当に除籍にするからな。いいな」

「……ごめんなさい」

「いいな?」

「はい……」

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