無個性でヒーロー!? できらぁ!   作:にょわ

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明ちゃん可愛いですよね、明ちゃん。


サポート科入試〜その日、運命に出会う〜(壮大なBGM)

 後日、滑り止めのために受けたサポート科の試験会場へ私は向かっていた。

 サポート科の受験はプレゼン形式で、自分の作ったアイテムを試験官の方々に発表しその良し悪しを図るというものだ。

 ささっと会場に到着し、自分の席に座っていると自分の隣の席の人がやってくる。

 どんな人なのかなーとなんとなくその人の方を向くと……そこには、兵器が2つ、実っていた。

 なんというデカさ……こんなのが相手なんて聞いてない!

 こんなん無理だよ勝てないよーー! 私もそこそこ自信あったのに!!

 ただし! アイテム作成に関しては絶対にまけるわけにはいかない!

 こちとらヒーロー科の良個性相手に戦おうってんだ。こんなとこで負けるわけにはいかない。

 

「……さっきからジロジロとこちらを見てますが、なにかご用ですか?」

「あ、ゴメンね。なんとなく見てただけだから気にしなくていいよー」

 

 そう言ってひらひらと手を振っておく。

 ……間違ってもその大きなお胸を見ていましたなんて言えやしない。

 

「そうですか…………ところで! あなたはどんなサポートアイテムを作ってきたのですか⁉︎ 後学のためにぜひ聞かせて欲しいです‼︎」

「ちょちょちょ、近いってば!」

 

 グイグイっと顔を寄せてくる彼女。

 腕に……腕に凶器が当たってるってば! てかなんで君タンクトップいっちょなのさ⁉︎ まだ中学生でしょ⁉︎ 制服着なよ!

 

「あ、自己紹介がまだでしたね! 私は発目明! よろしくお願いします!」

「わ、私は架沙音未来、こちらこそよろしく」

 

 ぐぬぬ、私が会話でマウントを取られるなんて……。

 

「話を戻しますが! どんなものを作ってきたんですか⁉︎」

「ふっふっふ、聞いて驚け……これは私の最高傑作! その名も……」

「その名も……?」

「『コンプレス・システム』だ!」

「おぉー」

 

 明ちゃんがパチパチと拍手をする。

 このアイテムは少し前までよく公園でマジックショーをしてくれていたお兄さんの個性「圧縮」を丸パク……参考に作られている。

 効果は試験中に使ってたあのカプセルだよ。

 そういえばあのお兄さん、元気にしてるかな……数年前にいなくなっちゃったんだよね。

 っと、そんなことより今は試験だよね。

 

「まぁ細かいことはプレゼンをお楽しみに……ってね」

「えー、なんですか、教えてくれてもいいじゃないですかー」

「あ、ほら、始まるみたいだし静かにね」

「逃げられた……まぁいいですけど」

 

□■□■□■□

 

 

 ロードローラー先生の事前説明が終わり、早速プレゼンの時間となった。

 このプレゼン、てきっきりそれぞれが自分のブースを作ってやるのかと思ってたら、なんとみんなの前で1人ずつ順番にやるのだそうだ。

 なんと素晴らしいシステム。これなら全員のアイデアを盗むことができる。

 なんか周りで「数百人分聞くのダルくね?」とか言ってるやつらがいるけどお前らはホントにサポート科志望なのかと小一時間ほど問い詰めたい。

 さっきも言ったけどこんなの自分の発明を進化させる絶好のチャンスじゃんか。まぁそいつらは落ちるんじゃないかな、うん。

 

□■□■□■□

 

 

「えー、それでは次の方、お願いします」

「はーい」

 

 さ! 私の番だ! みとけよ明ちゃん、ど肝抜かせてあげるからね。

 明ちゃんちばちこーんとウィンクをしてからとあるスイッチを入れる。

 瞬間、照明が一斉に落ちた。受験生達のどよめきが伝わってくる。なんなら審査員も。

 ……別にハッキングとかしたわけじゃないよ? さっきロードローラー先生に照明の効果を使いたいっていったら照明を管理してるボード的なのを貸してくれたんだよ。まぁこう使うとは思ってなかったみたいだけど。

 ん? なんでこんなことをしたのかだって? だって……今の私は「エンターテイナー」だから!

 暗くなってるうちに制服を脱ぎ捨て、下に着ていた燕尾服が露わになる。

 え? 制服の下に燕尾服は無理があるって? いいんだよそんなことは! ここはジャンプの世界なんどよ? それくらいできるに決まってるじゃん。

 気をとりなおして壇上に上がり、パチンと指を鳴らした後に言い放つ。

 

「イッツショウタイム!!」

 

 バチンとステージの照明を一気につけ、冷凍銃を縦に走らせ氷の道を客席の上に造る。

 その道を歩きながら、前口上を述べる。

 

「本日私が使用するアイテムは多岐に渡りますが、そのメインとなり私1番の自信作、その名を『コンプレス・システム』と申します。その効果は単純明解、物を小さくしてこちらのカプセルの中にいれる、というものです」

 

 身振り手振りを加えながら演劇チックに説明する。

 ちなみに氷は透明なので、氷の下からでもバッチリ私の勇姿を確認できる。

 

「まぁ口で言うより見てもらったほうが早いでしょう。では参ります!」

 

 まずは見栄え重視、大きいものを出していこう。

 

「これがあればこの通り……それ!」

 

 大岩の入ったカプセルを取り出し、放り投げる。

 カプセルが開いてそれが出現すると歓声の後に悲鳴が上がる。

 なので岩を冷凍銃でサクッと凍らせてから火炎放射器的なやつで熱し、温度差を使って割った。

 破片は全部客席に着く前に処理する。この時に明ちゃんに向かっていく破片を1つだけ残し放置する。

 それが落ちる直前にワイヤーを使って移動して岩を弾く。

 明ちゃんの目の前で私が浮かんでいる形だ。

 

「これはこれはお嬢さん、失礼しましたね」

 

 パチリとウィンクをし、お辞儀をする。

 イケメンムーブもできるとかさすが私。

 

「ではまた」

 

 またワイヤーを使い氷柱の上に戻る。

 

「また、このカプセルに入れられるのは物だけではありません。なんと、生物を入れることもできるのです!

 

 まぁあの人の個性と違って完全無力化ではないし、中から強い力をかけられたら出てきちゃうんだけどね。

 しかもこのカプセル、1つ作るのに大体5分は対象が動かないようにしなきゃいけないから戦闘中に無力化の手段として使うことはできないっていう。

 

「ほら、出ておいで!」

 

 だけどそんなことを知らない審査員のみなさんからはもっと凄いものに見えるだろう。

 カプセルを10個ほど撒き散らし、その中からハトが飛び出してくる。

 やっぱりエンターテイメントと言ったらハトだよね、うん。

 

「さらに! 非物質を圧縮することも可能です! このよう……に!」

 

 セリフを言い終わると同時に1つのカプセルを投げる。

 その中からはまばゆい閃光が溢れ出し、観客に目をつむらせた。

 観客たちが目を開けると、そこには最初と何1つ変わりないステージと、制服に戻った私が立っていた。

 

「これで、架沙音未来のプレゼンを終わります。ありがとうございました」

 

 べこり、と礼をすると……溢れんばかりの拍手と歓声が湧き上がった。

 

□■□■□■□

 

 験が終わって帰り道、ちょうど家についたくらいで明ちゃんからメッセージが来た。

 

『明日ってなにか予定入ってますか?』

『いや、暇だよーん(´・ω・`)』

『でしたらいっしょに互いの発明品について語り明かしましょう! 1日中!!』

『お、いいね(*⁰▿⁰*) 私もちょうどこっち側での親友(ライバル)が欲しかったんだー!(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾』

『お、なにやら不穏なルビが……いいですね! 私も似たようなこと考えてました!』

『それじゃこれからよろしくね! 明ちゃん\\٩(๑`^´๑)۶//』

『えぇ!』

 

 てな感じで出会って次の日におうちデートすることになった。

 入けど、同じ雄英に気の合う仲間ができたのは嬉しいな!

 え? 落ちるとは思ってないのかって?

 前も言ったじゃん、受かるって思ってないと受かるもんも落ちちゃうってだけだよ。

 そんなこんなで明日が楽しみだなーとルンルン気分でいると、なぜかデクからラウィンが来た。

 

『ねぇ架沙音』

『ん、なに?』

『明日って暇だったりするかな?』

『あー、ごめん、もう予定入ってる』

『あ、わかった。ありがと』

『んー』

 

 あの女子と会話をするだけで舞い上がっちゃうようなデクが仮にも女子である私をデートに誘うなんてどーしたんだろ……

 あのときのデクが幻じゃないんだったら、予定がない日だったら行ってやらんこともないな、うん。

 ……いやなに目線だよ、上から目線すぎるって私。

 あ、そーいや顔文字使わなかったな。おうちデートに浮かれすぎか私。

 

《Side:緑谷》

 

『んー』

 

 その返事を見た後、机にスマホを置いてベットにダイブする。

 ……やっぱりなんか怒らせるようなことしたかな……?

 試験の前日に春休みは予定なんも入ってないから暇って言ってたのに断られたし……そしてなによりあの架沙音が顔文字を使わないなんて、なにかあったに違いない。

 ……あの時の架沙音の冷え切った目線……そこには軽蔑や失望といった感情が籠っていることがハッキリと伝わってきた。

 やっぱり、僕なんかが雄英を受けたのが間違いだったんだ。

 せっかく、せっかくオールマイトがヒーローになれるって言ってくれたのに。

 ごめんなさい、オールマイト。あなたの期待に応えれなくて……。

 ごめんなさい、架沙音。君の期待を裏切ってしまって……。

 それから僕は、雄英から合否の確認通知が届くまで、一歩も部屋から出ることはなかった。

 

《Side:架沙音》

 

 もしもし、私メリーさん。今明ちゃんのうちの前にいるの。

 てかめっちゃ豪邸。たぶん私のうちの2倍はある。でけぇ。

 それに横に体育館あるんだけど。やば。

 今からこんな豪邸におじゃまできるなんて楽しみだね!

 早速インターホンを鳴らそー!

 ぴんぽーん、ぴんぽーん、ぴんぽぴんぽぴんぽぴんぴんびぴぴぴぴぴ……。

 しばらくインターホンをラッシュしていると、ドアをちょっとだけ開けていつものタンクトップいっちょの明ちゃんがねぼけまなこのまま半身を覗かせた。

 

「むぅ、ほぁ〜〜……だれですかぁ? こんな時間に……」

 

 一瞬固まる明ちゃん(かわいい)、その前でニッコニコと笑顔な私(かわいい{はず})。

 

「おー! よく来てくれましたね未来さん! さーさー! あがってください!」

 

 どうやらスイッチが入ったみたい。さっきまで半目だったのにもうパッチリとお目目が開眼してらっしゃる。

 

「おじゃましまーす」

 さぁ! レッツおうちデート!

 

 ……なお、現在時刻朝6時である。

 そりゃ眠いよね、うん。

 

□■□■□■□

 

 女子が2人集まれば、当然始まるのは恋バナ……なんてことはなく、ひたすらそれぞれの発想の糸口なんかをひたすら話し合ってた。

 

「なんと! 未来さんは個性をアイテムで再現しようとしているのですか!」

「まーね、ほら、私って『無個性』じゃん? 今の個性社会で無個性っていうのはそれだけで人生お終いみたいに思われちゃってるんだよ。だから私は、無個性でもヒーローになれるっていうのを証明して、他の無個性の人が少しでも自分の未来のために努力するようにしたいんだ」

「なるほど、それで誰でも使えるアイテムの開発を……」

 

 まぁこんなご大層なこと言ってるけど、実際は私がヒーローになるためになにか武器がないと流石に他の強個性に勝ち目がないってだけなんだけどね。

 

「あ、そういえばさ! 明ちゃんは他の人の動きとかを助けるまさに『サポート』アイテムを専門にしたいっていってたじゃん」

「えぇ、そうですね」

「それって、理由とかあるの?」

「いえ、私には未来さんみたいな素敵な理由はありませんよ。ただそっちの方がたくさんの人の役に立つ、それだけです」

 

 そう言う明ちゃんの目はとても澄んでいて、自分のしていることに誇りを持っているのがわかった。

 うん、やっぱりこの子と仲良くなれて良かった。

 その後いっぱいベイビーの見せ合いっ子した。

 

 ……いや薄々分かってたけどこの子マジで天才すぎる。発想と実現力が桁違いだもん。

 まぁ未来ちゃんも天才だけどね!!

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