無個性でヒーロー!? できらぁ! 作:にょわ
「わーたーしーがー……普通にドアから来た!!!」
「「「オールマイト!?!?」」」
あの悪夢の時間からはや二時間、三時間目の開始チャイムがなった瞬間日本一のヒーローが普通にドアから来た。
「すげぇ……ホントにオールマイトが先生なんだ……」
「
ナンバーワンヒーローの登場にクラスメイト達は興奮が抑えられない様子。
もちろん私もどっきんどっきんのわっくわっく。たぶん恋する乙女くらいまっかなほっぺたになってると思う。
「早速だが今日は、戦闘訓練をしてもらおうと思う」
『戦闘訓練』!
それは全男子の憧れであり夢。この言葉でワクワクしない男子高校生はいない(私調べ)。まぁ私女の子だけど。
ついにこの時間が来たのか! とルンルンでいると、さらにびっくりのニュースが届けられた。
「そしてそれに伴い、君たちにはこれをプレゼントしようと思う」
オールマイトが手元のリモコンを操作すると、教室の壁が迫り出してきて、ガシャンガシャンと音を立てながらロッカーに変形した。
え、何あれかっこいい……私の中の中学二年生が
「この中にはなんと、入学した時に出してもらった【個性届】と【要望】に沿って作った、君たち専用のコスチュームが入っている!!」
「「「!?」」」
え、嘘でしょ!? まだ入学式から1週間だよ……? 仕事早すぎるでしょ……プロってやっぱすごいな。
「格好から入るってのも大事な事だぜ少年少女!」
教室の熱気がどんどんと高まっていくのを感じる。
そりゃそうだ、こんなのテンション上がらない訳が無い。
「それでは皆、これに着替えたらグラウンド・βに集合してくれ!」
「「「はい!」」」
「うむ! いい返事だね! ではまた会おう!」
そう言い残してオールマイトは颯爽と去っていった。……窓から。
あ、ちょうど下にいた相澤先生に見つかってる。あ、なんか怒られてる。
「「「…………」」」
ちょっとどうすんのさオールマイトクラスの空気ちょっと微妙になっちゃったんだけど。
□■□■□■□
「「「うぉおおおお!!」」」
着替えが終わりグラウンドに集合すると、早速お互いのコスチュームの品評会が始まった。
「えへへ〜、要望ちゃんと書いてなかったけんパツパツスーツになっちゃったばい」
うっわなにあれかわい。やっぱお茶子は天使すぎ。
「ヒーロー科最高」
「わかる」
男子達よ、今ばかりは私も大賛成だ。
まじヒーロー科最高。
「え、未来ちゃんのコス超かわいい!」
手袋とブーツに話しかけられたなに。
って葉隠ちゃんかビックリした。
「葉隠ちゃんわかってるね!」
「うんうん! やっぱ白衣は正義だよねー!」
私のコスチュームは合わせる個性がなくて正直なんでもよかったんだよね。
だから折角だしかわいさを求めてみました!
一言で表すとしたらセーラー服に白衣。こんなのかわくないわけがない。
あ、セーラー服は白じゃなくて黒に赤のリボンのやつね!ここめっちゃ大事だから! テスト出るよ!
しかし葉隠ちゃんの個性ってわかっててもブーツと手袋だけが浮いてるのなかなか面白いね。
………………ん?
「え、まってまってまって葉隠ちゃんの個性って体が透明になるんだよね」
「そーだよー、でも服とかは透明に出来ないんだよね〜残念ながら」
「あ、ふーん、そーなんだ……」
てことはつまり今全…………いや、葉隠ちゃんの尊厳のためにも言わないでおこう。
□■□■□■□
「よし! みんな集まったな! それじゃあ始めようか有精卵達!」
私たちが集まりきった頃を見計らってオールマイト先生がやって来た。
「先生、ここって入試の時の会場ですよね? また市街地演習をするんですか?」
あ、あのロボメガネくんだったんだ。イカすじゃん。
「いーや、今回君たちが行うのはさらにその1歩先、屋内での対人戦闘訓練だ!」
とりあえず先生がルール説明してくれるみたいだから一旦聞こっかな。
「外で暴れる
まぁたしかに屋外でヒャッハーしてる奴はもっと強いヒーローがヒャッハーすればいいだけの話だしね。でも中だと何が違うんだろ。
「人質、爆弾……真の凶悪
あーなるほど、言われてみればそれはそうか。
人質がいれば建物ごとぶっ壊すことも出来ないし、そもそもそんな高火力だと
たしかに屋内の方がやっかいかもね。
「そこで君たちにはこれから
へ〜……燃えるじゃん。
「あ、先生質も」
「勝敗はどうやって決めるんですの?」
「建物ごとぶっ壊してもいいんすか?」
「チーム分けはどのようにして行うんですか?」
「このマントやばくない?」
私が幾つか気になることを聞こうとしたら他の人に全部言われてしまった。
みんな我が強すぎるよ……。架沙音ちゃんついてけない。
ところでこの白衣やばくない?
「順番に説明するから待ちたまえ少年少女、まず舞台設定は
核兵器て、設定アメリカンだな。
「ヒーローは制限時間15分以内に
先生天使かよ。
え、白衣は? 白衣は? ちらっちらっ。
「あー……白衣も似合ってるぞ!」
っはー先生好き! さすがナンバーワンヒーロー!
「それとチーム決めなんだが……くじだ!」
くじかよ。
いや、でもプロになったら初めて会う人と連携したりしなきゃいけないんだからむしろそれがいいのかな。
「あーそれと、このクラスは21人いるので1チームだけ3人になる! 対戦相手のチームは……まぁ頑張れ!」
やっぱなんも考えてないのでは? このナンバーワンヒーロー。
□■□■□■□
がらがら、ぽん!
「I!」
さーて、同じチームの人は誰かなーっと。
「あ、未来ちゃん同じチーム!? よろしく!」
「葉隠ちゃん! がんばろーね!」
宙に浮び上がるピースに向けて私もピースを返す。
「あ、俺もIだ」
そう言って私たち女子の花園に名乗りを上げたのはたしか尾白くん。
個性はシンプルにしっぽ。攻防一体のシンプルながら強い個性だ。
1回でいいからあのしっぽを枕にお昼寝したい。
「ねぇねぇ、そのしっぽちょっと触ってみてもいい?」
「あ、私も触りたい!」
私の提案に葉隠ちゃんも乗ってきた。これで多数決的に尾白くんがしっぽをさわられる結末は確定したと言っても過言ではない。
「お、おう……まあいいけど」
「「やったー!」」
遠慮がちに差し出されたしっぽを2人で触りまくる。
へ〜、思ったより筋肉質なんだね。でも硬さの中にしなやかさもあってやっぱり絶対枕にしたら気持ちいい。
ちらりと尾白くんの顔を見てみると、ちょっと赤くなってそっぽを向いていた。
あ、楽しそうなこと思いついちゃった〜。
葉隠ちゃんに目で合図をし、2人で攻撃を始める。
「照れてるの? うりうり〜」
「ほれほれ、ここがええんか?」
「ば、ばか……なんもねぇよ」
尾白くんを肘でつんつんしながらちょっかいかける私としっぽを揉み続ける葉隠ちゃん。
しっぽがぴょこぴょこ動くのがなんともかわいらしい。
全員分のグループが決まるまで、私たちの尾白くんいじりは続いた。
「………………う"ら"ま"ま"し"い"」
あとなんかちっちゃいのが血涙流しながらこっち見てたのもめっちゃ面白かった。
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「さて、全員決まったかな? それでは最初は……こいつらだ!」
最初はやだ最初はやだ……でも最後はもっとやだから最後になるくらいなら最初にしてください!!!
「
えーと……AとDってことは……うっそかっちゃんとデク!?
っはー最初から面白いの見せてくれるじゃん。
「それじゃあ2チームの人たちは所定の位置に行ってくれ!」
いやーどうなるかな……普通に考えたらかっちゃんの圧勝だけど、デクほどかっちゃんの手の内がわかる人もいない……それに最近のデクはなんかいい感じだから今日もどんでん返ししちゃったりして。
「ねぇ、あの2人ってたしか未来ちゃんとおなちゅーだよね?」
「そーそー、2人ともかわいいやつらなんだよ」
あいつらは私が育てたと言っても……過言。
そういえばかっちゃんらいつも我が道を行ってたしデクも私が再三鍛えろって言ってたのに全然してくんなかったわ。
結果、育てたどころか2人にいい刺激もらってたのは私でした。
「てか超ヤンキーって感じの爆豪くんと内気な緑谷くんってなんか凸凹コンビって感じでいい!」
「わかる! でも意外とカツデクよりデクカツの方が萌えると思うんだよね」
「え?」
「え?」
もしかしてカツデク派だった? たしかに王道こそ正道っていうのもわかるにはわかるんだけど……かっちゃんは絶対受けだと思う。異論は認めない。
「んー、それと……」
「それと?」
今朝くらいからちょっと気になってることがあるんだけど……。
「いや、なんかかっちゃんが怒ってるっていうか……イラついてるっていうか……」
「え、いつもじゃない?」
まだほぼ初対面なのに当たり前のようにいつもじゃない? っていわれるかっちゃんかわいそう。
「んー、まぁ十中八九デクのことだと思うから多分なんとかなると思うよ」
大方無個性だと思ってたやつが個性持ちだった! 騙しやがったのか! みたいなことでしょどうせ。
それなら絶対なんとかなる。
だってデクが1番憧れてる人だもんかっちゃんって。騙すなんてそんなのするわけない。
それにかっちゃんもなんだかんだデクのこと大好きだし。
ほんと2人とも素直じゃないんだからさー。そこがかわいいんだけど。
あ、素直じゃないのかっちゃんだけだったわ。デクはいつでも正直100パーセントでした。
「ちなみに戦闘中の音声データは中継されないぞ! 映像だけで我慢してくれ!」
え、うっそ……つら。
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さぁ始まりました腐れ縁幼なじみーずによります世紀の決戦。
実況私、解説私、提供私でお送りします。
今は丁度ヒーローチームが
ヒーローチーム、窓から侵入し無駄な戦闘を避けにいっているようです。
これはどう思いますか?私。
賢い選択ですね。
さぁ順調に歩みを進めていくヒーローチーム、このまま核兵器まで辿り着けるか……おーっと!
背後からの奇襲!
これははやくも詰みか……? と思われましたが、デクくん上手く捌いています。
彼は幼少期からずっとかっちゃんのことを観察していますからね。動きは手に取るようにわかるのでしょう。
なるほど、ありがとうございます解説私。
あーーーーっと! ここで背負い投げ! 決まったーー!!!
これは見事な投げ、これが試合なら間違いなく1本取れていました。
しかしこれは試合ではなく戦闘、かっちゃん素早く離脱し体制を建て直しました。
怒っています。音声は届いていませんがかっちゃん、間違いなく怒っています。
モニター越しでも伝わってきますね、凄まじいイライラです。
あーっとここでデクくんがなにやら宣言しています。
きっと晩御飯のおかずを教えてあげているんでしょう。ハンバーグでしょうか。
ところで実況私。
なんですか解説私。
いつまでこれ続けるんでしょうか。
……さぁ。
「なにしてんだろ私」
疲れてるのかな……でもちょっと楽しかった。
「? どうしたの?」
急に声を出した私を見て葉隠ちゃんがきょとんとしている。
そういえば表情一切見えないのになんとなく感情がわかるのすごいよね。
やっぱ透明人間を16年もやってるとこういうのも上手くなるんだろうか。
「んーん、それよりほら! 第2ラウンド始まりそうだよ!」
あ、デクが囮になってお茶子を先に進ませた。
やっぱデク頭はいいんだよなぁ。ちゃんとその場その場で最適解を選ぶ頭脳を持ってる。ただそれに見合う力が無かったからバカにされてただけで。
今もお茶子が見えなくなるかならないかくらいのとこでわかりやすく逃げてかっちゃんを反対側に誘導してる。
絶対にお茶子を無視してデクの方に来るのをわかってたんだろう。
「なんかすっげーイラついてんな」
「こえー」
お? デクでてきた。なんか2人で話してるね。
んーーー、音声無いのつらすぎる。めっちゃなんていってるか気になる。
「ん……? まさか爆豪少年アレを……」
え、オールマイト? 何その不穏すぎる呟き。
画面を見ると明らかに遠距離攻撃をしそうな構えをしてるかっちゃん。
え、爆発に指向性持たせて砲撃ってこと? しかもあの感じだとチャージあり? 火力やばそう。
「いかん爆豪少年! ストップだ!」
オールマイトが制止の声をあげた次の瞬間、画面が真っ白にそまった。
「おいおい授業だぞこれ!」
「緑谷少年! 大丈夫か!?」
視界が開けると、ビルには大穴があき、その奥にまで明らかな破壊の後が残っていた。
うっそえぐなにそれ。すごいとは思ってたけどそれでも舐めてた。
え、ほんとにデク大丈夫? これ。
「おいおい先生これ止めた方がいいんじゃねえの! 爆豪相当クレイジーだって!」
「いや……」
流石に心配してか切島くんが先生に中止を提言する。
まぁたしかにあれは心配になる。めっちゃわかる。
でも多分ね……。
「大丈夫だと思うよ、かっちゃんああ見えて結構頭脳派だし」
そう、あいつああ見えてめっちゃ頭いいのだ。ああ見えて。ああ見えて。大事なことなので4回言いました。
テストで初めてあいつに負けた時はまじでビビった。
超煽ってきたからまじで腹たった。
それ以来1回も負けてないし勝つ度に超煽ってるけど。
「それに……」
「それに?」
「今日のこの試合、あの二人にとってめっちゃ大事なことだと思うんだよね」
いつもかっちゃんの影に隠れながらもいつかあんな強くなれたらと憧れていたデク、そしてそんなデクを見下しながらも心のどこかで心の強さに嫉妬していたかっちゃん。
デクはかっちゃんにビビってそんなの言えないし、かっちゃんも虐めてる相手に嫉妬してますなんて言えるわけが無い。
そんな2人がやっとお互いの気持ちをぶつけれる場面になったんだ。
やっぱ男ふたりが友情深めるには殴り合いって古事記にも書いてある。
「それは同感だよ架沙音少女。えー爆豪少年、次それ打ったら即時失格にするから気をつけたまえ」
ていうか訓練だからいいけど核兵器あんのにあんなん打ったら誘爆して死ぬって。
やっぱかっちゃんアホかもしれない。
そんなどうでもいいことを考えていると、ついにかっちゃんが動いた。
まっすぐデクに突っ込んでいき、そのまま攻撃すると思いきや目の前で爆発を起こし目くらまし&方向転換。デクの背中に爆発を浴びせた。
「爆発力の制御がホントに上手ですわね彼」
ヤオモモそれな。
ああ見えてそういう細かいの得意だからなぁかっちゃん。多分ギャップ萌え選手権開いたら優勝できる。
そのままデクが怯んだ隙に腕を掴み爆発で得た推進力のまま地面に叩きつけた。
ホント攻撃の組み立てが上手すぎる。
流石にこうなるとデク手も足も出ないかな……。
「逃げてる!」
「いやこれは仕方ねえよ」
ん〜? 速度で負けてるから逃げれないのはデク100も承知のはずだけど……。それに壁際って……もしかしてなんか狙ってる……?
なにやらまた言い合ってる様子の2人。
くっ内容が気になりすぎる……しっかしデクめっちゃいい顔してるな今。悔しいけどちょっとカッコイイ。
それに対してかっちゃんはどんどん余裕が無くなっていってる。
しかしずっとひ弱で虐められてたデクがクセ強個性手に入れてその虐めてた幼なじみとこうして戦ってるの、流石に主人公がすぎない?
そのまま2人が殴りあってダブルノックダウン、決着……と思っていたら、デクがまた予想だにしないことをしてきた。
かっちゃんの渾身の一撃を個性も使わず根性で受けて上に向かって攻撃。
どうやらそこはお茶子とメガネくんが戦ってた核の部屋の真下だったらしく、その攻撃で大量の瓦礫がそこに飛んで行った。
それをお茶子が彗星☆ホームランしてメガネくんを怯ませた隙に核を確保。
ヒーローチームの勝利で終わると同時にデクは倒れ込み意識を失った。
まぁそりゃあれをモロに食らったらそうなるよね……個性の反動もあるだろうし。
でもやっぱりなにか狙ってたか……やるじゃんデク、頑張ったね。
□■□■□■□
「講評の! 時間だ!!」
ひゅー! どんどんぱふぱふ!
音楽でも芸術でもこういう講評の時間ってすっごい好きなんだけどわかる人いる?
自分の時のは言うまでもなくて、それ以外でも色んな人の悪い所といい所を知れるからすっごい成長に繋がるんだよね。
「今回のMVPは飯田くん! おめでとう!」
あんなに体張って頑張ったのにデク&かっちゃんかわいそう。
まぁわかりきったことだけど。
「ケロ、勝ったお茶子ちゃんか緑谷ちゃんじゃないの?」
「なんでだろうなぁ……わかる人!」
ふっふっふ、任せなさい……と思って手をあげようとしたらヤオモモに先を越された。
ふっ……今回は譲ってやろうじゃないか……決して私よりヤオモモの方が上手く説明できそうだなとか思ったわけじゃない。ないったらない。
「それは飯田さんが1番設定を守っていたからです。爆豪さんの行動は見るからに私怨交じりの独断。それに屋内であんな大規模攻撃は愚策です。緑谷さんも同じ理由ですね。麗日さんは所々気の緩みが見えたことと最後の攻撃、あれは本当にハリボテを核として扱っていたら絶対にできませんわ。相手へしっかりと対策をしつつ核の争奪であることをキチンと意識していたからこそ最後に対応が遅れてしまった。今回の件ヒーローチームの勝ちは訓練であるのを利用した反則勝ちみたいなものですわ」
うわめっちゃ長文。
やっぱヤオモモ意識たっかいしすっごいね。
だからそんなでっかいのか。え、関係ない?
ちらりとかっちゃんを盗まみると、無表情で俯いていた。
……しゃーない、後でちょっと声かけてやるか。
「それじゃあ次は
まぁまずは私の華麗な活躍でも見てなさいな!
□■□■□■□
「2人とも私ちょっと本気だすわ! 手袋もブーツも脱ぐわ!」
「お、おう……」
尾白くん、わかる、わかるよその気持ち……。
ヒーローとしてはね、大正解なんだけどね……。
はやく透明化させれる服開発しよ……葉隠ちゃんの尊厳ために……。
「さーて2人とも、頑張るよ!」
「おう!」
「うん!」
あの2人のあんなの見てブチアゲなのは私も同じだ。いっちょやったりましょうよ!
相手はなんかタコ? イカ? みたいな人と氷の人。
イカタコくんはめっちゃ強い目とか耳とか鼻を作れて索敵もこなせる。
氷の人はそのまんま、氷の人。あと本人は隠してるけど個性因子の形見るに多分炎も出せる。
はぁ? なにそれ最強か?? 個性がイケメンすぎてつらい。
とりあえず警戒すべきは……。
「っ!?」
その瞬間、世界が凍りついた。
壁、天井、地面、もちろん核兵器も、視界に写る全てが凍っている。
「動いてもいいけど、足の皮剥がれちゃ満足に戦えねえぞ」
当たり前のようにドアから入ってくる轟くん。
だー! 絶対来るって分かってたのに!! 思ったより早かった! ここまでの大規模攻撃絶対チャージが必要だと思ったのに!
でも、来るってわかってたんだから……。
「当たった時の対策もあるに決まってんでしょ!!」
ポケットから『炎』と書かれたカプセルを3個取り出し放り投げる。
「尾白くん息止めて!」
カプセルが地面に触れた瞬間、そこから炎が溢れ出し、強制的に轟くんを下がらせた。
「あっっつ! でも助かったわ、サンキュ」
「油断しないで! こっから気張るよ!」
炎の熱で部屋の氷を溶かし、戦闘態勢に入る。
核の前に防火壁建てといて良かったほんと。
部屋に不凍液をばら撒きつつ、尾白くんにとあるものを投げつける。
「尾白くん! これつけて!」
「おう! って重! これなに!」
「酸素ボンベ!」
換気扇は詰まらせておいたし窓も全部閉まってる。
そんな所で火を使えば当然酸素がなくなっちゃう。
無呼吸でも数分なら生きれる人間だけど、低濃度の酸素を吸うと一瞬で気を失う。だからもうこの部屋には誰も入れない。刃牙で習った。
だからこれも作戦通り! 奇襲にはあったけど結果オーライ!
だって酸素がなけりゃいくら最強個性でもそもそも部屋にはいれないでしょ。
と思ってたら躊躇なく扉が開かれた! うわ口を氷で覆ってる!
くっそ便利だな氷!
でもたった1、2分で私たちを無力化出来るとでも!
こちとら良個性達に身一つ(+サポートアイテム)で立ち向かうために体術鍛えまくってんだ! 不凍液で氷も封じるまでは行かなくても半減してるし負けない! それにこっちには枕にピッタリなしっぽを持ってる尾白くんもいる!
氷で道を作り高速で突っ込んでくる轟くんの進路を塞ぐように2人で待ち構える。
尾白くんが正拳突きを放つが氷の道が上に延び拳を防ぐと同時に頭上を通り過ぎようとする。
「シュコー!(あまい!)」
そう来ると予想していたため捕縛テープを巻き付けにかかる。
しかしそれも氷で自分自身を突き飛ばし後ろに下がることで躱して見せた。
「シュコーシュコ!シュコーシュコー!(酸素ボンベめっちゃ重い! 動きずらい!)」
でもそろそろ30秒くらいたったし向こうも大分辛くなって来たはず!
そろそろ仕掛けてくるか……?
ってあれ? ぜんぜん動かないんだけど……。
まぁ制限時間あるし呼吸も苦しくなるだろうから膠着状態が続くのは全然いいけど……。
「シュコ!?」
え!? 轟くん氷マスク外したんだけど!? 諦めた!?
「ふぅ……結構辛かったな……」
「シュコ!? シュコーシュコシュコーシュコ! シュコシュコ!(なんで!? イケメンすぎて酸素なくても呼吸できるようになったのか! 何言ってんだ私!)」
「……すまん、なんて言ってるか全くわからん」
自分の発言が意味不明すぎて怖い。
ってよく見たら窓全部壊されてるんだけど!
さっきの攻防の目的は短期決戦じゃなくてこれだったのかやられた。
「シュコシュコ、シュコシュコシュコーシュコシュコ(えまって、それならもう酸素ボンベ付けなくていいじゃん)」
急いで酸素ボンベを外し遠くに転がす。
余波で爆発でもしたら大変だ。
「ぷはー! 空気うま! 尾白くんももう外していいよ」
「シュコ(おう)」
シュコシュコするのちょっと楽しかったのは内緒ね。
でもこれで大分動きやすくなった。
「てか炎は使わないの? 氷だけじゃないでしょ個性」
「……なんでわかった? まぁこっちはな、使わないって決めてんだ」
「……ふーん、まぁこっちはその方がありがたいけど」
使えるもん使わないのは持たざる者的にハラタツけど、まぁなんかワケありっぽいし仕方ないか。
使わない方が好都合ってのは間違いないし。
するとそこに、葉隠ちゃんから通信が届いた。
『障子くん確保したよ! あのカプセルありがと! おかげで氷溶かせた!』
『すまん轟、油断した』
「ないす葉隠ちゃん! 天才! かしこい! かわいい!」
これで伏兵の奇襲の選択肢も消えた! 勝ったな! ガハハ!
「ふっふっふ、投降するなら今のうちだよヒーローさぁん? 安心しなよ、大人しくすれば命は助けてやるからさぁ」
「うっわ
でしょ? やっぱ尾白くんわかってるわ。
ちょっと今素だろっていったやつだれ? 後で校舎裏ね?
てかなんか足裏熱い気がするんだけど気のせい? さっき炎撒いたからかな。
『あ、そういえばその部屋の真下でめっちゃ火がボーボー燃えてたけど大丈夫?』
「……へ?」
その瞬間、部屋の温度がものすごい勢いで下がった。
そしてまた凍りついていく世界。
不凍液を撒いているから足が固定されることは無かったけど……まさかのことが起こった。
部屋の地面が割れたのだ。一瞬で。
温度差か! やられた!!
てか!!
「炎使ってるじゃん嘘つきーーーーーー!!!」
「火種はマッチだ。個性は使ってない」
体が自由落下を始める。
轟くんは氷の足場を作って無事。尾白くんは……そりゃ落ちるよね! 誰も反応できないよこんなの!
「悪いな、俺の勝ちだ」
天井から氷の柱が伸び、落ちる核兵器を捕まえようとする。
「させるかぁぁぁぁぁ!!!」
超高音の水蒸気を閉じ込めたカプセルを氷にぶつけ、進行を遅らせる。
でもこれじゃ遅らせるだけでどちらにせよ地面に着く前に核を確保されて終わりだ。
ちくしょー絶対使いたくなかったけど仕方ない!!
「死なばもろとも! 一緒に死のうよヒーロー!!」
「っ! お前まさか!」
「あはははは! 芸術は爆発だーー!!」
胸ポケットからスイッチを取り出し、でかでかと『自爆』と書かれたボタンを押す。
こーゆーの1回やってみたかったんだよね! 訓練だけど夢がひとつ叶った!
次の瞬間、核兵器のハリボテに取り付けていた爆弾が起爆し小規模な爆発が起こり、オールマイトから通信が入った。
『そこまで! 訓練終了!』
□■□■□■□
「架沙音少女、なにか申し開きはあるかい?」
「ついカッとなってやりました。反省はしていません」
待ちに待った講評の時間、開口一番にオールマイトにそう問われた。
「これは講評が難しいな……先程核を核として扱っていたら危険な行為は出来ないと言ったが、架沙音少女はむしろ最も核として扱ったとも言える……というかこの場合勝ち負けはどうなるんだ……?
ナンバーワンヒーローがあたふたしている。まったく誰のせいだこんな風に困らせて。え、私?
…………てへ?
「あーとにかく! 轟少年は全体的にとてもよかった! 最後こそ危ないと思ったがよく見るとしっかり全員を氷で助けようとしていたし、相手の虚を突く作戦は悪くない。障子少年も確保こそされたが相方の個性を理解した上で必要な情報をしっかりと渡していた」
わかる。ヒーローチーム優秀すぎたんだよ。てかマジで轟くんがチートすぎる。これが個性か……。
「次に
えへへ〜、いや〜それほどでも〜? あるけど〜?
「んー……本当に難しいが……MVPは轟少年だな! 酸素枯渇というまさかのカウンターにも見事対応して見せた対応力が素晴らしかった!」
負けた…………悔しい…………でもまぁ自爆したもんなぁ。
めっちゃ面白かったし後悔はしてないしあれで正しかったとは思うけど、たしかにMVPはあげずらいよね。
「それと! 自爆は判断がとっても困るのでこれ以降禁止します! まぁ普通はそんなこと考えついてもしないと思うけどね!」
え、これもしかしてディスられてる? オールマイトに?
みんなに自慢しよ、私オールマイトにディスられたよって。
「それじゃあ次の試合の準備に移ろう! ちょっと待ってね!」
「ふぁぁぁ……つかれたぁぁぁ」
オールマイトの宣言と同時に地面に寝そべり大きく息を吐く。
ホントつかれた。 実戦ってこんな体力使うんだね。まぁ訓練だけど。
「自爆とかマジ天才! 未来ちゃん天才すぎて笑っちゃったよ!」
「葉隠ちゃんもお疲れ〜。でしょ? でしょでしょ?」
葉隠ちゃんとアフタートークを楽しむ。
「おまえ……やっぱぶっ飛んでんな……」
「え、そう? えへへ、ありがと」
「いや褒めてねえよ」
切島くんに褒められちゃった。入学早々こんなモテちゃうとか架沙音ちゃん、罪な女!